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- 2024/11/16
Markbass / EVO1
もはや小型軽量/大出力のアンプ・ブランドとして確固たる地位を確立しているイタリア発のブランド、マークベース。今もなお驚きの新製品を開発し続けているが、このたび登場したアンプ・ヘッドEVO1は、さらなる進化と革新を提示する、さまざまな機能が搭載されている。ここではベース・マガジン 2017年12月号と連動して、その実力をベーシストBOHの試奏とともにチェック!
2001年創業の新興メーカーながら、“小型軽量かつ大出力”という現在のベース・アンプ・シーンを先導し、多くのベーシストから支持されているマークベース。その最新モデルが、“EVOlution”かつ“rEVOlution”を標榜した、このEVO1だ。
同社の旗艦モデルである「Little Mark Ⅲ」より若干大きめなサイズで、出力は500W。その最大の特徴は2チャンネル仕様という点で、それらを独立(切り替え)、ミックスして使用することができる。また、各チャンネルには6つのアンプ・タイプをパソコンからアサインできるようになっているのも大きなポイントだ。アンプ・タイプはLittle Mark IIIを始め、T-Green90、RB7Hundred、Blue'70、TTE500、Sunny US、B-Drive21、Red'96、Blue'70 plus、Bassface'59 US、UK120、JMayorといった、名機かつ定番と言えるベース・アンプをもとにした全12種をラインナップ。クリーン系と歪み系で使い分けるも良し、クリーンに若干の歪みを加えて太さを、逆に歪みにクリーンの芯をミックスといった使い方も良しだ。同アンプ・タイプをふたつのチャンネルにアサインし、指弾き用スラップ用で切り替えるといった使い方も、キャラクターを保持したままのトーン・バリエーションという意味で、有用な使い方だろう。
各チャンネルにはアンプ・タイプ・セレクトのほか、GAINとLEVEL、LOW/MID/HIGHの3バンドEQを搭載。それらに加えて両チャンネルのミックス具合を決めるMIX、MASTERというコントロール構成となっている。Little Markではお馴染みのVPFなどプリセットEQは搭載されていないが、2チャンネル仕様がそれを補ってあまりある音作りを実現してくれるだろう。また、本機にはコンプレッサー、コーラス、オクターバー、リバーブ、エンベロープ・フィルター、ディレイといった6タイプのエフェクトも内蔵されており、チャンネルごとに各1タイプを割り当てることができる。また、専用ソフトウェアを用い、パソコン上で増幅量を調整できるブースター機能もあり、これらをオプションのフット・スイッチで自在に操ることが可能だ。ライヴでの活躍はもちろん、AUXインやヘッドフォン・アウト、チューナー(ミュート兼用)なども装備、自宅練習でも重宝する1台だ。[この商品をデジマートで探す]
【Specifications】
●出力:500W(RMS)/4Ω、300W(RMS)/8Ω ●パワーアンプ:MPT ●入出力:インプット1/インプット2、AUXイン(ステレオ・ミニ・ジャック3.5mm)、ヘッドフォン端子、センド1/センド2、リターン1/リターン2、USB(type B)、MIDI(DIN 5 poles)、スピーカー・アウト(モノ・ジャック×2、スピコン)、ライン・アウト1/ライン・アウト2(XLR) ●コントロール:ゲイン、ロー、ミッド、ハイ、レベル[以上、CH1、CH2共通]、CH1/CH2ミックス、AMP1、AMP2、FX1レベル、FX2レベル、マスター、フォン・レベル、チャンネル・スイッチ/ミックス、ミュート/チューナー・スイッチ、グラウンドリフト・スイッチ、プリ・ミックス/ポスト・ミックス・スイッチ ●サイズ:360(W)×100(H)×254(D)mm ●重量:3.2kg ●価格:¥135,000
クリーン・タイプのサウンドも良いし、
歪みもプレイにしっかりと追随してくれる。
僕もメインで使っている【Little Mark Ⅲ】というアンプ・タイプは、とにかくクリアで、弾き手のニュアンスをきちんと伝えてくれますね。僕はライヴでもレコーディングでも、DIを使わずアンプ・ヘッドのライン・アウトを使っているんですが、EVO1にしてからはエンジニアやミュージシャンからも“音がクリアになった”と、評判が良いです。
【T-Green90】というタイプは音がシャープにまとまる感じがあって、スラップをしても歯切れ感がありますね。さらにマークベースらしく、細かなフレーズにもしっかり反応してくれるので、速いスラップをしてもバツン!と鳴ってくれます。前にグイグイ出てくるタイプのベーシストには向いているんじゃないかな。
【RB7Hundred】は【T-Green90】と比べるとプルが前に出てくる感じが少しだけ抑えられているんですが、分離は良いのでコード・プレイに合っていますね。低い音域でもちゃんと和音として鳴ってくれます。基本的にEVO1のクリーン・タイプのアンプは、どれも良い音だと思いますね。
【B-Drive21】はものすごくヘヴィな音で、歪みも芯のある太いものです。普通だとこれぐらいヘヴィな音作りをすると、フレーズが濁ったり速いフレーズに追随してくれなかったりするんですが、これは低音弦の刻みでも一粒一粒しっかり鳴ってくれますね。
【Blue '70 plus】はブーミィな歪みなんですが、このタイプのおもしろいところは、軽く弾くと歪まず、強く弾くほど歪んでくるんです。歪ませながらにして、細やかにニュアンスをつけたプレイが可能です。そういった音作りって、エフェクター単体だとなかなか実現できないことなので、こういった部分こそ、まさにEVO1の能力の高さを表わしていると思います。
【JMayor】はチューブ的な歪みサウンドで、アンサンブルとの馴染みもすごく良さそうです。サステインも良いですし、なめらかさもあるのでスライドとかもしっかり再現してくれますね。
本記事は、リットーミュージック刊『ベース・マガジン 2017年12月号』の特集記事を転載したものです。表紙巻頭では、18年ぶりのニュー・アルバム『The Gift』をリリースしたHi-STANDARDの難波章浩を大特集。本誌独占インタビューをお届けします。そのほかにも今年30周年を迎えたIBANEZの名器SRシリーズや、アメリカ発の気鋭エフェクター・ブランド=アースクエイカー・デバイセスの大特集、さらにビリー・シーン(MR.BIG)の直伝奏法特集などを収録した、もりだくさんな内容となっています。ぜひチェックしてみてください!
価格:¥135,000 (税別)
BOH
ボー●1982年8月14日生まれ、北海道旭川市出身。15歳でベースを始め、18歳から6弦ベースをプレイする。音楽専門学校卒業後はさまざまなアーティストのバック・バンド、サポートをこなし、広い音域を駆使した技巧派グルーヴで頭角を現わす。現在は、DAITA(g)率いるBINECKSや、超バンド、そして藤岡幹大(g)と前田遊野(d)という国内屈指のテクニカル・プレイヤーとともに組む仮BANDなどでも活躍中。