AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
TOM ANDERSON / Guardian Angel
トム・アンダーソンは1980年代から90年代にかけて、LAのスタジオ・ミュージシャンが多く使用していた経緯もあり、抜群の安定感とサウンド・バリエーションが魅力のギターです。ネック・ジョイントやフレットの加工など、独自のアイディアでギターの鳴りや演奏性を追求し、様々な現場の要求に素早く応えるハイクオリティなギターを作り続けています。今回は2014年の秋に発表された同社初の24フレット仕様で、瞬く間に人気モデルとなったAngelシリーズから、Guardian Angelというピックガードありのモデルを試奏してみました。
◎基本構成
ボディはバスウッドとフレイム・メイプル・トップ、ネックはメイプル、指板はローズウッドという構成で、超高級材を使っているわけではありませんが、材の選定の仕方、ネックとボディの組み合わせ方などが抜群に良く仕上がっています。目標とするサウンドがあり、その音を出すためにはどうするかという考え方でセレクトしているように思えます。ピックアップはハム/シングル/ハム(H1+/SA2/H3+)で、5ウェイのセレクターと“アド・ブリッジ・スイッチ”を搭載。このコントロールにより、かなり多様なサウンドを作り出すことが出来るようになっています。
◎イチ押しポイント!
持った瞬間に納得できるようなバランスの良さで、フレット、ネック、指板などの仕上がりの良さもあり、手に吸い付くような弾き心地があります。フィンガリングをしていても指が引っかかるようなストレスも無く、どんなフレーズでもスムーズに弾けそうな気がします。フレットと弦の接点の部分、フレットの頂点部分を台形に加工する事により弾き心地が格段に良くなっています。この処理は一部のハイエンド・ギターで見かけますが、こういったところまで気を配った作りというのは感動モノです。またフレットはステンレス・スティール製で経年変化が少なく、常にトム・アンダーソンが理想とするサウンドが出せるのも魅力的です。
◎現場で助かる美味しいポイント
アド・ブリッジ・スイッチが非常に優秀です。フロント・ピックアップを選択時にスイッチをオンにすると、ブリッジ・ピックアップが付け足されます。それにより音量が少し稼げるのと、ブリッジ・ピックアップの高域成分が足されるので音抜けも確保できます。単に音量だけが変わるのでは無く、帯域も変化するのでフロントで太めの音を出しつつ、途中から派手な雰囲気に変化することができ、ソロやオブリを入れる時などにも非常に便利です。
◎トータル・インプレッション
弾き心地、サウンド共に抜群でハイエンド・ギターの代表格と評される理由がよく分かりました。A-wedgeと呼ばれる台形形状のネック・エンド+2本ボルト・ジョイントの効果が大きいのか、ボディからネックまでの振動感がダイレクトに手に伝わってきます。またボディのコンター加工や形状、ネックの仕上げなど細部まで作り込みが丁寧で、弾きやすさとサウンドのバランスが絶妙です。常に安定したサウンドを求められるレコーディング、ライブ現場でプロミュージシャンが使いたがるのもうなずけます。
価格:オープン
野村大輔(のむら・だいすけ)
1975年、東京都出身。エレキ・ギター、アコースティック・ギターのどちらも得意とし、歌の良さを引き出し曲に溶け込むようなギターアレンジを得意としている。また、幅広いジャンルをカバーしつつもブルースをベースにしたプレイ・スタイルを持ち味としたギタリスト。15歳からビートルズに憧れアコースティック・ギターを弾き始め、その後ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンなどに影響を受けエレキ・ギターを弾くようになる。様々なバンド活動をしながら10代でギター講師の仕事を開始し、現在ではレコーディング・サポート、ライブ・サポート、作曲、編曲、プロダクト・スペシャリスト、ギター講師、執筆活動など幅広く活動を続けている。