楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 連載
  • いっちーのデジタル・デジマート 〜第32回〜

テクノと仏教の融合!? 今話題のテクノ法要に迫る!

テクノ法要・朝倉行宣氏&DJ KAZUHIRO ABOスペシャル対談

「テクノ」と「法要」。一見すると相容れなさそうな2つを合わせた「テクノ法要」という新しいスタイルの法要が巷を賑わせていることを皆さんはご存じでしょうか? 2016年から福井・照恩寺で始まったこのテクノ法要は多くのメディアやインフルエンサーに注目され、国内外で話題になっています。いっちーのデジタル・デジマート第32回はこの「テクノ法要」を大特集! 主宰の住職、朝倉行宣氏にいろいろお伺いしました!

このエントリーをはてなブックマークに追加

朝倉行宣氏とDJ KAZUHIRO ABOによる“テクノ法要”対談をお楽しみください

 朝倉さんはかつて京都のディスコでハウスのDJをされていたそうです。そこで今回はハウス・ミュージックに造形が深いDJ KAZUHIRO ABOさんにインタビュアーとして参加していただきました。ABOさんはDJスクールの講師や子供達に音楽の楽しさを伝えるDJをライフワークとしており、またクリエイターとしても活躍中です。さらに最近は音楽配信チャンネル“MEEBEEFM”を設立し、そこの収入50%を様々な理由により社会的に生きづらさを感じている子供たちに支援する社会貢献活動も行なっています。電子音楽やDJ、そしてソーシャル活動という共通点が多いこの2人からどんなトークが生まれるでしょうか? それではどうぞ〜(^ー^)ノ

登場人物プロフィール

朝倉 行宣(あさくら ぎょうせん)

 浄土真宗本願寺派、福井・照恩寺の17代目住職。中高生時代から音楽に傾倒し、大学在学中にDJや音楽制作を開始。2015年に父から住職を引き継ぎ、プロジェクション・マッピングとテクノ・ミュージックに合わせて読経する「テクノ法要」を考案した。
照恩寺オフィシャル・サイト

インタビュアー:DJ KAZUHIRO ABO

 1984年生まれ青森県八戸市出身のDJ/サウンドクリエイター。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。クラブだけに留まらず全国の幼稚園や保育園に出向いてDJをする活動や、桜木DJアカデミーを開校するなど、後進の育成やDJ文化の発展に尽力している。
MEEBEE a.k.a KAZUHIRO ABOオフィシャル・サイト

テクノ法要とは

 福井・照恩寺の住職の朝倉行宣氏によるテクノ・ミュージックを用いた法要のこと。プロジェクション・マッピングや照明でお寺の内部が装飾され、視覚的にも聴覚的にも鮮やかな極楽浄土の世界を体感できる。2017年には、テクノ法要のさらなる可能性を追求するべく機材増設のために実施したクラウド・ファンディングでは目標を上回る支援金額で達成。2017年5月3日に行なわれたテクノ法要の模様はニコニコとのコラボにより生放送で配信され話題となった。なお、音楽・映像制作はすべて朝倉氏本人が手がけている。

2017年5月3日に行なわれたテクノ法要の様子。2台のコンピューターを使って楽曲と映像が再生される。使用ソフトウェアはSTEINBERG Cubase Pro(DAW)、VDMX5(VJ)。照明はCubase ProのMIDIトラックに打ち込まれたMIDIデータでコントロール。MIDIデータはコンバーターでDMXに変換され照明装置へ送られる仕組みだ

現代のテクノロジーを使って極楽浄土を表現

DJ KAZUHIRO ABO(以下、ABO) 先日、東京で初公演となった築地本願寺のテクノ法要にて刺激的な体験をさせていただきました。音楽と映像がとても気持ち良かったですね。クラブ・カルチャー由来の音楽や映像を、法要と絡めてみようと思ったのはいつ頃からですか?

朝倉行宣(以下、朝倉) 思いは昔からあったんですが、具体的には二十歳すぎたぐらいですね。大学生の頃やっていたクラブのDJや照明の仕事の時にも「スパイラル・マシンという照明を仏様の後ろから当てれば、後光が表現できそうだなぁ」といった具合にいろいろ考えていました。1990年代にエニグマというミュージシャンが民族音楽やグレゴリオ聖歌と電子音楽を融合させて世界的にヒットしたんですが、あれは正直やられたぁと思いましたね。こういう表現を仏教でやってもいいんじゃないかって。

ABO ああ! エニグマ! なるほど〜!

朝倉 すごく好きでした。そういったこともテクノ法要の原点になっていると思いますが、そもそも“お経の節”というのは、千年前の最先端の音楽だったんですね。ですからテクノ法要は、当時の人が今の機材を使ったらどんな音楽を作るだろうか? という発想によるものであって、特に突拍子もないことをしているつもりはあまりないんです。

ABO テクノ法要という名前はキャッチーなので色物っぽく見られやすいと思うんですが、僕は現在進行形の宗教芸術として成立しているような気がしました。“テクノと法要、この2つを合わせてみました”っという単純なところで終わっていない。つまりこれは朝倉さんがイメージされている浄土を現行のテクノロジーで表現したひとつの形ということですよね?

2017年12月13日に築地本願寺で開催されたテクノ法要の様子

東京でのテクノ法要はこの日が初。多くの来場者が集まった

朝倉 そうですね。浄土というのは仏様の世界のことなんですが、それぞれの仏様がそれぞれの浄土を持っていて、その中でも阿弥陀如来の浄土が最高と言われています。“阿弥陀”という言葉には無限の光、無限の時間という意味があり、阿弥陀様自体が光そのものなんですね。そしてひとつの色で光っているのではなく、青い光、赤い光、白い光、黄色い光など、さまざまな色を放っていて、それが世界を作っているという思想なんです。みんな同じでなくて、それぞれの色で輝いていればそれで良いという。

ABO それは非常に共感するところがあります。僕は幼稚園などでDJする活動をライフワークにしているのですが、全員同じように動いたり盛り上がったりしようというのではなく、子供たちなりの個性がそれぞれの形で光って、それらが集まってダンス・フロアが彩られていれば良いと思っているので。このような個性の集合体という考えは築地本願寺のテクノ法要でも感じました。おそらく多くの人が初めての体験だったと思うんですが、僕の後ろに座っていたおじいさんが曲に合わせて普通にお経を唱えていたんですね。僕からの視点だと「えっ!? この曲知ってるの? しかも歌えるんだ!」みたいな(笑)。全く新しい体験として捉えている人もいるし、これまでの法要の延長として捉えている人もいる。いろんな反応があってすごく面白かったですね。

クラブ・ミュージックから学んだこと

ABO 朝倉さんが電子音楽やクラブ・ミュージックに興味を持ったきっかけは何だったんですか?

朝倉 中高生の頃、マニアックなYMOファンだったんですね。中学校1年の時にライディーンやテクノポリスなどが流行っていたんですが、それが一旦落ち着いてYMOのお三方さんはヒットチャートに残ることを選ばず、非常にマニアックな良質な音楽を作っていくわけなんですが。

ABO 2ndアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』で、がーって付いたお客さんが『BGM』でふるいにかけられ、そして『テクノデリック』がリリースされた頃ですね。

朝倉行宣氏が選ぶ3枚

YMO『BGM』
YMOオリジナル・アルバムの3枚目。1st、2ndのテイストとは良い意味で期待を裏切られる内容となったが、これをBGMの名盤とするファンも多い

坂本龍一『B-2ユニット』
⑥ライオット・イン・ラゴスはクラブ・ミュージックにも多くの影響を与えたと言われている。YMOのライブでも幾度と演奏された

アーバン・ダンス『アーバン・ダンス』
成田忍を中心に結成されたエレクトロ・ユニットの1stアルバム。プロデュースは高橋幸宏。すでに廃盤となっているが2015年に発売されたコンプリート・コレクション『UDクロニクル』、2016年に発売されたオリジナル・メンバーによるリメイク集とトリビュート集の2枚組「U-DNA」で彼らの曲を堪能できる

朝倉 はい、そうです。『BGM』のレコードに針を落とした瞬間、雷のような衝撃が走りましてね。それからのめり込んでいくわけですが、そういう音楽の話ができる友達が私の周りに居なくて……そういった状態が中学、高校と続きました。その後、仏教を専門に勉強するために京都の大学に行ったんですが嫌いでね、仏教が。音楽が大好きだったのでお寺を継ぎたくなくて(笑)。当時京都のビッグバンというディスコ、いわゆる今でいうクラブがありましてね。そんな思いを抱きながら、そこに行ってみるとDJが私の大好きなサンディー
・アンド・ザ・サンセッツの曲をかけているんですよ。京都にはこんな曲を楽しんでいる場所があるんだって感動しましたね。自分が好きなことを共有できる人っていうのは、実は知らないだけでたくさんいるんだということを教えていただきました。

ABO 京都って当時すごく独特なニューウェーブ・シーンがありましたよね、EP-4とか。

朝倉 アーバン・ダンスというバンドもすごく格好良くて。高校生から聴いていたんですけど、ビッグバンに行ったら実際に目の前でライブしてるんです。正直、ここが自分の居場所だ!って思っちゃったんですよね。そうしてしばらく通っていたら仲間もできて「お前、そんなに音楽好きなんならDJやってみれば」と誘われまして。それがきっかけでDJや、照明のオペレートをやるようになったんです。今も現役で活躍しているKIHIRA NAOKI君もそこで一緒にDJやっていたんですよ。彼とは同い年でしてね。

ABO えっ〜! そうだったんですか! 当時はどんな音楽をかけていらっしゃったんですか?

朝倉 最初はユーロビートやソウルでしたね。それからハウスのシーンが1988〜1989年に入ってきて。

ABO ディスコからハウスっていう流れをリアルタイムで経験されたということですよね? 日本のクラブシーンに重要な役割を果たしたミスター・フィンガーズ『キャン・ユー・フィール・イット』もその頃でしたね。

朝倉 そうです。メジャーではテクノトロニックや、ブラック・ボックスが出てきた頃で、アンダー・グラウンド・シーンではブラック・ライオットやドッド・テリーがやってきて傾倒していきました。その後にディー・ライトが出てきて。あの頃は買う前に試聴なんて出来なかったので、ジャケ買いですよ。『グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート』の12インチも素敵なアートワークに惹かれて買ってみましたらね、ハービー・ハンコックの曲がサンプリングされていたり、ほかにも『ホワット・イズ・ラヴ』には坂本龍一さんの曲『ザットネス・アンド・ゼアネス』のベースがサンプリングされていたりと、それはもうすごくハマりました。

ミスター・フィンガーズ
『キャン・ユー・フィール・イット』
DJ KAZUHIRO ABO曰く「日本のディスコDJがクラブ・スタイルへと移行するきっかけになった、初期シカゴハウスの名曲群の中でも代表的な1曲」

ディー・ライト
『グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート』
かつてテイ・トウワが所属していたハウス・ユニットのデビュー・シングル。ハービー・ハンコック『ブリング・ダウン・ザ・バーズ』が大胆にサンプリングされている

ABO ディスコの世界というのは、俗の中の俗な場所だと思うんですが、お寺の家で育った朝倉さんにとってどのように映りましたか?

朝倉 そういう感覚は何もなかったんですね。おそらく皆さんは、“お寺の人は世俗とは違う”というイメージを持っていると思うんですが。むしろディスコでの体験があったからこそ、私は僧侶としてお寺に帰ることができたんです。

ABO えっ、お寺を継ぐのが嫌だった朝倉さんの意識が転換する何かがあったということでしょうか?




朝倉 DJや照明の仕事を一生懸命やっていくうちに、モノを伝える仕事って素晴らしいなって思ったんですよ。レコード回したり照明でライティングしたりすることも、自分が素晴らしいと思うものを伝える職業って考えれば、僧侶と一緒じゃないかって。「音楽」から「教え」というものに変わるだけでやることは同じなんじゃないかなと。それに気づいたおかげでお寺に僧侶として戻ることができたんです。だからその経験がなかったら本当に自分が伝えたいことのために行動できるような僧侶になれなかったかもしれないです。

ABO ああ、なるほど。クラブ・カルチャーがきっかけで仏教にモチベーションを持てたというのは素晴らしいですね!

グリッチ・ノイズを大切にしている理由

ABO 先ほど、浄土の光についてお伺いしましたが、そこに音は存在しているのでしょうか?

朝倉 はい、浄土には抽象的な表現で心地良い音が流れていると“仏説阿弥陀経”に書かれているんですね。

2018年1月1日に照恩寺で開催された“テクノ初参り”の様子。この日はプロジェクション・マッピングとサウンドのみのライトなテクノ法要が行なわれた

プロジェクター2台が設置され、仏像が安置されている内陣と参列側の外陣にそれぞれ独立した映像を映すことができる

外陣に設置されたプロジェクター

本堂のALTEC製のメイン・スピーカー

バックヤードに設置されたアンプ類

ABO テクノ法要のサウンドには、影響を受けたとおっしゃっていたYMOだったり、ワープ・レコーズエイフェックス・ツインだったりと、エレクトロニカ/IDMと呼ばれているジャンルに通ずる音楽性を感じましたが、これも朝倉さんがイメージされている浄土と関係しているのでしょうか? グリッチ・ノイズも積極的に取り入れられているようですが。

朝倉 音楽のジャンルは気にしていないですね。その時々の影響によって聴きたい音楽が変わっていくのですが、エレクトロニカ系で影響を受けたのはやっぱり敬愛する細野晴臣さん、高橋幸宏さんによるスケッチ・ショウ。そこでグリッチの手法による音の素晴らしさに触れまして。時間がスキップしたようになるでしょ? あの感覚がすごく好きですね。ですから浄土を表現する上でグリッチ感というものをすごく大事にしています。

ABO 動画は一時停止すると静止画になるけれど、音は一時停止すると無になってしまう。そんな一定方向に時間が進まないと成立しない音楽において、グリッチ・ノイズは時間を超越した存在であると。

朝倉 はい、時間はただ流れているだけじゃなくて、飛んでいいんだよと。浄土が何の制約もない世界であるということを少しでも表現できたら思っています。

ABO ちなみに楽曲はどのように作っていらっしゃるのでしょうか?

朝倉 クラブDJだった頃は、ハウス・ミュージックが作りたくてRoland JD-800Roland MC-50で制作を始め、後にRoland S-760Roland SH-101などのハードウェアをそろえていきました。現在はDAWが中心でSteinberg Cubase Proを使っています。CubaseはVSTシリーズ時代から使い慣れていることもあり、ほかのDAWソフトに乗り換えることなく使い続けています。そのほかの使用機材はオーディオ・インターフェースがSteinberg UR44で、MIDIコントローラーがKORG nanoKONTROL 2Novation Launchkey 61Steinberg CMC-AIです。鍵盤が弾けるわけではないので、MIDIコントローラーはMIDIノートの入力のために手頃なものを選びました。

主な使用機材:(左上から)FOSTEX PM0.4c(モニター・スピーカー)、BEHRINGER B1(コンデンサー・マイク)、SENNHEISER HD380 Pro(モニター・ヘッドフォン)、SENNHEISER HD25(DJ用ヘッドフォン)、VDMX5(VJ/プロジェクション・マッピング・ソフト)、STEINBERG Cubase Pro(DAWソフト)、STEINBERG CMC-AI(MIDIコントローラー)、KORG nanoKONTROL 2(MIDIコントローラー)。iPadはWindowsノートPCのセカンド・ディスプレイとして使用し、Cubase Proのフェーダーやノブが指先でコントロールできる

ABO ソフト音源やエフェクトはどんなものを使っていらっしゃいますか?

朝倉 Cubase Proにはソフト音源やプラグインが豊富に入っているのでこれだけでも十分ですが、そのほかにはArturia Prophet V(V-Collectionに収録)やフリー・ソフト音源のSynth 1を使うことが多いですね。

ABO あっ、そうなんですね! もっといろんなプラグインを駆使されていらっしゃるのかなぁと思っていたので意外でした。先ほどグリッチ表現を大切にされているということでしたが、朝倉さんは具体的にどうやってグリッチ・ノイズを作っていらっしゃるんでしょうか? グリッチ・ノイズってクリエイターの皆さんがそれぞれの作り方を持っていて、そこに個性が表れてすごく面白いなと思っているんです。

朝倉 私はGlitch 2というプラグインとCubase Pro搭載のLoopMash 2を合わせて作っています。Glitch 2だけでもできるんですが、LoopMash 2の方が鍵盤を使って思い通りに操作できるいうのが非常に楽で。

ABO Glitch 2は少々運によるところがありますもんね。

朝倉 そうなんです、偶然良くなっちゃったみたいなのがありますから(笑)。それに頼らないためにLoopMash 2も使っています。

ABO NATIVE INSTRUMENTS The Finger(Komplete 11/Komplete 11 Ultimateに収録)というプラグインも鍵盤でいろんなグリッチのタイミングをオン/オフできるので、もしかしたら朝倉さんの作り方にハマるかもしれません。

朝倉 欲しいのたくさんあるんですけどね、プラグインとか買うと永遠に遊んじゃいますでしょ(笑)。

NATIVE INSTRUMENTS TRAKTOR KONTROL S4を操作する朝倉氏

テクノ初参りで使用された機材。MacBook ProにはKORG nanoKONTROL 2が接続され、VJソフトVDMX5をコントロール。WindowsノートPCにはTRAKTOR KONTROL S4が接続され、DJソフトTRAKTOR PRO 2をコントロール

ABO ええ、わかります(笑)。ところで、現在もDJ活動をされていらっしゃるようですが、使用機材はターンテーブルではなくコンピューターとコントローラーNATIVE INSTRUMENTS Traktor KONTROL S4の組み合わせなんですよね?

朝倉 はい、そうですね。ちなみにABOさんは何をお使いですか?

ABO 僕はDJスクールをやっているので、ひと通りは持っているんですが、主に使用しているのはTraktorです。ただDJコントローラーではなく、音楽ファイルをターンテーブルで操作できるDVS(デジタル・バイナル・システム)を使っています。僕も朝倉さんと同じようにDJはターンテーブルから始めたのでこれが一番しっくりくるんです。ただ最近はターンテーブルの調子が悪いクラブも多かったりするんで、Pioneer DJ CDJ-2000以上の機種があればUSBメモリでやっちゃいますけどね。

朝倉 やっぱりレコードは良いですよね。

ABO 僕はレコードの針を落とす行為が好きですね。針が頑張っている姿が見られるのが、すごく愛おしい気分になります。あと回転しているというのが好きですね。最近、ほとんどのDJ機材が回転していなくなって久しいんですが(笑)、DJミックスしていると始まりがいつで終わりがいつなのかが分からなくなる感覚が面白いなって思います。

テクノ法要のこれから

ABO テクノ法要というのは仏教における救済が目的なのでしょうか? 

朝倉 いえ、単純に仏教に興味を持ってもらいたいということが目的です。「法要」の本来の意味は、仏の教えである法の肝要に出会うことなんです。あれで何かを伝えようとすることは、なかなか難しいことなので……築地本願寺のテクノ法要でもそうでしたが、お集まりいただいた皆さんには、必ず仏教に関するお話やお寺のご案内をさせていただいています。一般的には、亡くなった方をご縁とした法要のイメージが強いと思いますが、それは法要の一面にしか過ぎないんです。

2018年1月1日のテクノ初参りで法話を行なう朝倉氏

ABO むしろテクノ法要は仏教への入り口にすぎないと。

朝倉 はい。テクノ法要に関してはとにかく批判的に思っていただいても良いんです。批判するということはそのことについて考えてくれたということなんで、私にとって嬉しいことなんです。「やっぱり古来から伝わる伝統的なものの方が良いよね」ってお寺に行きたくなってくれればそれで大成功だと思っているんです。

ABO 僕はテクノ法要が現在進行形のすごくモダンな宗教芸術として広がってくれると良いなと思っているのですが、それと同時に何か変に消費されてしまってはもったいないなと危惧する気持ちもあります。朝倉さんはどういう形でも広がると嬉しいという感じでもありますか?

朝倉 私はこのテクノ法要の形というのを守るつもりはあんまり考えてなくて、むしろいろんなコラボによって形を変えていくことに本質があると思っているんです。

ABO 広がり方にこだわりはないということですか?

朝倉 そうですね。私はこういう考えなんだ、これでどうだ! という考え方ではなくて、このような表現を提案させてもらいましたけども、みんなで考えてみません? というスタンスですので。おかげさまでいろんな方に興味を持っていただいておりますので、私は転がるままに転がって全部拾って、時間的な都合がつく限り応えていきたいと考えています。照明や映像のクリエイターの方々がサポートしていただけるようになりつつありますし、ほかの宗派の方々とのコラボ計画もあったりするので、今はそれを楽しみたいですね。例えばそれぞれの宗派にテクノ法要ができて、それを機にお寺にお参りになる方が増えたりするのであれば、私にとって大変嬉しいことです。また若い僧侶たちの中にはラッパーだったりDJだったりといろんな人がいるんですね。私のやっていることが彼らの原動力や勇気になれば良いなと思っています。あんなことをやっている僧侶がいるんやから僕らも行けるやろ! って。

ABO 僕もDJやトラック・メイキングなどで朝倉さんの活動に何らかの形で加担できたら嬉しいです。

朝倉 ありがとうございます。どこかで関われることを楽しみにしています!

ABO 今日はありがとうございました。 

『テクノ法要』公式Tシャツ TODにて販売中!

 2018ニコニコ超会議「超テクノ法要×向源」ために作成された、仏像(阿弥陀如来)の3Dデータを元にした初のテクノ法要 公式Tシャツが完成しました。2タイプのデザインからお選びいただけます。

 ※ご注文はこちらから
 →Tシャツ・プリント・オンデマンド・ストア TOD

テクノ法要Tシャツ Type A
阿弥陀如来の真理の眼差しに見守られている私(テクノ法要参加者)

テクノ法要Tシャツ Type B
阿弥陀如来の48の願いの中心となる18番目の願いにちなみ、18の姿を配置

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品情報

DAW/ソフトウェア

デジマートでこの商品を探す

シンセサイザー

デジマートでこの商品を探す

MIDIコントローラー

デジマートでこの商品を探す

DJ機器

デジマートでこの商品を探す

プロフィール

いっちー(市原 泰介)
学生のころから作曲やDJ活動、バンド活動などの経験を積む。某楽器販売店を経てリットーミュージックに入社。前職では楽天市場内の店長Blogを毎日10年以上更新し、2008年ブログ・オブ・ザ・イヤーを受賞。得意ジャンルはクラブ・ミュージック。日々試行錯誤中。

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS