先日アメリカのテネシー州で開催されたSUMMER NAMMで、Fenderが2017年下半期の新製品を発表した。エレキやアコギを始め、アンプやアクセサリーなど数多くの新製品が展示されたが、それらは随時日本でも発売される。ここでは、フェンダーカスタムショップの設立30周年を記念した、LIMITED EDITION 2017 MID-YEAR COLLECTIONというニュー・ラインナップのエレキ・ギターを紹介しよう。

　1959年、フェンダーはそれまでストラトキャスターやテレキャスターにメイプル指板を使用していたが、ジャズマスターの登場を機にローズウッド指板（当時はブラジリアン・ローズウッド／通称ハカランダ）を採用し始める。ローズウッドはルックス／サウンドともに多くの支持を集め、フェンダー・ギターの新たなスタンダードとなり、今日に続くまで多くのプレイヤーに愛されてきた。この2017 LTD ’59 STRATOCASTER HEAVY RELICは、その59年製モデルをもとに制作された1本。ニトロ・ラッカー仕上げの2ピース・アルダー・ボディにHeavy Relic加工を施したビンテージ・ライクなルックスが渋い。また、ロースト加工（特殊な高温処理）を施すことによりビンテージ・ギターのような質感を持たせたクォーターソーンのメイプル・ネックも59年型のCシェイプを採用している。カラーは写真のAged Sherwood Green Metallicを始め、Aged Fiesta Red、Aged Olympic White、Wide-Fade 3-Color Sunburstなど、レア・カラーを用意。価格はそれぞれ545,000円。

2017 LTD ’59 STRATOCASTER HEAVY RELIC

　2017 LTD ’50S TELE THINLINE RELICは、ボディに美しいピンクのペイズリー柄があしらわれたシンラインだ。ペイズリー柄のギターが登場したのは1968年。当時世界中で大流行していたヒッピー／サイケデリック・ムーブメントの流れを受け、フェンダー社がペイズリー・レッドとブルー・フラワーという、ド派手なペイントが施された2モデルのテレキャスターを発表したのが始まりだった。しかし当時はあまり人気が出ず、すぐに廃番となってしまう。そのため本物のペイズリー・テレキャスターは流通した本数が少なく、現在ではかなり高額な値段が付けられている。そんなペイズリー柄があしらわれた本器だが、当時のカタログには存在していなかったシンラインにペイントが施されたユニークなモデル。57年型ソフトVシェイプのネックや、クラシック・ロゴが付いたペグなどビンテージの要素も含んでいるが、トーンを絞った際にバランス良く音域をカットするGreasebucketトーン・サーキットが組み込まれたTeleワイヤリングや、Texas Specialピックアップ（フロント）、手巻きのCustom Shop Original Blackguardピックアップ（リア）の組み合わせなど、モダンとビンテージが融合したスペックにも要注目だ。カラーは写真のAged Fiesta Redのほかに、Aged Sherwood Green Metallicも用意。価格はそれぞれ522,000円。

2017 LTD ’50S TELE THINLINE RELIC

　2017 LTD “64 SPECIAL“ STRAT RELICは、ラメ塗装の上からオーバー・カラー・フィニッシュを施したド派手なカラーリングが印象的な1本。本器はモデル名のとおり64年製モデルの仕様を踏襲しており、ピックアップにはカスタムショップ製のハンド・ワウンド’64 Single-Coil Stratをフロントとリアに、同じくカスタムショップ製のハンド・ワウンドRWRP ’64 Single-Coil Stratをセンターに搭載している。しかし、ネックのシェイプは1963年型のCシェイプを採用しているのもおもしろい。カラーは写真のAged Aztec Gold Over Gold Sparkleと、Aged Sage Green Metallic Over Champagne Sparkleも用意。価格はそれぞれ545,000円。

2017 LTD “64 SPECIAL” STRAT RELIC

　ビグスビーB-5ブリッジ&テイルピースが取り付けられた無骨なルックスがクールな2017 LTD TWISTED TELE JOURNEYMAN RELIC。プレイヤーに長年使い込まれてきたような風合いを再現するJourneyman Relicが施されており、新品の状態でも風格漂う1本に仕上がっている。厳選されたアッシュを使用した2ピース・ボディとラッカー塗装の組み合わせ、さらにリフトソーンのメイプル・ネック&ジャンボ・フレットからは、パンチ力のある乾いたサウンドを生み出す。カラーは写真のAged White Blondeに加え、Wide-Fade 2-Color Sunburst、Aged Blue Sparkleの3種類をラインナップ。価格は498,000円（Aged Blue Sparkleのみ545,000円）。

2017 LTD TWISTED TELE JOURNEYMAN RELIC

　2017 LTD ’56 FAT ROASTED STRAT JOURNEYMAN RELICはモデル名のとおり、メイプル・ネックにロースト加工を施し、ピックアップにカスタムショップ製ハンド・ワウンドのFat ‘60s Single-Coil Strat（フロント&リア）と同じくカスタムショップ製ハンド・ワウンドのFat ‘60s RWRP Single-Coil Strat（センター）を搭載したスペシャルな1本だ。内部のワイヤリングはPostmodern Strat Fat 50’s Hookupを使用しており、透明感がありながらビンテージのような太いトーンを実現。さらにボリューム・ツマミを絞った際の高域のロスも軽減してくれる、モダンとビンテージが融合した究極のモデルだ。カラーは写真のAged Blackと、Aged Desart Sandを用意。価格はそれぞれ522,000円。

2017 LTD ’56 FAT ROASTED STRAT JOURNEYMAN RELIC

　こちらはアルダー・ボディとクォーターソーンのメイプル・ネックの両方にロースト加工を施した2017 LTD BLACK ROASTED DUAL-MAG STRAT RELIC。そのため湿度の影響を受けにくくなり、カラッと乾いたサウンドが魅力となっている。ピックアップにはカスタムショップ製ハンド・ワウンドのDual-Mag Stratをフロントとリアに、同じくカスタムショップ製ハンド・ワウンドのRWRP Dual-Mag Stratをセンターに搭載。1〜3弦には面取り処理を施したアルニコⅡのマグネット・ポールピースを、4〜6弦にはアルニコⅤマグネットという2種類の磁石を使用しており、プレーン弦ではメロウなサウンドを、ワウンド弦ではアタック感のあるサウンドを創出する。

2017 LTD BLACK ROASTED DUAL-MAG STRAT RELIC

　なんとホロー・ボディのストラトキャスター、2017 ARTISAN THINLINE KOA STRAT NOSが登場！　ライブでの使用を想定して作られた本器のボディは、ロースト加工されたオクメと4Aのコア・トップの組み合わせに、パーチメントのバインディングが施された美しい1本。ネックはバーズアイ模様が入ったAAAのメイプルで、こちらもロースト加工を施している。ほかにもアメリカン・ブラックウッドを使用した9.5〜12インチ・ラディアスのフラット指板や、ゴールドにアルマイト加工（アルミの表面を保護し腐食を防ぐ処理）された8点止めのピックガードなど、独特のスペックはステージ映えすること間違いなし！

2017 ARTISAN THINLINE KOA STRAT NOS