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- 2024/11/16
MXR / Dyna Comp
名盤、名演のサウンドを足下から支えたビンテージ・エフェクターの数々を紹介する本連載。今回は“パコパコ”と形容される独特のアタック音で知られるコンプレッサー、MXRのダイナコンプをピックアップする。世界中のギタリストに愛され、現行品も生産されるダイナコンプだが、この個体は筆記体(スクリプト)ロゴが特徴的な1976年製のものだ。前回に引き続き試奏者に鈴木茂を迎え、代表作『BAND WAGON』でも使用したという本機を弾いてもらった。
“ハリ”があるというかハイが出てアタッキーにしてくれるのが良いね。
コンプレッサーってハイ落ちするものが多いけど、これは全然しないね。僕が最初に使ったコンプはローランドの“サスティナー(AS-1)”っていう機械で、はっぴいえんどの時はそれを持っていったのかな。でも、『BAND WAGON』(1975年)のレコーディングの時はダイナコンプを使ったんです。これで「砂の女」のカッティングを弾いたり……。この個体は、その頃持っていたものによく似ています。有名なロスのコンプレッサーと回路が似ていることもあって出音も似ているんですが、こちらのほうが“ハリ”があるというか、ハイがよく出てアタッキーな感じにしてくれるのが良いね。コンプをかけた音が好きかどうかは人それぞれだと思いますけど、僕はよく使っていました。ストラトの裏蓋とバネをはずしてそこに基板を入れて、ギター本体でダイナコンプが使えるようにしたこともあります(笑)。レコーディング用の高価なものとは違って、ギター用のコンプはレンジが狭いんですけど、これはカッティングだけじゃなくロックにも欠かせないエフェクトだと思います。
コンプレッサー・ペダルの礎を築いたMXR草創期からの名品。
『ギター・マガジン2016年7月号』に掲載中の本連載「ビンテージ・エフェクター・カフェ」に、鈴木茂が弾いたMXR/Dyna Compの詳細な解説と内部写真、その分析が掲載されています。鈴木氏本人も愛用したギター用コンプの定番ペダルはどのような歴史を持っているのか。そして、どのような回路やパーツで構成されているのか。是非ご覧ください。
日本を代表するギタリストでスライド・ギターの第一人者、鈴木茂の自伝。ベンチャーズに憧れてギターを弾き始め、はっぴいえんどでプロ・デビュー。以後、キャラメル・ママ~ティン・パン・アレーで多くのアーティストをサポート、ソロ活動では永遠の名盤『BAND WAGON』を産み落とし、セッション・ミュージシャンとしても数々のレコードに名演を残している。半ば伝説化された存在で、若い世代からのリスペクトも年々高まっている鈴木の幼少期からの音楽体験やはっぴいえんど秘話、そして現在に至るまでの半生を掘り下げた初のドキュメントだ。