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- 2024/11/16
Gibson Custom Shop / Collector's Choice #47 1964 Firebird III
ギブソン・カスタムが現存する歴史的に重要な個体を完全再現するコレクターズ・チョイス・シリーズ(以下、CC)に、ついにファイヤーバードが加わりました! CCならではの材選定、作りの素晴らしさ、細部までのこだわりが随所にうかがえる、ファン待望の1本です。今週はGibson Custom Shop Collector's Choice #47 1964 Firebird IIIの魅力をご紹介します。
使用アンプ:マッチレスSpitfire '15(ヘッド)+マーシャル1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
ギブソンは、非常にオーセンティックなギター・メーカーです。同時に、常にイノベーションを起こし続けるメーカーでもあります。その証拠の一つが、ファイヤーバード。1960年代初頭、その時点ですでに長い歴史を持つギブソンが、自動車デザイナーにギターのデザインを任せ、生まれたギターがファイヤーバードでした。その発想と、実際に出来上がったボディ・シェイプには驚かされますが、それ以外にも随所に革新的なアイディアが盛り込まれています。
オリジナルのファイヤーバードは、セットネックではありません。ボディ(中央)とネックを一枚板で成型したスルーネック構造にし、ボディの横に抱えやすく美しいウイングを付けた独特の構造です。ヘッド形状やバンジョー・スタイル・ペグもユニークですし、非常にブライトな音色を持つミニ・ハムバッカーを搭載している点も見逃せません。
このように、個性の塊のようなファイヤーバードですが、オリジナル・モデルは1963年に登場し、65年にはボディ形状が逆パターン(ノン・リバース)になるため、現在ではビンテージ市場に出回ることが極端に少なくなりました。ギブソン・カスタムは、この貴重なオリジナル・ファイヤーバードの音や弾き心地をもっと楽しんでもらおうと、ファイヤーバードの細かい仕様が固まった1964年のモデルを復刻させました。それも非常にレアな、チェリーのファイヤーバードⅢの個体(シリアルナンバー235304)を徹底的に解析し、現代に甦らせたのが本器です。ネックとボディは、もちろんオリジナル同様のスルーネック構造。生産初年度から改良された、高い強度を誇る9ピースのラミネイトという点も、64年のオリジナルと同様です。バンジョー・スタイル・ペグ、ショート・マエストロ・テイルピース、そして赤みが残ったチェリー・フィニッシュの質感まで完璧に再現されています。
ファイヤーバードの愛用者と言えば、ジョニー・ウィンター、アレン・コリンズ(レーナード・スキナード)、クラレンス“ゲイトマウス”ブラウンなど、ブルース・ルーツの個性的なギタリスト達が浮かびます。本器を手にすると、ブライトで抜ける高域や、ハイ・ポジションの弾きやすさから、彼らがなぜファイヤーバードを手にしたのかがわかるような気がしました。それと筆者はかつて1976年製のファイヤーバードを所有していたことがあるのですが、それよりも新品の本器の方が、音も弾き心地もより強いビンテージ・フィールを感じたことも特筆点です。このあたりは、さすがCC!のひとことです。
スルーネック部分はマホガニー/ウォルナットのラミネイト、ボディのウイング部分はマホガニーで、PUはミニ・ハムバッカーですから、これはもうスライド・プレイとの相性が抜群です! スライド以外の場合でも、歪みはクランチ〜軽めのオーバードライブくらいまでのほうが、マッチングが良いようです。
例えばバンジョー・スタイル・ペグひとつとっても最初は少し慣れが必要なように、ファイヤーバードは、誰もが初めから使いやすく感じるギターではないかもしれません。しかし、ファイヤーバードに愛情を持って接すると、その人のトレードマークとなりえる最高のルックス、最高のサウンドで応えてくれます。特に本器は、超レアなチェリーのIIIを上限300本の限定生産で復刻したモデルです。人とは違う、生涯の相棒を探している方に弾いてもらいたいギターです。
今回コレクターズ・チョイスに初めて登場したファイヤーバードですが、もちろん週刊ギブソンでは過去様々なファイヤーバードを紹介してきました。ここでは振り返りの意味も込めて、いくつか紹介していきましょう。シリーズによるスペックの違いや、珍しい限定モデルなど、ぜひファイヤーバードの個性豊かな魅力に触れてください!
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは4月28日(金)更新を予定。
価格:¥813,000 (税別)