AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Altero Custom Guitars
琵琶湖のほとり、JR琵琶湖線の膳所駅および京阪電鉄の京阪膳所駅から徒歩5分のところに工房を構えるAltero Custom Guitars。代表の安田さんとショップ・マネージャーの倉田さんは、ともに地元出身で、東京の専門学校でギター・クラフトを学び講師も務めた。その後、2010年に大津のライブハウス“ユーストン”のビル内で創業。オリジナルのギター/ベース製作やリペア&カスタマイズが、地元のバンドやツアー・バンドの間で評判となり、手狭となったため現在の地に移転。より幅広い客層から人気となり、地元や京都・大阪に限らず、広島や福岡などからもオーダーがあるという。さらには、高校の後輩でもあるtricotの中嶋イッキュウ(vo,g)とキダ モティフォ(g)が、Alteroのオリジナル・モデルを愛用し世界中で活躍しているせいか、チェコなど海外からの問い合わせも増えているそう。そんな同社の代表である安田さんはこう語る。
「技術的にはオーソドックスな工法でやっていて、ひとつひとつ丁寧にこなしていく感じです。木工加工では、ネックに一番時間をかけてますね。のちのち狂いが出ないように、粗加工の回数を増やして、狂い出し時間も多めに取っています。基本的には木目の見映えで木取りをすることが多いのですが、この木取りをすればこう動くかなというのもわかるようになってきたので、それも踏まえてね」
オリジナル・モデルは、ギターではAstra(下写真で手にしているもの)、Suona、Vuotoなどがラインナップ。その他、ベーシックなモデルのセミ・オーダーや、フル・オーダーによるカスタム・メイドも可能となっている。また、セカンド・ブランドも人気を集めているという。
「Kanade SOUND DESIGNというセカンド・ブランドがあって、今はTLシェイプだけなんですけど、通常のシングルコイルのKTL-ASとP-90を載せたKTT-AMの2種類があります。最初はハムバッカーで考えてたんですけど、P-90のほうがありそうでない感じでおもしろいかなって(笑)。そっちもけっこう人気がありますね。今後は、もっとシェイプのバリエーションも増やしていく予定です。カラー・オーダーも受けているので、そこも人気の理由かもしれません」
また、Kanadeブランドで受けられない要望は、Alteroブランドで実現することになる。
「Alteroは基本的にオーダーメイドが主体ですね。オリジナル・シェイプもありますが、同じものは作らないので、カタログ・スペックがなくて。いろいろお話を聞いて、できる限り要望にお応えする形なんです。それプラス、もう一本の柱としてワンオフ・モデルも製作しているので、木材やパーツなどの新たなチャレンジに関しては、そこで冒険ができる。新しいもの好きなんですよね(笑)。ローステッドのメイプル・ネックに関しても、ウチでは初期の段階から使っていて、評判もいいですね」
現役のバンドマンやプロのギタリストの意見も取り入れているが、それらはサウンド面よりも操作性や演奏性に関するものが多いとのこと。また、一般のエンド・ユーザーとの直接対話がギター製作にもたらすメリットも大きいという。頼まれると断れない性格らしく(笑)、柔軟な対応どころか無理難題にもできる限り応えている。
「お客様が直接こちらにいらっしゃった際は僕と、くらっち(倉田)のふたりでお話をお伺いしています。お客様に安心してオーダーしていただくというのが一番ですね。ブランドにこれといった色が付いていないのが逆に幸いして、20代前半の方からご年配の方まで幅広い層の方からご注文をいただいています。女性の方もいらっしゃいますよ」
オリジナル・モデルとオーダーメイドの評判は高まる一方だが、リペアも盛況で、現在も年間500本程度を手がけているそう。また、中古売買も創業当初から行なっており、さらにギター工房には珍しいギターのレッスンをはじめとするミュージック・スクールも開講するなど、多面的な展開に今後も注目したいところだ。
Altero Custom Guitars(アルテロ・カスタム・ギターズ)
〒520-0802
滋賀県大津市馬場3-16-22
077-536-5160
http://altero.jp/