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ELEKTRON Digitaktが創造する新たなるビート・メイクの世界

ELEKTRON / Digitakt

  • 制作:デジマート・マガジン 撮影:川村容一(扉、ユーザー・レポート)、Kyoka(開発者インタビュー)Text:Kyoka(開発者インタビュー)、Riow Arai(ユーザー・レポート) Powered by ELEKTRON

社員にミュージシャンが多く、常に現場の目線で電子楽器を作っているスウェーデンのブランド、ELEKTRON。1998年に設立されてからリズム・マシンやサンプラー、アナログ・シンセサイザーなどのハードウェアを手掛けてきたが、去る5月にリズム・マシンとしては2014年のAnalog Rytm以来となるDigitaktを発売した。Analog Rytmはアナログ音源を用いたモデルだったが、今回のDigitaktはデジタル音源のリズム・マシン。一体どのような仕上がりになっているのだろう? 開発者インタビューとユーザー・レポートの2本立てで、その魅力に迫ってみよう。

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Digitaktのサンプリングと打ち込みについてのデモンストレーション動画。英語での解説だが作業工程がよく分かるはずだ

【Developer Interview】
開発陣に聞くDigitaktの“強み”

ELEKTRON
Digitakt 78,612円

デジタル音源を採用したリズム・マシン。外形寸法215(W)×63(H)×176(D)mmのボディに、内蔵音源を鳴らすための“オーディオ・トラック”を8つ備えた8ボイス仕様となっている。サンプリング機能を有し、各オーディオ・トラックで最長33秒のサンプルを使用可能。トラックごとのマルチモード・フィルターやひずみエフェクトで音作りが行える。外部のMIDI音源をトリガーするための“MIDIトラック”が8つ備わっているため、音源モジュールなどと組み合わせて使うことも可能。2017年の後半には、本機をDAW環境に統合するためのソフトウェア・スイート=Overbridge for Digitaktがリリースされる予定だ

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 スウェーデン第2の都市、ヨーテボリに本社を構えるELEKTRON。この“Digitakt企画”の実施にあたり、電子音楽家のKyokaがヨーテボリ・オフィスの2人の開発者=ジョン・マーテンソン(プロダクト・デザイン)とサイモン・モァテンソン(アディショナル・デザイン/GUI)に取材を敢行。Digitaktのバックグラウンドを聞き出してくれたので、ここにお届けする。なお、開発者2人からの返事は最終的にE-Mailでまとめて送られてきたため、回答に各人の名前を付さない形で掲載している。

BUGBRAND のシンセなどで音源開発

── まずは開発に至るまでの経緯を教えてください。

 以前から私たちは、シンプルな機材を作ろうと話し合ってきました。そして何年にも渡って培ってきたリズム・マシンやサンプラーへの愛情も相まって、Digitaktはごく自然に開発へと至りました。

── その愛情は、どのようにして培われたのですか?

 我々は2001年にMachinedrumというリズム・マシンを発売しました。それが起爆剤となり、ブランド名が広まったのです。特にシーケンサーやワークフローが脚光を浴びました。シーケンサーに我々最大の武器とも言える“パラメーターロック”機能などを採用したことが、当時は非常に斬新だったのです。以降、リズム・マシンやシーケンサーが我々にとっての重要な基盤となりました。おのずと愛情が深まり、思い入れも強いです。

── Digitaktにデジタル音源を用いた意図とは?

 アナログは既に長い間人気を誇っており、もはや“ハードウェアの定義”と言っても過言ではありません。それに対してデジタルは“コンピューターありきの存在”と見なされつつあるように思います。例えばVSTの技術などは、多くの人が便利で革新的と感じているでしょう。にもかかわらずシンセやエフェクトの後ろに隠れているばかりに、皆そのことを忘れがちであるように思います。とは言え一部では、何がデジタル時代をけん引したのかを回想し始めている人も居て、デジタルにしか出せないサウンドや特徴を必要とする流れもある……1980年代に発売されたYAMAHA DX7がそうであったように。アナログだけでなく、デジタルも最高に楽しいです。だから我々は、Digitaktにデジタル音源を採用しました。

── Digitaktの内蔵ドラム・サウンドは、どのようにして作られたのでしょう?

 アナログ/デジタルの各種ハードウェア・シンセ、そして音楽制作用のソフトウェアを使って作りました。例えばアナログライクなパーカッション・サウンドは、ほぼすべてBUGBRANDのモジュラー・シンセで作っています。また、ビンテージ・パーカッション・シンセPEARL Syncussion SY-1やモジュラー・シンセのBUCHLA 200Eシリーズから作られている音もあります。ソフトについては、ABLETON OperatorやAPPLIED ACOUSTICS SYSTEMS Chromaphone、CYCLING '74 Maxのカスタム・パッチなどを使用。ほかにもさまざまなシンセやエフェクトを用いましたが、既存のリズム・マシンだけは頑(かたく)なに避けました。Digitaktの音は完全に唯一無二であるべきだからです。

分解能の高さを特徴とするノブ

── 開発にかかわった方々について教えてください。

 開発チームは、さまざまな人で構成されています。最高レベルの工学学位を取得した人や元宅配業者など、背景は多岐にわたります。開発にあたってはDigitaktをDAW環境に完全統合させること、オーディオI/O機能の実装に必要なソフトウェア“Overbridge for Digitakt”の開発、新しいハードウェアのデザインが必要でした。そこで自社敷地内に巨大なチームを作り、自分たちだけで開発の全工程を賄えるようにしたのです。

── DAW環境への統合は、ELEKTRON製品のユーザーからのリクエストによるものですか?

 近年の音楽制作にコンピューターは必要不可欠ですが、ハードウェアを使った方が作業がはかどる場合もあります。またハードウェアの音には、“特別な魅力”という優位性も備わっている。今後もDAWのユーザーが大多数を占めるでしょうが、ハードウェアを融合させた制作スタイルには確実に需要があるでしょう。

── ユーザー・インターフェースのデザインはどのように進めたのですか?

 まずはコンセプトを明確にし、スクリーンのGUIをデザインしました。重要視したのは、とにかく楽しく使えるものにするということ。ですから、パラメーターをいかにも技術的な見た目のノブや数字で表すのは避けました。また、この工程でスクリーンに表示させる内容を決め、物理操作子のレイアウトなども考案しています。GUIと物理操作子の組み合わせが、ELEKTRONの機材の“信念”を表していると言ってもいいでしょう。

── ユーザー・インターフェースには、どのような技術的努力を費しましたか?

 最大限の注意を払いながら、足し算よりも引き算の原理で開発を進めました。すべてのメニューとボタンを生かし切るために、時には“引き過ぎないこと”も意識しましたし、メニューの奥底に機能が隠れないよう工夫もしました。またバック・ライトを備えた新しいボタンは、非常に重要な役割を担っています。機能を示すアイコンや文字をバック・ライト・ボタンに描くことで、LEDの数を大幅に減らしつつユーザーをガイドしているのです。ちなみにこのボタンには、とてもハイグレードなメカニカル・キーボード・ボタンを採用しており、ゲーム感覚で扱えます。ノブも特徴的で、実際には無限大のポテンショメーターです。つまり、ほぼすべてのパラメーターが高い分解能で扱えるため、制限を気にすることなくパラメーターの設定を楽しんでいただけます。以上のスクリーン、ボタン、ノブは、すべてDigitaktのためだけに作りました。インターフェースやワークフローのデザインは困難を極めましたが、甲斐あってサンプルの処理作業が簡単になりましたし、複雑な音色の作成やスピーディなビート作りも可能です。Digitaktでは、いろいろな側面を組み合わせることで“1+1”を“2以上”にできるのです。

▲ELEKTRON本社オフィス内に併設されているスタジオの一部。テーブルの中央にはBUGBRANDのモジュラー・シンセがあり、その右隣のコンピューターにはABLETON Liveのアレンジメントビューが映し出されている。写真左奥にあるのはKORG MS-20 MiniやARP Odyss eyなどのアナログ・シンセ。スピーカーは、L/RがDYNAUDIO PRO B M15Aで、センターに置かれているのは同社BM6Aである。このスタジオには世界中の機材がレアなものから最新のモデルまでそろっており、研究熱心さが伝わってきた

▲インタビューに答えてくれたジョンとサイモンが働くオフィスの部屋の作業台。この部屋には、さまざまな機材や道具があり、日々このテーブルの上で実験と試行錯誤がなされている。写真ではテーブルの中央にアナログ・ミキサーのBEHRI NGER Xenyx 802が置かれており、そこから右にかけてデジタル・シンセのELEKTRON Sid Station、アナログ・シンセのARTURIA MiniBrute、ハードウェア・シーケンサーのBeatStep Pro、アナログ・シンセ・ベースのABSTRAKT INSTRUMENTS Avalonなどが見える

インタビューアー:Kyoka

電子音楽の著名レーベルraster-notonにおける初の女性ソロ・アーティスト。2012年以来3作品をリリースしており、ベルリンの伝説的なクラブ、ベルクハインなどでのライブでも高く評価される。2017年3月より“APPLE Shot on iPhone7”のCMに「Hovering」が起用されている。

http://www.ufunfunfufu.com/


【User Review】
ビート・マエストロRiow AraiがDigitaktを導入&チェック!

 ここからはDigitaktの操作方法/使用感に迫りたい。国内外で活躍するビート・マエストロ=Riow AraiがDigitaktを自ら導入したとのことなので、早速レポートしていただいこう。

▲Digitaktのトップ・パネル。すべてのボタンは自照式で、ノブは分解能を重視した“ハイレゾ・エンコーダー”となっている。下部に並んだ1〜16のボタンは“TRIGボタン”と呼ばれており、パターンやトラックにアクセスするためのもの。左のPTNボタンを押している間はパターンの選択モードになり、TRKボタンを押しているときはトラックを選ぶモードへ切り替わる。OLEDスクリーンの右下には、音色エディット用のパラメーターにアクセスできる5つのボタンが配置され、チューニングやフィルター、アンプ・エンベロープ、LFO、内蔵エフェクトなどの調整が可能だ

▲リア・パネルには左から、電源スイッチや電源端子、USB端子(Mac/Windowsとの連携などに使用)、MIDI THRU/OUT/IN、ライン・インL/R、ライン・アウトL/R、ヘッドフォン端子(以上、フォーン)が並ぶ

オーディオ/MIDIを8trずつ扱える

 ELEKTRONの新しいリズム・マシン=DigitaktはOctatrackやAnalog Rytmの長所を引き継ぎつつブラッシュ・アップされ、サイズもコンパクトになり、よりユーザーに親しみやすく、よりパワフルになった印象です。本体で鳴らす8つのオーディオ・トラック(8ボイスのプリセット音源、あるいは最大8つのサンプリング音源などを自由にアサインし、組み合わせて鳴らせる)に加えて、外部のMIDI機器などをトリガー可能な8つのMIDIトラックを備えています。サンプリング機能のメモリーは64MB。外部ソースを本体のライン・イン経由で取り込めるほか、コンピューター内の音をUSB経由でサンプリングしたり、本体内の音源をサンプリングすることも可能です(USB経由のサンプリングには“Overbridge for Digitakt”が必要。後ほど詳述)。そしてサンプルは1GBの+Driveストレージにストックしておけます。

 8つのオーディオ・トラック(“TRIG1〜8”ボタン)ではプリセットおよびサンプルを読み込んで、チューニングやフィルター、アンプ・エンベロープなどで加工できます。また各トラックはオーバードライブを備えるほか、ディレイおよびリバーブといった内蔵エフェクトをセンド&リターンで使用できます。MIDIトラック(“TRIG9〜16”ボタン)では1trあたり最大4声のコードをトリガーでき、コントロール・チェンジを割り当てることも可能。今までのELEKTRON製品と同様にボディは頑丈、ゴム足付きで安定感もあり、プレイ中に揺れ動く心配はないかと思います。また、すべてのボタンにバック・ライトを備え、鮮明なOLED画面で視覚的にも分かりやすく見映えもいいので、クラブでのプレイにも最適かと思います。

▲ハイレゾ・エンコーダーとも呼ばれるデータ入力用ノブA〜Hは、すべすべとした手触り。その下には各種パラメーターにアクセスするためのボタン×5が並ぶ

▲TRIGボタンの一部。Dig itaktの各ボタンは、バック・ライトのほか耐久性の高さが特徴で、5,000万回の押下に耐えられる

音源をさまざまな機能で加工/運用

 プリセット・サウンドは81種類用意されており(OS 1.01)、メインのドラムやパーカッション・サウンドに加えてノイズ系などのSEサウンド、パッドやベースに使えそうなシンセ・サウンドもあります。基本的にはエレクトロニック系全般に対応できそうな印象ですが、ナチュラルなキックやスネアなども用意されているので、ブレイクビーツ風のリズムを組んでみるのも面白いかもしれません。

 チューニングは可変幅が±24セミトーンで、小数点以下は2ケタまであるので、かなり微細な調整が可能です。フィルターはAnalog Rytmとは違いデジタルですが、ハイパス/ローパスのカットオフ、レゾナンス共に想像以上に効きが良くて方式の違いはほとんど気にならず、これがELEKTRONの音だと納得させられます。

 リバースとループの機能もあり、リバース・ループやフォワード・ループという合わせ技も可能。サンプリング音源はもちろん、プリセットに対してもループ・ポイントが設定できます。これらに加えてアンプ/フィルター・エンベンロープやLFOも調整できるので、元の音が何だったのか分からなくなるくらい、一つ一つの音色を納得いくまで追い込めます。“CHROMATICモード”では、音源に音階を付けてプレイすることが可能。TRIGキーがピアノ鍵盤の配置で光るので、とても分かりやすいです。

 プリセット・パターンはバンクAに16パターン入っています(エディット可能)。ELEKTRONのプリセット・パターンは非常に独特というか、オリジナリティにあふれていて、プリセットというよりは1つの作品を聴いてるような感覚になります。また止めるまでループ再生されるので、思わずずっと聴いてしまいます。1パターンの中にいろいろな技が組み込まれてもいるため、手始めにそのクオリティを目標に制作するといいかもしれません。

パターンの入力はGRIDとLIVEの2種

 パターンの作成方法についてはバンクがA〜Hの8つあり、それぞれで16パターンまで作れるため、最大で8×16の128パターン作成できます。ワークフローは、まずBANKボタンとTRIG9〜16ボタンのいずれかを押して、任意のバンクを選択。次にPTNボタンとTRIG1〜16ボタンのどれかを押し、打ち込むところを選びます。

 パターンの長さは、FUNCボタンを押しながらPAGEボタンを押してScaleを選択し、設定します。基本的にTRIG1〜16ボタンのそれぞれを16分音符とすれば、1〜4小節まで設定可能ですが、16×4=64ステップとして変則的なビートも作れます。BPMはTEMPOボタンを押して数値を設定するか、FUNCボタンを押しながらTEMPOボタンをたたいてタップ・テンポでも設定可能。ここでスウィング率を50%から80%の範囲で調整できます。

 パターンの入力モードはGRID RECORDINGとLIVE RECORDINGの2種類。GRID RECORDINGモードはROLAND TR-808のように音色を指定してから任意のグリッドに入力する方式、LIVE RECORDINGモードはAKAI PROFESSIONAL MPCのようにキックやスネア、ハイハットなどキット全体をリアルタイムにたたいて入力する方式、とイメージすれば分かりやすいかもしれません。

 GRID RECORDINGモードのワークフローは、TRKボタンを押しながらTRIG 1〜8ボタンでオーディオ・トラックを選択し、RECボタンを押してからTRIG1〜16ボタンで打ち込むというもの。シーケンスを走らせずに入力していくか、PLAYボタンも押してシーケンスを走らせながら入力していくか、どちらでもOKです。走らせている場合は、TRIGボタンが白く点灯することで現在位置が示され、入力したところは赤く点灯(削除する場合はもう一度押すと消灯)するので視覚的にも分かりやすいです。

 LIVE RECORDINGモードは、シーケンスを走らせながらTRIG1〜8ボタンをたたいてリアルタイムに入力していく方式。任意のパターンを選択後、RECボタンを押しながらPLAYボタンを押せばこのモードになります。視覚的な違いとしては、GRID RECORDINGモードの場合はRECボタンが赤く点灯したままですが、LIVE RECORDINGモードの場合はRECボタンが赤で点滅します。またシーケンスの現在位置は、GRID RECORDINGモードの場合はTRIGボタンが白く点灯しますが、LIVE RECORDINGモード時は赤く点灯し、入力したところが白く点灯します。GRID RECORDINGモードでパターンを作成し始め(ハイハットだけ入力しておくなど)、そこからLIVE RECORDINGモードでキックやスネアなどを入力していくことも可能ですし、その逆もできますので、LIVE RECORDINGモードで入力した後に失敗したところなどをGRID RECORDINGモードで修正していくのもいいかもしれません。

▲GRID RECORDINGモードで、シーケンスを走らせながら打ち込んでいるときの様子。TRIGボタン1〜16の赤く点灯している部分が、ノートの入力されたステップだ。シーケンスの現在位置は白く点灯することで示され、写真ではTRIGボタン2から3にかけて走行していることが分かる

再生中にも音色のエディットが可能

 これら一連の作業は、シーケンスを止めることなく行き来できます。例えば、プレイ中にRECボタンを押せばGRID RECORDINGモードになり、RECボタンを押しながらPLAYボタンを押せばLIVE RECORDINGモード(RECボタン点灯)へと変わります。そして再度RECボタンだけを押せばGRID RECORDINGモード(RECボタン点滅)、さらにRECボタンを押せばRECORDINGモード解除でPLAYモード(RECボタン消灯)……というようにシームレスに変更できるので、RECORDINGモードの使い分けに慣れると作業効率が上がってくると思います。

 シーケンスを走らせながら各パラメーター画面への移動もできるので、チューニングやフィルター、エンベロープ、パンニング、エフェクトなどをエディット可能。また、その操作情報をパターンに記録することもできます。例えば、2拍目のスネアはピッチを上げつつLchへ飛ばし、リバーブをかける。4拍目のスネアはピッチを下げてRchへ飛ばし、ディレイをかけるというようなことも可能。その場合、すべての操作を同時に行うのは困難なので、パターンを走らせながら1つずつ操作を重ねていけばOKです。リバーブのかけ過ぎなど、失敗した場合は同じ個所で再度リバーブを操作すれば、上書きで修正されます。

 GRID RECORDINGモードの場合は、パラメーターを動かしたいオーディオ・トラックを選択し、PARAMETERボタンのAMP/Reverbを選択。2拍目にあたるTRIGボタンを押しながらデータ入力用ノブの“F”でリバーブの値を変えれば、その情報が入力されます。LIVE RECORDINGモードの場合は、スネアがアサインされているオーディオ・トラックを選択し、タイミング良く2拍目のタイミングで操作してリバーブの値を変えれば、その情報が入力されます。PLAYモード(各オーディオ・トラックのミュート操作も含む)およびRECORDINGモードの使い分けとパラメーター操作を駆使し、手が迷わずに動いてくるようになれば、ライブ・プレイにも応用できるでしょう。

 MIDIトラックについては、USB経由でMac/WindowsのDAW環境と統合できる“Overbridge for Digitakt”というソフトウェア・スイートが今年の後半にリリース予定なので、それを楽しみにしつつ、現時点ではリア・パネルのMIDI端子に1980〜90年代の音源モジュールなどをつないでみるのも面白いかもしれません。MIDIトラックは8つあり、8ティンバー/パートの制御が可能なので、8つのオーディオ・トラックと合わせれば合計16トラックになります。アンサンブルとしては申し分ないでしょう。Overbridge for Digitaktが使えるようになれば、可能性はさらに無限大。ELEKTRONのイノベーションとクリエイションのバランスにはいつも驚かされています。

▲内蔵リバーブのエディット画面。プリディレイやディケイ、ハイシェルフEQのフリーケンシー、ハイパス/ローパス・フィルターのフリーケンシー、残響成分の出力音量をコントロールでき、小さな空間から大きなホールまで、さまざまなスペースの響きをシミュレート可能

Riow Arai(リョウアライ)

東京都出身。トラック・メイカー/プロデューサー。1996年から現在まで12枚のアルバムを国内外のレーベルよりリリース。配信/ストリーミング/Bandcampでも作品を発表するほか、リミックス/コラボレーション/サウンドトラックなども手掛ける。最新CDは『HIGH REVOLUTION』。

www.riowarai.com

TOPIC
“Overbridge for Digitakt”とは?

▲Overbridge for Analog Rytmの画面。 Overbridge for Digitaktは現在開発中だが、これと同様にDAW側からパラメーターをコントロールできるようになる

 この企画内に何度か登場した“Overbridge for Digitakt”とは、DigitaktをDAWソフトと組み合わせて使用するためのソフトウェア・スイート。BasicとPremiumの2種類がラインナップされ、Basicは無料、Premiumは69米$/79€でELEKTRON Webショップにて年内に発売される予定だ。

 Basicは、サンプル・マネージャー/ライブラリー機能やMIDI over USB、Digitaktのパラメーターをコンピューターの画面に表示させるための機能などを実装。Premiumには、Basicの全機能と2イン/2アウトのオーディオ・インターフェース機能(Core Audio/ASIO/WDM)、DigitaktをVST/AUプラグインとしてDAWソフトに立ち上げるための機能などが実装される。

 ELEKTRON Web Overbridgeの詳細ページ
 https://www.elektron.se/overbridge-ja/

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