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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第135回

人気定番J-45史上初のカッタウェイ・モデル、J-45 Cutaway

Gibson Acoustic / J-45 Cutaway

  • 実演・文:エバラ健太 動画撮影・編集:熊谷和樹 写真撮影:八島崇 録音協力:加藤和彦(オンキヨー) 取材協力:Gibson Brands Showroom TOKYO

ギブソン・フラットトップの看板機種として、その発売以降70年以上にわたって多くのギタリストを魅了してきたJ-45。この度、かねてから要望が多かったという同器初となるカッタウェイ・バージョン、J-45 Cutawayがリリースされました。ハイ・ポジションの演奏性が向上したことはもちろん、サウンドにどのような影響がもたらされているのか? 動画ではカッタウェイなしのJ-45と比較しながら、その魅力を紹介していきます。

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さらに使える定番へと進化──J-45 Cutaway

 The Workhorse(馬車馬)の異名をとるJ-45。ギブソン・アコースティック最良の働き手は、1942年にその産声を上げました。バディ・ホリーやブルース・スプリングスティーン、日本では吉田拓郎、長渕剛、奥田民生、斉藤和義、山崎まさよしなどが作り上げた数々の名盤の中にその音を残してきたラウンド・ショルダー・モデルの金字塔。これまで時流に合わせてさまざまな仕様変更がなされてきましたが、誕生から70数年余りを経て、史上初のカッタウェイ・モデルが登場しました。

 材料の選定や装飾はスタンダードなJ-45と同様。ボディ・トップはシトカ・スプルース、サイド&バックはマホガニー。14フレット・ジョイントのマホガニー・ネックに指板はインディアン・ローズウッドです。指板がわずかに丸みを帯びているため、ネックを握った感触は快適そのもの! シンプルなバインディングと飾り気のないサウンドホールのリングは、アコースティック・ギターの長い歴史を生き抜き、勝ち抜いてきた男気を感じさせます。

グローバー・ロトマティック・ペグ

柔らかなカーブを描くベネチアン・カッタウェイ

L.R.バッグス・エレメントのコントローラー

 また世界基準のアンダーサドル・ピックアップ、L.R.バッグス・エレメントVTCが標準装備されている点も現代的なアップデートのひとつ。ボリュームに加え、トーン・コントロールも搭載されているので、細かなフィーリングを逃さないステージングを掌の中のものとしてくれます。

J-45スタンダードとカッタウェイの違い

 そんなJ-45に柔らかな角度でカッタウェイが施されたことで、サウンドやプレイアビリティにどのような違いがもたらされたのでしょうか? まずはローポジション。開放弦の響きを生かしたコード・ストロークをしてみると、豊かな低音や食いつくように歯切れの良い中音域はそのままに、スタンダード・モデルと比べると音全体を包む輪郭のようなものが少しだけクッキリしているような印象を受けました。これはたくさんの音が混じり合うバンド・サウンドの中でも、個性が潰れずに音が立ち、存在感を発揮するはずです。

J-45 Standard

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 また、自分の求める強弱のニュアンスが、リアルにそのままの形で音に反映されるようなレスポンスの良さが感じられます。ストローク主体にシンプルかつプリミティブな弾き語りをするプレイヤーにはスタンダードなJ-45を、伝統的なロック・サウンドに現代風のポップさを兼ね備えたシンガーやバンドにはJ-45カッタウェイを、というチョイスの仕方も良いのではないでしょうか。

 カッタウェイによりハイ・ポジションが使えるということは、指が届きにくい高音でのアルペジオや、高いフレットにカポをしての演奏など、J-45スタンダードでは想像することしかできなかったプレイを可能としてくれます。ハイ・フレットは一般に音程が狂いやすくなりがちですが、本器はピッチ感がとても良く、高いポジションから一気に低いポジションへと移動して、曲の展開や雰囲気をガラリと変えるようなプレイや、20フレットまで駆け抜けていくようなギター・ソロが実現可能なのも嬉しいポイントです。男らしさと優しさが同居したような、強くて甘いハイ・ポジションの響き。もしライトニン・ホプキンスがこのギターを手にしていたなら、どんなテキサス・ブルースが生まれていたか……そんな妄想まで掻き立てられます。

 J-45が到達した、新たなステージ。曲をスタートさせる時に行なう、カウント代わりのミュート・カッティングだけで、“このモデルの意味”を体感できるはずです。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは2017年1月27日(金)更新を予定。

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製品情報

Gibson Acoustic / J-45 Cutaway

価格:¥351,000 (税別)

【スペック】
■ボディ・トップ:シトカ・スプルース ■ボディ・サイド&バック:マホガニー ■ネック:マホガニー ■指板:インディアン・ローズウッド ■ブリッジ:インディアン・ローズウッド ■ペグ:グローバー・ロトマティック ■ピックアップ:L.R.バッグス・エレメントVTC
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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Gibson Acoustic / J-45 Standard

価格:¥328,000 (税別)

【スペック】
■ボディ・トップ:シトカ・スプルース ■ボディ・サイド&バック:マホガニー ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■ブリッジ:ローズウッド ■ペグ:グローバー・ロトマティック ■ピックアップ:L.R.バッグス・エレメントVTC
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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プロフィール

エバラ健太
えばら・けんた●1983年、東京都出身。地元と第2の故郷徳島を拠点に、全国各地を旅する弾き語りシンガー/ソングライター。作詞・作曲だけでなくアレンジ・録音・ミックスまでを自ら手がける。的確なギター・ワークと歌唱によるオーガニックなサウンドを、デジタルマシンで即興的に加工しながら情緒的に歌い上げるライブは、既存のジャンルにカテゴライズされない新しい音楽シーンの幕開けを予感させる。自身の活動の他、CM、TVなど、さまざまなレコーディングにも参加。Morris FingerPicking Contest 2015にて最優秀賞、オリジナルアレンジ賞を受賞。最新ソロ・アルバムは初のフィンガー・ピッキング・アルバムとなる『7』。

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