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コーラス/トレモロ 〜例えばこんな揺らし方

Chorus / Tremolo

  • 記事提供:シンコーミュージック 試奏:田渕ひさ子 文:エフェクターブック“コーラス/トレモロ”分析委員会 スチール撮影:星野 俊 協力:今井 靖、K(きになるおもちゃ)

エフェクター・ファンのバイブルとして高い人気を誇る『THE EFFECTOR book』(シンコーミュージック刊)。その最新刊であるVol.33では、“コーラス”と“トレモロ”がフィーチャーされている。“空間系”や“揺れモノ”などと総称されるエフェクターではあるが、アナログ/デジタルそれぞれに独自の音色や活用法があり、前者において“名機”と呼ばれる1台を求める者もいれば、後者ならではの高機能&多音色を第一義とする奏者もいる。そんなオルタナティブなギタリストたちの指標となるべき1冊が本書と言えよう。ここでは同企画と連動し、田渕ひさ子による最新モジュレーション・ペダル11機種の弾き比べをお届けしたい。室長による演奏動画もあわせてどうぞ!

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BOSS CE-2W Chorus[コーラス]

●価格:オープン

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Tabuchi's Comment

ナンバーガール時代の名曲そのまんまのコーラス・サウンド!

 私もオリジナル“CE-2”を持っていたんですよ。手に入れたのは20年くらい前だったと思いますけど、その時すでに中古で値段が上がっていて、2万円ちょいしたと思います。ナンバーガール時代の「TATTOOあり」で踏んでいるコーラスって、実はそのオリジナル“CE-2”なんですよ。“CE-2”の響きを狙ったスタンダード・モードは、オリジナルの響きとそっくりですね。極端じゃなくて、隠し味的な感じで使う時に、さりげなくちょっとだけ気持ちよく広がる感じがさすがです。エフェクト自体は“CE-1”モードの方は存在感があって、明らかに“かかっています”って感じがします。真ん中のモード(“CE-1”のコーラス)は、気持ちよく揺れるタイプ。綺麗に抜けてくるし、歪みの邪魔もしないと思う。ビブラート・モードだと3つのモードの中では“RATE”が一番極端に設定できるから、曲のアクセントになるようなフレーズもイケるんじゃないかな。コーラスって、メーカーによってはかけると結構音量が上がったりするんですけど、これはどのモードもそれがなくてすごく使いやすい。私にとって、コーラスは“水の中”のイメージ。この可愛い水色──BOSSの青がまさにそれなんです。

室長のプレイヤーズ・コメント

世界を変えたレジェンダリー・サウンドが蘇る!

 話題沸騰中のBOSS CE-2Wを弾いてみました。いまやプレミアがつく名機CE-1、CE-2をこのサイズに両方収めてしまうんですから、やはり「技 WAZA CRAFT」シリーズ、すごいです。
 動画では、Sモード(CE-2のコーラス)、CE-1モード(コーラス)、CE-1モード(ビブラート)の順で、最初はレイトとデプスのツマミを両方12時方向にしてから弾き始めています。まずはCE-2の12時方向ですが、すでに気持ちいい音がしていますね! これぞ、ザ・コーラスといった感じです。CE-2のオリジナルは非常にナチュラルかつウォームなんですが、場合によってはちょっとこもる感じもありました。CE-2Wは、CE-2のナチュラルさはそのままに、ほんの少ーしだけ高域をキラリとさせたチューニングのような気がします。正直、現代においてはこちらの方が圧倒的に使いやすいと思います。デプス上げ、レイト下げの音も、良いですね! 次にCE-1モードですが、こちらはさすがの立体感! モノ・アウトでも、これですよ! アンプのJC、その後ペダルのCE-1が出たことで、当時の世界の音楽が大きく変わったことが頷けるレジェンダリー・サウンドです。コーラス好きなら一度は体験しないと! それから、私がCE-1で大好きだったのがビブラートです。ビブラートのサウンドは、クリーンよりも動画後半の歪みでチェックしてみてください。だいたい3分40秒あたりです。アーミングやハンド・ビブラートでは出せない変態的なニュアンスがわかるかと思います。
 正統派コーラス・サウンドから変態系まで幅広いバリエーションを持ちつつ、どのモードでどう弾いても音楽的な心地良い揺れなのが良いですね。今回はSD-1Wと組み合わせてみましたが、歪みとの相性が良いのも◎です! ちなみにCE-2Wは、歪みの前に持ってきても気持ち良いので、ぜひお試しください。

[Specifications]●コントロール:Rate、Depth●スイッチ:ON/OFF、Mode[S/CE-1(Chorus)/CE-1(Vibrato)]●端子:Input、Output A(Mono)、Output B●サイズ:73mm(W)×129mm(D)×59mm(H)●電源:006P(9V電池)/9VDC

【オフィシャルHP】
【参考動画】

Eventide H9 Max[マルチ・エフェクター]

●価格:オープン

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正直に言っちゃいましょう。ええ、文句なく良い音です!

 こういうデジタル表示のタイプは、頭から煙が出るんで今まで全然手を出してこなかったんですよ……(苦笑)。でもいろんな人が上手に使ってるのを目撃してきていて、“お金持ちが買うやつでしょ”なんて言いつつも(笑)、実は気になっていたんです。試奏で鳴らしてみたのは、“70S GUITAR CHORUS”っていうプリセット。パラメーターの効き方も上品ですね。設定の振り幅はすごく広いんだけど、どんな極端に振っても破綻しない。音はすごく変わるんですけど、土台をまったく崩さないんです。しかも、ステレオにすると、ごく自然な響きまで感じます。このクラスのエフェクトを満載した「H9 Max」を買っちゃえば、空間系はほぼオールマイティに対応できるでしょうね。もう、正直に言っちゃいましょう。ええ、文句なく良い音です。“こういう便利なものもありますよ”的な提示の仕方じゃなくて、存在自体がスタンダード。隙がないというか、世界的に基準とされるものの真ん中にドーンとあるっていう、ね。それだけにストレスを大事にしているオルタナ・ロックには合いませんが、モダンな技術を積極的に取り入れて、できるだけストレスフリーに演奏したいプレイヤーとは最高の相性を示すんじゃないでしょうか。

室長のプレイヤーズ・コメント

最強! 空間系ペダルの満漢全席!

 満漢全席ってご存知ですか? 中華料理の山海の美味・珍味を集め、長ければ数日に渡って供される超絶フルコースらしいんですが(食べたことないです……)、このH9 Maxを試したときに思いました。

「こ、これは、空間系ペダルの満漢全席だ!」

 そもそも、Eventideの「TimeFactor」、「ModFactor」、「PitchFactor」、「Space」がそれぞれディレイ系、モジュレーション系など各分野の頂点とも言えるペダルなわけです。それらのアルゴリズムをすべて使用でき、さらにH9 Maxオリジナルのアルゴリズムも使えるというのですから、これは本当にすごいペダルです。それこそ、本気でチェックしたら数日はかかりそうです。かといって、扱いづらいわけではないのがH9 Maxのすごいところ。このスッキリとした見た目からもわかるように、操作性も抜群です。操作はペダルだけでも可能なのですが、ここではH9 Maxのポテンシャルを知っていただくため、ペダルを目の前にしながらあえてiPhoneを使い、Bluetoothで操作しています。
 まずはコーラスを選択し、サウンド・チェック。コーラスの中の“WARMTH”というアルゴリズムを元に、さらに味付けを薄めにした“WARMTH32”というユーザープリセットを使ってみました。 iPhoneの画面に現れるコントロールで、コーラスタイプを“Classic”から“Shimmer”に変更し、デプスもクイっと上げると、ウォームかつナチュラルなコーラス・サウンドからキラッキラの立体サウンドに変化したのがわかるかと思います。ちなみにこのコントロール画面、iPhoneでは2ページにまたがりますが (ここでは1ページ目のコントロールのみ操作しています。表示されているのも1ページ分です)、PCの場合は画面に全コントロールが表示されます。次にトレモロ。プリセットだけでもいろいろとありますので、まずは好みに近いものを選び、各コントロールでさらに好みに近づけていきます。ここではまずCCR風サウンドを作り、さらにブツ切りサウンドでコードを弾いてみました。おもしろい! さらにエコー。“ModEchoVerb”を選び、サステインの長い、荘厳な残響を作ってみました。これ、すごい音じゃないですか? この1台で、楽にこんな音が作れることに驚きます。最後はお遊びでオート・ワウ系サウンドを。楽しいなぁ!
 どれを選んでもインスピレーションが湧いてくるような音なので、曲作りに煮詰まっている人にも良さそうです。とにかく、できないことがないペダルですね。まずは難しく考えずに、楽しみながら慣れていくことをお勧めします。そして慣れた頃には空間系のすべてを極め、2台目、3台目のH9 Maxを手に入れ、連動させたくなるでしょう。

[Specifications]●コントロール:Encoder/Switch●スイッチ:ON/OFF、Tap、X、Y、Z、Hotknob、Preset●端子:Input1、Input2、Output1、Output2、Exp、USB、Midi In、Midi Out/Thru●サイズ:118mm(W)×133mm(D)×50mm(H)●電源:9VDC

【オフィシャルHP】
【H9 Maxの製品レビューはこちら】

Electro-Harmonix The Stereo Clone Theory[コーラス]

●価格:¥21,000(税別)

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やっぱり“エレハモ”ブランドの音色はファンタジー!

 まさに思った通りのエレクトロ・ハーモニックスな音。「Small Clone」などとも共通する“ほどよい雑味”がありますね。コーラスの響きはそこまで濃密な感じじゃないけど、カッコイイ音がします。何だろう……意外とスタンダードな使い方のほうがいいかも。“CHR1”モードはまさにそうで、“DEPTH”が固定されて極端な設定ができない分、欲しい音にすぐ辿り着けるから、手軽っていう意味ではとても扱いやすいですね。私もこのモードで“RATE”を12時からほんの少し上げたくらいの設定が一番ぐっときます。カッティングも綺麗に出て、音が濁らない。“CHR2”からは段々と“エレハモな感じ”が出てきて、“VIBR”モードにすると、もうあのタンクトップに葉巻をくわえた社長の顔が浮かびますね(笑)。“DEPTH”を上げすぎると、音程が完全に崩れるくらい極端な音色になります。ビヨヨーンって。ステレオ出力にすると、広がりはしないけど、ちょっと左右の揺れがズレて鳴るイメージ。それぞれから違うコーラス効果が出ている感じで、酔いそう。意図的にせよそうでないにせよ、このマジックがディープな“エレハモ使い”を喜ばせるんでしょうね。やっぱり、このブランドはファンタジー!

モデル解説

 「The Stereo Clone Theory」は、エレクトロ・ハーモニックスが1970年代に大柄筐体で製造していた「The Clone Theory」を再構築したアナログ・コーラス。オリジナルには搭載されていなかったステレオ出力を追加し、コンパクト化だけでなく機能面でも拡張されている。モードは、コーラス・エフェクト2種類とビブラート・エフェクト1つ。1つ目のコーラスは、同社の名機「Small Clone」のように“DEPTH”コントローラーが固定されていて、“RATE”コントローラーのみで音を作るコーラス、もう1つのコーラスは“RATE”と“DEPTH”で音色を作り込む仕様になっている。なお、ステレオ出力の際には逆位相の信号が出力され、2台のアンプを使ってパンニング効果を得ることが可能だ。

[Specifications]●コントロール:Depth、Rate●スイッチ:ON/OFF、Mode[Chorus1/Chorus2/Vibrato]●端子:Input、Main Out、Stereo Out●サイズ:91mm(W)×118mm(D)×50mm(H)●電源:006P(9V電池)/9VDC

【オフィシャルHP】
【参考動画】

Trial Prime Chorus[コーラス]

●価格:オープン

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この音なら1曲踏みっぱなしで全然いけそうです

 ドライ音にこだわってる感じがあるというか、音に太さが残るような気がしますね。いわゆる、極端系のモジュレーションではないです。すごく良識的な音。コーラスって踏んだ時に真ん中のちょい上あたりが必要以上に膨らんじゃったりすることがあるんですけど、このモデルには多分そういうことがない。上から下まで音のバランスがとても良いんです。サビとか場面場面で極端な音を作る使い方ではなく、1曲踏みっぱなしで全然いけそうですよ。あったかい音がするので、上も出過ぎないっていうか、尖った感じにはならないですね。現代的ではないですけど、中高域もすっきりしていて、作っている人の真面目さを感じます。“NO VIBE(JC)”モードの“JC”っていう感じは……どうだろう、似てるかなー? 説明書にある“深い空間の広がり”っていうのは、なんとなくわかります。ちょっと音が後ろに行くというか。音がアンプの向こうから鳴ってくるってイメージ。こもるっていう言い方ともちょっと違って、音を後ろに“置いていく”ような響き方というか。立体的な鳴り方って言われれば、そうなのかもしれません。クリーンにすると、JCっぽいかな? うん、むしろJCより太いかも。

モデル解説

 大阪府に本拠を置く、国産ハンドメイド・エフェクター・ブランドが数年にわたりアナログ・コーラスを研究して完成させたというモデル。BBDとクロック・ジェネレーターで構成された伝統的なコーラス回路で構成されていて、音色の肝となるドライとウェットのミックスには、同ブランドがラインナップしているミキサーやバッファ回路を応用し、アレンジを加えたものを搭載。側面のプッシュ・スイッチで“NO VIBE (JC)”モードを選択すれば、より音に広がりを持たせられる“揺れのないコーラス”効果を得ることも可能だ。このモードではノブの設定が無効となり、モノラル・アウトながらJCアンプで得られるステレオ・コーラスのような立体的な空間演出を施すことができる。

[Specifications]●コントロール:Speed、Depth●スイッチ:ON/OFF、No-Vibe●端子:Input、Output●サイズ:74mm(W)×111mm(D)×47mm(H)●電源:006P(9V電池)/9VDC

【オフィシャルHP】

weed Freezer[コーラス]

●価格:¥32,000(税別)

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今っぽく耽美で壮大な“ポスト・ロック”に合いそう

 これ、すごいですね! 人によっては少し硬い響きに感じるかもしれないけど、ハッキリしてる。バンドに埋もれない鳴りをたくさん持っていて、メンバーを出し抜くくらい、音がドーンってくる感じがスゴイ。ブティック・アンプみたいな速いレスポンスの鳴りというか。あと、“RATE”のマックス値は、今回試した中でも最速ですね。“DEPTH”は12時を境に音量も変化するけど、同時に極端さがグンと上がります。幅の広いコントロール域をきっちり網羅しているだけに、中間のちょうど良いところのセッティングを出すのは、慣れないと難しいかも。音楽ジャンル的に、私は歌モノで使えそうな音だと感じました。あとはインスト・バンドという感じでもなく……そう、ポスト・ロック! オールドスクールなロック・バンドじゃなく、今っぽく耽美で壮大な曲調に合いそう。だからってわけじゃないですけど、低域全体に広く効いてくる“BOTTOM”は、ギター単体の音を作る時よりも、バンドに混ざった時に後から厚みを操作する感じで使いたいですね。あと、まったく揺らさないで“LEVEL”だけちょい上げした音もおもしろいです。ほんの少しだけ、仄かに香るくらいのコーラスがかかって独特の音が得られます。

モデル解説

 ハリーズエンジニアリングが“weed”ブランドで展開するエフェクター・ラインナップのコーラス。2010年の発売以来、高い評価を得ているロング・セラー・モデルの1つだ。コーラスとしては定番の“RATE”“DEPTH”コントローラーに加え、全体の音量を調整することのできる“LEVEL”、さらに低域をブースト/カットできる“BOTTOM”を搭載していて、さまざまなコーラス・エフェクトを作ることが可能だ。特に音の厚みを調整する“BOTTOM”の装備により、バンド・アンサンブル全体のバランスを考えながら音を作ることができるのは、魅力的な仕様と言える。音色は、「Small Clone」を思わせるコーラス・サウンドを基本としながら、weedらしく現代的できらびやかな響きが特徴。

[Specifications]●コントロール:Rate、Depth、Level、Bottom●スイッチ:ON/OFF●端子:Input、Output●サイズ:72mm(W)×125mm(D)×71mm(H)●電源:006P(9V電池)/9VDC

【オフィシャルHP】

ZOOM MultiStomp MS-70CDR[マルチ・エフェクター]

●価格:¥12,600(税別)

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Tabuchi's Comment

この中にちゃんとアナログ・エフェクターの名機がいる!

 このモデル、結構対バン相手の中に使ってる人が多くて興味があったんですよ。表示のイラストがなんかアメコミっぽいっていうか(笑)、可愛いですよね。このファミコンみたいなドット絵ですごく安心ってだけじゃなくて、ちゃんと音をイメージできるのが良いです。私、こういう画面表示のあるエフェクターって苦手で、1台も持っていなかったんですけど、“あ、これなら私でも使えそうだな”って初めて思えたんですよ。だから、若い人から大人まで、むしろアナログ・ラバーな人にこそ使ってほしいモデルですね。音も守備範囲がメチャクチャ広いのに、すぐに即戦力として使えるものばかり。今回はコーラスをメインで試しましたけど、モデリングのクオリティも予想以上に高くて、この中にちゃんとアナログ・エフェクターの名機がいるのを感じました。画面上のツマミの並びも実機を意識してるし、実際にノブをいじると同時に絵も動くのが最高ですね。設計者のこだわりを感じます。あと、コーラス以外にもディレイやリバーブなどを何種類も同時に使用できるのに、手頃な価格設定になっていることに驚きです。間違いなく“コスト・パフォーマンス大賞オブ・トゥデイ”ですね!

モデル解説

 コンパクト・スタイルながら本格的なマルチ・エフェクターに匹敵する多彩さを備えた“MultiStomp”シリーズ。その中でも本機は、空間系、残響系、モジュレーション系に特化したモデルだ。16種類のコーラス、26種類のディレイ、29種類のリバーブをはじめとする多彩なエフェクトを搭載し、最大6種類までを自由な接続順で同時使用可能。50のメモリーを登録することができる。各エフェクトは、同社オリジナル・エフェクトの他、ヴィンテージから最新機種までさまざまな機種のモデリングを収録。アナログ・ライクなパラメーター設定、タップ・テンポによるテンポ設定、ステレオ入出力、チューナー・モードの搭載など、操作性や機能性に富んだ、極めて戦闘力の高いモデルに仕上がっている。

[Specifications]●エフェクト・タイプ:86●同時使用エフェクト:6●パッチ・メモリー:50●コントロール:Parameter Knob×3、Cursor Key×4●スイッチ:ON/OFF●端子:Input L(Mono)、Input R 、Output L(Mono)、Output R●サイズ:77.5mm(W)×130.3mm(D)×58.5mm(H)●電源:単3電池×2/9VDC

【オフィシャルHP】

【参考動画】

Source Audio Gemini Chorus SA242[コーラス]

●価格:¥23,000(税別)

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“TONE”コントローラーを装備してるのが何よりも嬉しい

 アナログなかかりとは少し違う気もするけど、音としてデジタルの不自然さみたいな響きはまったく感じません。どの設定にしても澱みがないっていうか。“MIX”ノブ──これ、真ん中の位置が一番コーラスが綺麗に聴こえますね──と、“DEPTH”をうまく使い分けると、音作りの幅がすごく広がると思います。3つあるモードのうちでは、センター位置の“CLASSIC”が使いやすいかな……というか、一番エフェクターっぽい“ふわーっ”とした音。“DUAL”はそこからアンプのツマミで少しベースを足したみたいな感じ? この音、好きかも。“膨らまない派手さ”っていうのかな。反対に、“QUAD”は細いっていうのとも違うスッキリさを感じます。言うなれば、ラック・エフェクターのイメージですね。そして、“TONE”コントローラーが付いてるのが嬉しいです。音を太くしたいとかじゃなくて、コーラスって音が派手になりすぎるっていうか……上がパキンって出て、耳が痛くなる時があるんですね。それをうまく均してくれるツマミ、クリーンな音でも効果がわかるようなコントローラーが欲しいなあっていつも思っていたので。ちゃんと音作りしたい人が音と向き合っていくのに良いエフェクターですね。

モデル解説

 多機能なデジタル・エフェクトを搭載した近未来的なイメージのモデルを得意としてきたソース・オーディオが、昔ながらのエフェクター然とした雰囲気を持たせて設計した“One”シリーズ。本機は、中でもコーラスに特化したペダル。コンパクトな筐体に4つのコントローラーを搭載し、中央に位置するスイッチで、“CLASSIC”(70年代のクラシカルなシングル・ボイス・コーラス)、“DUAL”(分厚くリッチなトーンが特徴のダブル・ボイス・コーラス)、“QUAD”(80年代のラック機器のような繊細な揺れのマルチ・ボイス・コーラス)のいずれかを選択できる。シリーズ専用のアプリケーション“Neuro App”と連動させれば、新たなエフェクトをインストールしたり、追加パラメーターの設定も可能。

[Specifications]●コントロール:Depth、Speed、Mix、Tone●スイッチ:ON/OFF、Mode[Dual/Classic/Quad]●端子:Input1、Input2、Output1、Output2、Control Input、USB●サイズ:70mm(W)×116.3mm(D)×56.1mm(H)●電源:9VDC

【オフィシャルHP】

【参考動画】

Walrus Audio Julia[コーラス/ビブラート]

●価格:¥28,000(税別)

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こういう暴れ方の音って、今、流行ってるんですかね?

 コーラスそのものの音は、日本人が慣れ親しんだキレイな効果……JCアンプっぽい透き通るコーラスとは、性質の異なる個性を持ってますね。ねっとりかかる、というか。この音はクランチ・サウンドにとても合う気がします。セッティングのキモは、やはり“LAG”コントローラーでしょう。これでモジュレーションっぽい音階の揺れを調節できるようなんですが、チョーキングを連続してるみたいに音がズレてくるという(笑)。すごいですよ、コレ。こういう暴れ方の音って、今、流行ってるんですかね? このコントローラーがあるおかげで、かなり幅のある音が作れます。崩しが効いている、というか。これとエフェクト・タイプをシームレスに変化させられる“D-C-V”コントローラーの組み合わせじゃないと作れない音って、必ずあるでしょうね。この自由さは、音作りの中でどんな特徴を打ち出していくか、そのバランスを選択したいときに決め手になるかも。例えば、エフェクト自体に元からちょっと濁りが混じっているので、歪みとの相性次第で異様に硬い音が作れたりもします。ちなみに、ゴスいイメージで描かれている絵は“水の女神”とのことですが、どうしても私にはそう思えない! “オジサン”に見えます(笑)。

モデル解説

 独特のハイ・センスなデザインが施されたエフェクターを製作する米ハンドメイド・エフェクター・ブランドのコーラス。ギター用ペダルには珍しく、プリ・ディレイを設定できる“LAG”コントローラーを搭載。フランジャー的効果から深く揺れるモジュレーションまでを操ることが可能だ。さらに“D-C-V”コントローラーを使うことで、ドライ・シグナル、コーラス、ビブラートの3つを切り替えるのではなく、連続的に横断することができるのも大きな特徴だ。ちなみに「Julia」というモデル名は、1999年に南太平洋の深海で確認された謎の怪音現象から取られているそうだ。「Julia」とは“水の神”のような存在であり、その哀愁を持った叫びが彼女の“声”であると信じる人もいるのだとか。

[Specifications]●コントロール:Rate、Depth、Lag、D-C-V●スイッチ:ON/OFF、Wave Shape●端子:Input、Output●サイズ:120mm(W)×74mm(D)×58mm(H)●電源:9VDC

【オフィシャルHP】

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Wampler Pedals Latitude Tremolo Deluxe[トレモロ]

●価格:¥42,000(税別)

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ずっと遊んでいたくなるような、気持ち良いかかり方

 いつまでも弾いていたくなるような、気持ち良いかかり方をしますねー。レベルの高い楽器というか、“芯のあるクリーン”をちゃんと備えていないと良さが引き出せない音かな。“ATTACK”を回すとフィルターがパンッてかかったみたいになるのも、気が利いてます。波形を柔らかい方(サイン波)にして、この“ATTACK”を下げていくと、アンプのトレモロっぽい響きに近づいていきますね。あと、タップ・テンポを装備していることにビックリ。トレモロにタップ・スイッチって……そんなの昔は絶対なかった気がします。テンポに対して常にオンにしたり、逆にタイミングをちょっと速くしたり遅くしたりもできるってことですよね。私、トレモロは曲のテンポよりちょっと遅くかけるのが好きなんですよ。そういうのも現場で上手く作ることができそう。他にも、リズムを選択できたり、かかりを細かく調整できたり、ものすごくこだわってある。操作性をここまで追求するなんて、海外の人はよっぽどトレモロが好きなんですね。でも、そんな機能を活かせるのも、この地音の太さがあってこそだと思います。アナログを大事にしている音だから、これでずっと遊んでいたくなるんですよね、きっと。

モデル解説

 ハイ・クオリティな音作りで人気のワンプラー・ペダルが製作するトレモロ。完全アナログ回路のトレモロ・エフェクトをデジタル制御でコントロールすることにより、幅広い音を実現できるのが特徴。通常のコントローラーに加えて、トレモロのインターバルを制御する“SPACE”、トレモロの立ち上がり方を調整する“ATTACK”コントローラーを搭載し、波形を選択することも可能。歯切れの良い“スクエア”、鋭いサウンドの“ピーク”、滑らかな“サイン”の3つを装備している。エフェクターらしいコンパクトな筐体をアナログ感覚で操作しながら、タップ・テンポや“SCALE”スイッチ(4分音符、8分音符、16分音符、3連符を選択)により、アナログではあり得ない音を作ることが可能だ。

[Specifications]●コントロール:Speed、Space、Depth、Level、Attack●スイッチ:ON/OFF、Tap Tempo、Wave Form、Sub Divisions●端子:Input、Output●サイズ:100mm(W)×119mm(D)×58mm(H)●電源:006P(9V電池)/9VDC

【オフィシャルHP】

【参考動画】

Demeter Amplification Tremulator Plus[トレモロ]

●価格:¥39,000(税別)

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この風格ある音で上手な人が弾いてるのを聴いていたい!

 出ました、ライ・クーダー! と言いつつ、正直、ライ・クーダーさんの音楽をあまり存じ上げないので、音のイメージはありません(苦笑)。でも、こういう音でギターを弾く人は確実にうまいですよ。それだけは間違いありませんね。現代的で太いタイプの音色じゃなくて、素朴というか。“COODER”(“BIAS”コントローラー)の効果を口で説明するのは難しいんですど、“BIAS”って書いてあることから想像するに、揺れの中心を高域に寄せるか、低域側に下げるかってことなのかな?と感じました。回していくと、揺れ方が上下どちらかの帯域に偏っていくイメージです。センター位置で止まるようになっているので、きっとそこが“クーダー設定”ってことなんでしょう。“BIAS”をセンター位置にして、“WAVE”コントローラーを少し“TRIANGLE”側へ振ったセッティングで得られる音なんかを聴くと、どうしてもクリーン・トーンで弾きたくなっちゃいます。ラウドな曲じゃなく、歌モノの裏で静かに鳴らしたい。このモデルは、ホント見た目のシブさに見合う風格ある音がしますね。なので、絶対に上手なギタリストに鳴らして欲しい。私が自分で弾くんじゃなくて、上手な人が弾いてるのを聴いていたい(笑)!

モデル解説

 スタジオ機器やアンプも手掛けるディメーターのトレモロ・ペダル「TRM-1」は、長年に渡って高い評価を獲得してきているトレモロの1つ。本機は、それをさらに多機能化したモデルだ。「TRM-1」に搭載されているオプティカル回路を操る“SPEED”と“DEPTH”コントローラーに加え、新たなコントローラーを追加。トレモロのバイアスを調整する“BIAS”(ここに“COODER”の表記があるのはもともと「TRM-1」がライ・クーダーのオーダーで設計されたからだ)、トライアングルからスクエアまで波形を連続可変できる“WAVE”、そしてトレモロ全体の音量を調整できる“GAIN”により、オリジナルよりも遥かに緻密な揺れを作り出すことができるようになっている。トゥルー・バイパスに変更されているのも特徴の1つだ。

[Specifications]●コントロール:Depth、Speed、Bias、Gain、Wave●スイッチ:ON/OFF●端子:Input、Output●サイズ:118mm(W)×92mm(D)×38mm(H)●電源:006P(9V電池)/9VDC

【オフィシャルHP】

Source Audio Vertigo Tremolo SA243[トレモロ]

●価格:¥23,000(税別)

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デジタルの方からアナログ人間に歩み寄ってくれている感じ

 この揺れは、歪みとの相性が良さそう。音が潰れないというか、クリアなので。“NORMAL”以外のモードのうち、“HARMONIC”は通常イメージするスタンダードなトレモロ・エフェクトとは全然違いますね。ナチュラルにうねっているというか。かっちりと安定しない響きが美しいと感じました。“BIAS”モードは、何となく常にコンプっぽいニュアンスを纏っているような音色で、これ、私の好きな音です。前には絶対に出てこないものの、奥の方にジーっていう複雑な歪み成分が存在していて、そのおかげでクリーン・トーンがすごくリッチに聞こえるんですよ。そこから“SPEED”を大胆に上げて、“SHAPE”(波形)をほんの少し右に傾けてやると、アルペジエーターみたいな音も作れます。アタックがシンセっぽく出て、カッコイイ。このブランドが持つ、“現場の実用性を追い越して、機能性を追求しました”みたいな徹底した感じ、本当にすごいです。DAW上で細かいパラメーターを操作するような感覚を足下でもそのまま得ることができる、という。音がとても良いうえ、デジタルの方からアナログ人間に歩み寄ってくれている気がするので、ギターだけじゃなくて他の楽器にも使ってみたいですね!

モデル解説

 「Gemini Chorus」同様、ソース・オーディオが展開する“One”シリーズにラインナップされるトレモロ。一般的な“SPEED”“DEPTH”“LEVEL”コントローラーに加え、“SHAPE”コントローラーを装備していて、トレモロの波形をスクエア〜サイン〜トライアングルと連続可変させることが可能だ。また、中央のスイッチでは3種類のトレモロを切り替える。“NORMAL”はオプティカル回路タイプ、“HARMONIC”はハーモニック回路タイプ、“BIAS”がバイアス電流型トレモロだ。また、本機も“One”シリーズ専用のアプリケーション“Neuro App”と連動させることで、新たなトレモロ・パターンをインストールでき、設定したパラメーターをプリセットとして保存することも可能。

[Specifications]●コントロール:Depth、Speed、Shape、Level●スイッチ:ON/OFF、Mode[Normal/Harmonic/Bias]●端子:Input1、Input2、Output1、Output2、Control Input、USB●サイズ:70mm(W)×116.3mm(D)×56.1mm(H)●電源:9VDC

【オフィシャルHP】

【参考動画】


THE EFFECTOR book編集者が語る「コーラス/トレモロ特集」後記

出張実験中の室長。

 今回の特集記事の編集を通じて判明したのですが、どうやらコーラスって結構な“ツンデレ”ですね。基本的に冷たいんですよ。べっ、別にあんたのために揺れてやってるわけじゃないんだからねっ!的な気質を備えているというか。あんたがアタシの回路を勝手に使ってるだけなんだからねっ!とでも言いたげな反抗心をどこかに感じるというか。どんなフレーズを入力してもキレイな音色に整えてくれるのですが、どこかツンとした響きも加味される気がするんです。もちろんある種の人間は、その凛とした涼しげなトーンにめっちゃ萌えるわけですが(笑)。とまあ、そんな何をしても動じない不動の美しさがコーラス・サウンドの基本なんですが、ときどきものすごく相性の良いエフェクトというものがあって、それを繋げた途端に急に表情が崩れるんですよ。デレっと。“あん♡”という吐息すら混じってそうな甘くせつない音で鳴ってくれるようになるのです。例えばBOSSの「CE-2W」と「SD-1W」のマリアージュ。これは完全にデレの極地ですね。いままでコーラスが見せてきた“ツン”の側面しか知らなかった人は、この甘酸っぱいトーンを味わうとちょっと印象が変わるかもしれませんよ。ぜひお試しあれ。
 そんなコーラスに対して、エフェクター界の“クイーン”とも言える存在、それがトレモロです。ドゥルドゥルドゥル……とか、ヴォンヴォンヴォン……とか、ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……とか。どんなフレーズを入力しても強制的に切り刻んでしまうその動作は、極めてドSな性質で満たされていると言っていいんじゃないでしょうか。だって、リズムなんかガン無視ですよ。白玉コードだろうが、3連符で速弾こうが、トレモロを通した瞬間に……ヴォンヴォンヴォンヴォン。弾き手のリズムを完全に封殺して、自分のタイミングで音を加工していくわけです。そしてやはりある種の人間にとっては、そうした性質はどうしても抗えないもの。ヴヴヴヴヴヴヴ……不穏な音程で揺れるサウンドがやがて“ほら、でもおまいはこれが好きなんだろ? ん?”という色っぽい囁き声に聞こえてくるという不思議。一度その快感に目覚めてしまったら、“強く!もっと強く!”と高ぶる気持ちのままにツマミをぐりぐり上げていくしかないのです。ああ、トレモロ女王様。私はあなたの奴隷です。もっとムチ……じゃなくて揺れをください。
 さて、みなさんは“ツンデレ”と“女王様”、どちらが好みですか? ちなみに井戸沼室長は“ワタクシ、美少女ならなんでも大好物デス!”とおっしゃってました(笑)。(THE EFFECTOR book編集:下総淳哉)


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TheEffectorBook_033.jpg 本記事はシンコーミュージック刊『THE EFFECTOR book VOL.33 MELTING AUTUMN 2016 ISSUE』での特集企画「CHORUS/TREMOLO 〜例えばこんな揺らし方」の中でより詳しく紹介している。ここで紹介した各機種を内部写真とともに、より詳細に解説。加えて、ヴィンテージの名機たちの紹介、トップ・ギタリストによる“揺れモノ”の音作り方法論や、室長がベストなセッティングを探る出張実験室などを収録する。ギターをさまざまな音色で彩る“コーラス/トレモロ”を使いこなすためには、まさに必携。さらにJ・マスキス(ダイナソーJr.)へのインタビュー、Xotic Effectの特集など、その他見どころも満載だ。本記事とあわせてぜひご一読いただきたい。

項数:112P
定価:1,620円(税込)
問い合わせ:シンコーミュージック


・「THE EFFECTOR book vol.33」のページ・サンプル

Release Information

『Vacantly』
Bellwood/KING RECORDS
KICS-3397
¥2,600(税別)
webショップで購入する

 田渕ひさ子(g,vo)が率いるロック・バンド、toddleが待望の4thアルバムをリリース! 初のセルフ・プロデュースで挑んだ今作は、小林愛(g,vo)との絡み合うツイン・ギター、江崎典利(b)の図太くうねりまくるベース、T-DK(d/サポート)の腰の据わったドラムが混ざり合い、 その上に乗る田渕と小林の澄んだ歌声が美しくエモーショナルな感情を呼ぶ、独自の“toddleサウンド”を堪能できる1枚に仕上がっている。

[ツアー情報]
9月19日(月・祝)松江B1
11月3日(木・祝)松本give me little more.
11月20日(日)名古屋HUCK FINN
11月25日(金)札幌spiritual lounge
11月26日(土)苫小牧ELLCUBE
12月10日(土)大阪 梅田HARDRAI

toddleオフィシャルHP
田渕ひさ子Twitter

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