Gibson / SG
今週の週刊ギブソンは、ギター・マガジン2016年10月号のギブソンSG特集と完全連動！ 時代のニーズに合わせて進化を続けるギブソン&エピフォン2016年ラインナップから、現行発売されているSGを10モデル紹介。BREAKERZのギタリストであり長年ビンテージSGをメインに携えるAKIHIDE氏を迎えて行なった試奏の様子を、動画中心にてお届けします。新たなSG観が生まれること間違いなし。“レス・ポールのその先”の魅惑の世界へ、いざ。
使用アンプ：Bogner Ecstasy
1961年、レス・ポールはフル・モデル・チェンジを行なった。最終22フレットまで完全に露出したダブル・カッタウェイ、マホガニーのソリッド・ボディなど、実質的にはそれまでのレス・ポールとは異なる新しいモデルが誕生し、それは1963年にSGと改名されるまで、“新しいレス・ポール”と呼ばれていた。このギブソン・カスタムSGスタンダード・リイシューVOSクラシック・ホワイトは、レス・ポールと呼ばれた当時のSGを再現したモデル。ヒストリック仕様ならではの強固なネック・ジョイントを採用し、ピックアップにはカスタムバッカーを搭載。また、グレードの高いマホガニー材を使用していることもあり、甘さの中にもエッジが立った上質なSGサウンドが特徴だ。トラスロッド・カバーには“Les Paul”の文字が刻印されている。
AKIHIDE’s Impression
何十年も経てきたかのような肌触りまで再現しています。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：カスタム・バッカー×2●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：ABR-1ブリッジ＆ストップ・バー・テイルピース●ペグ：クルーソン・デラックス●カラー：クラシック・ホワイト
価格：723,000円（税別）
“レス・ポール・カスタム”と呼ばれていた時代の仕様をエイジドで仕上げたカスタム・オーダー・モデル。トラスロッド・カバー、ネック・エンド下のピックガードには“Les Paul Custom”の文字が刻まれている。ヘッドのマルチ・バインディングとダイヤモンド・スプリット・インレイ、指板のブロック・インレイ、ゴールド・パーツ、マエストロ・トレモロ・テイルピースなどを搭載した最高にゴージャスなルックスが、カスタムの名にふさわしい。ピックアップのセレクターは、フロント、センター＋リアのフェイズ・アウト、リアという配線だ。ピックアップはすべてカスタムバッカーで、指板にはエボニーを採用。状態の良いビンテージを思わせるエイジド仕上げのクラシック・ホワイト・フィニッシュは、気品が感じられるほど美しい。
AKIHIDE’s Impression
最強にロック感、ゴージャス感があり純粋にカッコ良いですよね。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：エボニー●フレット：22●ピックアップ：カスタムバッカー×3●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：ABR-1ブリッジ＆マエストロ・ビブラート・テイルピース●ペグ：クルーソン・デラックス●カラー：クラシック・ホワイト
価格：927,000円（税別）
日本からのカスタム・オーダーによるSGスタンダード・リイシュー。ビグスビーを搭載したことにより、ビブラートをかけられることはもちろんルックス面の個性も際立つ。さらに、ヘッドが下がりがちなSGのウェイト・バランスを改善し、サウンド面でもブライトさを加えるといった副次的な効果もある。ギター本体もヒストリック仕様の良質なマホガニーの使用、強固なネック・ジョイント、ハイドグルー（ニカワ）によるネックおよび指板の接着など、最高の鳴りを生むスペックだ。ピックアップにはカスタムバッカーより低出力なEバッカーを搭載し、メロウなフロントや輪郭のはっきりしたリアなど、ビンテージを意識した美しいトーンをアウトプットする。ボディ・コンターのくっきりとした面取り具合もビンテージ感たっぷりだ。
AKIHIDE’s Impression
僕がSGに抱いているイメージどおりの音が出てくれます。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：Eバッカー×2●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：ABR-1ブリッジ＆ビグスビー・ユニット●ペグ：ニュー・クルーソン・デラックス●カラー：フェイデッド・チェリー
価格：706,000円（税別）
SGスタンダードの2016年モデルには、G Forceオート・チューナーやチタン製ゼロフレット・アジャスタブル・ナットなどの先進機能を搭載したハイパフォーマンス（HP）と、伝統的な仕様に特化したトラディショナル（T）という2機種が存在しており、本器は後者。しかし、決して機能面で劣る低価格版という位置付けではなく、ロック・アイコンともいえる伝統的なラージ・ピックガードSGを踏襲したモデルとして非常に人気が高い。スペックとしてはマホガニー・ネック&ボディ、ローズウッド指板、広すぎず狭すぎないネック幅、パワフルな490Rと498Tのピックアップといった、ロックするために必要十分な要素を採用。モデル名のとおりスタンダードな、良い意味で“普通のSG”が欲しい人にオススメしたいモデル。
AKIHIDE’s Impression
扱いやすいレンジ感と薄めのネックが特徴ですね。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：490R（フロント）、498T（リア）●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：チューン・オー・マティック＆ストップ・バー・テイルピース●ペグ：グリーン・キー●カラー：エボニー、ヘリテージ・チェリー（写真）
価格：192,000円（税別）
この仕様を探していたというSGファンも多いだろう。マホガニー・ボディ／マホガニー・ネック／ローズウッド指板というSGらしい伝統的な材構成に、粘りのあるP-90がよくマッチするのは、ビンテージのSGスペシャルですでに証明されているとおり。ただ、ビンテージ・モデルはブリッジがバー・タイプで、ピッチに不安があるという声も少なくない。本器はストップ・バー・テイルピースにチューン・オー・マティックの組み合わせを搭載し、ピッチに対する不安を解消しサステインも良好。またラージ・ピックガードから吊り下げられたピックアップは高さの調整が可能で、これもビンテージのスモール・ガードSGスペシャルでは追い込めなかった部分だ。深く歪ませた音も良いが、クリーンからクランチでのサウンドは絶品。
AKIHIDE’s Impression
いろいろなニュアンスをギターだけで出せますよ。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：P-90（アルニコ5）×2●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：チューン・オー・マティック＆ストップ・バー・テイルピース●ペグ：グリーン・キー●カラー：ヘリテージ・チェリー（写真）
価格：192,000円（税別）
装飾を排し、その分価格を抑えて高いコストパフォーマンスを実現したのが本モデル。指板インレイをドットに変更、ネックのバインディングやヘッドのクラウン・インレイを省略、サテン・フィニッシュ、オープン・タイプ・ピックアップの採用などが、外観上の相違点だ。実はピックアップも、スタンダードではリアを若干パワフルにしているのに対し、本器は“490R＆490T”とバランスのとれた組み合わせとなっており、どちらが良い／悪いということではなく、異なる個性を持つサウンドに仕上がっている。伝統的なネック幅に薄めの60’sプロファイル・グリップを組み合わせたネック・シェイプ、オイル・トリートメントを施した指板、PLEKシステムによる精度の高い仕上げなど、プレイアビリティは万全だ。
AKIHIDE’s Impression
激しいプレイがしたくなるモダン寄りのSG。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：490R（フロント）、490T（リア）●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：チューン・オー・マティック＆ストップ・バー・テイルピース●ペグ：グリーン・キー●カラー：ウォーン・チェリー、ウォーン・ブラウン（写真）
価格：109,000円（税別）
ミニ・ハムバッカーを搭載し、新鮮な印象を受ける2016年のSGスペシャル。マホガニー・ボディ／メイプル・ネック／ローズウッド指板というマテリアル構成とミニ・ハムバッカーの相性が抜群で、キレが良いのに耳に痛くない絶妙のハイが心地よいモデルだ。ルックス的にもスモール・ブロック・インレイとカバードのミニ・ハム、新しくデザインされたピックガードがうまくマッチし、引き締まって精悍な印象。G Forceオート・チューナーやチタン製ゼロフレット・アジャスタブル・ナットなどを備えたHPモデルもあるが、TもHPもリーズナブルな価格設定となっており、その実力を考えればコストパフォーマンスは非常に高い。すでにSGを持っているという人が、サブとして入手するのもオススメだ。
AKIHIDE’s Impression
通常のSGとは違うプレイが自然に出てくるような1本。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：メイプル●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：495R（フロント）、495T（リア）●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：チューン・オー・マティック＆ストップ・バー・テイルピース●ペグ：グリーン・キー●カラー：サテン・チェリー、サテン・エボニー、サテン・ビンテージ・サンバースト（写真）
価格：109,000円（税別）
SG Nakedは単なるビンテージ・リイシューではなく、SGに新たな価値を提供するニュー・モデルだ。一見すると素っ気ない印象を与えるほど武骨なルックスも個性があるが、それと同じくらいサウンドも個性的。同じP-90を搭載したSGスタンダード P-90と比べると、ピックアップがボディに直付けであること、グローバー・ペグの採用、サテン・フィニッシュ塗装など相違点が多く、それらがサウンドの違いとなって表われている。インレイがドットになっていることもあり、見た目は本当に素朴でナチュラル。サウンドも非常にピュアだ。カラーはウォルナットとナチュラルの２色。P-90ファンは、ぜひSGスタンダード P-90と弾き比べてみることをお薦めするが、限定モデルなので早めに店頭に足を運んだほうがいいだろう。
AKIHIDE’s Impression
僕が思う“SGの音”よりもさらにミドルが強く出てきます。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：24●ピックアップ：ソープ・バーP90×2●コントロール：2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：チューン・オー・マティック＆ストップ・バー・テイルピース●ペグ：グローバー・キドニーズ●カラー：ナチュラル・サテン30シーン（写真）、ウォルナット・サテン30シーン
価格：176,000円（税別）
エピフォンのSGモデル、G-400 PROはマホガニー・ボディ／マホガニー・ネックの伝統的な材構成に、オリジナルのアルニコ・クラシック・プロ・ハムバッカーを搭載したモデルだ。ボリューム・ポットをプッシュ／プルすることでコイル・スプリッティングする機能を搭載し、ハムバッカーらしい野太い音から、コイルをスプリットした明るくクリアな音まで、豊かなサウンド・バリエーションを誇る。スリム・テーパー・ネックにミディアム・ジャンボ・フレットを採用し、プレイアビリティも良好。ウィルキンソン製のペグとオリジナルのLockToneブリッジ／テイルピースにより、チューニングの安定性も◎。伝統的なSGらしさと、それを超える音のバリエーション、そしてリーズナブルな価格がそろい、非常に魅力的なモデルとなっている。
AKIHIDE’s Impression
多彩なサウンドを生み出せる“エンターテインメント性のあるSG”。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：マホガニー●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：エピフォン・アルニコ・クラシック・プロ×2●コントロール：2ボリューム with コイル・スプリッティング、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：ロックトーン・チューン・オー・マティック＆ロックトーン・ストップ・バー●ペグ：ウィルキンソン・ビンテージ・クラシック●カラー：エボニー（写真）、チェリー
価格：49,000円（税別）
メイプル・ネック、ボルト・オン・ジョイントという仕様は、伝統的なSGの仕様とは異なるものだ。しかし、本器をそれだけで判断しないでほしい。なにしろ本器の実売価格は“ちょっと良いオーバードライブ”程度であるため、エフェクター感覚で購入できるのがスゴい！ しかも決して“安かろう、悪かろう”ではない実力を持っている。ピックアップはオープン・タイプのオリジナル・ハムバッカー650Rと700Tを搭載し、歪みのノリが良いパワフルなサウンドを生み出す。1ボリューム、1トーンというシンプルなコントロールも、サウンドに良い影響を与えている。そしてトーン・ノブが音を断続的にカットできる“キル・ポット”になっている点も特筆モノで、この価格帯でこれほどの実力を秘めたギターはなかなかないだろう。
AKIHIDEs Impression
タイトな音色の新しいSG。褒めどころが満載です。
SPECIFICATIONS
●ボディ：マホガニー●ネック：ハード・メイプル●指板：ローズウッド●フレット：22●ピックアップ：650R（フロント）、700T（リア）●コントロール：ボリューム、トーン with キルポット、3ウェイ・トグルスイッチ●ブリッジ：ロックトーン・チューン・オー・マティック＆ストップ・バー●ペグ：プレミアム●カラー：エボニー、チェリー（写真）
価格：25,000円（税別）
本記事は『ギター・マガジン2016年10月号』にて110ページに渡るGibson SG大特集内「音で味わう最新モデル！ Gibson SG 2016 by AKIHIDE（BREAKERZ）」と連動しています。AKIHIDE氏による各モデルへのコメントは、ぜひギター・マガジン誌でお確かめください。
また同特集は、4章+αからなるギブソン＆エピフォンSGの特大特集で、まさしく完全保存版と呼ぶに相応しい特濃号です。ぜひチェックを！
■CONTENTS
【第１章 ● SGをめぐる3つの物語】
【第２章 ● 現場に見る、SGのリアル】
【第３章 ● 61年の生誕、約10年間の軌跡】
【第４章 ● 伝説となったSG】
【保存版！ SGソングブック】（特別小冊子）
他
AKIHIDE
あきひで●14歳でギターを始め、2001年にFAIRY FOREのギタリストとしてメジャー・デビュー。さまざまなアーティストのサポートを経て、2007年にBREAKERZを結成し、現在までに6枚のオリジナル・アルバムを発表。また、2013年からはソロ活動も開始し、5枚のアルバムをリリースしている。11月2日（水）には自身が描くイラストによる音絵本「-つきのふね-」を発売予定。アコースティック・ギターを中心に展開するオリジナル・サウンドトラックCDも付属し、目と耳どちらも楽しめる作品に仕上げている。
