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- 2024/11/16
Gibson Acoustic / Eric Church Hummingbird Dark
1960年、ギブソン初のスクエアショルダー・モデルとしてデビューしたハミングバードは、J-45と並びギブソンを代表するフラットトップ・モデルとしてキース・リチャーズを始め多くのアーティストに愛用されてきましたが、今回はカントリー・ミュージック・シーンを代表するシンガーソングライター、エリック・チャーチの“ハチドリ”をご紹介しましょう。
2006年のデビュー以来、カントリー・ミュージックのヒットチャートを賑わせ続けているシンガーソングライター、エリック・チャーチ(Eric Church)のシグネチャー・モデル“ハミングバード・ダーク”が、モンタナから届きました。アーティストの個性を色濃く反映するそのルックスはエッジが効いていて、ステージ映えすること間違い無しのこの1本、詳しく見ていきたいと思います。
シトカ・スプルースのトップは、トランスルーセント(半透明な)・バーストというフィニッシュが施され、外側が濃いブラックですが、内側には綺麗な木目が覗きます。サイド&バックはマホガニーというハミングバードの伝統を受け継ぐ木材の選択ながら、これまでにないダーク・カラーで統一されたボディに目を惹き付けられます。黒いバインディングにポジションマーク、そしてピックガードに赤で描かれたハチドリや花の装飾が、このギターが特別な存在であることを証明しているようです。
ギブソンのスクエアショルダー・タイプのギターを代表するハミングバードですが、本器は通常のモデルよりも若干薄めのボディ厚が採用されています。抱えてみると、その僅かな差による安定感・取り回しの良さが、プレイアビリティに大きな恩恵をもたらしていることに気が付くでしょう。
スプルース・トップとマホガニー・サイド&バックの組み合わせは、低音から高音までトーンのバランス感が非常に良く、12フレットのハーモニクスを交えての優しい3フィンガーから、ロックを感じる3コードのストロークまで、カントリー・ミュージックに限らず様々なジャンルで演奏できるポテンシャルを持っています。
また、薄めのボディは、弦を弾いてから音が鳴るまでのリアクション・スピードが速く感じられるため、コードを弾きながら歌うシンガーにも最適だと思います。加えて、薄いボディはステージでのハウリングにも強いため、ステージ志向のライブ用ギアと呼ぶこともできるでしょう。
そして本器には、L.R.バッグスのアクティブ・ピックアップ、エレメントVTCが標準搭載されています。ガッツのあるストロークから甘いメロディ弾きまで、幅広いサウンドの振り幅を持つこのギターの音色を余すことなく、ナチュラルなステージ・サウンドを得ることができるでしょう。レビュー動画では、マイク、ピックアップ、その両方のバランスを調整したもの、それぞれの音色を比較頂けますので、ぜひチェックしてみてください。
サウンドホールの中を覗くと、トレードマークの帽子とサングラスを身につけたエリック・チャーチの姿が見えます。カントリー・ミュージシャンの男らしさ、土臭さをビシビシと感じる本器ですが、だからこそ、女性シンガーが眩しいスポットライトの中、このギターを弾いていたら、相当に格好良いのではないでしょうか?
暗闇の中で鮮やかな光をともなって羽ばたくハチドリの音色を、ぜひ一度体感してみてください。
週刊ギブソンでは、これまでにも2016モデルのHummingbird Standard、60年代のビンテージ・ハミングバードのサウンド、ルックスを徹底的に追求したHummingbird Vintageなども紹介してきました。今一度そのサウンドの違いをチェックしてみてください!
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは2017年3月24日(金)更新を予定。
価格:¥497,000 (税別)
エバラ健太
えばら・けんた●1983年、東京都出身。地元と第2の故郷徳島を拠点に、全国各地を旅する弾き語りシンガー/ソングライター。作詞・作曲だけでなくアレンジ・録音・ミックスまでを自ら手がける。的確なギター・ワークと歌唱によるオーガニックなサウンドを、デジタルマシンで即興的に加工しながら情緒的に歌い上げるライブは、既存のジャンルにカテゴライズされない新しい音楽シーンの幕開けを予感させる。自身の活動の他、CM、TVなど、さまざまなレコーディングにも参加。Morris FingerPicking Contest 2015にて最優秀賞、オリジナルアレンジ賞を受賞。最新ソロ・アルバムは初のフィンガー・ピッキング・アルバムとなる『7』。