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- 2024/11/16
KLON / KTR
“伝説の”オーバードライブ、KLON社のCENTAUR(
このKTRは、2012年にKLONからオフィシャル・リリースされたCENTAURの後継機種となる。後継機種と言っても単なる再リリースではなく、ブラッシュアップされた仕様を持っている。ペダル・ボードにマウントするのに最適な筐体サイズ、外部電源からの供給に使用されるプラグもCENTAURではピン・タイプだったが、一般的なDCインレットに変更されている。そして何よりサウンドが“CENTAUR”であるということ、だ。
CENTAUR神話の一端の音色を味わいつつ、安定して入手が可能となったKTRは大変使い勝手の良いペダルで、さまざまなシチュエーションでサウンドメイクの手助けをしてくれる。動画でもその辺りに触れているので確認してほしい。
まずは基本的なオーバードライブ・サウンドとしてのインプレッション。心地良いクランチ感はまるで程度の良い70年代のブリティッシュ・アンプのようであり、ピッキングの強弱に素直に反応する。ドライブはそれほど深くないが、トレブル・コントロールとのバランスで歪む帯域をコントロールできる。ブライトな音色にすれば歪み量が増えて聴こえるだろう。もうひとつがブースターとしての使用法。CENTAURと同じく、クランチ状態のアンプにGAINを低めにセットしたKTRを組み合わせることで不要な低域をカットし、音にハリと艶、そしてパワー感を与えてくれる。この使用法はマーシャルやオレンジ、VOXアンプなどとの相性が良いだろう。低域にパワーがあるアンプのインプット前で適度なサウンドのシェイプ(ロー・カットやゲイン・アップ)を行なうことでアンプのポテンシャルをさらに広げてくれる。この使用法はオーバードライブ・ペダルの前にKTRをつなげても適応可能だ。低音がリッチなペダルには特に有効な方法なので、ぜひ試してほしい。
最後にアウトプット・ボリュームとバッファに言及しておこう。動画でも触れているが、KTRはバッファがオンの状態がデフォルトだ。バッファがオン/オフの音色の違いはKTR単体でチェックするとわかりづらいかもしれない。しかし、自身のシステムに取り込んだり、センシティヴなアンプにインプットすると、その違いは明らか。簡単に言えば、KTRの後ろにいくつかのペダルが配置されたり、アンプへのケーブルが長くなっている場合は、バッファはオンにしておくほうがいいだろう。KTRの後段にファズ・ペダルなどを配置する場合はバッファをオフにしたほうがいい場合もある……基本的にファズはKTRの前に配置するべきだが……いずれにせよ、製作者としてはさまざまなシチュエーションを考慮してバッファード・アウトを推奨している。その意見を素直に聞いてみると、プロのサウンドメイクの秘密がいろいろと理解できるかもしれない。アウトプット(ボリューム)もサウンドメイクの重要なポイントだ。難しい話を抜きにして“KTRがオンの時は音量が気持ち大きく感じる”ということを意識してほしい。できれば“オンの時はかなり大きめの音量”のほうが良い。ピッキングで音量を調節する感覚をもってKTRを使いこなせれば、このペダルのさらなるポテンシャルに気づくことができる。
質の高いオーバードライブ・ペダルとして、KTRの正規輸入品/新価格を備えての市場再登場は多くのギタリストにとって願ってもないことだろう。KTRのおもしろさ、音色の良さはぜひKTRを自身のRIGに取り入れて、その事実を実感してもらいたい。
価格:¥32,800 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。
【使用機材】
使用アンプ1:Fender / 68 Custom Deluxe Reverb
使用アンプ2::Marshall / JVM210H
使用キャビネット:Marshall / 1960A
使用ギター1:Fender / Stratocaster
使用ギター2:Gibson / Les Paul Standard