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- 2024/11/16
Fender / Eric Johnson Signature Stratocaster Thinline
1月27日(土)、Fenderブースにて、エリック・ジョンソンのQ&Aイベントが開催された。Q&Aと言っても、質問者はなんとFender社の開発最高責任者ジャスティン・ノーベル。エリックと彼は2003年より交流を始め、シグネチャーを作り始めたという。そして2018年、エリックの新たなシグネチャー「Eric Johnson Signature Stratocaster Thinline」がリリースされた。同イベントでは本器に焦点を当てて、ジャスティンが質問を振り、エリックが答え、そして実際にシグネチャーを演奏するなどして会場を盛り上げた。
◎以下、本イベントの訳文です
ジャスティン・ノーベル(以下:JN) フェンダーがエリックとコラボレーションし始めたのは2003年です。今回ご紹介するEric Johnson Stratocaster Thinlineは、エリックにとっては3つめのシグネチャー製品となります。この作品が製品化されるに至った経緯をみんなに紹介しましょう。
エリック・ジョンソン(以下:EJ) そうだね。もちろん、以前のシグネチャー・モデルはとても気に入って愛用していたんだけど、僕が楽器に対して感じているのは、自分が常に“音楽のプレイスタイルの幅を広げたい”と思う気持ちに似ていて、常に進化させたくなるんだ。例えば“あのジャズのフレーズを自分の曲に適用できないだろうか”“あのメタルの曲のフレーズを自分の曲に活かしたらどんなサウンドになるだろう”と考えて実行するのは、結果的に自分の音楽の可能性の幅を広げることにつながると思うんだ。僕は長年ストラトキャスターを愛用してきたし、セミ・ホロー・ギターのサウンドもずっと大好きだ。セミ・ホロー・ギターの空気感、もっと極端なことを言えば、アコースティック・ギターの空気感をストラトのトーンに付加できたら、一体どんなサウンドになるんだろう、という好奇心が、今回のシグネチャー・モデルのプロジェクトの発端だ。“この発想を具現化できたら、間違いなく、自分の音楽の幅は広がるだろう”と、考えていたよ。
JN 今回のプロジェクトの最もユニークなところは、今までThinline Stratocasterはフェンダーで製作してきたことがあるけど、それは決まってコンター加工のないフラット・トップ構造だったのに対して、今回はトラディショナルなストラトキャスターのコンターを維持しつつ、セミ・ホロー化に成功したポイントです。このモデルを実現するために要した期間は、約2年間です。木材の組み合わせやfホールの配置を変えてみたり、多大な試行錯誤の末、ストラトのトーンを100%維持しながらもセミ・ホロー化に成功しました。何よりも、このモデルがエリックの耳に適って、合格がもらえたことが、フェンダーとしては誇らしいのです。
EJ NAMMに来ると、いつもビンテージ・ギターを買うように勧めてくれる人がいるんだけど、今年も勧められて、自分には満足できるシグネチャー・モデルができたから、“もう君の古いギターはいらないよ”と言ってやったんだ。
JN エリックは先日『Collage』という新作を発表して、ツアーも始まったけど、このシグネチャー・ギターのサウンドは『Collage』で聴けるのでしょうか?
EJ 「PIpeline」という曲で聴けるよ。
JN エリックが赤色のプロトタイプを、実際ライブなどで使用するようになって既に1年以上経ちますが、調子はどうですか?
EJ 最高だよ。いわゆる“ストラトキャスター・トーン”は健在だ。ゲインを上げるとブリッジ・ピックアップが通常のストラトよりも太いサウンドになるところが気に入っているよ。きっとセミ・ホローにした影響なんだよね。ソロで太いウッディなトーンが鳴らせて、リズム・ギターではストラトのトーンが奏でられる。あと実はジャスティンにもまだ伝えていないことがあって、それはフィードバックのコントロールのしやすさという点だ。たまたま削り出さずに残した木材の質量の恩恵なんだろうね。もちろん、セミ・ホローという構造上、一般的なストラトよりもフィードバックは起きやすいんだけど、耳障りな、不快なハウリングではなく、演奏にも生かせるような、コントロールされた音楽的なフィードバックなんだ。
JN 少し音を聴かせてもらえますか?
〜演奏〜
EJ フロント・ピックアップ・ポジションでは、まぎれもないストラトのサウンドだ。弾いていると、セミ・ホロー・ボディ特有の振動が体に伝わってくる。今日はコンパクトな機材セッティングでサウンドを紹介しているけど、それでも、セミ・ホローの甘いトーンがディストーションにも丸みを与えているのがわかってもらえたと思う。
JN 私が強調したいのは、Eric Johnson Signature Stratocaster Thinlineは、単にエリックの名前を冠したモデルというわけではなく、エリック本人が細部のディテールに至るまで関わって、完成した作品だということです。幾度となくプロトタイプをエリックに送っては、多くのフィードバックとともに送り返されてきて、私たち自身、ギターに対する情熱が煽られる気持ちでした。いかに多くの見知らぬ可能性が世の中にたくさん残されているのか、再認識させられました。Eric Johnson Signature Stratocaster Thinlineは、2018年2月に発売となる予定です。みなさん、楽しみにしていてください。エリック、ありがとう。
EJ ありがとう。