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- 2024/11/16
Gibson Memphis 2017
ジャズを始め、ロックやファンクなど、さまざまなジャンルのギタリストに愛されているギブソン・メンフィス製の“ESギター”。今週の週刊ギブソンは、デビュー時にはES-335を、現在はES-275を愛用しているジャズ・ギタリストの小沼ようすけ氏を試奏者に迎え、ギブソン・メンフィス2017年ラインナップの中から注目の3モデルをご紹介します。本企画のために撮り下ろした小沼氏の演奏動画をたっぷりと楽しんでいただき、ギブソン・メンフィスESギターの魅力に触れてください。
本器は、ギブソン・セミアコの代名詞=ES-335の歴史の中でも特に人気が高い1963年製のモデルを再現した1本だ。指板上のブロック・インレイや、50年代のモデルに比べて尖っているカッタウェイの微妙な形状など63年製の外観にこだわり、ビンテージ感たっぷりのVOSフィニッシュで仕上げている。さらに見えない部分においても徹底した作りで、ネックとボディ、およびセンター・ブロックをつなぐ、アディロンダック・スプルース・ブレイシングとトップ材、バック材との接着にハイドグルーを使用。トラスロッドにはチューブレス・タイプを採用し、豊かな鳴りを生み出している。AWG42ワイヤーをアンマッチドで巻いたMHSピックアップ、550Kのマッチド・ポットなどのアッセンブリーも見逃せない。本器は究極の完成度を誇る63年リイシューと言っていいだろう。
SPECIFICATIONS
●ボディ:メイプル/ポプラ/メイプル ●ネック:マホガニー ●指板:ローズウッド ●フレット:22 ●スケール:628mm ●ピックアップ:MHSハムバッカー×2 ●ペグ:クルーソン・デラックス・リング・チューリップ・ボタン ●ブリッジ:ノー・ワイヤー ABR ●カラー:シックスティーズ・チェリー(写真)、ヒストリック・バースト
●価格:¥610,000(税別)
これはもう新しいギターを弾いている感覚じゃないですね
僕はES-335をメインで使っていた時期が長いので、このギターを手にした瞬間に、まずは“久しぶりだな”と思いました。やっぱり335特有のアタック感があるので、仲良くなるのに1秒もかかりませんでしたね。そのうえで新鮮だったのは、これはもう新しいギターを弾いている感覚じゃなかったんです。僕はメインで使ってきた90年代後半製の335以外にもいろいろな335を弾く機会があったのでよくわかるのですが、このギターの音の立ち上がりの速さはビンテージに非常に近いです。ネックのグリップも最初からすごく手に馴染むし、新品でこの感じが出せるのはすごいですよね! 僕の335も時間や経験とともにサウンドが大きく変わっていったので、このギターも時間が経つとさらにどう変わるのか、非常に楽しみです。
セミアコの名器ES-335と、エレクトリック・ギターの名器レス・ポール─ギブソンが誇る2大名器のハイブリッドがESレス・ポールだ。外見上はレス・ポールに極めて近いが、構造はリム(ボディ・サイド)をトップ&バックで挟んで接着し、内部にはセンター・ブロックとブレイシングを持つセミ・アコースティック構造。そのサウンド、プレイアビリティは、まさに名器2本のいいとこ取りだ! ES-335のような箱鳴りとセンター・ブロック特有の芯のある音、そして小ぶりなレス・ポール・シェイプのボディによる取り回しの良さと、ボディが小さいことによるハウリングへの強さ、歪みへの強さをあわせ持つ。本器は、鮮やかで深みのあるブルーのフィニッシュが美しいモデルだ。
SPECIFICATIONS
●ボディ:メイプル/ポプラ/メイプル ●ネック:マホガニー ●指板:ローズウッド ●フレット:22 ●スケール:628mm ●ピックアップ:MHSハムバッカー×2 ●ペグ:クルーソン・シングル・リング・チューリップ・ボタン ●ブリッジ:ABR-1 with チタニウム・サドルス ●カラー:ブルー・ステイン
●価格:497,000円(税別)
自分の中にない新しいフレーズが生まれてくるギター!
僕はレス・ポールよりは335派なんですが、これはおもしろいですね。まず十分な箱鳴りがあること。生で弾いているとアコースティックの要素が強く、もしかすると335より箱鳴りしているかもしれません。そしてアンプに通すと335よりエレクトリックらしいニュアンスを感じたので、動画ではそれに触発されて歪ませて弾いてみました。ボディが小ぶりなせいか、音の立ち上がりが335よりも速いんですよ! これを弾いていると自分の中にない新しいフレーズが生まれてくるようで、とても新鮮な感覚になります。新しいスタイルを持ったプレイヤーに弾いてみてほしいですね。それと、このフィニッシュは海に太陽の光が当たっているような色で、今の自分にも合っているような気がします(笑)。
新しいスタイルのフル・アコースティック・ギター、ES-275。“L-5ほど大きくなく、指弾きも行なう柔軟なプレイヤーが扱いやすく、ギブソンらしさを失わないギター”というコンセプトで開発された。ちなみに開発時に想定されたギタリストその人が、小沼ようすけである。ES-275はトラディショナルなL-5をベースにした構造ながら、フィット感に優れたES-335のような薄型ボディを採用。そこに59レス・ポール・シェイプのネックをセットして演奏性を高めている。ES-275には2タイプのモデルがあり、ひとつはより豪華な仕様でES-355を思わせるES-275 Figured、もうひとつは少しシンプルな仕様でES-345を連想させるES-275だ。どちらも装飾類だけでなく、指板材、テイルピース、ペグなども異なるため、そのサウンドにも違いが出てくる。
SPECIFICATIONS
●ボディ:メイプル/ポプラ/メイプル ●ネック:マホガニー ●指板:リッチライト ●フレット:22 ●スケール:628mm ●ピックアップ:MHSハムバッカー×2 ●ペグ:ミルク・ボトル・グローバー・ロトマチック ●ブリッジ:ABR-1 with チタニウム・サドルス・アンド・ローズウッド・ベース ●カラー:モントルー・バースト(写真)、ダーク・ビンテージ・ナチュラル(指板:リッチライト、ペグ:ミルク・ボトル・グローバー・ロトマチック)
●価格:【モントルー・バースト】553,000円(税別)、【ダーク・ビンテージ・ナチュラル】576,000円(税別)
響き、粘り、サステインすべてにおいてちょうどいいギターです
ES-275の魅力はアコースティックな響きを持ちつつ、335が持つ粘りやサステインもミックスされているところですね。例えばフルアコのES-175とセミアコのES-335の中間の感じのギターって、これまでになかったと思うんですよ。それを実現した“すべてにおいてちょうどいい”ギターだと思います。僕は2004年にベーシストのリチャード・ボナと録音したことをきっかけに奏法を指弾きに変えたんですが、そうするとギターの好みもだんだんと変わってきて、その頃に“こんなギターがあったらいいな”という話をギブソンの方としていたんですよ。それが10年以上の時を経てES-275という形になって、本当にうれしいです。僕が普段使っているのはフェイデッド・チェリーのES-275なんですが、今日弾いたES-275 Figuredのほうが見た目、サウンドともによりシブい印象ですね。
ギブソンと僕の関係はまだまだこれからも、新しい形を作りながら続いていきそうです
1963 ES-335は、本当に“335再発見!”という感じでした。335の音の立ち上がりや弾きやすさはそのままなんですけど、最初からビンテージみたいな音が出て素晴らしかったです。それから335はダブル・カッタウェイのせいか、コードを押さえてネックごと揺らしてかけるビブラートがやりやすいことも改めて発見できました。自然とそういう表現が出てきたので、やはり体が弾き方を覚えているんですね。ESレス・ポールも本当におもしろかったです。アコースティックな鳴りのうえに歪みがフワッと乗っていく感じは335でも得られなかった経験でした。アタック感も“新しいな”と感じましたし、本当にこれは今の時代だからこそできるギターというか、圧倒的な新しさを感じましたね。それから275もESレス・ポールもそうなんですが、弾き手にインスピレーションを与えてくれるという点で、おもしろい、新しいギターだと思います。
今日弾いた3本は音もアタックの出方もそれぞれ違ったんですが、“ギブソンが継承している何か”が確実にあって、3本とも違和感なく弾けたのがすごいなと思いました。自分は好きなギターを1本に絞ってしまうタイプなので、3本すべてを自分のギターのように弾けたことに驚いています。今日は335の再発見があり、275の再確認があり、そしてESレス・ポールの新しい出会いがありました。335の写真を壁に貼って練習していたところから始まったギブソンと僕の関係は、まだまだこれからも新しい形を作りながら続いていきそうです。
最新作『Jam Ka Deux』を発売を記念してbillboard大阪、BlueNote名古屋&東京を巡るツアーが決定!
“グォッカ”のカリビアン・リズムとジャズを融合させた本作の魅力を存分に楽しんでください!
・4月25日(火)billboard LIVE OSAKA
・4月26日(水)NAGOYA BlueNote
・4月29日(土)BlueNote TOKYO
◎ツアー詳細はYosuke Onuma Official Websiteにて!
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは4月21日(金)更新を予定。
価格:¥610,000 (税別)
価格:¥497,000 (税別)
価格:¥553,000 (税別)
おぬま・ようすけ
1974年生まれ。秋田県出身。独自のフィンガーピッキングを追求するジャズ・ギタリスト。2001年に『nu jazz』でメジャー・デビューし、世界各国でライブを行なっている。最新作は“グォッカ”とジャズを融合させた『Jam Ka Deux』。