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- 2024/11/16
DENON / AH-D5200
ミュージシャンがこだわりぬいて録音する“良い音”。そのディテールまでを音源から感じ取りたければ、それ相応の能力を持った機器は必須だ。そしてその要望に応えてくれるスペックを持つのが、ここで紹介するDENONのヘッドフォンAH-D5200である。今回は数々のアーティストと共演してきた経験豊富なドラマー、SATOKOに本機を試していただき、リスナー目線はもちろん、ミュージシャン目線でもその特徴を語ってもらった。
DENONのフラッグシップ・モデルであるAH-D7200と技術やパーツ、構造などを数多く共有することで、同機に迫るスペックを持つ最新モデルのAH-D5200。ハウジングにはその名の由来となったゼブラウッドを採用。高い硬度を誇り、透明感があり解像度の高い音質を可能にしている。堅牢かつ軽量な素材であるアルミダイキャストを採用したハンガー部は、音響的なパフォーマンスを向上させることはもちろん、高い装着感も兼ね備えている。正確かつ低域の量感豊かなサウンドを実現する50mmフリーエッジ・ドライバーや、音楽信号の純度を保つケーブル、独自開発による人工皮革を用いたストレス・フリーなイヤー・パッドなど、随所にこだわりを凝縮した仕上がりとなっている。
AH-D5200で最初に感じたのは、音像の広さと絶妙な分離感でした。分離が良いほど耳コピもしやすいけど、分離し過ぎていると世界に入り込みにくくなる。その点、AH-D5200はちょうどいいバランスにチューニングされています。ゼブラウッドのハウジングのせいか、音の鳴るタイミングが自分の想像よりも、少し速いと感じるくらい瞬発性もありますね。視聴したマイルス・デイヴィスの『Bitches Brew』は、ツイン・ドラムの大所帯編成ですが、今まで聴いたどの音響環境よりもよく聴こえて感動しました。Life Is Grooveは最近叩いた中でお気に入りの作品で、自分が描いていたイメージをちゃんと聴き取れました。AH-D5200はクリアでありつつ、温かみがあるから古い音源に向いているのかなと思っていたんですが、最近の音源もちゃんと良く聴こえます。時代やジャンルの垣根無しに、どんな作品でも音楽として聴けるのが良いですね。
ヘッドフォンのイヤー・パッドって、ネックピロー並に相性が求められるものだと思ってるんです。私は耳が大きくて、ヘッドフォンで耳が痛くなることもあるのですが、AH-D5200の着け心地は快適でした。私がヘッドフォンに求めるのは、フィジカル的にも音も耳が痛くならないもの。それでいて左右の耳で音の大小や音域を疲れずに判断できて、感情移入できるドラマティックさがあることですが、AH-D5200はそのすべてが揃っていますね。
AH-D5200は私達音楽家が作品に込めた思いをしっかりと表現してくれます。楽器でもそうですが、1つはちゃんと良いものを持った方が良くて、その意味でもAH-D5200はお値打ち感もあり、オススメできるヘッドフォンです。もし、(音色などで聴き分ける)イントロ・ドラム当てクイズがあっても、これがあれば、私、絶対勝つ自信があります(笑)。
本記事は、リットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2018年7月号』の特集記事を転載したものです。表紙特集は、ドラム・セッティングにおける理想のポジションを徹底的に探る“the DRUM SETTING”。2号連続特集の前編となる今回は、膨大な数のレコーディング/ライブに参加し、日本の音楽シーンを支えるトップ・ドラマー、玉田豊夢を大フィーチャー。氏が所有するすべてのドラム・キットが登場。10人のドラマーがお題に対して曲を選ぶ“10ドラマーズ・プレイリスト”、練習パッドでできるガチ練習=“無限ループ・スティッキング”に挑戦する特別企画など、盛りだくさんの内容。本記事と併せてぜひお楽しみください。
価格:オープン
SATOKO
1982年生まれ。13歳でドラムを始め、さまざまなバンドやセッションに参加する。03年から3ピース・ロック・バンド、FUZZYCONTROL で活動。その傍ら、DREAMS COME TRUE や稲葉浩志、DAITA、花澤香菜、山本 彩などのサポートを務める。近年は自著の発表や個展の開催など、絵画や執筆活動にも傾注している。