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- 2024/11/16
デジタル・ピアノ
ピアノ始めたいけどアコースティック・ピアノだと設置スペースが必要だし、マンションだと音漏れが気になるしなぁ……。そんな場合にオススメなのがデジタル・ピアノ(電子ピアノ)です。アコースティック・ピアノよりもコンパクトかつ軽量、そしてヘッドフォンの演奏も楽しめて、さらに機種によっては電子楽器ならではの便利な機能が充実しています。それではさっそくデジタル・ピアノを選ぶ上で知っておきたいポイントについて紹介いたしましょう!
ここでの音質とはピアノの音色やその質感のことを表しています。どの機種も非常にクオリティが高く、どれもピアノらしさを十二分に表現していますが、音色のキャラクターはそれぞれ異なります。チェックの際には、低域から高域までの音色の変化や和音を押さえた時の響き方がどうなのかを弾き比べてみましょう。ピアノが弾ける人であれば、最下音から最高音までいくつか音階(普段良く演奏する2~3個のキーの長音階、短音階など)を演奏したり、弾き慣れている曲のコードを数小節弾いてみると音色の違いを比べやすくなります。ちなみにデジタル・ピアノは、音量や音色がタッチの強弱表現によって変化しますので、音階や和音を演奏した際に音色変化が生じることも念頭に置くと良いでしょう。
音質面と併せてチェックしたいのは鍵盤のタッチです。自分の表現したい演奏が出音にどのくらい反映されるかは、タッチによって変わってくるため、演奏の熟練度を問わず、鍵盤のタッチは音質面より重視するべきポイントだと思います。鍵盤のタッチの重さは、アコースティック・ピアノのタッチ感を追求した限りなくリアルなタッチのものから、外見はピアノ鍵盤ながらオルガン・タッチ、あるいはそれに近い軽めのタッチのものなどメーカーやモデルによってさまざまです。強弱の感度や強弱の変化カーブをユーザーがカスタマイズできるものもありますが、表現力を優先したい場合は、重めのリアルなタッチの鍵盤の方が良いでしょう。
サイズはある意味で鍵盤数とも同義ですが、多くのモデルでは鍵盤数が少ないと楽器自体の大きさも小さくなってきます。デジタル・ピアノの場合は、少ないもので61鍵タイプから73鍵(あるいは76鍵)タイプ、アコースティック・ピアノの鍵盤数と同数の88鍵タイプなどがあります。省スペースを優先させたい場合は61鍵タイプでも良いのですが、クラシックの楽曲や弾き語りなどで低域から高域まで広い音域が必要な場合には73、76鍵以上のタイプを選ぶのがベターです。そしてサイズ面で見落としがちなのは奥行のマージンです。デジタル・ピアノの場合は、ペダルや入出力端子などがリアパネルに装備しているものが多く、その場合には壁ピッタリにつけた状態で設置することができません。購入前には各端子の配置状態やペダルなどの接続したときの状態を考慮して、奥行のマージンをおよそ10~15cmは見積もっておくと良いでしょう。
シンプルに基本的なピアノのクオリティを求めるのであれば、音質やタッチ重視で良いと思いますが、デジタル・ピアノの場合は、ピアノの音色以外のエレピ、ビブラフォン、ストリングスなどの音色や、演奏の臨場感を演出するリバーブなどの内蔵エフェクトのバリエーションを豊富に装備していたり、押さえたコードに合わせて自動伴奏を付加することができる機能や、演奏位置を表示してくれる演奏支援機能の装備など、各種機能を備えているモデルが多々あります。使用目的や演奏形態によってはこれらの機能が装備されていることで、漠然とピアノを演奏するよりもさらに楽しめることが多いでしょう。
最後のポイントは価格です。これまで自分が見てきた中で1つ言えることは、予算優先で妥協して購入した楽器は、すぐに買い替えたくなりがちだと言うことです。安易に妥協して目的が達成できないと、不満が募ってついつい目移りしがちです。楽器というのはある程度長く使用することで、その楽器に慣れ、それにつれて演奏が上達するものです。短い期間で次々と楽器を変えると、常に楽器に慣れることから始めなくてはならないので、演奏の上達という点で少々非効率となる傾向があるからです。もちろん購入するときには当然個々人の事情や予算があると思いますし、予算以上のモデルを無理に購入することを推奨いたしませんが、できる限り予算優先ではなく、用途や目的に対して選んだモデルが相応かどうか考慮することをオススメします。
前述の通り、デジタル・ピアノを購入する際には、目的に合ったものを選ぶのが一番最善策ですが、着目すべき点は目的ごとに変わってきます。実際には以下のようなケースが多いと思いますので、ケースごとに解説しましょう。
これからピアノを始める場合や、すでにピアノを習っていて練習用の楽器がほしい場合などには、やはり、タッチと音色重視となります。特に演奏する曲がクラシックの場合は、できる限り生ピアノのタッチに近いモデルを選ぶのが無難です。元々クラシックの楽曲が作られた当時にはデジタル・ピアノはまだ発明されていませんでしたから、曲も生ピアノでの演奏を前提に考えて作曲されています。そのため、音色変化などを含め、できる限りタッチも生ピアノに近い強弱表現が得られるモデルだと練習しやすいでしょう。上級者の場合、曲によってはダンパー・ペダルだけでなく、ソステヌート・ペダルを使用した演奏を求められることがありますので、本体に接続できるペダルの種類や数にも留意すると良いでしょう。また、レッスンでデジタル・ピアノを使用する際にはヘッドフォンを使用して行う場合もあると思います。モデルによってはヘッドフォンが2個つなげられるものもあります。そういったモデルだと先生と生徒が同時に演奏を聴くことができるので便利でしょう。
ワンマン演奏で楽しみたい場合には、音色のバリエーションの充実度や自動伴奏機能などの演奏支援機能がどれくらい充実しているかに着目すると良いでしょう。それらの機能が実際に演奏しているときに使いやすいかどうかが重要ですので、機能を活用する上で操作方法が自分に馴染みやすいかどうかチェックすると良いでしょう。また、モデルによっては、楽器本体とパソコンなどを接続してインターネット経由で曲のデータをダウンロードして使用することができるものもありますので、将来的に自分の演奏レバートリーを増やしていくのに重宝するでしょう。また、自動伴奏機能の有無は前述の弾き語りのライブで使用する場合などにも活用できますので、場合によってはライブ派の人にもメリットとなるポイントです。
どちらかというとデジタル・ピアノの購入を検討する人は演奏目的であることが多いと思いますが、音楽制作においても選ぶ価値は十分にあります。いわゆるDTM用のMIDIキーボードの場合は、DAWベースでの作業に適したコントローラなどを装備し、コンパクトで移動や持ち運びがラクに行えるなど制作用に適した製品になっていますが、鍵盤のタッチという点ではデジタル・ピアノのような弾き心地を得られるモデルが少なく、演奏性という点で満足を得づらいでしょう。ピアノが演奏できる人であれば、デジタル・ピアノの演奏性の良さが打ち込みのフレーズにそのまま反映させることができますので、特にリアルタイム入力で打ち込んでいく人には最適なツールとなります。また、デジタル・ピアノの場合はピアノ音色のクオリティも総じて良いので、内蔵音源をピアノパートの演奏に活かすこともできるなど、制作派の人にもメリットは多々あると言えるでしょう。
バンドでピアノを求められる場合やピアノの弾き語りなどのライブでデジタル・ピアノを使用する場合には、音色と可搬性を優先すると良いでしょう。音色という点に関しては、バンドとして出したいサウンドにマッチしているかどうか、ピアノの弾き語りの場合には歌の声質や曲のイメージに合ったサウンドかどうか、をイメージしつつ、ピアノの音色をチェックしてみましょう。また、生ピアノ以外のエレピやストリングスなども出したい場合には、生ピアノ以外の音色の内蔵数やサウンドのキャラクターもチェックしておくとベターです。また、自宅とライブ会場を行き来する上では楽器本体の重さも重要です。しかしながら、軽さを求める場合は鍵盤数が生ピアノの数より少なくなったり、オルガン・タッチ的な軽い鍵盤のタッチになる場合もありますので、自分の中での優先度を考慮しつつ検討すると良いでしょう。
ここではデジマートで売れ筋の商品から、アコースティックピアノと同じ88鍵仕様で、ペダルが足(台)に固定されたキャビネット・タイプをピックアップいたしました。インテリア性が高く、アコースティック・ピアノよりもコンパクトで軽量なものが主流です。スピーカーが内蔵されているので、電源さえ確保すればOK! 鍵盤に親しみたいビギナーさんの最初の1台としてオススメです。ぜひ購入の際の参考にしてください!(メーカー名アルファベット順)
CASIOと島村楽器とのコラボレーションによるデジタル・ピアノ。PX-870とほぼ同等な仕様であるが、操作パネルが日本語で表記されている点やピアノ音色が11種類収録されている点、カラーがピュア・ホワイトである点などで差別化が図られている。サウンド面では、独自技術によるマルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源を搭載し、時間経過に伴う音色変化やダンパー自体の動作音、グランド・ピアノの大屋根の開閉量に伴う音色変化など、グランド・ピアノならではの響きを追求。また、打鍵の検出から発音までの時間を打鍵の速さに応じてきめ細かく変化させる3センサー・スケーリング・ハンマー・アクション鍵盤IIを採用し、鍵盤を戻しきらなくても連続して発音することができる。本体には演奏データーを記録できるMIDIレコーダーを装備し、さらにUSBメモリーによるオーディオ・データの再生、保存も可能。
スリムでスタイリッシュなボディに、PX-870の演奏性能を凝縮したエントリー・モデル。エフェクトの一部やオーディオ録音&再生機能などが省略されているが音源や鍵盤などの基本性能はしっかりと継承されている。2つの音色を別々の鍵盤エリアで演奏することができるスプリット機能や2つの音色を重ねて演奏できるレイヤー機能なども搭載され、そしてデュエット機能は鍵盤の左エリアと右エリアで同じ音域にすることができるのでレッスンや2人での演奏に活用できる。
同社のグランド・ピアノSK‐EXとEXを全鍵ステレオ・サンプリングしたHI-XL音源を搭載。弦、駒、ダンパー・フレーム、響板によるグランド・ピアノ独特の響きをモデリング技術で再現されている。また、上面放射スピーカーにより、他のスピーカーと合わせて多層的で臨場感ある音を実現している。鍵盤は白鍵・黒鍵ともに木製で、グランド・ピアノと同じ構造をのシーソー式木製鍵盤グランド・フィール・スタンダード・アクションを採用。鍵盤の動きを3つのセンサーできめ細かく感知する。USBメモリーでWAVやMP3で演奏を録音したり、再生が可能。さらにオーディオ・ファイルに重ねて録音できるオーバー・ダビング、ライン・イン録音機能も搭載している。
タッチ、音、ペダルといったピアノの基本性能にこだわったエントリー・モデル。同社のグランド・ピアノを弱打から強打まで複数の段階に分けて録音し、その音をPHI(プログレッシブ・ハーモニック・イメージング)技術で処理されており繊細なタッチとなめらかな音色変化を実現している。最大同時発音数192音。ダンパー・ペダルを多用したり連打が多い曲でも音切れすることなく演奏を楽しむことができる。鍵盤の重量、ハンマーのおもり等、細部まで見直したRHⅢ鍵盤は木製鍵盤に近いタッチを実現している。
世界を代表する3台のグランド・ピアノの音色搭載した同社のフラグシップ・モデル。独自のテクノロジーでグランド・ピアノの演奏感から響きまでを再現している。鍵盤はグランド・ピアノと同様に低音部では重く、高音部にいくほど軽くなるリアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3(RH3)鍵盤を採用。タッチの強さによって5段階の音の出方(軽め、標準、重め、安定、一定)を設定できるキー・タッチ・コントロールにも対応している。Bluetoothオーディオにも対応し、スマートフォンやタブレットなどのミュージック・プレーヤーやYouTubeの音を本体のスピーカーから再生させることが可能。それらと一緒にピアノの演奏を楽しむことができる。奥行きはわずか29センチとスリムで場所を選ばない設計も特長的だ。
基本性能はしっかり押さつつ、30種類の高品位サウンド、 Bluetoothオーディオ、大迫力のスピーカーなど機能も充実したスタンダード・モデル。鍵盤はG1 Air同様にリアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3(RH3)鍵盤を採用している。直線を基調としたシンプルなデザインで、奥行きはわずか26cmというスリムさを実現。キー・カバーを閉じるとフラットになり、テーブルとしての利用も可能だ。 カラー・バリエーションはブラック、ホワイト、ブラウン、レッドを用意。
家具メーカーのカリモクとの共同開発によるデジタル・ピアノ。天然木の温もりを活かしたキャビネットは、家具職人の手によってインテリア性の高いデザインに仕上げられている。音源部にはスーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源、鍵盤はPHA-50鍵盤を搭載し、グランド・ピアノのそのままのタッチ感と表現力を再現。演奏できる音色はグランド・ピアノが3音色、アップライト・ピアノ、チェンバロ、エレクトリック・ピアノがそれぞれ1音色で、グランド・ピアノ音色でのソロ演奏時の同時発音数は無制限となっている。カラーはウォールナット、ピュアオーク、シアーホワイト、モカブラウン、シアーブラックと豊富なバリエーションから選ぶことができる。
同社のフラッグシップ・モデルと同等のスーパー・ナチュラル・ピアノ・モデリング音源を搭載したエントリー・モデル。鍵盤には木と樹脂のハイブリッド構造のPHA-50鍵盤を採用。キャビネットは直線基調でモダンなデザインで、本体の高さを持ちながら奥行きを抑えて省スペース化を実現している。Bluetooth MIDI機能を搭載し、スマートフォンやタブレットとピアノを接続して、ローランドのオリジナル・アプリ「Piano Partner 2」や「Piano Designer」などの音楽アプリを楽しめる。またBluetoothオーディオにも対応しており、スマートフォンやタブレットの音楽ライブラリーや動画の音声などを、ピアノ本体のスピーカーで再生可能。
グランド・ピアノの表現力にこだわり、繊細な鍵盤タッチ、豊かな音の響きが体感できるクラビノーバ・シリーズの中でも手頃な価格帯のモデル。同社のCFXとベーゼンドルファーのインペリアルの2台のグランド・ピアノの音色を収録し、象牙調仕上げのグレード・ハンマー3エックス(GH3X)鍵盤は、しっとりと指に吸いつく手触りでピアノ本来の鍵盤タッチを楽しめる。そのサウンドはスピーカーから出る音がボディ内部にこもらず、グランド・ピアノに近い自然な聴き心地を実現しており、ヘッドフォン使用時においても臨場感のあるサウンドを体感できる。さらに演奏はMIDIデーターの録音(本体)、オーディオ・ファイルの録音(外部USBメモリー)が可能。
シリーズ初のCFXサンプリング音源を採用し、スリムな奥行296mmを実現したベーシック・モデル。リアルな音・タッチに加え、レッスンに役立つ機能がまとめられている。コンパクト仕様で限られたスペースでも設置がしやすい。鍵盤にはアコースティック・ピアノのような自然な弾き心地を追求したグレード・ハンマー・スタンダード(GHS)を搭載。無料アプリ「スマートピアニスト」によってスマートフォンから楽器本体の機能をコントロールできる。
最後になりますが、デジタル・ピアノを選ぶ際には、目当てのモデルを展示している楽器店などで必ず試奏することをオススメします。その際、楽器店の店員さんに演奏してもらうことで楽器の音や機能などは客観的に判断できますので十分購入の参考になるかと思いますが、重要なのは弾ける、弾けないに関わらず自分で鍵盤を弾いて音を出してみることです。これから付き合っていく楽器となるワケですので、自分で試奏してみて、弾き方や操作性の好みが合うかどうかを見極めることが楽しいデジタル・ピアノ・ライフを送る秘訣となるでしょう。