使用アンプ：マッチレスSpitfire '15（ヘッド）＋マーシャル1960A（キャビネット）
使用シールド：ギブソンInstrument Cable

ビグスビー搭載のロック・テイスト溢れる335
1963 ES-335TDC VOS Bigsby

　ギブソンES-335は、ジャズ、ブルース、ソウル、ロックなど、ジャンルの垣根を越えて、多くのギタリストから愛され続けている名器です。守備範囲の広さが大きな魅力となっている335ですが、その中でもビグスビー搭載器はロック寄りのルックス、サウンドが特徴です。質量が大きなビグスビーを搭載することで、サウンド面でタイトなロー、抜けるハイが出ることもその要因ですが、個性的なルックスが醸し出す雰囲気も重要なポイントです。特に近年では上位機種に当たるES-355のビグスビー付きを、海外ではキース・リチャーズ、国内では生形真一氏が愛用していることもあって、“ES＋ビグスビー=ロック”というイメージが浸透してきているようです。

　本器は、ギブソン・メンフィスの人気機種1963 ES-335TDC VOSにビグスビーを搭載したモデルです。ストップ・テイルピースの同モデルと比較すると、やはりより一層ロックな雰囲気が漂っています。さらに本器の場合は、1963年当時のオリジナルと同様に“CUSTOM MADE”プレートが付けられている点もファンにはたまらないところ。ストップ・テイルピースを標準装備していた1963年当時、オプションでビグスビー搭載のオーダーがあった際に、テイルピースのスタッドの穴をこの“CUSTOM MADE”プレートで隠していたのですが、今回、そのプレートも再現されています。

クルーソン・ダブルリング・ペグ

CUSTOM MADEプレート

ビグスビーB-7搭載

　本器のベースとなる1963 ES-335TDC VOSは、その完成度の高さでギブソン・ファンにはお馴染みのモデルです。指板のブロック・インレイ、少し尖って見えるカッタウェイのホーンなど外観上の再現はもちろん、チューブレス・トラスロッド、アンマッチド・コイルのMHSハムバッカー、550kポット、ハイドグルーによるネックやブレイシング、センターブロックの接着など、サウンドに関係する部分の仕様も徹底的にこだわっています。

サウンド面にも感じるビグスビー効果

　本器を弾いてみて、ビグスビーそのものを使う・使わないに関わらず、ビグスビーを搭載している影響はやはり大きいと感じました。それを搭載したことにより高域がクッキリとし、低域も少しスッキリとしています。そのため、ファンク、ロックなどのカッティングがとても気持ち良く決まります。また、試しにオープンGにチューニングし、クランチでロックンロールなカッティングをしてみたところ、完全にハマりました！　うまい具合に暴れた、ボルトオン・タイプのギターには出し得ないこの音の太さは、弾き手としてはこの上ない快感でした。

　一方ではギブソン・セミ・アコースティックの伝統とも言うべき、ブルージィな音、ジャジィな音も、いとも簡単に出せます。サウンドの良さに加え、指板エッジがロールド・バインディング処理されたネックのグリップ感も心地良く、いつまでも弾いていたい気持ちにさせてくれます。

　サウンド良し、ルックス良し、プレイアビリティ良しの1本。他人とは違う335が欲しい方に、ぜひオススメしたいモデルです。

※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは12月23日（金）を予定。