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  • 圧倒的にリアルなドラム・マシンを内蔵した、大音量&高音質な多機能ポータブルPAアンプ!

KORG / STAGEMAN 80

KORG / STAGEMAN 80

  • 試奏・解説・文:村田善行 動画撮影・編集:伊藤大輔
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リズム・マシンを生み出した名ブランド「コルグ」

 コルグと言えばキーボードやシンセ界をリードするブランドとして有名ですが、実はリズム・マシンの世界においても権威であることをご存知でしょうか? 例えば「ドンカマ」という言葉。レコーディング現場では古くから使われているこのフレーズはリズム・パターンを指し、例えばメトロノームのクリック音を大きくしたい時に「僕のモニター、ドンカマをもう少し上げて下さい」という人もいるほどです。このドンカマとはそもそもコルグが1963年の創業当時、最初に製作した製品であり、日本初のドラム(リズム)マシンの名称である「DONCA MATIC」……バス・ドラムの「ドン」とクラビスの「カッ」と言う音、そしてそれをオートマティックで演奏すると言う意を含む……が広く「自動演奏ドラム」のことを指す様になったものです。そう、コルグはリズム・マシンの世界でも独自のアイディアを持っているブランドなんですね。ちなみに、このドンカマティックと言う言葉をフィーチャーしたのがGorillaz(バンド)のその名も「DONCAMATIC」という曲。コルグ創業者である加藤孟氏の「ドンカマティック!」という声をサンプリングして曲中にフィーチャーしたことも話題にもなった曲ですね。

屋外でも使用可能な80Wのハイパワー

 今回ご紹介するSTAGEMAN 80は、コルグ・ブランドならではのサウンドに拘り抜いた逸品。基本的にはモバイル&キャリーオン・スタイルのアクティブ・パワード・サウンド・システムなのですが、圧倒的な出力を持っています。小柄な筐体からは想像できないパワフルなロー・エンドに加えて、AC電源だけでなくバッテリー(電池)でも駆動可能。はっきり言って電池駆動でここまでパワフルなサウンドが得られるモデルは今まで無かったでしょう。さらにマイク入力が1つ、ライン入力を2つ備えており、簡易ミキサー機能も持っています。これは室内/野外問わずにPAとして使用できるポイントですね。加えてSDカードに取り込んだ音源を再生することも可能で、例えば野外でのパーティーに持ち出して純粋にリスニング用として楽しむことはもちろん、SDカードに曲を取り込んで、それをスピーカーから流しながらダンスのレッスンやストリートでのパフォーマンスを圧倒的な音量でサポートすることも可能でしょう。ストリート・ミュージシャンの簡易PAとしても最適。何せこのサイズでこの音量。小規模な店内スペースでのイベント、アコースティックや歌もののインストア・ライブ等にも非常に役立つでしょう。

圧倒的にリアルなドラム・サウンド&グルーブ

 そして、本体上部に多数配置されたボタン類。ここにコルグならではのこだわったドラム・サウンドが集約されています。新技術“Real Groove Technology”を採用し、何とドラムのリズム・パターン数小節を実際にレコーディングしています。今時のリズム・マシン/ドラム・シーケンスと言えば、ハイハットやキックなどドラムのパーツの各サウンドをサンプリングし、それをあたかもドラム・キットの様に組み込んでリズムを作り出すのですが、この“Real Groove Technology”ではプロ・ドラマーによる実際のリズム・フレーズ・パターンを8小節録音。そのパターンをループ状にすることで、その名の通りドラマーの「リアル・グルーブ」を生み出しているのです。当然、少々のよれ感や突っ込み感も含めて「リアル・ドラマー」がプレイしているグルーブが感じられます。さらにテンポを変えた場合は、そのテンポに近いBPMで録音したリアルなドラム・フレーズが収められているので、間延びしたり、ピッチが変化する等の音色の変化を最小にとどめながら、テンポ・チェンジに対応しています。さらにそのパターンを好みで組み込んで曲にして演奏させたり、または別売のフット・スイッチを使用して足下でリアルタイムに切り替えることも可能。つまり、実際にドラマーが叩いている感覚で、楽曲をフリースタイルで組上げることができるのです。加えて、別途用意したSDカード内に、STAGEMAN 80に入力された楽器やマイクの信号を録音することもできます。もちろん内蔵のリズム・パターンも同時に録音することができるので、ラフなデモテープの製作やバンド・メンバーにシェアする曲のアイディアをまとめたりする際にも威力を発揮することでしょう。

様々な用途・シチュエーションで楽しもう

 このSTAGEMAN 80、多くの可能性を秘めた多目的なシステムと言えるでしょう。例えばギタリストとベーシストで外に出て、フット・コントロールでドラム・パターンを切り替えながらフリー・ジャムを楽しんでも良いし、自宅で演奏する際にドラム・パターンをガイドとして鳴らしても良し。良音質で最大音量時でも音色が「硬くならない」のも素晴らしい点です。家に置いても店舗に置いてもマイカーに搭載してもストリートに連れ出しても楽しめること間違いなしの1台です。

※使用ギター:Fender / Stratocaster(1957年製)
※使用ベース:Fender / Jazz Bass(1962年製)

KORG / STAGEMAN 80

本体上部のコントロール・パネル。ドラム・マシンを中心に、SDカードの再生/録音などさまざまなツマミが並ぶ。

単1乾電池6本を使用すれば、屋外でも80Wのハイパワーを楽しめる。

底面のスタンドを伸ばせば、スラントした状態にセットすることも可能。

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製品情報

KORG / STAGEMAN 80

価格:¥75,000 (税別)

【スペック】
◎リズム機能 ●リズム・スタイル数:24(8 BEAT1、8 BEAT2、8 BEAT3、8 BEAT4 SHUFFLE、8 BEAT5、UNPLUG1 CAJON、UNPLUG2 CONGA、UNPLUG3 DJEMBE、OLDIES、COUNTRY1、COUNTRY2 TRAIN BT、COUNTRY3 3/4、ROCK1、ROCK2、BLUES1、BLUES2、16 BEAT1、16 BEAT2 SHUFFLE、16 BEAT3、JAZZ1、JAZZ2 3/4、LATIN JAZZ、BOSSA、SAMBA)※各リズム・スタイルで2バリエーション バリエーションごとに3種類のパターン(ベーシック、フィルイン1、フィルイン2)●テンポ:48〜240 bpm ●チェイン機能:30バンク(各最大999小節まで登録可)
◎レコーダー機能 ●録音フォーマット:PCMオーディオ・フォーマットWAV形式(拡張子.wav)、44.1kHz 16bit ●録音時間:使用SDカードに依存/1GB当たり約100分●最長連続録音時間:3時間 ●ソング数:最大50
◎プレーヤー機能 ●再生フォーマット:PCMオーディオ・フォーマットWAV形式(拡張子.wav)、44.1kHz 16bit ステレオ ●最大データ・サイズ(時間):使用メモリー・カードに依存/1GBあたり約100分(WAV時)●最大データ・ファイル(フォルダー数):最大99ソング(1フォルダー当たり)、PLAYERフォルダー内のM1 〜 M8の合計8つのフォルダーを利用可能 ●プレイリスト機能:10バンク(各最大24曲まで登録可)
◎その他 ●入出力端子:マイク・イン(XLR)×1、インプット(フォーン)×2、AUXイン(ステレオ・ミニ・フォーン)、フット・スイッチ×1 ●ミキサー・エフェクト部:リバーブ、ベース、トレブル、ACOUSTAGE(ステレオワイド効果)●使用可能カード:SDカード(1GB〜2GB)、SDHCカード(4GB〜32GB)●出力:80W ●スピーカー:4インチ×2 ●電源:DC 19V、単1乾電池6本 ●サイズ:スタンドを畳んだ状態/398(W)x 242(D)x 231(H)mm、スタンドを立てた状態/398(W)x 310(D)x 285(H)mm 角度26° ●重量:8.4 kg(電池含まず)●付属品:ACアダプター(DC 19V)KA410、コード・ストラップ ●別売アクセサリー:フット・スイッチ:VOX VFS5
【問い合わせ】
(株)コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569 http://www.korg.com/jp/products/amplifiers/stageman_80/
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

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