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- 2024/11/16
Gibson Custom Shop / Collector’s Choice #46 Scott Bradoka 1959 Les Paul Aged #9-2023
ギブソン・カスタムが歴史的なビンテージ・ギブソンの個体を完全再現するコレクターズ・チョイス(以下CC)。そのシリーズ#46となる本器は、米国で著名なギタリストとして活躍するバースト・コレクター、Scott Bradoka氏が所有する1959 Les Paul #9-2023を再現したもので、長年使われてきたバーストの凄みが伝わる1本です。今週は、CC#46 Scott Bradoka 1959 Les Paul Aged #9-2023の魅力をご紹介します。
使用アンプ:マッチレスSpitfire '15(ヘッド)+マーシャル1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
Scott Bradoka氏は、プレイヤーとしてもコレクターとしても海外では知られた存在です。複数の1959オリジナル・バーストを所有しているようで、その中でも氏にとってのベストと言える音とネック・グリップを持つバーストが、通称「Kathryn」と呼ばれるシリアル・ナンバー9-2023の個体です。
ギブソン・カスタムではこのオリジナル・モデルを3Dスキャンして細部まで分析し、グリップ形状や長年の使用によって生じたヘッドの欠けた部分まで徹底的に再現しました。もちろん、サウンドに関わる部分の仕様も現代の最高峰であるTrue Historicをベースにしていますから、これ以上は望めないほどの完成度になっています。ピックアップにはカスタムバッカーを搭載し、枯れ過ぎずパワフル過ぎない絶妙のサウンドをアウトプットします。
美しいフィギュアード・メイプルの2ピース・トップはTrue Historicならではのカーブを描き、フェイドした“Bradoka”バーストの色合いも雰囲気満点です。ピックアップ・カバーや、ノブなどのパーツ類ももちろんTrue Historic仕様のものを採用。こうした細かいところがギター全体の表情に大きく影響し、実に“良い顔”をしたギターに仕上げられています。また、エイジド加工のリアルさも素晴らしく、ボディ・トップのクラックや、ネック裏のキズの入り方など、長年使い込まれたバーストの凄みが伝わってきます。そしてScott Bradoka氏がベストと言ったネック・グリップは、1959モデルにしては僅かに薄め。このグリップ感は、確かに病みつきになりそうです!
良いギターは、楽に弾けて音も良いので、弾いていて本当に楽しく、何時間でも弾いていられます。このギターがまさにそれで、動画の収録時間が定められていなければ、ずっと弾いていたいと感じました。筆者が良いギターに出会った時に感じるいくつかのポイントを次に挙げてみます。
・ピッキングとボリュームの操作だけで、音色が自分の声のように変化する
・歪みの深さに関係なく、音に深みがある
・ピッキングのアタック音と感触が心地良いため、1音弾くごとに喜びがある
こうしたポイントは良いギターに共通のものですが、まさに本器もこれに当てはまります。ピッキングするたびに心地良く、強弱をつけると素晴らしい反応を見せてくれる、まさしくそんなモデルでした。さらに本器だけの魅力としては、枯れたニュアンスはありつつ、現代の音楽にも使えるバランスのとれたサウンド(カスタムバッカーと材のマッチングが特に良いのでしょう)と、ネック・グリップが心地良いうえにロールド・バインディング処理が施されているため、初めて弾くのに自分のギターのように弾きやすかった点が印象に残っています。
きっと一生もののギターとはこういう1本のことでしょう。人生のパートナーとなるギターをお探しの方に、お薦めします。
今回紹介した個体のオリジナルを所有するScott Bradoka氏もバースト・コレクターとして知られる、著名なギタリストですが、ここでは同じようにギタリストが所有するオリジナル・レス・ポールを再現したカスタム・ショップ・モデルを振り返ってみましょう。バーストに魅了されたギタリストたちがオリジナルと出会い、再現されるまでのドラマをそれぞれのバーストの表情に垣間見れるかもしれません。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは6月2日(金)更新を予定。
価格:¥1,243,000 (税別)