AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Performance Keyboard
今年でデジマート・マガジンへの掲載も3回目となる「キーボード・マガジン 2018年1月号 WINTER号」にて掲載中のキーボード・バイヤーズ・ガイド。2018年のテーマは“ライブ”ということで、プロ・ミュージシャンの試奏やレビューで、ライブの即戦力となるキーボードをテーマごと3回に分けて紹介していきます。Part 2となる本項では、ライブで使える多彩な音色を搭載した「パフォーマンス・キーボード」を特集。VOX Continental、KORG KROSS、ROLAND VR-730、ROLAND FA-07、Yamaha MONTAGE 6の5機種を前回に引き続き、井上竜馬(SHE'S)、藤原 聡(Official髭男dism)、小川貴之(sumika)の3名によるレビューとともに紹介します。
オルガン音色だけでなく、エレピ、ピアノをはじめステージでの主要サウンドはすべて網羅した新感覚のキーボード。新真空管NutubeによるVALVE DRIVEやさまざまなパラメーターをコントロールできるタッチ・センサー、多彩なエフェクトなど、機能面も充実している。専用スタンド、ボリューム/エクスプレッション・ペダルが付属。
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Reviewed by 井上竜馬(SHE'S)
まず見た目がカッコ良過ぎてやられました! ビンテージのVOXを彷彿とさせるボディの色、ドローバー代わりになるタッチ・センサーなど、どれを取ってもインパクトがあって。CX-3、VOX、COMPACTの3つのビンテージ・オルガンをモデリングしたというサウンドは、さすがという感じですね。それぞれの個性が強くて、1音1音ズドーン!と来る感じです。オルガン以外の音色も、どれもキーボーディストには重要な音ばかり。音色も機能もオールマイティにカバーしていて、足りないところがありません。僕はライブで1台しか鍵盤を置かない主義ですが、初めて2台使いしたいと思いました。置いているだけでオシャレな音楽を奏でられそうです(笑)。
インターフェース最大の特徴とも言えるLED付タッチ・センサー。ドローバーをはじめ、EGやフィルターなどのパラメーターをコントロールするスライダーとして機能する。
ドローバーがタッチ・センサーなんて違和感があるかと思いましたが、思ったより反応が良くストレスがありません。音色に応じて操作できるパラメーターが変わるのもいいですね。
オルガンだけでなく、22種類のE.PIANOパート、18種類のPIANOパート、ブラスやストリングスもカバーしたKEY/LAYERパートなど、幅広いサウンドを内蔵している。
オルガンに特化した楽器を想像していましたが、ピアノからシンセまで何でも入っていて、とても幅が広くて驚きました。しかもどれもクオリティが高く、使える音色ばかりです。
蛍光表示管技術を応用した新真空管“Nutube”によるVALVE DRIVEが、モデリングでは得られない豊かな倍音や歪みを加え、圧倒的な存在感を演出してくれる。
これはもうかなりの萌えポイントですね(笑)。ギターの手軽なブースターのような感じで、VALVE DRIVEをオンにするだけで音の厚みや歪みがまったく変わってきます。
61鍵でわずか3.8kgという軽量ボディにEDS-i音源によるシンセサイザー、ポリフォニック・アルペジエイター、ステップ・シーケンサー、16トラックMIDIシーケンサー、パッド・サンプラー、オーディオ・レコーダーなど音楽制作に必要なツールを満載したワークステーション。電池駆動に対応。ピアノタッチの88鍵モデルも用意されている。
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Reviewed by 藤原 聡(Official髭男dism)
サンプラーとボコーダーが使えてこの軽さというのがすごいですね。僕はボコーダーもよく使うので嬉しいところです。ピアノはアタックがパツンとしたコルグらしい音で、バンドに入って演奏するのにピッタリだと思います。僕が今使っている機種でもピアノは硬く抜けるような音に加工しているので、親近感を感じます。ピアノ以外の音色も全体的にバンドで弾くことを前提にしているような印象です。シンセ鍵盤ですが、返りもかなり良いので速弾きしやすいし、リアルタイム・コントロールも充実しています。やはりシンセ音色が弾きたくなりますね。軽い上に、制作に必要なツールが網羅されているので、ツアーに持って行けばホテルでデモ制作ができますね。
パネル右手にはパッドを装備。約14秒のステレオ・サンプリングが16個×8バンク分行える。データはSDカードへの保存が可能でデータを外部から供給することもできる。
パッドの反応がすごくいい。シーケンサーで流しているリズム・パートの一部をパッドで鳴らすと、パフォーマンス的に面白いかもしれませんね。ぜひトライしてみたいです。
パネル左上部にリアルタイム・コントロール・セクションを装備。カットオフやアタック、レゾナンス、エフェクト、テンポなどを2基のツマミにアサインして操作できる。
カットオフやアタック、リリース、エフェクトなどのパラメーターをノブでリアルタイム・コントロールできます。レイヤーもできるし、ライブでの使い勝手が良さそうですね。
EDS-i音源を採用し、新規サンプリングを含む1,000以上のプリセット音色を内蔵。拡張PCMメモリーが新たに追加され、オプション・ライブラリーにも対応している。
音色はカテゴリーに分けられているので選択しやすいですね。特にシンセ系が充実していて、僕は“Vintage Lead”や5度の音が鳴る“5th Pad SW1/2”が気に入りました。
オルガン固有の深みと厚みを再現するバーチャル・トーンホイール音源とハーモニック・バー、さらに高品位なピアノ&シンセ音源を凝縮したライブ向きの実戦派キーボード。オルガン独自の奏法に適した73鍵セミウェイテッド・ウォーターフォール鍵盤はピアノ演奏にも柔軟に対応。9.9kgと軽量でアクティブに持ち運べる。
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Reviewed by 小川貴之(sumika)
オルガン・サウンドがまったく申し分ない上にハーモニック・バーもあり、ライブで気持ち良く演奏できそうだと思いました。しかも、オルガンに欠かせない歪みやロータリー・エフェクトも同じ左ブロックにまとめられているので、右手でフレーズを弾きながら、左手でそれらを操作できるなど、プレイヤーのことがよく分かっている設計だと感じました。鍵盤はグリッサンドもしやすく、軽さを含めてとても弾きやすい。ピアノとシンセも充実していて、ドラムまで鳴らせるのも面白いですね。キーボーディストが欲しがる音と機能が詰まっていますが、詰まり過ぎて迷うことはなく、初心者から上級者までライブで使いやすいモデルだと思いました。
同社最高峰オルガン音源を自在にコントロールできるハーモニック・バーを9本装備。チューブ感のあるオーバードライブや3種類のロータリー・エフェクトなども搭載。
実際に手でハーモニック・バーを動かせるというのはオルガンとして絶対的なアドバンテージ。すぐ横に歪みやトーンがまとめられているレイアウトも実用的だと思います。
同社RD-2000譲りのエレピ音色を含む、こだわりのピアノ・サウンドにSuperNATURALシンセ・サウンドを搭載。同時に使用可能な7種類のエフェクトも内蔵している。
ピアノやシンセの音色も、決してオマケではなく実に本格的。さらにエフェクトが充実していて、それぞれに専用ツマミが用意されているので便利です。幅広い音作りができそう。
音色ボタンを押せば、どのような操作状態でもすぐに各セクションの音色を呼び出し、それぞれ専用の操作パネルで素早くサウンドをコントロールしながらプレイできる。
オルガン/ピアノ/シンセの各セクションをワンタッチでプレイできて、2個の音色ボタンを押せばレイヤーできるなど、すべてが分かりやすく直感的に操作できました。
音源モジュールINTEGRA-7から継承した膨大なサウンド・ライブラリーを搭載したワークステーションの76鍵モデル。豊富なエフェクトとリアルタイム・コントローラーに加え、16個のパッドで再生するサンプラー、ノンストップ・ループ録音可能なシーケンサー、DAWとの連携機能などを装備。ライブ/制作での幅広い用途に使用できる。
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Reviewed by 藤原 聡(Official髭男dism)
まずは随所に赤を配した見た目がカッコ良いですね。特に赤く光るベンダーが素敵です。そしてシンセサイザーの音色が豊富で、それを演奏するためのコントローラーも充実しています。中でもパンをリアルタイムで動かせるという点に魅力を感じました。エフェクトの種類が多いのも画期的です。ビットクラッシュやサブソニック、アイソレーターなど、今までのシンセにはなかったようなエフェクトが搭載されていて、しかも6つのツマミにアサインしてリアルタイムでコントロールできるので、ライブで使うと個性的なサウンドになりそうですね。DAWとの連携機能もぜひ使ってみたい。1台あればライブから制作時のマスター・キーボードまで何でもできそうです。
SOUND MODIFYセクションでは、さまざまなパラメーターやエフェクトを6つのツマミにアサインしてリアルタイムに操作することができる。お馴染みのD-BEAMも装備。
このセクションにはライブ映えする機能が集中していますね。音作りのパラメーターにアクセスしやすいし、過激なコントロールが行える。レイヤーもワンタッチで設定できます。
ステレオ・サンプリングしたサンプルを16個×4バンクのパッドで再生可能。サンプル・データはSDカードに保存される。パッドはテン・キーやパートのミュートにも使用する。
サンプラーも本格的で、いろいろな使い方が考えられます。パッドの反応も良くて、連打にも追従してくれるので、ライブではリズム・サウンドを叩いてプレイしたいですね。
パネル中央には5インチ・グラフィック・カラーLCDディスプレイと大きなダイヤルを装備。ライブにおける視認性にも優れ、細かいエディットなどもサポートしてくれる。
このカラー・ディスプレイは好きですね。ステージでも見やすいし、ツマミの動きも即座に反映してくれる。鍵盤の演奏を画面上の鍵盤に表示してくれるところも気に入りました。
ヤマハの技術力を結集して生み出されたフラッグシップ・シンセ。同社の高品位なPCM音源“AWM2”と、大幅に進化したFM音源“FM-X”をハイブリッド化、さらに音色を多次元的に連続変化させられる“Motion Control”を組み合わせたシステムを搭載。その象徴であるスーパーノブで、次世代の音楽表現を可能にしている。
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Reviewed by 小川貴之(sumika)
一見、難解なシンセかと想像しましたが、実際に触ってみると、操作しやすいタッチパネル画面と考え抜かれた機能で、とても分かりやすく、直感的にプレイできる点にとても驚きました。中でも、スーパーノブを回して起きる音色変化はとても楽しいですね。AWM2音源とFM-X音源を区別なく、同時に扱えるというのも、とても画期的。とにかくプリセットの素晴らしさと、自分で作れる音の範囲がものすごく膨大で、音色的には“すごい!”としか言いようがありません。そこにスーパーノブを回すことで、 MONTAGEでしか実現できない表現を生み出せそう。個性的で、かつ存在感のあるサウンドは、あらゆるライブ、制作現場で活躍してくれるでしょう。
パネル中央で異彩を放っているのが、複数のパラメーターを同時に変化させられるスーパーノブ。シンプルな操作で、音色にダイナミックかつ多次元の変化を加えられる。
1つのノブを回すだけで、音色に、理屈では作れないような変化を加えられて、驚きましたしテンションが上がります。とにかく楽しくて、感性と直結できる感覚がありました。
多彩な機能がグラフィカルに表示されることで、視覚的に理解、操作しやすい。写真は、2パート構成のプリセット「Choir SEQ」に、新たな音色(パート5〜8)を重ねたところ。
タッチ式の大きい画面のメカ感が、男心をくすぐります(笑)。音色を重ねる際は、空いているパートにタッチすると、音色カテゴリーから選べるようになるなど、操作も分かりやすい。
8個のシーン・ボタンには、音色の各パートの設定値を記録でき、曲の展開に合わせて切り替えてパフォーマンスできる。スライダーを動かせば、リアルタイムに調整も可能だ。
例えばピアノとストリングスをレイヤーさせたときに、音色のバランス違いをシーンに記録しておけば、演奏しながら音の主役を切り替えていける。いろんな使い方ができそうです。
本記事は、リットーミュージック刊『キーボード・マガジン 2018年1月号 WINTER』の特集記事を転載したものです。誌面では井上竜馬、藤原 聡、小川貴之へのインタビュー記事も掲載、各人のキーボード選びのポイントも紹介していますので、参考にしてみてください。
本号の巻頭特集(全54P)では、「歌と鍵盤 Playing Keyboards for Songs」と題して、ライブやレコーディングの現場で豊富な経験を持つミュージシャンたちにそれぞれの視点や立場からの"歌と鍵盤"について語っていただき、"歌と鍵盤"の在り方について掘り下げていきます。そのほか、シンセの名機が写真で楽しめる「ビンテージ・シンセサイザー・カレンダー2018」も付録。ぜひ手に取ってチェックしてください!
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井上竜馬(SHE'S)
4人組ピアノ・ロック・バンドSHE'Sでボーカル、キーボード、ギターを担当し、全作品の作詞・作曲も手がける。2011年にSHE'Sを結成。閃光ライオット2012でファイナリストに選出、2016年6月にメジャー・デビューを果たす。最新作は2017年12月リリースの2ndアルバム『Wandering』。2018年2月7日より全国ツアーSHE'S Tour 2018“Wandering”がスタート。
藤原 聡(Official髭男dism)
4人組バンド、Official髭男dismでボーカルとキーボードを担当。鳥取県出身で、2012年6月7日、島根大学と松江高専の卒業生で現バンドを結成する。2015年4月ミニアルバム『ラブとピースは君の中』を発表。2017年8月には最新EP「LADY」を配信限定でリリースし、11月より全国ワンマン・ツアーを敢行した。
小川貴之(sumika)
ロックとポップを融合させる4人組バンドsumikaのキーボーディスト。幼少期からクラシック・ピアノを学び、2010年、ベースレス3ピースバンドを結成。その後、sumikaにゲスト・メンバーとして参加するようになり、2015年に正式加入。キーボードに加えコーラス担当し、作曲も手がけている。2017年7月、1stフル・アルバム『Familia』をリリースした。