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- 2024/11/16
モニターイヤホン
以前本連載コラムでモニターヘッドホンの聴き比べをお届けしましたが、今回はモニターイヤホンを聴き比べてみました! モニターヘッドホンと比較してあまり定着していない感のあるモニターイヤホンですが、長時間の使用でも頭部への負担がなく遮音性の高さからもイヤホン派を中心に好んで使われているようです。今回は我らがイヤホン☆王子ことたっくんがモニターイヤホンを聴き比べながらご紹介します!
今回の耳ログ!は人気モニターイヤホン一挙聴き比べをお届けします! モニターヘッドホンと言えば定番のSONY MDR-CD900STを始め、多くの定番機種が挙げられますが、モニターイヤホンにはそんな定番機種がまだまだ定着していないのが現状です。今回はモニター用途に最適なイヤホンってどんなものがあるの? という疑問に答えるべく、e☆イヤホンでも人気のモニターイヤホン6機種を聴き比べながら紹介していきましょう。サウンド・バランスや細部のチェック作業に最適なモニターイヤホンがきっと見つかります!
※e☆イヤホンでの販売価格は変動する場合がありますのでご了承ください。
MDR-EX800STは定番モニターヘッドホンMDR-CD900STを、そのままイヤホンにしたようなモニターイヤホンの代表機種です。MDR-CD900ST同様に、ソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同で開発しています。ステージ上でも使用できるように、形状が自由に調整できるフレキシブル・イヤーハンガーと呼ばれる、耳掛け用に最適なワイヤー入りのハンガーで快適な装着感を実現しています。また、最大500mWの高耐入力を兼ね備え、着脱可能なケーブルなどモニターイヤホンに必要な要素を全て持ち合わせたイヤホンに仕上がっています。
モニタリング機としての万能さ、どこでも同じ音でリスニングできることの優位さを感じられるイヤホンです。 遮音性と装着感は他イヤホンと比較すると少し劣る印象ですが、音の正確さはこのイヤホンが随一だと思います。昨今のイヤホンブームに合わせて、イヤホンを使ってマスタリングするのに最適な製品です。
Eシリーズは、audio-technica初のプロ向けモニターイヤホン・シリーズです。2つのダイナミックドライバーを搭載したATH-E40、1基のバランスド・アーマチュアを搭載したATH-E50、そして3基のバランスド・アーマチュアを搭載したATH-E70の3機種をラインナップしています。今回ご紹介するATH−E70は低中高それぞれに1基のドライバーを割り当てたバランスの良いサウンドが特徴のモデル。ステージ上でのモニタリングからスタジオでのミキシング作業まで幅広く使用できるイヤホンです。
モニターとリスニングどちらでも使えそうですが、音がかなり明るい印象で若干の味付けを感じます。ヌケの良さ、音の定位の掴みやすさは抜群。本体自体が大きめなので、耳が大きめの自分にはジャストフィットでしたが、耳の小さい人には合わないように感じました。総じて完成度の高いイヤホンだと思います。
Westoneはイヤモニの始祖とも言えるブランド。バランスド・アーマチュアを採用したイヤホンはWestoneから始まったと言われています。アーティスト用のESシリーズのユニバーサルモデルとして、高い人気を誇るのがUM Proシリーズです。UM ProシリーズにはESシリーズと同等のドライバーが採用されており、3つのドライバーを3Wayで使用するバランスの良いサウンドが特徴。
Westoneのイヤホン・ラインナップの中でも特に高い人気を誇るイヤホンです。全域に渡りクリアでヌケが良く、低域までしっかりモニタリングできるメリハリの効いたサウンドが印象的。また高い遮音性と装着感の良さが両立したイヤホンでもあります。
1997年に発売されたSHURE初のイヤホンE1以降、絶大な人気を誇るイヤホンを世に送り出しているブランド。ウーファーとツィーターとして、バランスド・アーマチュアをそれぞれ1基ずつ、計2基搭載したSE425は、ラインナップ中最もモニタリングに適したモデルと言われています。2010年発売のイヤホンですが、MMCXコネクターによるケーブルの着脱や、ケブラーを編み込んだ断線に強いケーブルなど、現在ではスタンダードとなっている技術も持ち合わせています。
他のイヤホンと比較して、ハイ側がもう少し気持ち良く抜けてほしいと感じました。遮音性がほしい場合はフォームタイプのイヤーピースを使用するとGood。さらに、低域側も遮音される事で、少し厚みが出てくる印象でした。
ETYMOTICは1983年にアメリカ・イリノイ州で設立されたブランドで、聴力技術に関する特許を89個も獲得、音響測定装置、高性能補聴器などを全世界に送り出し、科学者、視聴覚専門医、プロアマ音楽家など、音質を追求する人々に愛用されています。ETYMOTICのイヤホンにはそうした技術が応用されており、トリプルフランジのイヤーピースなどもETYMOTICイヤホンの代名詞となっています。
ETYMOTICの代表的イヤホンER4Sの後継機種に当たる本機は、リケーブルがMMCXコネクター対応になるなど、ER4Sのような気難しさは無くなった印象。シングル・バランスド・アーマチュアながら独特の装着感により、ドライバーから出る音を余すことなく鼓膜に伝える高解像度なサウンドが印象的。バランスが良くボーカルが聴き取りやすいサウンド。
Ultimate Earsは現在では当たり前になりつつある、イヤモニをステージ上で使用するモニタリング方法を確立し、またカスタム・イヤモニだけでなく、ユニバーサルタイプのイヤホンにもファンが多い人気ブランドです。UE5ProはUltimate Earsのイヤモニの中ではエントリーモデルに位置しますが、正規代理店であるe☆イヤホン限定でそのユニバーサルタイプのモデルが登場しました。2基の大型バランスド・アーマチュアを搭載したイヤホンで、中低域を中心とした重心の低いサウンドが特徴です。
イヤモニの試聴機と言えば分かりやすい本機。中低域の再現性は見事の一言に尽きます。どちらかというとステージ上のモニタリングに使用したいイヤホン。特にベース、ドラムの方にオススメです。
ということでモニターイヤホン6機種を聴き比べてみました。それぞれに特徴はありますが、サウンドの好みはそれぞれに違いますので、モニターイヤホンに興味のある方は是非ご自身の耳でもチェックしてみてください。モニターイヤホン選びの参考になれば幸いです!
岡田卓也(おかだ・たくや)
イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」PR本部 本部長。帰省時にイヤホンが断線し、たまたま購入したSHURE E2cでイヤホンにハマる。これまでに試聴したイヤホン・ヘッドホンの数は数千機種に及ぶ。日本人で初めて(おそらく)beats本社やUltimateEarsのラボ見学をしたことが自慢。