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- 2024/11/16
Roland/V-Drums TD-17 Series
昨年発売から20周年を迎えたローランドの電子ドラム、V-Drums。世界中のドラマーに衝撃を与え続けてきた同製品に、TD-17シリーズが新登場! フラッグシップ音源であるTD-50のサウンド・エンジンを継承したモジュール=TD-17を核に、自然な演奏感と優れた静音性を兼ね備えた新開発のパッドを採用したモデルで、楽しみながら上達できる最新の練習機能も搭載した、自宅練習=“家練”に最適な電子ドラムだ。そんなTD-17シリーズのハイエンド・モデルであるTD-17KVX-SをNothing’s Carved In Stoneの大喜多崇規がチェック! ほぼアコースティック・ドラムしか触ってこなかったという大喜多が体感した、TD-17シリーズの実力とは果たして。
TD-17シリーズの大きな特徴が、電子ドラムの心臓部である音源モジュールの充実度。最高峰であるTD-50のサウンド・エンジンを継承した新型のTD-17は、生ドラム特有の発音原理を仮想的に合成するローランド独自の技術により、抑揚豊かな生々しいサウンドを実現しています。さまざまなジャンルを想定した50種のドラム・キットがプリセットされている他、サンプリングした音源を取り込んで演奏できるユーザー・サンプル機能や、自分の演奏を客観的にチェックできる録音機能も搭載されています。中でも注目は、Bluetoothを介してスマートフォンやタブレットと無線接続できる新機能。これによってモバイル機器に保存してある音源や、ネット上の動画と手軽にセッションを楽しむことができます。他にも日々の練習をゲーム感覚でサポートするコーチ・モードの搭載など、充実度を感じました。
大型12”のスネア・パッドを採用しているのもTD-17KVX-Sの特徴です。視覚的な臨場感がアップする効能はもちろん、ヘッドの面積が広がることで、リバウンド感にゆとりが生まれ、スティックがヘッドにくい込む感触や、ロールにおけるスティックの弾みを心地良く味わいながら演奏できます。さらに新開発のフレームは、リムの高さが生ドラムと同等になっている点がポイント。オープン・リム・ショット時のスティック角度や感触もリアルで、このパッドで練習をすれば、生ドラムにシフトした際にもスムーズに対応ができると感じました。
新しいKD-10を踏んでまず驚いたのは、その安定感。思いっきり体重を乗せてペダルを踏んでも余裕で力を吸収してくれます。またビーターが当たったときの吸いつくタッチも特筆もので、多くのドラマーが心地良いと感じるであろう理想的なタッチを再現しています。フレームに関してはスティール素材を基本として、打面の周囲にはラバーを採用しているのも新要素で、これによって静粛性が一層向上。足元の安定感はドラマーが気分良く演奏するための最も重要な要素だと思いますが、そのあたりはまさに満点に近い印象で、少しドラムがうまくなった気にもさせてくれます。
ハイハットはドラム・キットの中で一番複雑な表現が求められるパーツです。TD-17KVX-Sに装備されたVH-10は、生ドラム用のスタンドに1枚のパッドを装着し、上下動させるフローティング構造を採用。パッドのフレームは薄型になっており、開閉の軽快な動きと、叩いたときのタッチや揺れ具合いがとても自然です。音色はボウとエッジの叩き分けに対応。オープンのタイミングも、シンバルを受ける部分に装備されたナット型の調整機能で、自分好みにアジャストでき、使い勝手も良いですね。
TD-17シリーズはハイエンドのTD-17KVX-S以外に、2機種がラインナップされています。TD-17KV-Sは12”のスネアと、8“のタム類のパッドをそのまま採用しつつ、シンバル類にシンバル・パッドのCY-8/5を採用しているのが特徴です。クラッシュとライドは1枚ずつ装備され、ハイハットは生ドラム用のスタンドを介さないタイプになっています。TD-17K-L-Sは、音源モジュールにTD-17-Lを採用したモデル。Bluetooth機能は省略されていますが、その他の機能は変わらずにリアルな音色を手軽に楽しむことができます。こちらはスネア・パッドがPDX-8で、タム類はラバー仕様ですが、非常に高いコストパフォーマンスを実現しています。
やる気を継続してくれるTD-17KVX-S は、間違いなく強い味方になってくれる
ドラムを叩くことと、サウンド・メイク……音について考えていくこと、この2つを成長させて、ドラマーは上達していくんですけど、その両方を兼ね備えた、こういうハイグレードなものを待っていた気がします。特に(フラッグシップ・モデルである)TD-50のエンジンを継承した多彩なドラム・サウンドからインスパイアされて、たくさんの経験をドラマーにさせてくれると感じました。あとは細かい調節が簡単にできるのがすごく大事ですよね。今日も撮影前のリハーサルで各部の調節をしたんですけど、ものの3~4分で自分が普段叩いている感覚になれて、とても叩きやすかったです。生ドラムをずっと叩いてきた人ほど、その違和感を電子ドラムに感じやすいので、そこが自分のフィーリング、自分なりの音量にできるというのはとても大きい部分です。センサーの反応も良くて、ピアニッシモとか小さい音量で叩いても対応できるし、タップ(ストローク)やヒール・ダウンで合わせることもできるので、(音量的にも)かなり静かに練習できると思います。僕は自宅で生ドラムに1プライ・メッシュ・ヘッドを張ってるのですが、薄いので強く叩けないんです。このパッドは2プライのメッシュ・ヘッドということで、強くも弱くも叩けて、本来のドラムに近い感触が得られるのも、とても良いと思います。
僕の経験から言うと、ドラムを好きでいられるキット、だから練習がしたくなるんですよね。バランスの取れた機材に出会うことが、才能を伸ばしていく上で必要なやる気を継続してくれる。そういう意味で、このTD-17KVX-Sは間違いなく強い味方になってくれると思います。
本記事は、リットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2018年7月号』の特集記事を転載したものです。表紙特集は、ドラム・セッティングにおける理想のポジションを徹底的に探る“the DRUM SETTING”。2号連続特集の前編となる今回は、膨大な数のレコーディング/ライブに参加し、日本の音楽シーンを支えるトップ・ドラマー、玉田豊夢を大フィーチャー。氏が所有するすべてのドラム・キットが登場。10人のドラマーがお題に対して曲を選ぶ“10ドラマーズ・プレイリスト”、練習パッドでできるガチ練習=“無限ループ・スティッキング”に挑戦する特別企画など、盛りだくさんの内容。本記事と併せてぜひお楽しみください
価格:オープン
価格:オープン
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大喜多崇規
おおきたたかのり◎北海道出身。中学時代に吹奏楽部に入部したことをきっかけにドラムを始める。その後、さまざまなバンドを渡り歩き、08 年にNothing’s CarvedIn Stone に加入。これまでに9 枚のオリジナル・アルバムを発表し、10月7日日本武道館公演を控えている。その他にもFULLARMOR、KillingBoy、ボーイフレンド(仮)などでも活躍。クリニック経験も豊富で、昨年よりマンツーマンによるドラム・レッスンも行っている。