AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
PEARL / Masters Maple Reserve(Shell)
今年創業70周年を迎えたパール。独創的なサウンドと高いクオリティの製品で、世界中のドラマーを魅了し続ける。ここでは、リズム&ドラム・マガジン2016年07月号のclose up!=PEARL DRUMS“REBORN”で掲載した、リニューアルし、生まれ変わった製品ラインナップを、4回に渡り紹介していく。最終回は過去3回で紹介しきれなかった最新ラインナップの一部をフィーチャー! また全4回に渡って試奏を行なった村石雅行&Yuumiに今回の試奏を通じて感じたことや“Pearl Drums”との出会いや思い出、魅力などを語ってもらった。
竹川彰人[パール楽器製造株式会社 技術開発課]:新しくなったMastersシリーズのドラムは、従来のシェルとフープを組み合わせた新スペックとなっています。Masters Maple Reserve(MRS & MRV)シリーズは、MX & MRシリーズの頃からの2枚看板であったオール・メイプル6プライ・シェル(7.5mm)と、4プライ+4プライ・レインフォースメントのシェル(5mm+5mm)に、Reference PURE シリーズで“適度な剛性でシェルの特性を生かす”と高評価をいただいているファットトーン・フープを採用しています。その弟分となるMasters Maple Complete(MCT)シリーズは、パールで“等厚材”と呼んでいる、やや薄めのメイプル6プライ(5.4mm)シェルにオリジナルのMastersシリーズで採用していたスーパーフープⅡを組み合わせたものです。等厚6プライ・メイプル・シェルは、前モデルのMasters Premium Legend(MPL)シリーズで採用され、豊かな低域のサウンドに定評がありました。重めのダイキャスト・フープを使った重厚なサウンドに代わって、新しい3シリーズすべてで、よりドラムのレゾナンス(響き)を重視した、ここ最近のトレンドを取り入れた方向性になっていると思います。
Shell:¥656,000(合計価格)
Snare Drums:¥130,000(14"×5")、¥56,000(14"×5.5")
Hardware:¥323,900(合計価格)
[MRV]4ply Maple with 4ply Maple Reinforcement
[MRS]6ply Maple
[Size]Size:22"×18"BD、20"×16"BD、10"×7"TT、12"×8"TT、13"×9"TT、14"×14"FT、16"×16"FT、14"×5"SD、14"×5.5"SD
※スネア・ドラムは別シリーズのもの
Shell:¥208,000(合計価格)
Snare Drums:¥40,000
Hardware:¥124,000(合計価格)
[MCT]Thin 6ply Maple
[Size]Size:22"×18"BD、12"×8"TT、16"×16"FT、14"×5.5"SD
[L→R]BC-150S(¥12,000)、H-150S(¥21,000)、S-150S(¥11,000)、C-150S(¥11,000)
竹川彰人[パール楽器製造株式会社 技術開発課]:150シリーズのハードウェアは、以前からあったBC-100Sや、KATSUJI さん(ガーゴイル、ザ・クロマニヨンズ)に意見をいただいて製品化されたC-100Sというフラット・ベースのシンバル・スタンドを元にスネア・スタンドとハイハット・スタンドまで発展させたものです。好評いただいているリバーシブルの脚部の機構は継続して採用し、今回、持ち運びしやすいよう、ややコンパクトなサイズにしてあります(ハイハット・スタンドはアクションを重視してリバーシブルの機構はなし)。フラット・ベースのハイハット・スタンドは独特の“揺れ”がありますが、さまざまなジャンルのドラマーのみなさんに使ってもらえるよう、ヴィンテージのスタンドよりもしっかりとした踏み心地をねらったのがパールとしての答えです。Sakura(ZIGZO、Rayflower)さん、力武 誠さん、YOHEI(JABBERLOOP)さんにも気に入って使っていただいています。
最後に今回の試奏を通じて感じた“パール新ラインナップ”や、村石&Yuumi両氏の“Pearl Drums”との出逢いや思い出、70周年を迎え、今あらためて感じるパールの魅力などを語ってもらった。
基本はガツン! とくる“暴れ太鼓”。それは確実に受け継がれている。30年間、本番中に一度も壊れたことはない。本当にタフな楽器だと思います。(村石雅行)
パールは一発の説得力、でっかく鳴らせるパワフルなドラムが叩ける楽器だと思う。自分が携わっている音楽が生まれるときに何かしらの形で絶対にお世話になっている。(Yuumi)
村石 今回新しい製品を一気に試奏してみて、いろいろな価格帯やシリーズがあったのですが、どれも一貫してパールの色や音がありましたね。やっぱり基本はガツン! とくる、“暴れ太鼓”なんですよ。僕はそれが好きでずっとパールを使っていて。それは確実に受け継がれていると思いました。
Yuumi 村石さんの言う通り、筋が通った、“パールらしさ”をすごく感じました。しかもその変わらない中にも、より良い製品を作るための姿勢……“チャレンジ”もすごく感じられて。真珠パウダーはとても新鮮でした! 音がきらびやかになるというか……。
村石 アタックがさらに際立つというか、全然変わるんだよね。音の秘密って個人的にはシェルの内側にあると思っていて、このパウダーはそれをすごく感じた。あと、DECADEメイプルの白い塗装は、あの価格帯なのに高級感溢れまくっていましたよ(笑)。しかもオール・メイプルだしね。SESSION STUDIO Classicも録音でぜひ使ってみたいです。
Yuumi 小口径のMIDTOWNも面白かったですね。私は身体が小さいから標準サイズのキットが大きく感じるときもあるんですけど、これは小さいからちょうど良いなって(笑)。しかも小さくてもロー感は損なわれないし、よく鳴るから、標準キットみたいな使い方もできそうだし、まだ背の届かない子供とか初心者にも良いのかもしれないですね。
(おふたりのパールの出会いは?)
村石 78年のカタログが初めて手に取ったものだと思うんですけど、当時中学生くらいでもうずーーっと眺めていましたね。その頃は楽器店に海外メーカーのドラムもあまりなかったし、国内ではパール、ヤマハ、それから新進気鋭のTAMAも出てきた時代で。僕はパールのロックンロールカスタムが欲しかったんですけど、高くて手が出せなかった(笑)。初めて生でパールの音を聴いたのは、つのだ☆ひろさんが地元の熊本にクリニックで来たときで、グリーンのプレジデントを使っていたんですよ。小さめのキットだったのに音がとにかく大きくて、良いなあ〜! と思ったんですよ。そこから僕にとってパールは憧れで。だから初めて自分がカタログに載ったときは本当にうれしかった。最初は名前だけの記載で91年、写真も載ったのは93年で、バンド名はKENSOで載っていたのかな。
Yuumi 初めてパールのドラムを買ったのはいつくらいなんですか?
村石 東京藝術大学を受験するときに14"×5.5"のGAX(メイプル+ファイバーグラス)を買って。ドラム・セットはプロになってから、おニャン子クラブのサポートをするようになってから。メイプルのGXを買いました。
Yuumi 私は最初、周りがみんなパールを使っていたし、地元の沖縄ではパール・ドラマーがクリニックをよくやっていたりで、ドラムと言ったらパールしかないくらいに思っていて(笑)。パールって一発の説得力っていうか、でっかく鳴らせる、パワフルなドラムが叩ける楽器だと思うんです。沖縄で活動していたとき、ライヴ・ハウスには海外のお客さんも多かったから、音の説得力がないと反応してくれないので、常設のパール・キットで、技術よりも“鳴らすこと”を考えたりしていました。初めて買ったパール製品は、フット・ペダルだったんですけど、パールのフット・ペダルはクセもなく王道というか、ドラムを始めたときから浮気せず(笑)、ずっと一貫してパールを使っています。
村石 パールはハードウェアも当時からすごく使いやすかったんですよ。ラックシステムを導入したり、シモンズやロート・タムなんかも使うこともあったから、あれは基本パールじゃないとセットできなかったし。でも、僕はこれまで30年くらいプロで活動させてもらって、ずっとパールを使ってきたんですけど、いまだに本番中に壊れたとかないんですよ。消耗品の交換だけしっかりすれば、まったく問題ないです。日本各地でパーツはすぐに手に入りますし、抜群の信頼感ですね。本当にタフな楽器だと思います。
Yuumi 叩き手のことをよく考えて作っているのがすごく伝わるんです。自分が携わっている音楽が生まれるときに、何かしらの形で絶対にお世話になっているし、そもそもレコーディングはパールから始まっていますし、これからも変わらないところは変えず、もっとぶっ飛んだことにもチャレンジしていただきつつ……(笑)。さらに楽しみです!
村石 パールはスタッフの小回りが利くというか、いろいろなドラマーの意見を柔軟に聞いてそれを反映してくれるんです。それはすごくうれしいですね。僕も散々わがまま言ってローズウッド作ってもらったり(笑)、ちゃんと形にしてくれるんですよ。今後ともよろしくお願いします!
Yuumi よろしくお願いします!
本記事はリットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン2016年07月号』のclose up! 「PEARL DRUMS “ReBORN”」を転載しています。
■表紙特集
ザ・ビートルズ来日50周年記念!
1966年のリンゴ・スター
■close up!
70th Anniversary Specialラインナップが一新! “変革”の70年目に迫る!!
PEARL DRUMS“ReBORN”
■特集
話題のセオリーをドラムに応用
4スタンス理論 for Drummers
価格:¥656,000 (税別)
価格:¥208,000 (税別)
村石雅行
●むらいしまさゆき:1964 年生まれ、熊本県出身。中学時代よりドラムを始める。東京藝術大学在学中にプロとしてのキャリアをスタート。88年にプログレッシヴ・ロック・バンド、KENSO に加入、03年に脱退。現在はFAZJAZ.jpなどのバンド活動に加え、スキマスイッチ、葉加瀬太郎、ももいろクローバーZ、GLAYなど数多くのライヴ/レコーディングに参加している。村石雅行ドラム道場も主宰し、後進の育成にも力を注ぐ。
Yuumi
●ゆうみ:1989年生まれ、沖縄県出身。2005年に4ピース・ガールズ・ロック・バンド、FLiPを結成と同時にドラムを始める。2010 年にミニ・アルバム『DEAR GIRLS』でメジャー・デビュー、これまでにシングル4作、ミニ・アルバム5作、フル・アルバム3作を発表している。FLiP は今年3月のライヴをもって活動休止中で、現在は、minus(-)、真空ホロウ、tricotをはじめ、数多くのサポート・ドラムも務める。