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- 2024/11/16
Martin / D-28 Authentic 1931
好評連載MARTIN TIMES。18回目となる今回は、2度目となるスペシャル・セッションを企画しました! 斎藤誠氏のパートナーを務めるのは、日本を代表するマルチ弦楽器奏者の高田漣氏。4本立てという見応え/聴き応えバッチリの超豪華セッション、おふたりが奏でる絶品のマーティン・ギター・サウンドに酔いしれてください!
ご好評いただいている「Martin Times~It’s A Beautiful Day」。第18回は2018年の第1弾ということで、柳沢二三男氏をゲストに迎えた第11回に続く特別セッションを企画した。今回のゲストは、“日本のフォーク・シンガーの草分け的存在だった高田渡氏の長男”という説明はもはや必要ないほど、確固たる地位を確立しているマルチ弦楽器奏者の高田漣氏である。このたび用意したのはD-28 Authentic 1931、000-28K Authentic 1921、00-28、000-15M、00-17SE Whiskey Sunsetで、000-17 Black SmokeとD-45 Retroは斎藤氏と高田氏それぞれの愛器をお持ちいただいた。
歴史的なモデルのレプリカから現行のモデルまで、ボディ材、サイズ、12および14フレット・ジョイント、価格帯など、あらゆる面で多種多様なこれらのギターは、ご両人の個性に合わせて選んだものである。そのサウンドを、コンパクトでありながらさまざまなスタイルを盛り込んだデモ曲で確かめていただくという贅沢なひとときを、心行くまで堪能していただきたい。
マーティン製の楽器を独自ブランドで販売していたボストンのオリヴァー・ディットソン社。そのオリヴァー・ディットソン社からの注文で開発されたドレッドノートは、1931年にその基本デザインを受け継ぐ形でマーティン社の製品として改めて製造が開始された。当初はD-2と呼ばれており、間もなくD-28に改名されたモデルを忠実に再現したのがこのギターで、12フレット・ジョイント・ボディのたっぷりとした響きは独特だ。トップ材にはマーティン独自のVTS(ビンテージ・トーン・システム)による加工が施され、新品の状態から弾き込んだ楽器のサウンドが得られる。
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【Specifications】
●トップ:アディロンダック・スプルース with VTS ●サイド&バック:マダガスカル・ローズウッド ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 7/8インチ(47.6mm)●トップ・ブレイシング・パターン:オーセンティック1931 X ●価格:¥1,180,000(税抜き) ※廃番商品
1910年代後半のハワイアン・ブームに呼応して開発されたモデルを忠実に再現したギター。ボディのすべてにハワイアン・コアを使用したこのモデルは、通常はサイド&バック材として使われるハードウッドをトップ材としても使用した最初期のマーティンのひ
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【Specifications】
●トップ:コア ●サイド&バック:コア ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 7/8インチ(47.6mm)●トップ・ブレイシング・パターン:オーセンティック1921 X ●価格:¥950,000(税抜き) ※廃番商品
斎藤 12フレット・ジョイントはガットを使っているけれど、これはスティールだからワクワク感が強かったなぁ。しかもD-28もそんなに弾かないし、ドレッド恐怖症というのもちょっとあるから、それを飛び越えて、もっとスゴいところへ行ったという感じだったね(笑)。
高田 ドレッドの中のドレッドですもんね。
斎藤 12フレットの2本をストロークが聴かせられる曲に選んだのは、やはり量感を生かしたかったからなんだよね。で、僕は下のほうでルートを鳴らしながらふくよかな音で弾く役割だから、このD-28がちょうど良かったの。
高田 ああ、たしかに。ベース要らずな感じですよね。
斎藤 そうそう。ピーター・ポール&マリーなんか、マイクを1本立てただけでバランスが取れていたよね。それに見合う音量をこのギターは持っているっていうことだね。
高田 000-28Kはビンテージみたいな音がします。すっごい丁寧に作ってあるんでしょうね。音の粒がひとつひとつキレイなんですよ。コアのギターって、“コロッ”とした音というイメージがあると思うんですが、これはわりとシャープな音も出るからスラックキー・チューニングでハワイアン・スタイルのフィンガー・ピッキングもいいし、今回みたいにフラット・ピックで弾いても映えるギターだなと思いました。コアのイメージが大分変りましたね。この年代のオリジナルを弾いたこともありますが、これは現代的で使いやすい感じがします。
斎藤 絶対そうだよね。しっかり使えるようにできてる。
標準的なクラシック・ギターに近い00サイズは歴史が長く、
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●価格:¥450,000(税抜き)
トップも含めたすべてのボディ材にマホガニーを仕様したスタイル15のギターは、1940年に発売された0-15が最初だった。その後1961年にマーティンのカタログから消えたが、1997年以降、さまざまなサイズのスタイル15が作られている。通常のレギュラー・ラインナップのモデルで、
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【Specifications】
●トップ:マホガニー ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板:イースト・インディアン・ローズウッド ●ブリッジ:イースト・インディアン・ローズウッド ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX ●価格:¥230,000(税抜き)
斎藤 00-28は今回のギターの中では一番柔らかい音で弾きやすいし、何にでも使える感じだね。もしかすると000よりも使いやすいかもしれない。今回は6/8拍子の曲で、漣君がメロディを弾いている部分のバッキングをしたり、最後にロックなアドリブ・ソロを入れたりしたけれど、ロックなソロのところでは柔らかい音のおかげでチョーキングをいくらやっても大丈夫な感じだった。
高田 そうですね。やっぱり各弦のバランスが良いから、コードのボイシングもこの00-28だとキレイに響くかもしれないです。たぶん弾き語りの人とかは使いやすいでしょうね。で、僕はマホガニーのギターがすごく好きでオールドの000を使っていた時期もあるんですが、000-15Mは低音がすごくよく出ていて、いわゆる“マホガニーもの”とは違う印象でした。
斎藤 十数年前に発売されたオール・マホガニーのシリーズは音がもっと引っ込む感じだったよね。それがマホガニーの特徴でもあったんだけれど、このギターの音はそれとは明らかに違う。
高田 音がデカいですよね。だから単音のフレーズを弾いても気持ち良い。レスポンスが速いというか、あまり引っ込まないんです。
斎藤 バランスも良いよね。
高田 非常に良くできてますね。マホガニーはルックスも好きなんですけど、いろいろ使い道を考えてみるとシチュエーションも音楽性も限られてくるんですよ。でも、このギターはわりとオール・ジャンルに対応できる感じがしますね。
斎藤 クラプトン・モデルの000-45ECJMと漣君のD-
高田 すごいですよね。僕の場合、親父(高田渡)
※製品参考記事
1920~30年代の音楽で多く使われていたギターは、
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:ローズウッド ●ブリッジ:ローズウッド ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●定価:330,000円(税抜き)
スタイル17は1850年代にも確認されるマーティンの重要なモ
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:ローズウッド ●ブリッジ:ローズウッド ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●価格:¥330,000(税抜き)
高田 以前、使いやすかったので自分用に000-17を買ったのですが、個性は00-17SEのほうが全然強いですね。正直オールマイティとは言い切れない。実は買う時には000-17と00-17Sの2本ですごく迷ったんですけど、いざ弾いてみるとこっちも欲しくなりますね(笑)。
斎藤 000よりも音が小さいかと思ったら、12フレット・ジョイントだとそうでもないんだね。違う部分の音が膨らんでくれるからかな。
高田 サイズのデメリットはないですね。やっぱり見た目どおりの“ちょっとロック寄り”というか、ブルージィな感じがします。それでいて、この手のオールド・ギターにありがちな使いにくさというのはまったくないから、即戦力ですよね。
斎藤 こういうのでビンテージになると、なかなか使えるのがないもんね。
高田 そうなんですよね。レコーディングだと、どうにかごまかしながら使えるんですけど……。しかもビンテージはネックもだいたい超太いし(笑)。でも、これはネックもいいですね。
斎藤 今回のセッションはオーセンティック2本でゴージャスに始まったね。
高田 僕らがこの組み合わせて演奏する機会は今回だけかも(笑)。コアの000-28Kは素晴らしいですね。
斎藤 マーティンのロゴがほとんど見えない。
高田 でも、誰がどう見てもマーティンですもんね。
斎藤 そう言わしめるところがすごい。12フレットのD-28はピーター・ポール&マリーの印象が強いね。
高田 あと、六文銭時代の小室等さん。000-15Mはかなり改良されている印象ですね。
斎藤 そうそう。一方の00-28はとにかくカワイイよね。今回の中では一番自由に弾けた。クラプトン・モデルはゴージャスな音だけど、伴奏だけにしたのは漣君のD-45 Retroが相手だからこその贅沢だね。自分の声とギターのバランスも取りやすかった。
高田 D-45は初期のライ・クーダーみたいなサウンドになるので、スライドにいいんですよ。
斎藤 000-17は漣君も持ってるよね。僕はピックアップを付けているけれど、生音もすごく魅力的で、キャラがハッキリと出る。
高田 例えるなら、クラスにいる“ちょっと悪いヤツ”ですよね(笑)。イメージが湧きやすい楽器です。
斎藤 “マーティンらしくない”と言う人がいるけれど、僕らはそういうことには興味がないし、高い楽器のほうが安い楽器より上だという考えもないんだよね。
高田 好きな音がするかどうかが大事です。
斎藤 自分にとって使えるかどうかだよね。
1月25日〜28日まで米アナハイムで開催され、
斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。青山学院大学在学中の1980年、西慎嗣にシングル曲「Don’t Worry Mama」を提供したのをきっかけに音楽界デビューを果たす。1983年にアルバム『LA-LA-LU』を発表し、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポートギターをはじめ、数多くのトップ・アーティストの作品への楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。2013年12枚目のオリジナル・フルアルバム『PARADISE SOUL』、2015年にはアルバム「Put Your Hands Together!斎藤誠の嬉し恥ずかしセルフカバー集」と「Put Your Hands Together!斎藤誠の幸せを呼ぶ洋楽カバー集」の2タイトル同時リリース。そして2017年4月26日には全曲マーティン・ギターによる弾き語り&セルフ・カバーの待望の新譜、『ネブラスカレコード〜It’s a beautiful Day〜』をリリース! また、本人名義のライブ活動の他、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務め、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。そのマーティン・サウンド、卓越したギター・プレイを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!
高田漣(たかだ・れん)
日本を代表するフォーク・シンガー、高田渡の長男として1973年に生まれる。ギターはもちろん、スティール・ギターやウクレレなどを弾きこなすマルチ弦楽器奏者として、細野晴臣、斉藤和義、くるり、星野源、毛皮のマリーズなど、多くのアーティストのライブ/レコーディングに参加。また、数々の映画やドラマ、舞台のサウンドトラックを手がけるほか、ソロ・アルバムもリリースしている。2017年に発表した『ナイトライダーズ・ブルース』が第59回日本レコード大賞の“優秀アルバム賞”を受賞!