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Line 6ギター・ワイヤレスはシールド・ケーブルより音が良いという噂は本当か?

〜Line 6ギター・ワイヤレス vs シールド・ケーブルのガチンコ音質対決〜

  • 制作:デジマート・マガジン 試奏・文:井戸沼尚也(室長) 動画撮影・編集・録音:川村健司 写真撮影:星野俊 協力:Line 6 Japan

「デジマート地下実験室、休載したじゃん? なんか番外編で一発やるみたいよ」
「ふーん……」
「Line 6が絡んでるらしい」
「……ヤラセじゃないの?」
違います! Line 6さんにご協力いただき、ガチでワイヤレスとケーブルの音質を比較しました!!

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Line 6ギター・ワイヤレス vs シールド・ケーブル音質対決実験

【実験テーマ】Line 6ギター・ワイヤレスはシールド・ケーブルより音が良いという噂は本当か?

 2017年11月に最後の実験を公開し、12月に休載を告知したデジマート地下実験室。約3ヵ月ぶりの実験は、1本の電話から始まりました。

デジマートK氏 「室長、お久しぶりです。実はワイヤレスとケーブルの音質比較をしたらおもしろいんじゃないかと思ってるんですけど」
私 「ふーん……」
K氏 「やるならLine 6さんが協力してくれるって言っています」
私 「……ヤラセじゃないの?」
K氏 「違います!」
私 「ち、違うの? もしケーブルのほうが良いなんて結果になったら、私、消されたりしないの?」
K氏 「大丈夫です。それならそれでいいっておっしゃっています」

 じーん。なんて太っ腹な。この世知辛いご時勢に、そんなことを言ってくれる会社があるんですね。ここでやらなきゃ男がすたります。私はK氏に「やる」旨を伝えて電話を切り、家内に勢いよく言いつけました。

「おうおう! 俺の白衣、久しぶりに出してくんな!」
「いつものところにあるんじゃないですか?」
「あ、はい」

 というわけで、ワイヤレス vs シールド・ケーブル音質対決実験、始めるよー!

実験環境

■使用機材
Gibson / ES-335(ギター)
Fender / 68 Custom Deluxe Reverb(アンプ)
Line 6 / Relay G10(ワイヤレス)
Line 6 / Relay G70(ワイヤレス)
BELDEN / 8412(ケーブル)
MOGAMI / 2524(ケーブル)
CANARE / GS6(ケーブル)
Free The Tone / CU-6550(ケーブル)
Van den Hul(ケーブル)

※セッティングについて
■定番とされているBELDEN、MOGAMI、CANAREのケーブルついては、プラグはスイッチクラフト製を、ハンダはスパークル・ハンダを使用して製作。
■本企画では動画再生の際、ヘッドフォンでの視聴を推奨しています。

実験1 Line 6 Relay G10 vs 一般的なシールド3m

1回戦 Line 6 Relay G10 vs BELDEN & MOGAMI & CANERA

Line 6 Relay G10。Line 6の革新的な技術を盛り込んだ超小型ワイヤレスで、トランスミッターをギターに、レシーバーをアンプにつなぐだけですぐに演奏ができる。バッテリーの充電は、トランスミッターをレシーバーに挿しておくだけ!

 それでは、一般的なシールド3本(BELDEN、MOGAMI、CANARE)を用意し、これらとLine 6ワイヤレスの中で最も手軽なモデル、Relay G10の音質を比較してみたいと思います。

Relay G10使用時。親指程度のサイズ感で、ノーストレスで演奏ができてしまいます

 Line 6のワイヤレスには、ケーブル使用時と変わらない自然な音質をもたらす「ケーブルトーン機能」が付いています。Relay G10の場合は、この機能が3mのケーブルを想定したものに固定されていますので、比較のためにケーブル側も3mでそろえています。

 まずはRelay G10をつないでコードをつるっと弾いてみました。敏感な方にはうっすらとコーラスがかかっているように聴こえるかもしれませんが、C♯・♯9thのコードの音にEの音がふたつ入っているためで、エフェクトはかけていません。次にBELDENで同じコードを弾いてみます。続いてMOGAMI。それからCANARE。

 ……うーん。もう1回、動画を観てみよう。う、うーん。だめだ、全然違いがわかんねぇ!! いや、この場合、違いがわからないということはいいことなのか!? ワイヤレスとケーブルの違いより、むしろ弾く時の力加減による差のほうがはるかにデカいですね(汗)。でもこれ、動画では編集上つながっていますが、演奏と演奏の合間にはいろいろな(以下、言い訳1万字割愛)。

デジマートでRelay G10を探す

BELDEN 8412

MOGAMI 2524

CANARE GS6

実験2 Line 6 Relay G10 vs ハイエンド・シールド3m

2回戦 Line 6 Relay G10 vs Free The Tone & Van den Hul

 続いては、お値段の張る高級ケーブルとRelay G10を比較してみましょう。ここで使用するケーブルの価格をデジマートでチェックすると、Free The Tone CU-6550の3mは最安で7,560円、Van den Hul(LAVA CABLE Van den Hul)の3mの最安は21,600円です。Relay G10の「展示品1点限り大特価」が21,492円ですから、Van den Hulよりワイヤレスのほうが安いじゃないの(ちなみにこれ、2018年2月16日20時現在調べですので、ご了承ください)!!

Free The Tone CU-6550(スタッフK私物)

Van den Hul(室長私物)

 こちらもヘッドフォンでじっくり聴き比べました。Free The Toneは高域がクッキリしていますね。よく言えばブライト、悪く言えば硬いという感じです。ですが、少し使ってエイジングすれば相当良くなるのではという気がしました。Relay G10とVan den Hulは、よくわかりません……(Van den Hulの時にピッキングが強いかと思いましたが、戻ってRelay G10と見比べると腕の振りは変わりませんでした)。

 でも、リーズナブルなワイヤレスと、それより高価なケーブルを比べてよくわからんというのもすごい話です。だって、ワイヤレスなら自宅で練習中に、ちょっと移動してお茶を飲んだりできるんですよ! Relay G10は自宅用に絶対良いというのが実際に弾いた私の感想です。

デジマートでRelay G10を探す

実験3 長さを変えて対決!

3回戦 Line 6 Relay G70 vs BELDEN(5m、10m、20m)

Line 6 G70(トランスミッター)。業界最高水準のオーディオ・スペックを搭載し、ギターが持つ本来のトーンの再現と最小のレイテンシーを実現した。単三電池で駆動できるほか、加速度センサーも搭載しており、ギターをスタンドにかけている時などはスリープ状態になり、電池の寿命を延ばしてくれる!

Line 6 G70(レシーバー)。こちらでケーブルトーン機能の設定ができるほか、PA卓やアンプ・モデラーにダイレクトに接続した際にも安定したオーディオ・パフォーマンスを実現する高品位XLRバランス出力や、プログラミングが可能なふたつの1/4”出力なども備え、楽器ごとに異なる出力先を簡単に選択できる

 次に、BELDEN 8412で5m、10m、20mのケーブルを作り、それとワイヤレスを比較します。Relay G10のケーブルトーン機能は3mの固定なので、ここはRelay G10の上位機種であるRelay G70を使います。Relay G70はケーブルトーン機能を15フィート(5m)、30フィート(9m)、70フィート(21m)と切り替えられますので(機能オフや、1m〜30mまで対応可能)、これを使って比較します。

Relay G70使用時。今回はギターからトランスミッターまで付属のケーブルを使用しました

 まずはケーブルトーン機能がオフの音です。比較対象がないので「まぁ、こんなものか」と思いますよね。次にケーブルトーン機能を5mにしました。これを聴いて一度オフに戻って見直すと、ジョリッとした少し耳につく部分がケーブルトーン機能を入れるとなくなっていることに気づきます。次に5mのBELDEN。ワイヤレスに比べて少し丸いですね。

BELDEN 8412 / 5m

Relay G70のケーブルトーン機能を5mに設定

 Relay G70のケーブルトーン機能の9mとBELDENの10mの比較では、さすがにBELDENの音が丸く、また丸くなっているにも関わらず痩せた音の印象です。Relay G70は丸みはありますが、全帯域がしっかり出ているのがわかります。

BELDEN 8412 / 10m

Relay G70のケーブルトーン機能を9mに設定(シールドは10mですが、G70には10mの設定がないため、それに近い9mを選択しました)

 続いて、ケーブルトーン機能の21mと、BELDENの20mを比べました。Relay G70のほうはかなり音が丸まっており、多少やりすぎな感じがします。ベルデンも丸まっていますが、こちらのほうが自然かな?

BELDEN 8412 / 20m

Relay G70のケーブルトーン機能を21mに設定(シールドは20mですが、G70には20mの設定がないため、それに近い21mを選択しました)

 でもハッキリ言って、せっかくワイヤレスを使うのに、わざわざ21mのケーブルのロスを再現した機能は使わないと思うんです! 少なくとも私なら使いません。ケーブルトーン機能の3mを使えば、実際のケーブルでは20m必要な立ち位置にいても、3mの距離感の音が得られるわけです。

 私がRelay G70を使うならケーブルトーン機能を短めの設定にする。これが実験3の結論です。

デジマートでRelay G70を探す

おまけ トランスミッターまでのケーブルを変えてみる

 ワイヤレスを使っている人で、ギターからトランスミッターまでのケーブルに気を遣っている人っているのでしょうか? まぁ、たいした長さじゃないですし、実際にはそこで劣化する量は気にしなくていい範囲のものだと思います。でも、せっかく20mのケーブルがあるので、バカなことをやってみました!

 「ギターからトランスミッターまでの間に20mのケーブルを使うとどうなるのかな?実験」。付属の短いケーブルとの比較です。

 結果は、20mだと見事に劣化していることが動画でもハッキリわかりますね。この部分に関しても、できるだけ短く、そしてできるだけ良質なケーブルを使ったほうが良いようです。

デジマートでRelay G70を探す

実験結果

結論:Line 6ギター・ワイヤレスのほうがシールド・ケーブルより音が良い場合もある

 正直、3mのケーブル1本でライブをやる人がいるのかどうかわかりませんが、そんな状況ではLine 6のワイヤレスでもケーブルでも、好きなものを使ってくださいという感じです。私は、Relay G10に関しては自宅での使用を強くオススメします。「自宅で使うのにワイヤレスなんか要るかよ」と思うでしょう? でも、最初にワイヤレスを使った時(実はワイヤレスを使うのは今回が初めてでした。私は基本ケーブル派です)の解放感と言ったら!! 首輪をはずしてもらった犬の気持ちがよくわかりました。これ、きっとギター・ライフが変わりますよ。

 Relay G70は、ケーブルのほうが良いと感じた場面(20mケーブルとほぼ同じ長さのケーブルトーン機能を使ったところ)もありましたが、そんな風に使わなければいいだけの話なので、ケーブルトーン機能を3mに設定していればワイヤレスの全勝だと思います。やはり長いケーブルはロスが多いですね……。個人的には、Relay G70の素の音の良さに感動しました。全帯域がロスなくバンッ!と出てくるあの感じは、どのケーブルでも体験したことがありません。もちろん好みはあると思いますし、音の良いケーブルはたくさんありますが、そのどれをもってしても出せない音がRelay G70では出せるのも本当の話です。動画の最後でも語っていますが、未知の音を体験できた感動がありました。

 加えて、パフォーマンスが自由になることはもちろんです。ワイヤレスが気になるという人は、ほとんどの方がこの部分に魅かれるのでしょう。でも、「パフォーマンスが自由になる」のはどのワイヤレスを使っても一緒ですから、あとはお財布と機能と音質で選ぶべきです。Line 6の音質については、ここまでで述べたとおりです。

 今回、これだけ率直な実験(というかレビュー?)をさせてくれたLine 6さんには本当に感謝です。これを見て、ワイヤレスを買うのも買わないのもあなた次第ですが、少なくとも体験してみてほしいなと強く思いました。

 それでは、また地下のどこかで、縁があったら会いましょう!


速報!!
Line 6デジタル・ワイヤレス製品購入者対象キャンペーンが
2月23日(金)よりスタート!

※応募の受け付けは終了しました

 Line 6のデジタル・ワイヤレス製品:ワイヤレス・マイク「XD-V」シリーズおよびギター・ワイヤレス「Relay」シリーズ(Relay G10を除く)のいずれかを購入すると、もれなくパナソニック社製エネループ急速充電器セットがプレゼントされる、お得なキャンペーンが2月23日(金)よりスタートする。詳しくはLine 6公式ウェブ・サイトでチェックしよう!

◎Line 6公式ウェブサイト:http://www.line6.jp/news/1024/
◎キャンペーン期間:2018年2月23日(金)~2018年5月12日(土)

※本キャンペーンは限定数に達し次第上記期間中であっても終了いたします。

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製品情報

プロフィール

井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジン・チャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。

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