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- 2024/11/16
1959 Les Paul Standard、1960 Les Paul Standard
世界で最も高価なギターであり、常にギタリストのあこがれとして君臨し続けるギブソン・バースト・レス・ポール。1958〜60年製の個体はジミー・ペイジやエリック・クラプトンを始め、数々のトップ・プロが使用したことで一気に認知度が上がり、ロックのアイコンとして唯一無二の存在感を放ち続けている。そんな貴重なギターが、なんと3本も東京・御茶ノ水の「クロサワ楽器 G'CLUB TOKYO」に入荷! オリジナル・バースト・レス・ポールの中でも最も人気があり高価である59年製が2本、そしてオリジナル・バーストの製造最終年である60年製が1本だ。今回は、なかなか生で聴くことのできないバースト・レス・ポールのサウンドを多くの人に体験してもらおうと、日本のロック創成期から骨太なプレイで世界を舞台に活躍するギタリスト、竹田和夫氏(CREATION)を試奏者に招き、「竹田和夫(CREATION)と味わうOriginal “Burst” Les Paulの世界」を開催。ここでは各個体の解説と、イベントの模様をレポートしていこう。
今ではほとんどお目にかかれない、状態の良い1959年製のオリジナル・バースト・レス・ポール。本器はボディ・トップにバーズアイ、またはブリスターなどと呼ばれる珍しい杢目を持つ材を使用した個体だ。褪色したチェリーがうっすらと残る、非常に美しいフィニッシュも印象的な1本。
重量は4.3kgと、重すぎず、軽すぎずと言ったところ。バランスが良いせいか、4.3kgという数字からイメージするよりは、はるかに軽く感じる。またネックのグリップ感も太すぎず、細すぎず、万人に好まれるグリップだろう。ピックアップはもちろんオリジナルPAFで、フロントはゼブラ、リアにはダブル・ブラックのものが搭載されている。ジャックが交換されている以外は、アッセンブリーにはずされた形跡はない。
サウンドは、パワフルでありながら色気があり、ビンテージ感を持ちつつ解像度も高いという、まさにバーストらしいサウンド。やや硬質なトーンを有しており、特にロックには最適だ。もちろんタッチに対する反応が良いので、よりブルージィなプレイにも十分にマッチする。
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こちらも非常にコンディションの良い1959年製のオリジナル・バースト。世界的に有名なバースト・コレクターであるヴィック・ダプラ氏の著作『Burst Believers Ⅱ』のP52〜53で、“Cindy”という女性の名を付けて紹介されている個体だ。名前の由来は、本器のブリッジ・ピックアップ横にある節が、ホクロがチャーミングな女優“シンディ・クロフォード”を連想させるということだ。
個体としての特徴は、重量がわずか3.9kgと非常に軽量なこと。アッセンブリーのハンダにははずされた形跡がなく、フレットもオリジナルの貴重なものだ。ペグに関しては、一度交換されたあとオリジナルに戻されている。
ピックアップはもちろんオリジナルPAFで、フロントがゼブラ、リアがダブル・ホワイトという組み合わせ。サウンドはやや甘めで、ロックやブルースはもちろん、ジャズにも使える極上のスウィート・トーンを放つ。出力もしっかりとあり、このサウンドを好む人も多いだろう。
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オリジナル・バースト・レス・ポールが製作された最終年である1960年、本器はその中でも後期のモデル。赤みがしっかりと残った“トマト・スープ”などと形容されるチェリー・サンバースト、メタル・トップのノブ、ダブル・リングのクルーソン・ペグと、この時期の特徴をしっかりと残した個体だ。
プレイアビリティ面での本器の特徴は60年製らしいスリム・テーパー・ネックで、これが驚くほど薄い! 特にロー・ポジションの薄さは、現代のリイシュー・モデル以上ではないだろうか。59年製とはまったく別物と言っていいほど特徴があるので、真剣に購入を検討している方にはぜひ実際に握ってグリップ感を確かめてもらいたい。重量は4.12kg。
サウンドは、倍音が豊かで音圧がある絶品のビンテージ・トーン。音が前に出てくる感じで実にロックだ。有名どころでは、エリック・クラプトンやジョー・ウォルシュ(イーグルス)などがバーストの中でも60年製を好むことで知られている。59年製とはまた違った魅力を持つギターだ。
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オリジナル・バースト3本を、ギター界のレジェンドである竹田和夫氏が試奏するという贅沢なイベントが、2018年4月22日、東京・御茶ノ水のクロサワ楽器 G’CLUB TOKYOで開催された。
この日に用意されたギターは59年製が2本、60年製が1本。イベントは竹田氏の流暢なプレイで幕を開けた。最初に手にした1本は59年製の“Blister Top”。「まさに、この音にあこがれてレス・ポールを手にしたんです」と述べる竹田氏は、まだ日本国内にほとんどギブソン製のレス・ポールが流通していなかった72年に、アメリカでレス・ポール・デラックスを入手して使用していた、いわば日本人のレス・ポール・プレイヤーの草分けのひとりだ。“Birds-eye Top”に関しては、「ネックのグリップが素晴らしい! 初めて弾いたのに、ずっと弾いてきたかのように馴染む」と絶賛。話の合間にもジャジィなフレーズ、カントリー・リックなどを自由自在に繰り出し、自身の歌心溢れるプレイと“Blister Top”のポテンシャルの高さを見せつけ、来場者を魅了していた。
次に竹田氏が手にしたのは“Cindy”で、スロー・ブルースを演奏。センター・ピックアップのクリーン・トーンで、メロウなフレーズを決めまくる。途中からはリア・ピックアップに切り替え、極上のドライブ・トーンを響かせていた。演奏後に「力を入れずに弾くと良い音がします」と言って、かなり弱いタッチで弾いた音がまた極上! 「タッチに対する反応が良いのは、やっぱり良いギターの証しですね」とのこと。この個体のコンディションの良さにも感心していた様子だ。
続いて60年製のバーストを手にした竹田氏は、「59年製とはネックが全然違いますね。皆さんに触っていただきたいくらい」とコメント。このモデルではシャッフル・ナンバーを演奏した。どの演奏もそうだが、竹田氏のプレイは1音1音の説得力が違う! 演奏後に「やはり、これまでの2本より少しモダンになった印象です。より幅広いプレイがしやすいですね」と感想を述べていた。
その後、来場者からの質問に竹田氏が答えるQ&Aコーナーでは、レス・ポールでブルースをプレイするスタイルを作り上げたエリック・クラプトンの功績について言及。会場からは「自分にとっては竹田和夫さんが日本のエリック・クラプトンです」という声が挙がっていたのが印象的だった。
最後に、この日一番気に入ったという“Blister Top”を再び手にして、ファンキーなナンバーをプレイ。途中では、あの名曲「Spinning Toe-Hold」(CREATION)のリフも飛び出し、来場者全員が大満足でイベントが終了した。
竹田和夫(たけだ・かずお)
1952年3月11日生まれ。東京都出身。13歳でギター始め、68年8月にプロ・ギタリストとなる。69年にBlues Creationを結成しデビュー。72年にはBlues Creationを解散し、短期間Bloody Circusにて活動する。解散後はロンドンに渡り、セッションやオーディションに明け暮れる。そんな中、第二期Blues Creationのメンバーを中心に東京の仲間が続々とロンドンに集まりだし、滞在中にCREATIONを結成。75年にデビューし、日本人単独アーティスト初の日本武道館公演を行なうほか、KISS、ピーター・フランプトン、イエス、ジョニー・ウィンターなど、海外のビッグ・アーティストとの共演も果たす。現在はロサンゼルスに拠点を移し、精力的にソロ活動も行なっている。ジャパン・ツアー2018の情報はオフィシャルWEBよりチェック!
【使用機材】
使用アンプ:Fender / Hot Rod Deluxe Ⅲ
使用エフェクター:BOSS / SD-1W