AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
MXR / CSP035 Shin-Juku Drive
MXRカスタムショップと日本のブティック・ペダル・ブランド、Shin’s Musicのビルダーである鈴木氏がコラボレーションした話題のモデル、CSP035 Shin-Juku Driveが発売となった。
これまでのMXRではカスタムショップ・ラインでCSP033 IL Torino Overdriveというモデルを発表している。これはイタリアのブティック・ペダル/アンプ・デザイナーのCarlo Sorasio氏とMXRカスタムショップとのコラボレーション・モデル第1弾としてリリースされ、ドライブ・サウンドに拘る玄人ミュージシャンにヒットした。以前この製品レビューでも取り上げた製品なのでそちらもチェックして頂きたい。
今回ご紹介するShin-Juku Driveは、これまでのMXRブランドにはない、非常にナマナマしく、粘りのあるドライブ・サウンドを持ち味としたコラボ・モデルならではのサウンド・キャラクターを持つ。MXRのペダル製作技術に加えて、超現場主義とも言える鈴木氏のトーン・チューニングが絶妙に交錯し、非常に高品質で、ブティック・ペダルならではのトーンを獲得した。基本的なキャラクターは非常に粘りのある音色で、パワー・アンプ・サチュレーションをイメージさせるクランチ・ドライブが心地良い。トーンをコントロールした際の音色の変化がかなりアンプ・ライクで、感覚的に音色を作り込む事ができるだろう。トーンを開き気味にするとゲイン感もアップするので、楽器と接続するアンプに応じてアジャストしてほしい。
ブリティッシュ・アンプのドライブ感をイメージさせ、同時に速いパッセージにも追従する点などが個人的に気に入った。トーンを少し下げるとねっとりとした質感が顔をのぞかせる。このニュアンスは程度の良いチューブ・アンプをドライブさせた時のそれに近く、ピッキングのニュアンスが非常に出しやすい。レス・ポールなどのハムバッカーでガッツのあるリフを弾きたくなるイメージだ。さらにダーク・スイッチをオンにすると、音色に若干フィルターがかかる。これはシングルコイル・ピックアップでのリード・トーンに最適で、正にバイオリン・トーンと呼べるニュアンス。ゲインをフルにセットしてウーマン・トーンを楽しんでもらいたい。
とにかくセッティングが簡単で、シンプルでありながら王道のロック・サウンドがいとも簡単に手に入る。しかもペダルにかけては世界トップ・レベルのMXRの製作で、かなりコストパフォーマンスも高い。 ペダルボードのメイン・ドライバーとして多くのミュージシャンの足下に君臨する事になりうるペダルだと言えるだろう。良いギターをお持ちの皆さんはぜひ、タメの効いたプレイでこのサウンドを楽しんでほしい。
価格:¥24,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。