AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
PROMARK/TXMP420X-AG
1957年の設立以来、多くのドラマーに支持されるスティック・メーカー、プロマーク。2011年にはダダリオの打楽器ブランドとなり、セレクト・バランスやアクティブ・グリップといった革新的なスティックを世に送り出してきた同社が、新しいマイク・ポートノイ・シグネチャー・スティックを発表。仕様、サイズを一新した今回のモデル誕生の裏には、数々のプロジェクトへの参加を経て変化したマイク・ポートノイのドラミング・スタイルと、それに応えるプロマークの挑戦があった。ザ・ワイナリー・ドッグスで来日したマイクへのインタビューを敢行したリズム&ドラム・マガジン2016年7月号のComments On Product企画「PROMARK New Signature feat.マイク・ポートノイ」をウェブ版で掲載!
●サイズ:413mm×14.4mm
●材質:ヒッコリー
●チップ:オーバル(ウッド)
●その他:アクティブ・グリップ
●今回、新シグネチャー・スティックを発表されましたが、スティックを新しくしようと思ったきっかけは何だったのですか?
○ドリーム・シアターをやっていた頃に作った最初のシグネチャー・スティック“420N”は軽めの仕様で、プログレッシヴな音楽にはすごくマッチしていた。でもドリーム・シアターを抜けてから、本当に多くのバンドやスタイルでプレイするようになって、420Nだけでは対応できなくなってきたんだ。特にザ・ワイナリー・ドッグスやツイステッド・シスター、メタル・アリージェンスのようなもっとハード・ロック寄りの音楽にはね。そこでハードな音楽にマッチする、少し重めの新しいスティックが欲しいと思ったんだ。
●新しいシグネチャー・モデルは、いつぐらいから構想を練り始めたのですか?
○大体1年前ぐらいかな。強いバック・ビートを出すために、もう少し一般的なサイズ寄りのスティックに変更しようと思ったところがスタートだね。そして正直に言うと見た目も変えたかった。俺はずっと黒いルックスのスティックが欲しいと思っていたんだ。ついに俺もそれを持つことができたって感じで、本当にクールだよ。
●長年ナイロン・チップのスティックを愛用していたと思うのですが、それをウッド・チップに変更したのには、求めるサウンドの変化などがあったのでしょうか。
○そのアイディアはプロマーク側から提案されたんだ。彼らが言うにはその方がより一般的だって。たぶんウッド・チップを好む人の方が多いんだろう。俺がそれでいこうって思ったのは、それが“420N”との違いの1つになると思ったからなんだ。
●でもサウンドは違ってきますよね?
○もちろん! 俺は左のスティックをチップ側で持つから、右のスティックでライドやハイハットを叩くと特にその違いがわかるね。
●新しいシグネチャー・スティックの特徴として“アクティブ・グリップ”が挙げられると思います。このグリップは体温に反応して、手のひらにフィットするような感覚が得られるそうですが、その感触はいかがですか?
○素晴らしいよ。実は数年前から、スティックが滑らないよう手にスプレーをしていたんだけど、この機能のおかげで不要になったんだ。アクティブ・グリップは熱に反応してグリップ力が強くなるからね。
●アクティブ・グリップによって、よりリラックスして握れるようになったという意見も聞きますが、あなたはどうですか?
○それは本当にそうだと思う。どんなプレイのときでもすごく楽に握っていられるんだ。ただ、最初にプロマークが試作品として送ってくれたスティックは、半分までしかアクティブ・グリップが施されてなかった。さっき言ったように、俺はスティックの片方をチップ側で持つからそれだと意味がないだろう? それでスティック全体にアクティブ・グリップを施してくれるようにリクエストを出して、プロマーク側が見事にそれに応えてくれたんだ。
●ヘヴィなサウンドを求められる現場で、この新しいスティックを使われているとのことですが、手応えに違いはありますか?
○もちろんあるね。今、ザ・ワイナリー・ドッグスのツアー中で、“420X”を使っているけど、こっちの方が重くて、遥かにパワーが得られるんだ。フライング・カラーズやニール・モーズ・バンドをやるときは“420N”を使っているけど、ザ・ワイナリー・ドッグスやメタル・アリージェンスのような音楽には間違いなくこれ(420X)の方がいいね。
●ではこの新しいシグネチャー・スティックをどんなドラマーにお勧めしたいですか?
○スティックっていうのはすごく個人的な好みの問題だから、人によって重さやサイズの好みがあるだろう。もちろん俺はみんなにお勧めしたいけど、何が使いやすいか決めるのはそれぞれだからね。ただ子供の頃の俺は、スティックやシンバル、ドラムは自分のヒーロー達が使っているものを元に決めていた。同じように、このスティックはマイク・ポートノイのファンが試してくれるだろうと思う。それで“使いやすい”って思ってくれたらうれしいね。それにこれだけじゃなく、2つの選択肢(420Nと420X)があってどちらか使いやすい方を選べるわけだからね。
●最後にあなたにとってスティックとはどういう存在ですか?
○楽器を演奏するとき、ベーシストならベースに触れているしキーボーディストならキーボードに触れている。けど、ドラマーはドラムやシンバルに直接触れることはほとんどない。スティックを常に握っているからね。スティックがドラムやシンバルとのコネクション的な役割を担っているんだ。そういう意味で、スティックは身体の延長で楽器の1つでもあると思うね。
本記事はリットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン2016年07月号』のComments On Product企画「PROMARK New Signature feat.マイク・ポートノイ」を転載しています。
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マイク・ポートノイ
Profile●マイク・ポートノイ:1967年生まれ。幼少よりドラムに親しみ、レッド・ツェッペリン、ラッシュなどに傾倒。バークリー音楽大学在学中にMajestyを結成し、1989年にドリーム・シアターと改名すると10枚のオリジナル・アルバムや多数のライヴ作品を発表した。2010年の同バンド脱退後は、多くのバンドで活動を展開し、2016年4月にはザ・ワイナリー・ドッグスとして来日公演を行った。