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  • さまざまなアンプ・トーンを手軽に持ち運べる2chギター・アンプ・ヘッド

DV MARK / EVO1

DV Mark / EVO1

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アナログ・アンプのような簡単操作が魅力の2chデジタル・アンプ

 ベーシストにはお馴染みのアンプであるMARKBASS。そのギター・アンプ・バージョン、DV MARKラインからEVO1というアンプをご紹介しましょう。

DV MARK / EVO1

 このEVO1の基本コンセプトは、“限りなくアナログ・アンプに近いデジタル・アンプ”ということになる。感覚的には、いわゆる“チューブやトランジスタを使用したアンプ”と同じ操作感でありながら、デジタル・モデリングされたアンプ・トーンを選択し、ふたつのチャンネルに配置することで独立したふたつのアンプを切り替えて使用することができる。それぞれのチャンネルに独立したゲイン、EQが搭載されているだけでなく、リバーブもコントロール可能な点は非常に使い勝手の良い印象。やはり音色をバンドに馴染ませるためにリバーブは不可欠ですからね。

 現在用意されているアンプ・トーン(アンプ・サウンド)は13種類で、各チャンネルのスロット(6個×2チャンネル)に専用ソフトウェア(DV MARK EVO 1 Software/無償ダウンロード)を用いて好みのアンプ・トーンをアサインできる。アンプ・トーンは“CLEAN”セクションに

・TRIPLE 6 CH1
・DARKFACE‘65
・SLODRIVE(US)
・MARAGOLD
・TOP 30

 上記の5種類が用意されている。ド定番のブリティッシュ&アメリカン・アンプに混じって、ハイゲイン・アンプのクリーン・チャンネルのサウンドが用意されているのが特徴。またUSハードロック・サウンドに欠かせないSLOサウンドもしっかりと押さえてある。MARAGOLDというのはDV MARKが作成したグレッグ・ハウのシグネチャー・トーンだ。渋い!

 続いて“CRUNCH”セクションも見てみよう。

・TRIPLE 6 CH2
・ROCK ‘75 UK
・SLODRIVE(US)
・JCMARK

 こちらもド定番のプレキシ・サウンド、USクランチの代表格がしっかりと収められている。このクランチ・サウンドがなかなか絶妙で、SAG感もしっかりあった。

 “LEAD”セクションは、

・RECTO(US)
・SLODRIVE(US)
・PROGRESSIVE
・MARAGOLD CH3

 こちらも鉄板のアメリカン・ハイゲイン・サウンドがラインナップ。加えてMARK-Vのオリジナル・サウンドと、MARAGOLDというグレッグ・ハウのシグネチャー・サウンドが収められている。最高だ。

 これらのサウンドを直感的にエディットできるのが本機の最大の強みだろう。PCを接続しなくとも、上述したアンプは選択して使うことができる。

専用ソフトウェア上で各チャンネルにアサインするアンプ・トーンや、リバーブ、キャビネットの種類を選択できる

リバーブやブースト、さらにはキャビネット・エミュレーターまで便利な機能も搭載

 さらに前述したリバーブも2種類用意。パラメーターは専用ソフトウェアで設定することが可能だ。スタンダードなリバーブはタイム/カラー/ディフュージョンの3種類から選択可能。スプリング・リバーブ・タイプはミディアム・ディケイ/ロング・ディケイ/REスプリングの3種類から選択できる。アナログ・アンプではなかなか難しいクリーンにはスプリング、リード・サウンドにはディフュージョン・リバーブで広がりを出す、といったこだわりのセレクトができる。

チャンネル切り替えやブースト、リバーブのオン/オフを足下で操作できるMIDIフット・コントローラー、DV EVO 1 Controller

便利なミュート・スイッチ付きのチューナーも内蔵されている

 その他、音量をグッと持ち上げてくれるブースター機能や、ライン・アウト/ヘッドフォン・アウトも装備。ライン・アウトとヘッドフォン・アウトにはキャビネット・エミュレーターを装備しているのもうれしい。さらにキャビネット・エミュレーターは代表的な3パターン(クローズド・バックの4x12”、セミ・オープンの2x12”、オープン・バックの1x12”)から選択可能となっており、こちらもソフトウェア上で設定が可能。

DV MARK / EVO1(Back)

 そして、DV MARK独自の技術を用いた最大250W出力のMPTパワー・アンプが強力だ。昨今の軽量アンプでは楽器用ではないパワー・アンプを搭載することが多いが、このEVO1では楽器用にデザインされたものを搭載することで、ソリッドステート・アンプならではのスピード感とパワー感を持ちながらも、クリーンからハイゲインまで(おかしな言い方だが)ギター・アンプの特性を100%出力するイメージだ。

 今回試奏した専用キャビネット(DV MARK製DV 212 GH Greg Howe signature)との相性は抜群であることは当然だが、いわゆるスタジオやライブハウスに据え置きのキャビネットにつないでも良好な結果が得られそうだ。特にライブでは据え置きのキャビネットにEVO1のスピーカー・アウトを接続し、ライン・アウトからPAに送って……という使い方もおもしろいかもしれない。

 センド/リターンさえも完全独立した2台のアンプを手軽に持ち運べると考えると非常に魅力的。パワフルで良質なEVO1のサウンドを、ぜひチェックしていただきたい。

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製品情報

DV MARK / EVO1

価格:¥128,000 (税別)

【スペック】
●OUTPUT POWER(MPT Power Amp):250W(RMS)/4Ω, 150W(RMS)/8Ω●INPUT1(passive):impedance 1MΩ●INPUT2(active):impedance 1MΩ●AUX IN:stereo mini-jack 3.5mm●RETURN(1&2):mono jack 1/4"●USB:typeB●MIDI:DIN 5poles●SPEAKER OUTPUT(4Ω minimum load):mono jack 1/4"×2, Speakon(in parallel)×1●PHONES:stereo mini-jack 3.5mm●SEND(1&2):mono jack 1/4"●XLR LINE OUT(CAB/Speaker Emulator is assignable to this output using the DV MARK EVO 1 software)●CHANNELS:2(with 6Virtual AMPs per channel)●EQUALIZATION(per channel):LOW-MID-HIGH●CONTROLS:GAIN(per channel), AMPS SELECTION(per channel), LEVEL(per channel), REVERB1, REVERB2, MASTER, PHONE LEVEL, BOOST●MIDI FUNCTIONS:Switch CH1, CH2, FX1 ON/OFF, FX2 ON/OFF, BOOSTER ON/OFF, MUTE/TUNER, DV MARK EVO1 Controller(DVM-EVO1/CTR/Option)●OTHER:Channels Switch, +4dB/-10dB and GND Lift switches(LINE OUT), TUNER(with MUTE function)●POWER REQUIREMENT:100V, 50/60Hz●DIMENSIONS:360(w)×100(H)×254(D)mm●WEIGHT:3.2kg
【問い合わせ】
パール楽器製造 TEL:047-484-9111 http://www.pearlgakki.com/dvmark/
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DV MARK / DV 212 GH Greg Howe signature

価格:¥98,000 (税別)

【スペック】
●スピーカー:2x12" DV Mark Custom ●外形寸法:700(W)× 450(H)× 360(D)mm ●重量:13.4kg
【問い合わせ】
パール楽器製造 TEL:047-484-9111 http://www.pearlgakki.com/dvmark/
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

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