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- 2024/11/16
Fender / Made in Japan Guitars
学生でも手に入れやすいリーズナブルな価格、どんなジャンルにもマッチする幅広いサウンド、そして日本製らしい丁寧な作り。世界中にコアなファンを持つ日本製のフェンダーが、2017年の秋にMade in TraditionalシリーズとMade in Japan Hybridシリーズを発表した。今回、工場の生産ラインやパーツをイチから見つめ直して作られた新シリーズの魅力に迫るため、テレキャスターを使い色彩豊かな情景を描く長田カーティス(indigo la End)を試奏者に迎え、その高いクオリティを引き出してもらった。
52年モデルを再現したオールラウンダー!
フェンダーが発表した最初のエレキ・ギターはテレキャスターである。50年に“ブロードキャスター”としてリリースされたが、52年頃より現在のテレキャスターという名前に変更された。52〜54年頃の仕様と言えば、音の立ち上がりが速く、弾き手のニュアンスをダイレクトに伝えるアッシュ・ボディ、明るいバター・スコッチ・ブロンド・カラー、通称“ブラックガード”と呼ばれるクールなワンピースのピックード、太めで硬質なサウンドが特徴のメイプルのワンピース・ネックなどだが、本器はそんな50年代のテレキャスターに限りなく近い仕様を持つ、“伝統”を受け継いだメイド・イン・ジャパンの新モデルである。
ボディにはアッシュと似た特性を持つバスウッドを採用し、ビンテージ・タイプのアルニコ・マグネット・ピックアップとメイプル・ネックとの組み合わせにより、カラッと乾いたサウンドを生み出す。また、本器はビンテージの中でも特に人気の高い52年のモデルを忠実に再現しており、ヘッド・ストックのデカールや、ボディ・ラジアスにそれが顕著に表われている。
カントリーやロカビリーにはもちろん、ロックやポップス、さらにはアンビエントやシューゲイザーまで、ジャンルを選ばず、さまざまなプレイヤーに愛されているテレキャスター。本器はその原型に触れたい人にオススメしたい1本だ。
【Specifications】
●ボディ:バスウッド ●ネック:メイプル ●指板:メイプル● フレット:21 ●スケール:648mm ●ピックアップ:ビンテージ・スタイル・シングルコイル・テレ×2 ●コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:3サドル・ビンテージ・スタイル・ストリングス・スルー・ボディ・テレwithブラス・バレル・サドルズ ●ペグ:クローム・ダイキャスト ●付属品:ギグバッグ ●カラー:2カラー・サンバースト、ブラック、ビンテージ・ナチュラル、USブロンド
これぞテレキャスター! 王道の魅力を感じます
本当にテレキャスターらしい音がするギターですね。僕はテレキャスターのセンター・ポジションを選んだ時の“独特の浮遊感のある音”が特に好きなんですが、それがよく出ているなと感じました。それでいてエッジもちゃんと立っているので、“これぞテレキャスター!”という感じです。
そして自分がこれまで弾いてきたテレキャスターと比べると、ややブライトな印象も受けました。テレキャスターってフロント・ピックアップにするとモコモコした感じが出やすいんですけど、このギターはフロントでもしっかりとハイが出て、エッジが立っていますね。あと、このギターを持つと開放弦を絡めた複雑な響きのコードを弾きたくなります。コードの一音一音がハッキリと聴こえるし、押弦と開放弦をミックスしても音がつぶれることがないので、弾いていて気持ちが良いですね。
僕は細いネックが苦手なんですが、このネックは太すぎず、細すぎずで、すごく弾きやすく感じました。最初から手に馴染む感じもいいですね。試奏では途中でドライブ・ペダルも踏んでみましたが、歪みのノリもいいと思います。個人的にはこのギターを使うならクリーンが好きですが、歪ませて使いたい人にもいいと思いますよ。それから、この見た目が最高ですね。ビンテージ・ナチュラル・フィニッシュには、古いテレキャスターのバター・スコッチ・ブロンドのような、王道の魅力を感じます。
ビンテージの風格をまとった王道の60sモデル
ネック・プレートが4点留め、ローズウッド指板が採用された60年代のモデルをもとにしたストラトキャスター。ネックにメイプル、ボディにバスウッドを使用し、ブライトなトーンが特徴的なビンテージ・スタイルのピックアップが組み合わさることで、特にオーバードライブ・サウンドとの相性が抜群となっている。もちろんクリーンでは特有の鈴鳴りサウンドも出せるため、あらゆるプレイヤーのニーズに応えることのできる、まさに王道中の王道モデルである。
また、ピックガードやノブなど、プラスチック部分に新たに選定したエイジド・パーツを採用することで、より本物のビンテージに近い雰囲気を演出。さらに合計9種類のカラー・バリエーションもラインナップしているのもうれしいポイントだ。
Traditionalシリーズには、バスウッド・ボディとメイプル・ネックを採用した50sモデルと、3点留めネック・プレートとラージ・ヘッドが特徴的な70sモデルもラインナップしており、好みの仕様に合わせたギター選びが可能となってる。
【Specifications】
●ボディ:バスウッド ●ネック:メイプル ●指板:ローズウッド ●フレット:21 ●スケール:648mm ●ピックアップ:ビンテージ・スタイル・シングルコイル・ストラト×3 ●コントロール:ボリューム、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:6サドル・ビンテージ・スタイル・シンクロナイズド・トレモロ ●ペグ:クローム・ダイキャスト ●付属品:ギグバッグ ●カラー:3カラー・サンバースト、ダフネ・ブルー、ブラック、ピンク・ペイズリー、ブルー・フラワー、トリノ・レッド、キャンディ・ブルー、アークティック・ホワイト、キャンディ・タンジェリン
弦の揺れをそのまま拾ってくれるストラトらしいストラト
僕はテレキャスターをメインで使っているのですが、ストラトキャスターは歪みのノリが良く、抜けてくるので、レコーディングでは軽やかなバッキングを弾きたい曲で使っています。ストラトキャスターって、弦が鳴って、その揺れているところまで拾ってくれる感じが好きなんですよ。なのでフロント・ピックアップを使うことが多いんですけど、このギターにも“揺れまで拾ってくれる感じ”があると思いました。そこが“ストラトらしい”と感じる部分なので、このギターもそれを満たしている“ストラトらしいストラト”だと思います。
試奏では、アタックをちょっと強めにして弾いてみました。歪みのノリが良いからなんですが、そうするとものすごく気持ちがいいですね! これ、多分ひとりで弾いていたらずっと弾いちゃうと思います(笑)。ネックのグリップは50s Telecasterよりやや薄めなのかな……? でも全然違和感がなく、普通に弾けますね。僕はグリップに関してはかなり神経質で、ちょっとの違和感で“嫌だ”と思ってしまうタイプなんですが、これはまったく気にならないです。
このサウンドとクオリティのストラトキャスターが10万円を切る価格で手に入るというのもすごいですよね。例えばこれを“20万円のギターです”と言って手渡されても、なんの疑問も持たないで弾けると思います。
人気の日本製ジャズマスターが進化!
近年、使用者が増えてきているジャズマスターだが、日本製のモデルは90年代よりグランジ/オルタナティブ系のギタリストから愛されてきた。本器は人気の60年代前半の仕様を踏襲しており、ヘッドのスパゲッティ・ロゴやガッシリとしたUシェイプ・ネックなど、ビンテージ風のルックスと現代的なプレイアビリティを両立している。さらに、オリジナルにはないピンク・ペイズリーやブルー・フラワーというカラー・バリエーションもラインナップしており、人とは違った個性を出したいプレイヤーにピッタリだろう。
ジャズマスターの特徴といえば、大きく目立つオリジナル・アルニコ・シングルコイルのピックアップだ。リアにすればエッジの立ったジャキジャキのサウンドが得られるが、フロントでは太くて甘いメロウなサウンドもカバー。さらにセンターでは、リアとフロントの良いとこ取りとも言える、きらびやかで美しい音色を奏でることができる。
よくジャガーと比べられることの多いジャズマスターだが、一番の相違点はレギュラー・スケールのネックだろう。その緩いテンション感とフローティング・トレモロが、ジャガーやストラトでは決して得ることのできない独特のサウンドにつながっており、ファズやリバーブをたっぷりとかけて上下にアーミングすれば、幻想的なシューゲイズ・サウンドを生み出すことができる。もともとはジャズ用に開発されたギターだが、ジャンルを選ばずに使える頼もしい1本だ。
【Specifications】
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:ローズウッド ●フレット:21 ●スケール:648mm ●ピックアップ:シングルコイル・ジャズマスター×2●コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ、プリセット・スイッチ、プリセット・ボリューム、プリセット・トーン ●ブリッジ:6サドル・ビンテージ・スタイル・アジャスタブルwithフローティング・トレモロ・テイルピース ●ペグ:クローム・ダイキャスト ●付属品:ギグバッグ ●カラー:3カラー・サンバースト、ブラック、トリノ・レッド、アークティック・ホワイト
太くて甘い音が欲しいならこれですね
音が太い! 甘くて太くて、クリーンでずっと弾いていられる音ですね。僕がジャズマスターを使う時は“クリーンだけどペキペキしていない太い音”が欲しい時なんですけど、このギターはまさにそんな音がします。レコーディングではビンテージを使っているのですが、これもちゃんと“ジャズマスター弾いてるな”って気持ちになれるし、使用環境にもよりますが、ビンテージと遜色なく使えますね。
僕はジャズマスターのセンターとフロントが好きなんですが、このギターのセンターの音も太さの中にちゃんとトレブル感があって、バンドの中でも抜けてくると思います。フロントはとにかく太くて気持ちが良くて、家でひとりでアルペジオを弾いたら止まらなくなりそう。ネック・グリップの感じは僕が普段メインで使っているテレキャスターに近くて、すごく弾きやすいです。もともとはジャズ・ギタリストに向けて作られたモデルですけど、どんなジャンルの人にもオススメできるギターですね。
鮮やかなマッチング・ヘッドが目を惹く70sムスタング
デュオ・ソニックなどのスチューデント・モデルと、テレキャスターやストラトキャスターといったレギュラー・ラインナップの中間的な存在として64年に登場したムスタングだが、売れ行きの低迷とともに82年に生産中止となってしまう。96年、それを復活させたのが日本製フェンダーだった。
Traditionalシリーズには60sムスタング、70sムスタング、そして本器70sムスタング・マッチング・ヘッドの3ラインがラインナップされている。復活当初と同じくボディはバスウッド、ネックはメイプル、指板はローズウッドというウッド・マテリアル。近年トグル・スイッチのタイプも見られるピックアップ・セレクターだが、本器は伝統的なスライド・スイッチを採用している。なんと言っても、このスイッチが可能にしたハム・キャンセルのサウンドはムスタングの魅力のひとつだろう。また、小柄なボディに610mmのショート・スケールという仕様は、手の小さな人やギター初心者にも優しいとよく言われるが、決してプロ・ユースには向かないということではない。むしろほかのモデルにはない個性的な音が手に入る独特な存在だ。
69年中期頃に登場したコンペティション・レッド、コンペティション・バーガンディ、コンペティション・オレンジの3色がマッチング・ヘッド仕様だったが、71年頃にはナチュラル・ヘッドになってしまったため、当時のモデルは非常に貴重。この価格帯でマッチング・ヘッドの愛らしいルックスが手軽に入手できるのはうれしい。
【Specifications】
●ボディ:バスウッド ●ネック:メイプル ●指板:ローズウッド ●フレット:22 ●スケール:610mm ●ピックアップ:シングルコイル・ムスタング×2 ●コントロール:マスター・ボリューム、マスター・トーン、ON-OFF-ONピックアップ・スイッチ×2 ●ブリッジ:フローティング・ブリッジwithダイナミック・ビブラート・テイルピース ●ペグ:クローム・ダイキャスト ●付属品:ギグバッグ ●カラー:キャンディ・アップル・レッド、カリフォルニア・ブルー
独特のブライトなサウンドがすごく新鮮なギターです
実はムスタングを弾くのは生まれて初めてなんです。よく“ローがない”とか“使いにくい”とか言う人がいますが、そんなことはないですね! 全然使えるギターです! テレキャスターとはまた違った独特のブライトさや鈴鳴り感があって良いですね。とにかく、今まで知らなかった音なのですごく新鮮です。試奏時間に縛られずに、もうちょっと弾いていたい感じ(笑)。
ムスタングは24インチ・スケールということですが、フィンガリングの違和感はないですね。ネックを弾き手の視線で見るとちょっとフレット間隔が狭く見えますけど、弾きにくいことはないですし、むしろ手が小さい人や女性のギタリストにとっては弾きやすそうです。それから、ヘッドのカラーが明るいと見た目の印象も変わりますね。マッチング・ヘッドは無骨じゃないというか、可愛らしさがあります。あとは、アームの効き方もおもしろかったですね。普段はアームを使わないので、こんなに効くのかと驚きました!
60sテレキャスターに現代的な仕様を取り入れたハイブリッド器
Traditionalシリーズが“伝統”を再現したラインナップだとするならば、このHybridシリーズは伝統と革新の“ハイブリッド”を実現したラインナップ。本器は60年代のテレキャスターをベースにしながらも、新しい技術や考え方を積極的に取り入れ、現代のプレイヤーに寄り添った機能性の高い1本だ。
まず4ウェイのピックアップ・セレクターだが、フロントとリアのミックスがシリーズ/パラレルで選択できるため、バラエティ豊かなサウンドが得られる。また、ピックアップには2016年のリリースから高い評価を得ているアメリカン・ビンテージを採用。ほかに大きな特徴というとペグがロック式で、ペグ・ポストの先端をコインなどで締めればしっかりと弦がロックされる。利便性を求めながらも伝統的な外観も重要視する日本人の性格に合致したスペックだ。さらに、250mmラジアスのフラットな指板やサテン・フィニッシュのネックなど、プレイアビリティをしっかりと向上しているのにも注目したい。
もちろんアルダー・ボディにメイプル・ネック、スラブ・ボードのローズウッド指板、8点留めの3プライ・ピックガードやヘッド・ロゴの位置など、60年代の伝統的なスタイルはしっかりと踏襲。トラディショナルなスタイルは崩さず、プレイヤー目線で常に進化を続けるフェンダーというブランドを体現したモデルである。
【Specifications】
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:ローズウッド ●フレット:21 ●スケール:648mm ●ピックアップ:アメリカン・ビンテージ’58テレキャスター ●コントロール:ボリューム、トーン、4ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:3サドル・ビンテージ・ストリングス・スルー・ボディ・テレwithブラス・サドルズ ●ペグ:ビンテージ・ロッキング・チューナー ●付属品:ギグバッグ ●カラー:3カラー・サンバースト、ブラック、オーシャン・ターコイズ・メタリック、キャンディ・アップル・レッド、フラミンゴ・ピンク、サーフ・グリーン、アークティック・ホワイト、キャンディ・タンジェリン
テレキャスター好きはもちろん、苦手な人にも試してほしい1本
このギターはローズ指板ということもあって、Traditionalシリーズの50s Telecasterとはまったく別物に感じますね。Hybridシリーズならではのネックのサテン処理がとても気持ち良くて、抵抗なく運指ができます。このネックは、ぜひ皆さんに試してみてもらいたいですね。
Hybridのストラトもそうなんですけど、Traditionalよりも太いサウンドで、リード・ギターの人に喜ばれそうなテレキャスターだと思いました。特にこのギターは両ピックアップを直列・並列で鳴らせる4ウェイ・セレクターが付いているおかげで、本当に太い音が出せます。実は僕も自分のテレキャスターの1本を4ウェイに改造して使っているので、このコントロールはオススメですよ。歪みのノリも良いので、もしこのギターを実際に使うとしたら、ライブでは歪んだバッキングの曲で使いたいですね。レコーディングでは、セレクターのポジションがひとつ増えるだけでこれだけ音色のバリエーションが増えるので、スタジオで試行錯誤しながら音決めして使ったら楽しそうだなと思います。
テレキャスターって、カッティングとかカントリーとか、固まったイメージがあるじゃないですか? でもこのギターは、そういったイメージを超えて使えると思います。そういった意味ではテレキャスター好きの方にはもちろんですが、“テレキャスターってちょっと苦手だな”という人にもぜひ試してもらいたいですね。
アーミングの可動範囲を広げる2点留めブリッジにも注目
メイプル指板にスモール・ヘッド、8点留めの1プライ・ピックガードという仕様に加え、レリックされたプラスティック・パーツにより、50年代スタイルの“リアルさ”を追求。それに加えて本器はトラディショナルなルックスながら、随所にさまざまなアップグレードがなされている。
まず注目したいのがトレモロ・ユニット。レオ・フェンダーが設計当初に想定していた以上の役割が求められる現代の“アーミング事情”に、2点支持のトレモロ・ユニットで対応した。これにより、従来の6点留めビンテージ・トレモロに比べ可動域が広く、なめらかなアーミングを可能にしている。また前述のHybridシリーズの60s Telecaster同様、ロック式ペグの導入やサテン・フィニッシュのネック、従来よりフラットな250mmラジアス指板にミディアム・ジャンボ・フレットの採用など、プレイアビリティを高める施策を各所に盛り込んでいる。
さらに、Traditionalシリーズとは異なったアルダー・ボディも注目ポイントだ。材構成に関しては、むしろ本器のほうがフェンダーの“伝統的”な部分を踏襲していると言えるだろう。ピックアップには定評のあるフェンダーUSA製アメリカン・ビンテージ・ストラトキャスターを採用している点も含めて、フェンダーUSAのスタイルとジャパン・ブランドの技術のハイブリッドを実現している。
【Specifications】
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:メイプル ●フレット:21 ●スケール:648mm ●ピックアップ:フェンダーUSAビンテージ・ストラトキャスター ●コントロール:マスター・ボリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:2ポイント・シンクロナイズド・トレモロwithビンテージ・スタイル・スタンプド・スティール・サドルズ ●ペグ:ビンテージ・ロッキング・チューナー ●付属品:ギグバッグ ●カラー:ブラック、オーシャン・ターコイズ、フィエスタ・レッド、タバコ・バースト、USブロンド
全部のピックアップが使える印象です
このギターは今日初めて弾いたのですが、最初からこんなに弾きやすいのかと驚きました。フレットや指板の処理もしっかりしていて、多分このネックは誰が弾いても弾きやすいと感じるんじゃないでしょうか。試奏していても、楽に弾ける感じがします。
サウンドについては、Traditionalシリーズのストラトよりも太いなと思いました。Traditionalはビンテージ方向なので、どちらがいいということではなく、好みで選ぶといいと思います。このギターは音が太いだけではなく、ストラト特有の“弦の揺れ感”もちゃんと拾えていて、すごくいいですね。それから、僕は普段はあまりリア・ピックアップを使わないんですけど、このギターはリアの音も太くて耳に痛い部分もないし、全部のピックアップが使える印象です。試しに歪ませて弾いてみますね(オーバードライブをかけ、しばし試奏)。……ああ、やっぱり歪みのノリが良いですね! ちゃんと良い帯域が前に出てくれる感じがします。
ストラトキャスターって1本持っておけば間違いない楽器だと思うんですよ。そういう意味では万人向けなギターですが、その中でも“ストラトを1本選ぶならどれにしよう?”って悩んだ時に、このギターなら自信を持ってオススメできますね。僕自身このストラトはかなり気に入りました。好印象です!
ファースト・ギターにも最適だし
最初に買っても将来までずっと使えるクオリティですね
今回6本の日本製ギターを試奏しましたが、TraditionalシリーズとHybridシリーズの違いがわかっておもしろかったです。Traditionalシリーズは、ギター本来の持ち味を生かした良い楽器を作っているなという印象ですね。“ストラトってこうだよね”、“これはまさにジャズマスターだよね”っていう感じで、奇をてらわずに良いものを作ろうという姿勢を感じました。
一方のHybridシリーズは、オリジナルの良さを生かしながらも、現代のシーンにマッチする感じが良かったです。今は“こんな音楽をやるなら、こういうギターを使わないといけない”という縛りがなくなっているじゃないですか? だからこそ、ジャンルやイメージにとらわれない自由な音作りができるように設計されているんだなと感じました。
特に印象に残っているのはムスタングです。思った以上に使えるギターで、素晴らしかったですね。それからどのギターも、“よくこの価格で販売できるな”と思うくらいクオリティが高かったです。これからギターを始めようとしている人のファースト・ギターにも最適だと思いますし、最初に買っても将来までずっと使えるクオリティのギターですね。
Fender / '64 Custom Deluxe Reverb
Fender / Custom Shop Performance Series Cables
BONDI EFFECTS / Del Mar Overdrive
本記事はリットーミュージック刊『ギター・マガジン2018年1月号』の特集記事の一部を先行公開したものです。日本製フェンダー35年の歴史が網羅された特集もありますので、発売をお楽しみに!
価格:¥90,000
価格:¥95,000
価格:¥105,000
価格:¥115,000
価格:¥110,000
長田カーティス
おさだ・かーてぃす。山梨県出身。2010年、川谷絵音(vo,g)を中心に結成したロック・バンド、indigo la Endのギタリスト。バンド名のとおり、インディゴ色のような淡く美しいサウンド・カラーを操り、情景豊かなギターで楽曲を彩る。indigo la Endのほかに、川谷絵音が楽曲制作を務める、休日課長(ゲスの極み乙女/b)、REIS(vo,k)、えつこ(k)の3ピース・バンド、DADARAYのサポート・ギタリストとしても活動中。最新作は2017年7月にリリースしたindigo la Endの『Crying End Roll』。