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- 2024/11/16
Gibson Memphis / 1959 ES-335TDN
セミ・アコースティック・ギターの代名詞、Gibson ES-335。今週は、その中でも評価が高い1959年製のモデル(ドット指板インレイ/ナチュラル・フィニッシュ)の完全再現を標榜した、Gibson Memphis 1959 ES-335TDNをご紹介します。全ギタリストに味わっていただきたい万能ぶりです。
使用アンプ:マーシャルJVM410H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
現在ごく当たり前のように口にされる「セミアコ」ですが、ボディ内部にセンター・ブロックを持ついわゆるセミ・アコースティック構造は、ギブソンが他社に先駆けて1950年代に開発した革新的アプローチだということをご存知でしょうか。1955年デビューのES-225TDで実現したブリッジ下にブロックを入れてハウリングを抑制するというアイディアは、1958年にデビューしたES-335によって花開きます。ES-335は内部に本格的なセンター・ブロックとそれを支えるブレイシングを持ち、箱鳴りとソリッド感をミックスした独特のサウンドで、ジャズ、ブルース、R&B、R&Rなど、幅広いジャンルのプレイヤーの心を鷲掴みにしました。以来、ES-335はセミアコの代名詞となり、今も世界中で愛されているのです。
Gibson Memphisは、そうした歴史を大切にしながら、セミ・アコースティックのヒストリックなモデルや新たな名器を作り続けています。今回ご紹介する1959 ES-335TDNは、名器ES-335の中でも人気が高い1959年製の、中でも生産数が少ないナチュラル・フィニッシュのギターを再現したモデルとなっています。その特徴は、通称“ミッキーマウス・イヤー”と呼ばれるカッタウェイの形状、ロング・ピックガード、ドット・インレイなどに表れています。特に最新の1959 ES-335TDNは、ヒストリック・トラスロッドの採用や最軽量のメイプル・センター・ブロック、ハイドグルーによるネック・ジョイント&ブレイシング(アディロンダック・スプルース)接着によって鳴りを良くし、多層のピックガードの面取りを45度で行なってルックス面での精度を高めるなど、かつてない完成度を誇るモデルとなっています。
本器のケースを開けた瞬間から、焼けたようなナチュラル・フィニッシュの美しさに目を奪われました。時を経て飴色に変色した感じが、実に見事に再現されています。サウンドに関しても、本器を通じて改めてES-335の魅力に触れた思いがしました。具体的には、フロントやセンター・ポジションの絶妙にローが削れた軽やかなクリーン・トーンはもちろん、実はリアの歪んだ音も素晴らしいと改めて確信した次第です。軽く歪ませた時の艶はES-335ならではのものがありますし、深く歪ませた時にはソリッド・ギターに引けを取らないゴリッとしたニュアンスも出せます。特にこの1959モデルは、材を吟味し重量をコントロールしながらもみっちりと詰まったセンター・ブロックが入っていますので、ソリッド感を演出するのもお手のもの。指板エッジは丁寧に処理され(少し丸く仕上げられています)、最初から手に馴染む感じも好印象でした。
まさしく万能と評したいこの1959 ES-335TDNは、現在、新品で手に入れることができる最高のセミアコと言えるギターだと思います。ぜひ実器に触れてみてください。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは7月22日(金)を予定。
価格:¥904,000 (税別)