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- 2024/11/16
SHURE / MOTIV series MV88
長年、国内外のプロの現場で用いられ、高い評価を得ているSHURE(シュア)より、手のひらにすっぽり収まるお手軽サイズながら、簡単な操作でプロ級の音質による録音が可能になるというマイクロフォン、MV88にiOS用マイクが登場。そこで、ここではアコースティック・ギター1本を手に、さまざまなスタイルでの演奏をくり広げている押尾コータローにこのMV88を試してもらった。あらゆる環境下でのレコーディングを体験している彼の耳はどのようにとらえるのだろうか。
SHURE MOTIV series MV88
小型で操作も簡単でありながら、プロレベルのハイクオリティなサウンドが録れるというコンデンサー・マイクロフォン“MV88”。iPhoneなどのApple iOS機器にLightningコネクタを経由して直接マイクロフォンと接続する基本準備を済ませれば、あとはダウンロードしたアプリ“ShurePlus MOTIV”を開くだけでただちに録音可能な状態になるという設計。マイクや録音の設定も、MOTIVアプリの画面に表示される絵柄にしたがうだけで、例えば録音用途に合わせてあらかじめ設けられた5つのプリセット・モード、“スピーチ” 、“フラット”、“アコースティック”、“歌声”、“バンド”から、その状況に応じたボタンをクリックすると、最適なマイク・レベル、ステレオ幅調整、リミッター、コンプレッサーも自動設定。マイクやレコーディングの知識がなくても、アプリに表示される画面を視覚的に操作するだけで本格的なサウンドで録れるのだ。また、難易度の高い、複数のプレイヤーによるアンサンブルや、屋外での演奏なども、24bit/48kHzの高品質なステレオで臨場感たっぷりのサウンドに。さらに動画にも対応したり、録ったデータをwavですぐに配信できる。もちろん、もっとサウンドを追求してみたいという人は、詳細設定で求めるスタイルまで細かい調整ができるなど、いろんなタイプ/用途の方が幅広く使える機能を備えているスグレモノだ。
[Specifications]
●マイク形式:コンデンサー ●トランスデューサータイプ:カーディオイド/双指向性 ●指向特性:ステレオ(幅調整可能)/モノカーディオイド/モノ双指向性/ミッドサイド ●ステレオ方式:ミッドサイド ●ビット深度:16bit/24bit ●サンプリングレート:44.1/48kHz ●周波数帯域:20Hz〜20,000Hz ●調整可能なゲイン幅:0〜+36dB ●感度:-37dBFS/Pa at 1kHz ●最大SPL:120dB SPL ●詳細設定:リミッター、コンプレッサー、5バンドEQ ●DSPモード(プリセット):スピーチ、歌声、フラット、アコースティック、バンド ●使用電源:Lightningコネクタ経由で電源供給 ●外形寸法:67(H)×25(W)×35(D)mm ●質量:40.5g ●システム要件:iOS 10以上
●価格:オープン(実勢市場想定価格:19,200円前後)
僕は音響機器など新しい製品が出たらチェックするのが好きですが、マイクに関してはレコーディングやライブはエンジニアに任せているし、携帯できるマイクについてもあまり知識がなかったんです。スタジオ以外ですぐにデモ音源などが必要な場合は、ボイスレコーダー単体で録音していました。でも、このMV88は、まずデザインがカッコ良くてコンパクト。ケースは丸くてコロンとして可愛いし、持ち運びに対応した機能性は十分。大きさは、手のひらに収まる感じで軽いです。これなら“常にバッグに入れておきたい”って思いますよね。操作もMOTIVアプリをダウンロードして使ってみたら、ものすごくわかりやすかったので試しているうちにだんだん楽しくなってきて、ギターの音だけじゃなく屋外の音を録ってみたりもしました。
MV88はiPhoneにつなぐデバイスですが、iPhone単体でも音は録れるんです。じゃあ、なぜMV88をつなぐのかというと、iPhone単体で録れる音はモノラルだけど、MV88を使うとステレオで録れるという違いがある。それにMOTIVアプリが非常に優れているので、このアプリを併用することで誰でもすぐに説明書を読まなくても録音できて、アプリからヘッドフォンでモニタリングできるのも大きいですね。
僕も最初はiPhoneにMV88をとりあえず差してみて、“これは何のボタンかな?”と探りながら、アプリに表示される絵などを見てマイクを直感的に調整していきました。この表示は非常にわかりやすくて、あんまり悩むことはなかったですね。アプリを適当に触っているうちに簡単に使いこなせるイメージです。例えば、プリセット・モードにあるアコースティック・ギター・マークのボタンを押すと、生の弦楽器の録音がやりやすくなるし、“バンド”のボタンは音の大きな演奏を録る時に使うとオーバーロードしにくくなるので瞬時に失敗することなく録音できます。それと屋外で録った時は、アプリの画面表示を見ながら指向性の幅を変えてみたら、近くで鳴っているギターの音をピックアップして、周りの音もバランス良く録れていました。アプリを使って視覚的に操作できて面白かった。簡単にできるのが何より楽しいです。MOTIV(アプリ)が難しいところを全部やってくれるので、自分の発想を優先しながらワンクリックで調整できるっていいですよね。車での移動中やコンサートの楽屋など、思いついた時に、思いついた場所でギターの音色が簡単にクオリティの高い音で録れるって、すごく嬉しいです。今は音楽を楽しみながら録音や配信している方も多いので、ぜひ動画でも試してみてほしいです。
本記事は2017年7月27日発売のリットーミュージック刊『アコースティック・ギター・マガジン Vol.73』掲載の記事を転載しています。また、発売中の『ウクレレ・マガジン Vol.17』には同じく押尾氏によるウクレレを使ったMV88のレビュー記事も掲載していますので、そちらもぜひご覧ください!
価格:オープン
押尾コータロー
1968年大阪府出身。2002年にメジャー・デビュ〜を果たして以降、アコースティック・ギター1本とは思えない、魅力的な演奏で人気を集め、多くのフォロワーを生んでいる。今年はデビュー15周年目を迎えた。