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デジマート売れ筋リバーブ・エフェクター4機種を聴き比べ! 今、クリエイターが使うべきコンパクト・リバーブ

コンパクト・リバーブ

ギタリストやベーシストに身近なコンパクト・エフェクターは、楽曲制作においても大いに活用されてる。中でも高品位なモデルが拡充しつつあるコンパクト・リバーブは、プレイヤーだけでなくクリエイターからの関心度も高いようだ。今回はトラックメイカーのKoyasに、デジマート売れ筋のコンパクト・リバーブ4機種を使用しデモ・トラックを制作していただいた。これらを導入する際の参考にしていただきたい。

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製品紹介

Free The Tone / AMBI SPACE AS-1R

 定番の「Spring」「Plate」「Room」「Hall」に加え、洞窟の中で演奏しているような残響の「Cave」、複雑な反響パターン設計によって、反射する音域帯にも変化が生じる「Serane」の6種類のリバーブを装備。シンプルな操作でありながら、32ビットCPUデュアル・コアチップと32ビットDSPを搭載し、独自のアルゴリズムにより複雑な残響を生み出すことができる。

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strymon / BigSky

 強力なSHARCプロセッサーと32ビット浮遊演算プロセッシングにより12種類のリバーブを装備。また、キャビネットをエミュレートした周波数特性が得られる“キャビネット・フィルター”や、フットスイッチを長押しするとエフェクトをホールドできる“無限サスティン/フリーズ”などユニークな機能も搭載している。

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Eventide / H9 Max

 空間系エフェクトに定評のあるEventideの“全部入り”と呼ぶにふさわしいモデル。EQ、コンプまでも収録し、今後登場するアルゴリズムも無償でアップデートができる。ギタリストにとってこれ1台ですべてが賄えるといっても良いだろう。また、Bluetooth経由でiOSデバイスのアプリ(無償)からエフェクトのパラメーターをコントロールすることができる。

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BOSS / RV-500

 入力から出力まで、32ビット浮動小数演算/96kHz処理による高音質を実現。同社の往年の名機から最先端なものまで非常にバラエティに富んだ合計12モード21タイプのリバーブを搭載。さらに2つのパッチを同時に使用できるA/B Simulモードや、リバーブと独立して使用できる内蔵ディレイを駆使することにより、さらに自由度の高いサウンドを作り出すことができる。

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Koyasによるデモ・トラックの解説

◎制作環境と検証方法について

▲制作時の主なシステム DAWソフトはAbleton Live、オーディオ・インターフェースはRME FireFace UCXを使用。コンパクト・リバーブ各種はFireFace UCXの入出力端子経由でAbleton Live内の外部エフェクト・デバイスとして使用できるように設定しています。(※参考ページ:『コンパクト・エフェクターをDAWに取り入れよう!』

 デモ・トラックはハードウェアのリズムマシンやシンセをメイン音源として使用し、エフェクトのタイプ別に3つ制作しました。シーケンサーを走らせながらリバーブのトーンやディケイなどのパラメーターを変えていますので、響き方の変化も感じていただけると思います。

 1曲目(トラック1)は定番の“Hall系”、2曲目(トラック2)は残響が美しい“Shimmer系”、3曲目(トラック3)は“Delay系”のテーマにした楽曲を試聴できます。また機種ごとのサウンドを比較できるように、1つのデモ・トラックに対して5バージョン(ノン・エフェクト+4機種)を用意しました。なお、最終的にオンライン・マスタリング・サービスLANDR(https://www.landr.com/ja)でマスタリングを行ない、音量感をそろえています。

トラック1:Hall系で広がり感を出す

▲ トラック1のAbleton Liveセッション画面

主な使用機材
Roland TR-8(リズム)
Pioneer DJ TORAIZ AS-1(ベース)
・そのほか素材ファイル

使用プリセット
Ambi Space AS-1R「Hall」
BigSky「13A Trashy」
H9 Max「F6 Carnegie Hall Algorithm:Hall」
RV-500「10A Arena」

 TR-8の各パートのセンド量をオートメーションを使ってコントロール。リバーブのパラメーターは演奏中に操作しています。TR-8はビンテージ・リズムマシンTR-808の独特な揺らぎが再現されているのですが、残響でその揺らぎが強調されているのがわかると思います。

 今回は4機種ともトーンを操作していますが、Ambi Spaceはディケイも変化させています。H9 Maxは曲の最後だけ空間のサイズを変化させたところ、残響音の音程が上がっていくというユニークな効果が現れていますので、その辺りも注意深く聴いてみてください。

トラック2:Shimmer系で昇天サウンドに

▲ トラック2のAbleton Liveセッション画面

主な使用機材
YAMAHA TG33(パッド・シンセ)
REON Driftbox R(リード・シンセ)

使用プリセット
Ambi Space AS-1R「Serene」
BigSky「40A Articulate」
H9 Max「F1 Shimmer Algorithm:Shimmer」
RV-500「29A Chathedral」

 クリエイターに人気の高いShimmer系リバーブをREON Driftbox Rのみにインサートして使いました。H9 Maxはピッチ・ディケイを操作しましたが、それ以外の機種はパラメーターは変えていません。なお、Ambi Space はShimmerのプログラムがないので似たプログラムを使用しています。

トラック3:Delay系を使ったダブ処理

▲ トラック3のAbleton Liveセッション画面

主な使用機材
XLN Audio Addictive Drums 2(リズム)
Ableton Live 9 Suite内のOperator(ベース)
KORG monotron Delay(リード・シンセ)
・そのほか素材ファイル

使用プリセット
Ambi Space AS-1R「Cave」
BigSky「03A Echo Space(Magneto)」
H9 Max「F3 Space Cathedral Algorithm:Space Time」
RV-500「07B Cheesy Tape」

 各機種にDelay系のエフェクトも搭載していたのでダブ・サウンドを試してみました。Delayが搭載されていないAmbi Spaceは、ダブっぽいプリセットを使いトーンやディケイを操作しています。トーンを絞るとDelayっぽく聴こえて良い感じになりますね。そのほかはTape Echo系のプリセットを選び、RV-500は、名機RE-201をほうふつとさせる実に良いテープ・エコー感が出ています。逆にBigSkyH9 Maxはハイファイなでモダンなサウンドの印象を持ちました。

Total Impression〜総評

Free the Tone Ambi Space AS-1R

 シンプル指向で操作が分かりやすいので、おそらくギタリストに人気なモデルだと思います。トラック2で使用した中では1番透明感がありましたね。またトーン・コントロールによって響き方の変化が顕著にみられました。この機種はトーンを絞った方が良い効果が得られると思います。

Strymon BigSky

 デモトラックでは使用した以外にも秀逸なエフェクトが多く「Cloud」や「NonLinear」などは、打ち込みやクラブ・クリエイターに向いているのではないでしょうか。さらにギター・スピーカーをエミュレートするキャビネット・フィルターをONにすると高域が落ちてやや硬めのギターっぽいサウンドになって面白いです。トラック2の制作時にYAMAHA TG33に通したところ、別物のシンセみたいに一皮むけた音になりました。

Eventide H9 Max

 H9シリーズのハイエンド・モデル。空間系エフェクト全部入りと考えれば妥当な価格帯だと思います。1度に複数のパラメーターを操作する場合は、エクスプレッション・ペダルやMIDIコントローラーを使用した方が良いでしょう。Shimmer系などのピッチ・シフトを使用するエフェクトは特に良くできています。

BOSS RV-500

 何と言ってもRoland/BOSSの過去の名機から最新の空間系エフェクトまでがそろっているのが魅力的。リバーブに求められている標準的なサウンドは一通り網羅していて、トラック3で使用したテープ・エコー系も秀逸でしたね。また、高域と低域でそれぞれ独立して操作できるトーン・コントロールは単純な高域と低域の上げ下げでない音の変化が感じられて面白かったです。

総括

 私の音楽制作で使用するリバーブはプラグイン中心なので、今回のようなハードウェアのコンパクト・リバーブ4機種をそろえての検証はとても面白かったです。やはり、プラグインのようにコントローラーにアサインすることなく、ノブやボタンを使って直感的にパラメーターを操作できるのは大きなメリットだと思います。

 ただし、リアルタイム操作に向いていないパラメーターもあるようで、いくつかの機種でプリディレイ(原音に残響音が追加されるまでの時間)のツマミを触ると一瞬音切れする場合がありました。そのため、ライブ・パフォーマンスなどで使用する場合は、そういった仕様もチェックしておいた方が良いでしょう。

 とは言え、これほどのコンパクトさでありながらラック版エフェクターの名機に匹敵する高品位なサウンドが手に入るというのは、とても魅力的です。それぞれの質感がプラグインよりキャラ立ちしているのもAD/DAを含めてトータルで設計されているハードウェアならではだと思います。

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製品情報

Free The Tone / AMBI SPACE DIGITAL REVERB AS-1R

価格:¥38,000 (税別)

【スペック】
●プリセット数:4●入力インピーダンス:INST 1MΩ以上 / LINE 300kΩ以上●出力負荷インピーダンス:10kΩ以上●最大入力レベル:INST +3dBm / LINE +11dBm●コントロール:PRE DELAY, DECAY, TONE, MIX, MODE, INST(-10dB)/LINE(+4dB)レベル切り替えスイッチ, KILL DRYスイッチ●端子:1/4インチ標準フォーン・ジャック×4 L(mono)/ R INPUT, L(mono)/ R OUTPUT, DIN 5PINコネクター(MIDI IN), DC9V入力ジャック(ACアダプター接続用)●電源:DC9V 専用ACアダプター(FA-0905D-JA)●消費電流:280mA(最大値)●サイズ:120(W)×102.3(D)×74(H)mm ※フットスイッチ、ジャック等の突起物含む●重量:約385g(付属品を含まず)●付属品:保証書, 取扱説明書, 専用ACアダプター(FA-0905D-JA), ゴム足×4
【問い合わせ】
フリーザトーン http://www.freethetone.com
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strymon / BigSky

価格:オープン

【スペック】
●リバーブ:12(Room、Hall、Plate、Spring、Swell、Bloom、Cloud、Chorale、Shimmer、Magneto、Nonlinear、Reflections)●コントロール:Decay、Pre-Delay、Mix、Tone、Mod、Param 1、Param 2、バンクセレクト、CAB FILTER●入出力端子:ステレオ・イン/アウト、エクスプレッションペダル、MIDIイン/アウト●電源:9VDCアダプター●外形寸法:172(W)x 130(D)x 33(リア49)(H)mm
【問い合わせ】
オールアクセス http://www.allaccess.co.jp/
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Eventide / H9 Max

価格:オープン

【スペック】
●アルゴリズム:45 ●入出力端子:インプット×2、アウトプット×2、EXPペダル、MIDIイン、MIDIアウト/スルー、Mini USB端子 ●電源:9VDC、500mA、センター・ピン(+) ●サイズ:118(W)× 133(D)× 50(H)mm ●重量:700g
【問い合わせ】
LEPインターナショナル TEL:0198-23-6600 https://www.lep-international.jp/
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BOSS / RV-500 Reverb

【スペック】
●サンプリング周波数:96kHz ●AD、DA変換:32ビット ●内部演算:32ビット浮動小数点 ●モード:12種類(ROOM、HALL、PLATE、SPRING、SHIMMER、FAST DECAY、EARLY REFLECTION、NON-LINEAR、SFX、DUAL、SRV、SPACE ECHO)●メモリー:198(99バンク×2[A][B])、297(99バンク×3[A][B][C]) ●規定入力レベル:INPUT A/MONO、B=-10dBu ●最大入力レベル:INPUT A/MONO、B=+8dBu ●入力インピーダンス:INPUT A/MONO、B=1MΩ ●規定出力レベル:OUTPUT A/MONO、B=-10dBu ●最大出力レベル:OUTPUT A/MONO、B=+8dBu ●出力インピーダンス:OUTPUT A/MONO、B=2kΩ ●推奨負荷インピーダンス:OUTPUT A/MONO、B=20kΩ以上 ●バイパス:バッファード/ TRUE(リレー)・バイパス切り替え ●コントロール:Aスイッチ、Bスイッチ、TAP/CTLスイッチ、▼ボタン、▲ボタン、EXITボタン、EDITボタン、MODEつまみ、TIME/VALUEつまみ、PRE-DELAYつまみ、E.LEVELつまみ、LOWつまみ、HIGHつまみ●ディスプレイ:グラフィックLCD(128×64ドット、バックライト付き) ●接続端子:INPUT(A/MONO、B)、OUTPUT(A/MONO、B)端子=標準タイプ、CTL 1、2/EXP端子=TSR標準タイプ、USB COMPUTER端子=USBタイプB、MIDI(IN、OUT)端子、DC IN端子 ●電源:アルカリ電池(単3形)×4、ACアダプター(別売) ●消費電流:225mA●連続使用時の電池の寿命:アルカリ電池=約4.5時間 ※使用状態によって異なります。●外形寸法:170(幅)×138(奥行)× 62(高さ)mm ●質量(電池含む):1.0kg ●付属品:取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、アルカリ電池(単3形)×4、保証書、ローランド ユーザー登録カード ●別売品:ACアダプター(PSA-100S)、フットスイッチ=FS-5U、FS-5L、デュアル・フットスイッチ=FS-6、FS-7、エクスプレッション・ペダル=FV-500H、FV-500L、EV-30、Roland EV-5 ※0dBu=0.775Vrms
【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/
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プロフィール

Koyas
東京を中心に活動しているアーティスト・プロデューサー。DJ Yogurtと共に数々の作品をリリースし、フジロックフェスティバルをはじめとする数々の舞台に出演、曽我部恵一BAND/奇妙礼太郎/ケンイシイ等幅広いジャンルのリミックスを手がけた。2013年に電子音楽における演奏の要素にフォーカスしたレーベル、”psymatics”を設立し、翌年にはCD HATA(from Dachambo)との即興セッションユニットで作品を発表。2015年にはイギリスの伝説とも言えるアーティストThe Irresistible ForceのリミックスEP ”Higher State of Mind”を12インチヴァイナル限定でリリースした。音楽機材や制作に深い造詣を持ち、雑誌やwebメディアに音楽制作や機材についての記事を寄稿・翻訳するなど文化的な活動。2014年に日本人として初のAbleton認定トレーナーの一人となり、東京のAbletonユーザーグループ“Ableton Meetup Tokyo”の発起人として定期的にミートアップを開催している。

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