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- 2024/11/16
ギタマガ・オーディオ部
名演こそ最高の音で聴きたい!そんなギタリストのために、ギター・マガジン2018年5月号よりオーディオを調査しまくる企画がスタート! スピーカーを制するものは音色を制す……かどうかはわからんけど、何となくそんな感じがする。否、そうに違いない!ってことで、ド素人丸出しのオーディオ部一行は、まずスピーカー探しの旅へ出ることに。人づてに名古屋に名店があるということで、迷わずGO!伝説のコーナーが今、幕を開けた!!!!
ヒップホップ・バンド=韻シストのギタリストで、わがオーディオ部の部員ナンバー01。アナログ・レコード好きでもある。愛器はGibson ES-335。→ 韻シスト・オフィシャル・サイト
愛知県は北名古屋市のオーディオ専門店OTAI AUDIOと、DJ機材専門店OTAIRECORDの店主。サウンド・チェックはだいたい松田聖子。
今回の試聴で使用したのは、1973年の名オムニバス盤『Jazz Guitar Forms』。 1曲目に収録の角田孝の超名演をいろんなスピーカーで聴いてみた。 プレイが素晴らしすぎて最後の方は頭がクラクラしたっす。
── 今月から“ギタマガ・オーディオ部”というのを立ち上げて、ギタリストにとっての良い音を追求していくことにしたんですよ。で、素人考えでお恥ずかしいんですが、まずスピーカーが大事なのかなと。それで、ようすけさんにご協力お願いした次第でございます。
ようすけ管理人 なるほど、わかりました。今日はいろんなスピーカーを聴いてみましょうか。ちなみにTAKUさんは、普段はどんなスピーカーを使ってるんですか?
TAKU ええと、レコードとかYoutubeなどの娯楽観賞用にYAMAHA NS-10Mを使っていて、トラック作りなどの仕事用はADAM A5をメインに使っています。
── 今回、試聴用の音源は和ジャズ特集に合わせて、名盤オムニバス『Jazz Guitar Forms』のアナログ・レコードを持ってきました! 1曲目に収録された角田孝さんの超名演「I Can't Give You Anything but Love, Baby」を参考に、いろんなスピーカーを聴いていきましょう。これ、めっちゃカッコいいですよ。
ようすけ管理人 じゃあ始めはイギリスのブランドBowers & Wilkinsの802 D3というモデルを聴いてみましょう。
■ Bowers & Wilkins(B&W) 802 D3
いきなり超でけ〜。
ようすけ管理人 セットで350万円です。
TAKU お、おお......。
ようすけ管理人 じゃ、いきます(レコードを再生)。
── TAKUさん、これは......。
TAKU ......めっっっちゃええやん。
ようすけ管理人 録音いいですね。このアルバム欲しいです。
TAKU すごい。解像度が違い過ぎます。もうホンマにクッキリですね。目の前でライブをやってるみたいで、聴いていてめちゃくちゃ楽しい。でも、こういうスピーカーで再生すると嘘つかれへんから、楽器が上手くなりますよね。
ようすけ管理人 それはすごくミュージシャンらしい視点です。こういう音で聴くと、ミスったのか手グセな のか、弦のハジき方とか、演奏の細部までわかりますよね。
TAKU ピッキングの動きが見えますよね。それと、ドラムのライド・シンバルのレガートがめっちゃくちゃキレイ。ホンマにそこで叩いてるような感じに聴こえます。高域がこんなに伸びてたんやっていう。
── 僕はここまで高額のスピーカーって初めてなんですけど、この解像度は今まで生きてきた中で一番かもしれない......。
ようすけ管理人 じゃあ、スピーカーを変えてみましょうか。
── このレベルがまだあるんですか?
ようすけ管理人 次は、フランスのFOCALっていう、カー・オーディオでもすごく人気があるブランドですね。フランス国内生産というのもポイントです。
TAKU めっちゃオレンジやな〜。
ようすけ管理人 ランボルギーニのオレンジみたいでしょ? 特徴としては、ツイーターが逆ドームになってる ので音が拡散しにくく、定位感や奥行き感があると思います。情報量もあるし、低域も出せるので、本当にリスニングに適したスピーカーではないで しょうか。あとはお国柄が出ているというか“、音楽をわかってるな”っていう感じの音で聴いていて非常に楽しいですね。ではいきます(同じ曲を再生)。
── お〜これも凄い!
TAKU これも欲しいわあ......。
ようすけ管理人 セットで159万です。
TAKU やめます(笑)。でもカラーといい、攻めた一品ですね。
ようすけ管理人 低域がファットに出るんで、ヒップホップとも相性が良いですね。
TAKU いや〜おもしろい。ホンマ良い音です。
── 今日モンスター・クラスしか聴いてないですけどね(笑)。
TAKU どれがいいとかって話じゃない(笑)。全部いいみたいな。
ようすけ管理人 じゃあ、もうちょっと安いの持ってきましょうか。
ようすけ管理人 (ゴソゴソ......スピーカー位置を計測中)これはね、ビッシビシのバッキバキで、ミリ単位で定位感が変わってくるんで、計測器で位置を計るんです。こういうこだわりの積み上げっていうのが、良い音を作るんですよ。
TAKU 絶対そうですよね。
── さっきの2台を比べると物凄く小さく見えます。
ようすけ管理人 “音場(オンジョウ)”、人によっては“オンバ”って言うんですけど、それが、この小っちゃいスピーカーでも十分作れます。これはB&W 707S2っていう、去年の冬に出たばかりの。これで培ったやつをデフォルメしてやっている。最初の802 D3のひ孫、ひひ孫くらいな感じ。
TAKU 方向性は継承しているんですね。
ようすけ管理人 はい。値段は15万ですけどね
── さすがに、同し路線でもショボく感じちゃいそう ......。いけちゃいますか?
ようすけ管理人 まあまあ、それは間違いないですから。じゃ、いってみましょうか。(レコード再生)
すっげえ。
── すごいわ。
TAKU 定位感と臨場感が素晴らしいですね。
ようすけ管理人 いいでしょ?(笑)
TAKU すんません、ナメてました。
── すんません。僕の耳には、さっきの2台とほとんど同じに聴こえちゃいます。
ようすけ管理人 高級オーディオって、どうしても何百万円の高いものがシンボル的にイメージしちゃうんです けど、実際はこういう価格帯でも、充分に素敵な音楽体験ができるんですよ。特にB&Wの開発方針っていうのは、例えばうちの展示品、トップ・ スペックの802 D3を作るのに、コストの計算はあまり気にしないのです。もうやりたい放題やって、これだけコストかかったから“はい、300万ですよ”っていう。で、“買う人は買えばいいよ”っていうスタンスで。
TAKU とにかく最高なものを作ることに重きを置いてるんですかね。
ようすけ管理人 そういうイメージですね。
── 必ずしも高級指向というわけでもないし。
ようすけ管理人 そうですね。僕らは“トーン・ポリシー”っ て呼んでるんですけど、B&Wらしい音がちゃんと出てくれるし、解像度やギターの定位感などもビシッとくるのが素晴らしい。だから、デカけりゃいいわけじゃなくて、家でもちゃんとポジションを測って、共振対策もやったら、あれくらいの音は出るんです。って言っても、ホームセンターで売ってるコンクリート・ブロックの上にゴムを敷いて、距離を測って置いて、リスニング・ ポイントを決めたらそれで充分。もちろんアンプや他の機材も関係しますけど、やっぱりスピーカーが1番大事で、スピーカーがダメだったら全てがダメになりますからね。
TAKU う〜ん、俺もやってみようかなあ。
── 良い音で角田さんのナイス・プレイを聴きすぎて、頭がフワーッとしてます。
TAKU ホンマに“難しいこと言うオッサン”みたいになりたないんですけど、それこそギターを弾いている人が、こういう部分に意識をちょっと向けるだけで、プレイや音作りが全然変わるんじゃないかなと思いますね。ライブはもちろん、レコーディングの時もそうかなと“。良い音を出したいんですけど、エフェクターが......”とか“弦が ......”って言う前に、普段耳に入ってくる音自体を変えるだけで、ホンマの音がわかるじゃないですか?“この演奏、実はミッドこんな出てたんや”とか、そういうことを知るために音をインプットする環境に目を向けると大きな変化が訪れるんじゃないかなと。それはすっごい思いました ね。ホンマに月並みなこと言ってるんですけどね。自分自身も気をつけなアカンなと。
── 何てキレイなオチなんだ(笑)。もっとおちゃらけたコーナーのつもりだったのに......。でも、今日の音を聴いちゃうと本当にそれしか思い浮かばないです、本当。
TAKU 今ってイヤフォンならまだしも、スマホのスピーカーから聴いて“あんま迫力ないな〜”とか、 もう無茶苦茶な話ですもんね?(笑) カップラーメンを食べて、“俺、ラーメン嫌いやわ”って言ってる感じの判断になってるというか。まあそれは極論ですけど、そう痛感しましたね。
── マズい! どんどん説教臭くなってく!
TAKU そんなつもりなかったのに〜(笑)。
── 15万ってギターだったら安い方ですしね。 TAKUさん買ってったら?
TAKU まぁ確かにサブで15万のギターを買うんやったら......。
── このスピーカーの方が......。
TAKU 1回いってみてもいいんじゃないですか?って感じですね。とにかくそれをライド・シンバルで痛感してるんですけど(笑)。ライドでここまでの臨場感が出るんやなと。
ようすけ管理人 高域の伸びがありますよね。
── ライド観が変わったんじゃないですか?
TAKU めっちゃ変わりましたよ。次にドラマーと合わせる時のイメージも違いますからね。やっぱり自分の中の音楽的な価値観を作るのって、こういうのの積み重ねなんやなあ。だから、みんなも目と意識、そして足を向けてみてほしいなって素直な思います。さっきから超月並みな意見でホンマすみません(笑)。
── オーディオ部の門出にふさわしい回になりました。
ようすけ管理人 じゃあ、次はまた別のスピーカー聴いてみましょうか(ゴソゴソ......)。
本記事は、リットーミュージック刊『ギター・マガジン 2018年5月号』の特集記事を転載したものです。本号の表紙巻頭では「ニッポンのジャズ」と題して時代を駆け抜けた伊達男(ジャズメン)たちの知られざる物語を大特集! 日本のジャズ=”和ジャズ”が進化していく壮大なドラマを綴じ込めました。ぜひ手にとってチェックしてください!
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