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- 2024/11/16
Gibson Custom Shop / Collector’s Choice #35 1959 Les Paul Vic DaPra “Gruhn Burst”
レス・ポール・リイシューの最高峰であり、伝説的個体の復刻を標榜するシリーズ、コレクターズ・チョイス(以下:CC)から、最新のナンバー35、1959 Les Paul Vic DaPra“Gruhn Burst”が登場しました。このギターが持つストーリー、そしてサウンドを記事と動画でお楽しみください。
使用アンプ:マーシャルJVM410H(ヘッド)+1960AV(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
この美しい1本のレス・ポールには、ジョージ・グルーンとヴィック・ダ・プラというバースト好きにはよく知られたふたりの人物の名前が付けられています。ジョージ・グルーンは言わずと知れたアメリカのビンテージ・ギター界の権威であり、ギブソン・ファクトリーと同じくテネシー州ナッシュビルに居を構えるあのGruhn Guitarsの経営者でもあります。なんと1960年代からビンテージ・ギターをコレクトし始め(60’sビンテージはまだ新品の時代ですね……)、1970年にはショップを開いたという方です。そんなグルーン氏のもとに、ある日1本のオリジナル・バーストが入荷します。なんと、ワン・オーナーの個体だとか。その素晴らしさを聞きつけたひとりのコレクターが、グルーン氏にポラロイド写真を送るよう頼みました。
ヴィック・ダ・プラ氏はペンシルバニア州出身の、著名なバースト・コレクターです。週刊ギブソン読者にはお馴染みのバースト本『The Beauty Of The Burst』にインタビューも掲載されており、その時点でオリジナル・バーストを9本(!)所有していると語っています。近年は『Burst Believers』の著者としても知られています。彼はグルーン氏から写真が送られてくるのをただひたすら待ったとか。時は1984年、PCやインターネットはありませんでした。ようやく届いた写真を見たダ・プラ氏は、あまりの美しさにすぐに購入を決意。オリジナルの個体、シリアル・ナンバー“9 0627”は、『The Beauty Of The Burst』のP48〜49でも確認することができます。
ギブソン・カスタムは、著名な権威とコレクターのふたりを感嘆させたこの美しい個体に敬意を表し、CCシリーズに加えるのにふさわしい1本と判断して、徹底的に再現しました。赤みがすっかり抜けたレモン・ドロップ系のフィニッシュはGruhn Burstと名付けられ、3Dのように揺らめくトップの杢目とマッチして、独特のオーラを放っています。CCの基本仕様はトゥルー・ヒストリックと同様ですから、サウンドもルックスの再現度も現在最高レベルであることは言うまでもありません。
実際に、このCollector’s Choice #35 1959 Les Paul Vic DaPra "Gruhn Burst"を弾いた感想は、「なんて弾きやすく、なんて艶めかしい音が出るギターなんだろう」というものです。弾いてみて、ため息が出ました。フロントの甘く、太く、しかしハイの成分がしっかりと残って抜けの良いトーンが印象的です。リアは十分にトレブリーですが、耳に痛いなどということは決してなく、“旨み成分”のような倍音が心地良く響きます。ピッキングやボリュームの操作に対する反応も、抜群! サステインも長く、非常にコントロールしやすいギターだと感じました。
ネック・グリップについては「1959 Les Paulプロファイル」というのが、公式なグリップ形状の名称です。しかし、これまで数多く弾いた59のどれとも違っていて、ロー・ポジションのあたりがソフトVシェイプでオープン・コードを握りやすい、独特なグリップだと感じました。おそらく、オリジナルの個体を正確にスキャンした結果だと思います。音も弾き心地も良いギターのことを、“いつまでも弾いていたくなるギター”と表現することがあります。このギターは、まさにそれです。弾くこと自体が快感となるギターは、実はそう多くはありません。これは、その数少ない1本であり、間違いなく一生モノのギターと言える逸品です。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは5月13日(金)を予定。
価格:¥1,417,000 (税別)