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- 2024/11/16
BOSS / RV-500 MD-500
BOSSから、DD-500(ディレイ)に続くハイエンド・ペダル、RV-500(リバーブ)と、MD-500(モジュレーション)がリリースされた。32bit/96kHz処理によるハイ・クオリティなサウンドや大型LCDによる抜群の視認性、さらに様々な機能を割り当てられるTAP/CTLスイッチや、ふたつのパッチを同時に使用可能なA/B Simulモードなど、パフォーマンス性の高さが特長となっている。ここでは、2機種の実力を徹底レビューしていこう。
世界初のコンパクト・リバーブを発表した楽器ブランドはBOSSだった。日本が誇るエフェクター・ブランドとして、その認知はギターを始めたばかりの人にも知れわたっている。そしてスタジアム・クラスのミュージシャンの機材リストにも当たり前のように加えられていることが、まさにあらゆる現場で“BOSSの音”
また、大型LCDの存在やパラメーターがわかりやすくまとめられているおかげで、直感的にサウンドメイクが行えるのも魅力だ。おおまかなサウンドの傾向をモードで設定(例えばROOMやHALLなどの切り替え)したあとは、LCDに表示される情報のわかりやすさもあって、求めるサウンドに向けて最短で作り込みが行える印象を持つ。動画ではROOM/HALL/PLATEといった基本的なサウンドに加えて、Rolandの名機であるSRV-2000を再現したものや、バネによる残響を再現したSPRINGといったサウンドを紹介しているが、いずれも自然な残響感が心地良く感じられるはずだ。
もちろん、人気のSHIMMER効果を含むリバーブや、リバース系も用意されているので、トリッキーなサウンドもクリエイトできる。さらに、
そして、それらのリバーブを1バンクにつき2パッチで切り替えて使うことができるのも大きな特徴だ(ちなみに本体設定を変えることで、1バンクにつき3パッチの切り替えも可)。例えば、1曲の中で基本となるメインのリバーブ音を片方にセレクト。もう片方にソロ用や、いわゆる“トバし系/飛び道具系”のリバーブ音をセレクトし、そのふたつをひとつの“バンク”に収めることで、曲ごとに合わせたセクションを組んでいけば“この曲はこのバンク”というルールでリバーブ・サウンドを管理することができる。パッチを切り替えた時にリバーブ・サウンドを残すか/残さないかの設定も可能で、ショートからロングへの切り替え時には残すなど、さまざまな場面に対応可能だろう。
また、ふたつのパッチを同時に使用できるA/B Simulモードも搭載。パッチAとパッチBの接続方法も直列と並列の選択が可能だ。例えば直列の設定にし、前段となるパッチAをショート・リバーブ+薄いディレイにセット、後段のパッチBを深めのリバーブにセットし同時に使用すれば、いわゆる“ラック・システム全盛期”の黄金リバーブ・サウンドをクリエイトできる。個性的なサウンド同士を組み合わせてもおもしろいだろうし、それが圧倒的なサウンド/パワーを生み、新しい表現を生み出してくれることは間違いない。
さらに、筐体右下のTAP/CTLスイッチでは、サウンドをリアルタイムでコントロールすることが可能。リバーブ/ディレイのタイムをセットするTAP機能はもちろん、ほかにも任意でスイッチの動作を設定できるのだ。例えば、このスイッチを踏んでいる間だけリバーブのミックスが深くなる……または一度スイッチを踏むとリバーブ・タイムが短くなり、もう一度踏むと設定値に戻る……などなど、思いのままにRV-500をコントロールすることもできるだろう。
エクスプレッション・ペダルを接続することでパラメーターをペダルでコントロールすることも可能。外部スイッチ(BOSS FSシリーズ)をつなぐことで、バンクのアップ/ダウンなどを外部スイッチでコントロールすることもできる。MIDI IN/OUT端子も搭載しているので、MIDI対応のスイッチャーや外部ペダルから一括してコントロールするシステムにも対応する。
サイズを超えたハイ・スペック、そして高品質なサウンドと表現力を兼ね備えた強力なリバーブ。“世界のBOSS”が切り開いた新しい“ペダル・リバーブの基準”を、ぜひチェックしてほしい。
BOSSは世界に先駆けて、1976年にフロア・タイプのコーラス・ペダル“CE-1”を市場に投入した。このユニットはAC電源で駆動し、ギターやキーボードなど、さまざまな楽器をつなげられるようにプリアンプを搭載。さらにゲイン調整も可能であった。そしてロータリー・スピーカーを連想させる揺らぎを調整するスピードの2段階切り替え(しかも低速から高速へ、揺れのスピードは徐々に変化する)を備えたことで、鍵盤奏者はもちろん、ギタリスト、そしてベーシストにも愛用された。その後もBOSSはフェイザー、フランジャー、トレモロ、そしてビブラートやディメンションといった“揺れもの”を次々にコンパクト・シリーズで生み出し、世界中のさまざまな楽器奏者に愛されてきた。ほとんどの後続ブランドが発表する“揺れもの”は、BOSS製品のサウンドを参考にしていると言っても過言ではないだろう。そんなリーダー・ブランド“BOSS”が、新しい“揺れもの専用機”を発表した。それがこのMD-500だ。
メーカーの製品紹介コメントには“入力から出力まで、32bit浮動小数点演算/96kHz処理による最高水準の音質を実現。最先端のBOSS独自技術で開発されたPRIMEタイプに加え、CE-1 Chorus Ensemble、Roland Dimension D、70年代のビンテージ・フェイザー、80年代に一世を風靡した三相コーラスなどの歴史的な名機も多数搭載しています”とある。PRIMEはコーラス、フェイザー、フランジャー、トレモロ、ビブラートに搭載されているタイプで、コーラスで試したところ、新しい響きと輝き、そして奥行きまでもがコントロール可能で、MD-500ならではの新しいサウンドとなっていた。また“ビンテージBOSS”を体現できるオリジナル・サウンド(コーラスはもちろん、フランジャーやディメンションまで)も各タイプに盛り込まれている。高ビット、高サンプリングレートの“ハイレゾ”ペダルなので、すべてのエフェクト効果やプリセットのアルゴリズムが一新されているのもポイント。さらに、一旦ベースになる音を作ってしまえば、ライブ中でも環境に合わせて直感的にサウンドメイクが行なえる操作性になっている、というのも魅力だ。
そして、それらのモジュレーション・エフェクトを1バンクにつき2パッチ切り替えて使うことができる(ちなみに本体設定を変えることで1バンクにつき3パッチの切り替えも可)。例えば1曲の中で基本となるメインのコーラス音を左側のペダルにセット。曲のバースに使用するトレモロを右側のペダルにセットし、そのふたつをひとつの“バンク”に収め、曲ごとに合わせたモジュレーション・セットを組んでいけば“この曲はこのバンク”というルールでサウンドを管理できる。また、2種類のパッチを切り替えて使うだけでなく、ふたつ同時に使用するA/B Simulモードも搭載。例えば前段(ペダル左)のパッチを激しめのトレモロ、後段(ペダル右)にはエグめのフランジャーをセットし、同時に使用すれば……マシンガン・トレモロにリズミックなフランジングが加わった強力な“オリジナル・サウンド”を作り出せる。
さらにおもしろい機能としてもうひとつご紹介したいのが、インサート・ループ機能を備えている点だ。これはモノラル接続時に使用できる内部ルーティング機能で、IN/OUT端子を使用して外部エフェクターをMD-500の内部に組み込むことも可能。例えばディストーションをインサート・ループにセット。前述のフランジャー+トレモロのプリセットにだけ、ディストーションを追加したらどうなるか?……かなり“ヤバい”サウンドになるはずだ。さらに、ルーティングのポイントを切り替えることもできるので、トレモロとディストーションのように接続の前後での配置関係でエフェクト効果が大きく変わってくるペダルをつなぐ際にとても都合がよく、さらに自由度の高い音作りを実現する重要なポイントになると言える。
さらにRV-500同様、筐体右下のTAP/CTLスイッチでは、サウンドをリアルタイムでコントロールすることができる。モジュレーションの周期をセットするTAP機能はもちろん、ほかにも任意でスイッチの動作を設定することが可能だ。例えば、このスイッチを踏んでいる間だけトレモロのスピードが速くなる……または一度スイッチを踏むことでロータリー・スピーカーの回転スピードが低速から高速へ切り替わり、もう一度踏むと低速回転に戻る……などなど、こちらもMD-500を思いのままにコントロールすることができるだろう。
エクスプレッション・ペダルを接続することで、パラメーターをペダルでコントロールすることも可能。外部スイッチ(BOSS FSシリーズ)をつなぐことで、バンクのアップ/ダウンなどを外部スイッチでコントロールすることもできる。MIDI IN/OUT端子も搭載しているので、MIDI対応のスイッチャーや外部ペダルから一括してコントロールするシステムにも対応する。
サイズを超えたハイ・スペック、そして高品質なサウンドと表現力を兼ね備えた強力なモジュレーション・ペダル。往年のBOSSサウンドだけでなく、ロータリー・スピーカーやヴァイブ系、そしてワウ系や変態フィルター系までもプリセットされている。デジタルならではの複雑な設定やパッチングも可能だが、単体での使用では高品質&クリアなサウンド。ビンテージ系ペダルと組み合わせてもおもしろいだろう。単体でも手持ちのペダル類と組み合わせても、サウンドメイクに必須のかなり“強力”なユニットになることだろう。
価格:オープン
価格:オープン
村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。
【使用機材】
使用ギター1:Fender / Stratocaster
使用ギター2:Gibson / Les Paul Standard
使用アンプ:Fender / '68 Custom Deluxe Reverb
使用ペダル:BOSS / DS-1