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  • 伝説のオーバードライブ、CENTAURの後継機種がお求めやすくなって登場!

KLON / KTR

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伝説のオーバードライブをブラッシュアップした後継機種KTR

 “伝説の”オーバードライブ、KLON社のCENTAUR(ケンタウルス)は1990年代に登場した。コントロールこそシンプルにGAIN、TREBLE(TONEでないところがポイント)、OUTPUTの3つのみでありながら、一般的なオーバードライブ・ペダルの4倍以上の販売価格、シャンパン・ゴールド・カラーで大きな筐体という、どこを取っても“規格外”なペダルであった。当然、多くの楽器店に並ぶということはなかった生産台数自体も少なかった)が、プロ・ギタリストやビンテージ・トーンを愛する一部のマニアはそのトーンの希少性を見逃さなかった。CENTAURの作り出す音色は、それまでのオーバードライブの延長線上にありながらも絶妙にチューニングされていたのだ。その回路はコピー阻止の目的でモールドされており、簡単に盗み見ることはできず、仮に回路をコピーしても、CENTAURのサウンド……音色というより歪み始める直前のドライブの感触や歪みの立体感/奥行き……を再現することは難しいだろう。ゲイン・コントロールに同期するクリーン・サウンドとドライブ・サウンドのミックス感や、トレブル・コントロールを可変させた際の絶妙なロー・カット感、そしてヘッド・ルームを広く取ることで生まれるピッキング・ニュアンスと音の開放感など、その後のオーバードライブ・ペダルに大きな影響を与えた仕様を持っている。しかし、多くの人々がCENTAURの音色の素晴らしさに気づいた頃、製作者のビル・フィネガンは生産を中止する(2009年)。これにより市場ではCENTAURの価格が高騰し、まるで60年代のビンテージ・ペダルと同じように、入手が非常に困難になってしまった。

 このKTRは、2012年にKLONからオフィシャル・リリースされたCENTAURの後継機種となる。後継機種と言っても単なる再リリースではなく、ブラッシュアップされた仕様を持っている。ペダル・ボードにマウントするのに最適な筐体サイズ、外部電源からの供給に使用されるプラグもCENTAURではピン・タイプだったが、一般的なDCインレットに変更されている。そして何よりサウンドが“CENTAUR”であるということ、だ。

KLON / KTR

オーバードライブだけでなくブースターでの使用でも優秀な1台

 CENTAUR神話の一端の音色を味わいつつ、安定して入手が可能となったKTRは大変使い勝手の良いペダルで、さまざまなシチュエーションでサウンドメイクの手助けをしてくれる。動画でもその辺りに触れているので確認してほしい。

 まずは基本的なオーバードライブ・サウンドとしてのインプレッション。心地良いクランチ感はまるで程度の良い70年代のブリティッシュ・アンプのようであり、ピッキングの強弱に素直に反応する。ドライブはそれほど深くないが、トレブル・コントロールとのバランスで歪む帯域をコントロールできる。ブライトな音色にすれば歪み量が増えて聴こえるだろう。もうひとつがブースターとしての使用法。CENTAURと同じく、クランチ状態のアンプにGAINを低めにセットしたKTRを組み合わせることで不要な低域をカットし、音にハリと艶、そしてパワー感を与えてくれる。この使用法はマーシャルやオレンジ、VOXアンプなどとの相性が良いだろう。低域にパワーがあるアンプのインプット前で適度なサウンドのシェイプ(ロー・カットやゲイン・アップ)を行なうことでアンプのポテンシャルをさらに広げてくれる。この使用法はオーバードライブ・ペダルの前にKTRをつなげても適応可能だ。低音がリッチなペダルには特に有効な方法なので、ぜひ試してほしい。

 最後にアウトプット・ボリュームとバッファに言及しておこう。動画でも触れているが、KTRはバッファがオンの状態がデフォルトだ。バッファがオン/オフの音色の違いはKTR単体でチェックするとわかりづらいかもしれない。しかし、自身のシステムに取り込んだり、センシティヴなアンプにインプットすると、その違いは明らか。簡単に言えば、KTRの後ろにいくつかのペダルが配置されたり、アンプへのケーブルが長くなっている場合は、バッファはオンにしておくほうがいいだろう。KTRの後段にファズ・ペダルなどを配置する場合はバッファをオフにしたほうがいい場合もある……基本的にファズはKTRの前に配置するべきだが……いずれにせよ、製作者としてはさまざまなシチュエーションを考慮してバッファード・アウトを推奨している。その意見を素直に聞いてみると、プロのサウンドメイクの秘密がいろいろと理解できるかもしれない。アウトプット(ボリューム)もサウンドメイクの重要なポイントだ。難しい話を抜きにして“KTRがオンの時は音量が気持ち大きく感じる”ということを意識してほしい。できれば“オンの時はかなり大きめの音量”のほうが良い。ピッキングで音量を調節する感覚をもってKTRを使いこなせれば、このペダルのさらなるポテンシャルに気づくことができる。

筐体側面にはバッファとトゥルー・バイパスを切り替えるスイッチを搭載している

 質の高いオーバードライブ・ペダルとして、KTRの正規輸入品/新価格を備えての市場再登場は多くのギタリストにとって願ってもないことだろう。KTRのおもしろさ、音色の良さはぜひKTRを自身のRIGに取り入れて、その事実を実感してもらいたい。

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製品情報

KLON / KTR

価格:¥32,800 (税別)

【スペック】
●コントロール:ゲイン、トレブル、アウトプット、バッファ・スイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター
【問い合わせ】
池部楽器店 http://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/KLON-KTR/index.html
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

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