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- 2024/11/16
BOSS / CE-2W(Chorus)〜技 WAZA CRAFT〜
初めてBOSSを買ったのは高校1年生。1981年くらい。フェイザーですね。もちろん、その後OD-2やMT-2などの歪み系なども買いましたよ。僕はエフェクターの自作を中学生の頃からしているんですけど、MT-2の登場は革命的でした。回路にアクティブ・トーン・サーキットを、EQにフリケンシー・ツマミを搭載していて、中域をすごくいじれるようになっているんですよね。それからほかのメーカーが同じような仕様の歪みエフェクターを出し始めたんです(笑)。僕もMT-2をアレンジしたものを作ったことがありましたけど、すごく難しかった。それまでのディストーションの常識を打ち破るような豪華な回路を、あの小さな筐体に収めるのが大変でしたね。でも、かなり参考になりました。
僕は以前CE-1を持っていたんですけど、CE-2WのCE-1モードのコーラスは実機と同じ音がしましたね。それと、CE-1のビブラート・モードがものすごく良いんですよ。ユニ・ヴァイブ系のビブラートよりももっと気持ち悪く、なおかつ音楽的なサウンドなんです。とてもアナログらしい太い音で、“これは今までのコンパクト・エフェクターとは違う”と思いましたね。普段はビブラート・モードにして、クリーン気味のアルペジオを弾く時に使います。最近手に入れたので、今後はレコーディングでも使おうかなと思っていますね。
一番好きなのはPSM-5。僕はボードの中のエフェクターをすべてループさせて、アンプ直の音と一瞬で切り替えられるようにループ・スイッチャーとして使っています。それと、これはバッファーが良いんですよ。僕はいくつもエフェクターを自作してきたからわかりますけど、BOSSは本当に教科書どおりのハイ落ちしない良質なバッファーだと思っています。
BOSSはハズレがないんですよ。音が破綻していないから、どのエフェクターも必ず使いどころがある。それは手に取るミュージシャン次第でオーソドックスにも、過激なサウンドにもできるし、その振り幅の広さが魅力ですね。僕的には、BOSSは決して無難でもないし、こぢんまりともしていないメーカーだと思っています。要は懐が深いんですよ。だから誰でも扱える音が出せる。なので、僕はこれからもBOSSのお世話になっていきたいと思っております(笑)。
和嶋 慎治(人間椅子)
わじま・しんじ。1965年生まれ。青森県出身。87年に人間椅子を結成。日本の近代文学から着想を得た歌詞とブラック・サバスやキング・クリムゾンを通過したハードなサウンドの融合が話題を呼び、90年にメジャー・デビュー。また、エフェクターにも造詣が深く、自作も手がける。2017年2月には初の自伝『屈折くん』(シンコーミュージック刊)が刊行された。