使用アンプ：マッチレスSpitfire '15（ヘッド）＋マーシャル1960A（キャビネット）
使用シールド：ギブソンInstrument Cable

復活した完全ソリッド・ボディ
レス・ポール・トラディショナル2017T

　歴史あるギター・メーカーとしての“伝統”を守りながら、その“革新”をも担うリーディング・カンパニー、ギブソン。ギブソンUSAは毎年イヤー・モデルを発表し、全世界のユーザーのニーズに合わせた最先端のモデルを開発しています。オリジナル・レス・ポールの血統を色濃く継ぐレス・ポール・トラディショナルTも、今回仕様がアップグレードされました。

　まず2016年モデルでは採用されていたボディのトラディショナル・ウェイト・リリーフが廃止され、完全なソリッド・ボディとなりました。このオーセンティックな仕様を待ち望んでいたファンも多いかと思います。さらに鳴りに関係する部分では、ABR-1ブリッジとアルミ・テイルピースを採用し、合わせて2016年ではテクトイド製だったナットもナイロン製になり、よりビンテージ・ライクな鳴り方となるよう調整されました。ピックアップも57クラシック、57クラシック＋の組み合わせから、バーストバッカー1、2という組み合わせに変更され、豊かな鳴りを余すところなくアウトプットします。

ナイロン・ナット

ABR-1ブリッジ／アルミ・テイルピース

トップハット・ノブ

　演奏性に関する部分では、指板のエッジ部分にロールド・バインディング処理を施し、新品でありながら最初から手に馴染む感覚を味わえるようになりました。フィニッシュは、ヘリテイジ・チェリー・サンバースト（HS）、ハニー・バースト（HB）、そしてこの動画で使用しているアンティーク・バースト（A6）の3色展開。HS、HB、A6という順でどんどん赤みが抜けた色合いになっており、このA6では赤みが抜け切ったカラーが表現されています。この色味が、さらに経年変化するとどうなるのか、楽しみでもあります。

太く、ハイも十分に出るサウンド

　完全ソリッド・ボディになったということで、ユーザーが気になるのはやはり重量だと思います。実際に手にした感覚では、“それほどでもないぞ”という印象です。もちろん個体差もあるかと思いますが、例えば70年代のレス・ポール・カスタムのように、持った瞬間に驚くほど重たいということはありませんでした。

　サウンドについては、さすがにニュー・モデルらしい若々しいニュアンスを持っていますが、ビンテージ・レス・ポールから連なる系譜の上にあることは間違いありません。レス・ポールと言えば、“甘く太い”といった一般的なイメージに加えて、良いレス・ポールはしっかりとハイの成分が出て抜けますが、本器もハイの成分が十分あり、ピッキングのアタックも心地良く出ます。さらに今後弾きこんでいくことで、サウンドの成熟も期待できそうです。

　演奏性については指板エッジの処理が功を奏し、初めからなんのストレスもなく弾くことができます。完成されたモデルだけに手を加えるのは難しいはずですが、それでも毎年ブラッシュアップをしてくるギブソンの姿勢に、改めて脱帽させられる思いです。2017年モデルはすでに店頭に並び始めていますので、最新のLes Paul Traditional Tを、ぜひご自身で体感してみてください。

※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは12月9日（金）を予定。