Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
SHURE / PSM300
ステージのどこにいても正確なモニタリングができ、ハウリングも抑え、耳への負担を減らし、ピッチ感も安定する……など、ライブ・パフォーマンスにおいて様々な利点をもたらすイヤモニ・システム。それがリーズナブルな価格で購入できるならば、ぜひ導入したいと考えるバンドも多いのではないだろうか。今回は、そんなイヤモニ・システムをより身近にしたSHURE PSM300を大フィーチャー。セットアップも操作も簡単な本機の魅力をムービーと、プロ・ミュージシャン&エンジニアのコメントで紹介していこう。
プロ・ミュージシャンの大型コンサートなどではすでに標準的なモニタリング・システムとなっている“インイヤーモニター(イヤモニ)”。ウェッジ・モニター、いわゆるコロガシの難点であるハウリング・マージンの低さ、聴きとりづらさ、演奏時の移動制限などをすべて解決してくれるアイテムとして重宝されているが、扱いに専門的な知識が必要なこと(特にA帯のワイヤレス・システムでは免許や許可が必要)、非常に高額なことなどが原因で中小規模の音楽現場ではなかなか導入できないのが実情であった。
そんな状況を一変してくれるであろうシステムが、SHUREからリリースされているインイヤー・モニター・システム“PSM300”だ。免許不要のB帯機器で、定価10万円を切るというロー・プライスを実現。個人レベルでも導入可能なインイヤー・モニター・システムというだけで十分に革新的だが、本製品ではそれに加えてB帯機器としては国内初のステレオ仕様となっている点も大きなポイントとなる。ステレオ出力による定位を用いたモニタリングはもちろん、2chモノミックスのミックス・モードを使えば、例えば一方にボーカル、もう一方に楽器ミックスをかえし、音量やミックス比を自分で調整しモニターすることができる。
また、B帯のワイヤレス・システムでは運用周波数が重なることでの混信などが懸念されるが、PSM300はクリアな周波数の検知性能が高く、90dBのSN比、特許技術であるARC(オーディオ・リファレンス・コンパンディング)の採用と相まって音質もかなり良好。操作性についても、例えば周波数をスキャンする場合は受信機の“SCAN”ボタンを長押しするだけといった感じでとても簡単。この手のワイヤレス・システムに不慣れな人でも1時間もあれば自由に使いこなせるようになるだろう。
写真のパッケージはP3R(受信機)、P3T(送信機)のみの組み合わせとなるP3TR(オープン・プライス:市場予想価格82,500円前後)。店頭販売用では、現在以下2種類のパッケージがリリースされている。
01. P3TR:PSM300システムのみのスタンダード・パッケージ
02. PSTR112GR:PSM300システムとSHURE SE112(イヤホン)が含まれるパッケージ
上記パッケージの送信機であるP3Tの電源は12–15V DC、受信機P3Rの電源は単3電池(2本/約6時間稼働)となっている。
ここで実際にPSM300をモニタリングに導入しているTOTALFAT、忘れらんねえよのメンバーによるコメントを紹介しよう。様々な規模の会場や異なるシステムでライブを行なうプロ・ミュージシャンが感じているイヤモニの利点とは?
ウェッジモニターとインイヤーモニターの大きな違いは、プレイヤー自身のステージ上での機動力にあると思います。ロック・ミュージシャンとして大きなステージに立ったときにいかなるポジションでどんなアクションをしても一定の安定したモニタリングを提供されるという事は利点以外の何でもないのですから。SHURE PSM300の軽量なボディは装着している事を忘れるくらいの存在感でありながら安定した電波で欲しい音を供給してくれています。もはや手放せないギアになりました!
PSM300は今までのB帯のイヤモニにはない素晴らしいシステムです。音切れもほとんどなくクリアに聴こえますし、ステレオモードで音をミックスできるのでただ音を耳元に返すわけではなくメンバーの音の呼吸が聴こえてくるような臨場感で演奏できます。そしてより細かく自分やメンバーと向き合えるきっかけにもなりました。
以前大きな会場でイヤモニをレンタルで使ったことはありましたが、PSM300のおかげでついにツアーの全公演でイヤモニを使う日がやってきました。元々ギターはワイヤレスを使用していたのですが、ステージを端から端まで動いた際に足下のモニターとサイドのモニターの間にどうしてもデッドスポットが生じてしまうので、バンドのグルーブを死守する上でステージのどこにいても同じモニター環境でプレイできることは凄まじいアドバンテージになります。今は自分のプレイに集中できることの喜びをひしひしと感じております。
ずっと、ライブでの歌のピッチに悩んでいて。長時間のステージのときに、中音&外から回ってくる爆音で耳がイカれてきて、ライブ後半よくピッチが取れなくなっていたんです。それでイヤモニを導入してみたのですが、その悩み、完全に解消されました。あと、自分の声のニュアンスがかなり精度高めに聴き取れるので、歌の表現力も上がったと思います。
続いては、TOTALFATのライブ・エンジニアを担当する川村 学氏のインタビューを紹介しよう。実際に様々なライブの現場でメンバーそれぞれのモニタリングを調整するエンジニアが考えるイヤモニを使う利点を聞いた。
──まずはイヤモニを使うことの利点をお聞かせいただけますか?
普段コロガシでモニターをしているバンドさんは非常にラウドな環境で演奏しているわけですけど、その中で例えば繊細なボーカルで歌いたいといった場合は、イヤモニの利点は大きいでしょうね。実際僕が担当しているバンドでもこういう理由で導入を決めたケースもありました。あとはクリックを聴きながら演奏するとか、こういうのはコロガシではできない演奏方法ですから、それを実現できるという利点もあると思います。
──カウントなしで演奏が始められたりするわけですよね。
そうですね。あと最近のバンドだとパソコンを持ち込んでシーケンスを流すパターンも増えていて、この時もイヤモニがあると演奏しやすいと思います。音数の多い中でも各パートの音がしっかり聴き分けられますから。
──外音についてはどうでしょうか? ウェッジ・モニターからの音がない分、クリアになる部分もあると思いますが。
それはかなりありますよ。特に中小規模の会場だと顕著ですが、最前列でもかなりクリアな聴こえ方になります。それがマイナスに働いてしまうバンドもいるんですけど、綺麗に聴かせたい、バランス良く聴かせたいという意思のあるバンドさんであれば必ずプラスに働くと思います。
──エンジニア目線で言うとどんな利点がありますか?
やっぱりハウリング・マージンがかなり稼げるのは大きいですよね。ステージ上の環境にもあまり左右されないので、セッティングがしやすいのもポイントかなと思います。
──PSM300について、実際に現場でも使用されているとのことですが、どんなところに魅力を感じますか?
まずSHURE製品全般に言えることですけど、やっぱり信頼度が高いですよね。電波の安定性や耐久性の部分が本当にしっかりしていて、そこがまず大きな魅力だと思います。あとはなんと言ってもこのコストパフォーマンスでしょう。以前はこの手のものでしっかりとしたものを揃えようとするとざっくり100万円くらいかかることが普通でしたけど、それが10万円を切っていますからね。今は海外だとライブハウスがこういうシステムを導入しているケースも増えていますが、日本でもこの製品がきっかけになって広まっていけば面白いんじゃないかなと思います。
──機能的な面ではどうですか?
個人的には基本的な部分がしっかりしているところがまず一番。あとはミックス・モードは便利だなと思います。バンド・メンバーがステージ上で各パートのバランスがとれるようになっているっていうのはすごく良いですよね。
──確かにそうですね。各パートのバランスをとる時に意識されることはありますか?
このあたりの好みはかなり個人差があるのでメンバーに合わせて対処しています。例えば、僕が担当しているTOTALFATでは、ギターのKubotyはなるべく自分のパートをしっかり聴きたいタイプで、自分のギターと声がハッキリ聴こえていればほかのことはあまり気にしないですし、ベースのShunは逆にCDみたいな聴こえ方がするのが好みなんです。すべてのパートをバランス良く聴きたい、そういう意味ではあのバンドで彼が一番イヤモニの恩恵を受けていると思いますね。ボーカルのJoseはかなり音量を絞っていて、外音に自分の声が少しだけ混ざってくるっていう感じが好きです。本当に人それぞれなんですよね。
──なるほど。そのほかの設定で注意することはありますか?
送信機のアンテナの近くに電源アダプターを置くと不安定になることがあるので、そこは注意していますけど、そのほかは特にありませんよ。
──ちなみにPSM300を使用する時に、イヤホンは何を使っていますか?
SHUREのSE215です。バンドのメンバーにも使ってもらっていますが、これはすごくフラットな特性でかなりお気に入りです。僕は録音の時もこれを使うことが多いです。オススメですよ。
──ありがとうございます。最後に読者にコメントをお願いします。
コロガシのモニター環境に満足していない人、例えば自分の声が聴こえないことに悩んでいる人とか、あるいは演奏時にクリックやシーケンスを使いたいとか、そういう人には本当にオススメです。一度試してみる価値はあると思いますよ。SHUREでは体験会もやっているみたいなので、まずはそういうものを活用してみると良いかもしれませんね。
インタビュー中でも触れられていたとおり、シュア・ジャパンでは先日PSM300の体験会を東京・新代田のライブハウスFEVERで開催、さまざまなジャンルのバンドが多数参加していた。参加したバンドにはコメントを出していただいたが、やはり欲しい帯域の音がクリアに聴こえることに驚く意見が多く、またセットアップの簡易性、ミックス・モードの有用性についてのコメントも多く寄せられていた。シュア・ジャパンでは継続的に体験会を催す予定にあるとのことなので、興味のある人は積極的に利用してみると良いだろう。
2017年11月1日 (水) ~ 2018年1月31日(水)まで、ShureのSVXワイヤレス、BLX®ワイヤレス、GLX-D®デジタルワイヤレス、PSM300インイヤーモニターシステムをご購入いただいた方に最大8,000円をキャッシュバックするキャンペーンを実施中! 応募方法はキャンペーン・ページをご覧ください。
オープン・プライス(市場予想価格:82,500円前後)
■主な特徴:
・2チャンネルのオーディオをステージ上のパフォーマーにワイヤレスで提供
・24ビットの音声処理でクリアかつディテールに富んだサウンド
・特許取得済みのARC(オーディオ リファレンス コンパンディング)が有線レベルのサウンドを提供
・90dBに及ぶSN比
・きわめてワイドなステレオ分離特性
・最大約90mの堅固なアナログRF接続
・ステレオモードまたはミックスモードでお好みのミックスを作成、バランス調整が可能
・周波数スキャンおよびIR(赤外線)同期がクリーンなチャンネルをすばやく検出し割り当て
・ハーフラック、シングルチャンネル送信機はラックマウントキットを付属
価格:オープン