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- 2024/11/16
BOSS / AD-10
ライブ時のアコースティック・ギターの音色をもっと良質にしたい! そんな方にはうってつけのエレクトリック・アコースティック専用のプリアンプ、 “AD-10”が登場。インプット・センスやEQを独立して設定でき、さまざまな入力に対応する2系統のインプットや4バンドEQ、ギター本来の鳴りを再現するアコースティック・レゾナンス機能などなど、“アコギ”に特化した有用なスペックがこの1台に詰め込まれている。今回は『アコースティック・ギター・マガジン 2017年12月号 Vol.74』と連動して、早速本機を、注目株のギタリスト、井草聖二氏にチェックしてもらった。
BOSS AD-10は、最高クラスの音質と機能を誇るBOSSアコースティック・プリアンプのフラッグシップ・モデル。アコースティック・ギタリストのライブにおける悩みをこれ1台ですべて解消する、完璧なソリューションと言って良いだろう。
まず音質面については、アンプラグドで弾いたような豊かで自然なサウンドが特徴だ。アコースティック・ギターに最適化されたEQだけでもかなりナチュラルなサウンドを作り出せるが、加えてアコースティック・ギター本来の音を取り戻すアコースティック・レゾナンス機能が秀逸で、ピエゾ・ピックアップやマグネティック・ピックアップなどにありがちな、クセがあって薄い音を、本来のリッチで生々しい音に戻してくれる。さらに、BOSSの先進技術“MDP”によるナチュラルなコンプレッサー、上質な奥行きを加えるアンビエンス、アコースティック用にチューニングされたコーラス、ディレイといったエフェクト類で、1ランク上の美しいサウンドに仕上げることが可能だ。
機能面では、2系統のインプットを備えている点に注目したい。2本のギターを持ち替えることはもちろん、2種類のピックアップを搭載したギターを使って、より緻密な音作りができる。本体操作は、ツマミを直感的に扱えるマニュアル・モードと、作り込んだ音を10種類まで記憶させるメモリー・モードを選択可能。メカニカルな操作は苦手というギタリストでも簡単に扱え、難しい操作は一切ない。BOSSクオリティのチューナー、アンチ・フィードバック機能を備えているのもライブでは心強いし、最大80秒まで録音できるルーパーはパフォーマンスの幅を広げてくれるだろう。標準ジャックのステレオ・アウトに加え、グランド・リフトに対応したステレオXLR端子を装備している点も、ライブの現場をよくわかっている仕様だ。
“ライブで、アコースティック・ギターを美しく鳴らす”──このシンプルだが難しい問題に対するBOSSからのひとつの解答が、AD-10と言って良いだろう。 [この商品をデジマートで探す]
【Specifications】
●<入力レベル>GUITAR IN 1&2:-10dBu(可変)RETURN:-10dBu ●<入力インピーダンス>GUITAR IN:10MΩ、RETURN:220kΩ ●<規定出力レベル>SEND:-10dBu、LINE OUT L/PHONES、R/MONO:-10dBu、XLR OUT L&R:-10dBu ●<出力インピーダンス>SEND:1kΩ、LINE OUT L/PHONES、R/MONO:44Ω、XLR OUT L&R:600Ω ●<動作モード>マニュアル・モード、メモリー・モード ●<メモリー数>10 ●<フレーズ・ループ>80秒 ●<エフェクト>ACOUSTIC RESONANCE(3タイプ)、COMP(2タイプ)、4BAND EQ、LOW CUT、BOOST、CHORUS(3タイプ)、DELAY(3タイプ)、REVERB(3タイプ)、ANTI-FEEDBACK(REDUCTION、NOTCH×2) ●<接続端子>GUITAR IN1&2/SEND/RETURN/LINE OUT:標準タイプ、XLR OUT、EXP/CTL 1&2:TRS標準、USB、DC IN ●<電源>ACアダプター、アルカリ電池(単3×6本) ●<外形寸法>:217(W)×161(D)×65(H)mm ●<質量>:1.3kg(電池含)
音色の良さはもちろん、
本当にこれ1台でライブができるのが魅力です!
最初にAD-10を弾いた時に“ノイズがすごく少ないな”と驚きました。僕のシグネチャー・モデルのギターはパッシブ・タイプのピックアップを搭載しているんですが、AD-10を使うとハム・ノイズもなく、すごく静かです。僕はアンサンブルの中で弾くこともありますが、基本的にはソロで弾くことが多いので、ノイズが少ないのはとにかくありがたいですね。それから、操作が非常に簡単だという印象です。AD-10にはマニュアル・モードとメモリー・モードがあるんですが、マニュアル・モードは迷うことなく直感的に音作りができますし、メモリー・モードでは音を作り込んで保存しておけるので、どちらも便利ですね。
僕のギターはマグネット・ピックアップとコンタクト・ピックアップの2種類を搭載しているんですが、AD-10はインプットがふたつあって、それぞれに音を作り込めるところもすごくいいと思いました。僕はマグネット6:コンタクト4くらいのバランスで使っているのですが、各インプットでそれぞれのピックアップに合わせて個別にEQが設定でき、さらに本体ツマミのEQをマスターEQとして使うことができます。このEQはアコースティック・ギター用にチューニングされたもので、すごく良くできているなと思いました。例えば極端にトレブルを下げた設定にしても、こもり過ぎることもなく、どう調整しても自然で“使える音”になります。その上で、もう少しきらびやかさがほしいとか、音を前に出したいとか、細かい音作りができます。さらにアコースティック・レゾナンスを使うと、より自然な音になります。アコースティック・ギターは本来、生音の楽器ですから、ピックアップを使うとどうしても耳に張りつくような音になってしまいますが、このアコースティック・レゾナンスを上げていくと本来の生の音を取り戻した感じになりますね。特にピエゾ・ピックアップの音作りに悩んでいる人は多いと思うのですが、EQでプレゼンスとミドルを抑えめにしてトレブルとベースを少し上げ、アコースティック・レゾナンスを入れると、驚くほど本来の音が出せると思います。
AD-10は、アンビエンス、コンプレッサー、ディレイ/コーラスなどのエフェクトや、ローカットのスイッチもアコースティックに特化して設計されているので、どれも本当に使いやすいですよ。それからライブに欠かせないアンチ・フィードバック機能も、2種類のピックアップのそれぞれに異なるフィードバック・ポイントを下げてくれるので、本当に助かります。ルーパーを装備している点も、パフォーマンスの幅を広げてくれますよね。
最後に、ステレオXLRアウトを備えているのも僕にとってはすごく重要で、これがないと、結局プリアンプのあとにコーラスなどのエフェクトを別につなげることになってしまうんですね。AD-10は音色の良さはもちろん、本当にこれ1台でライブができるのが魅力です。バンドで弾く人でも、ソロで弾く人でも、アコースティック・ギターでライブをやるすべての人にお勧めしたいと思います。
■Demonstration 01:ディレイやコーラス機能を使ったタッピング向き
■Demonstration 04:アルペジオなどを用いたバラード向き
【上】ギター専門店のドルフィンギターズのオリジナル国産ブランド、スウィッチの井草モデル「SWITCH CUSTOM GUITARS / SCOM-3C DB CAA IGUSA SEIJI」。ボディ材はトップがシトカ・スプルース、サイド&バックはココボロ。PUはサンライズのマグネットS2、アンフィニカスタム・ワークスのコンタクト“BACNT”を装着している。
【下】メイトンの創立70周年を記念した、2016年の限定モデル「MATON / THE 70th ANNIVERSARY EDITION DREADNOUGHT」。ボディ材はシトカ・スプルース、サイド&バックがオーストラリアン・ブラックウッド で、標準装備のAP5-Proピックアップ・システムを使用している。
本記事は、リットーミュージック刊『アコースティック・ギター・マガジン 12月号 Vol.74』の特集記事を転載したものです。表紙巻頭では、『サボテンミュージアム』をリリースした奥田民生を大特集。彼のアコースティック・サイドに迫る特集を展開しています。そのほかにも今年7月に急逝したビル・コリングスを追悼し、その功績を追った「〜ビル・コリングス追悼企画 Collings Guitars & Mandolins Bill Collings 1948-2017」、アコギ弾き語りによる伴奏/アレンジ法・曲の作り方・歌詞のあり方・ステージ・演奏法などについての特別対談「〜ひと味違う!?直伝講座〜 嘉門タツオ×マキタスポーツのアコギ弾き語りのススメ」などを収録。ぜひチェックしてみてください!
価格:オープン
井草聖二
いぐさせいじ●1988年兵庫県出身。幼い頃からゴスペルに親しみ、15歳でギターを始め、10代より押尾コータローやトミー・エマニュエルのライブ・オープニングアクトを務める。2009年フィンガーピッキングデイで最優秀賞とオリジナル・アレンジ賞を受賞。現在はソロ活動の他、アーティストのサポートや作曲家/アレンジャーとしても活躍。近年は海外での演奏活動も盛ん。