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- 2024/11/16
Phil Jones Bass / Session 77
高音質な小型コンボ・タイプのベース・アンプに定評のあるPhil Jones Bass(以下、PJB)から、新型ベース・アンプSession 77がリリースされました。本機は、これまでにリリースされたPJBの小型ベース・アンプとは全く異なる新しいデザインですが、今後のPJBの製品が本機のようなデザインに統一されていくというわけではなく、Session 77がこれまでのPJB製品とは異なる新しいコンセプトによる製品であるという点がポイントですね。
メーカーサイトの情報によれば、コンセプトはコストパフォーマンスだそうです。実勢価格が45,000円前後ということで、確かにこれまでのPJB製品と比較すると価格が格段に抑えられていますが、試奏してみてハッキリとわかったことは、音は紛れもなくPJB製品だということ。Session 77はこれまでのPJB製品と同様に高音質なベース・アンプであり、PJBの最大の特徴とも言うべき音質面には全く妥協がありませんでした。
大きな特徴は、7インチ・ドライバー2基と2.5インチ・ツイーター1基というスピーカー構成です。これまでのPJB製品のコンボ・アンプは5インチのオリジナル・スピーカーを複数装備し、ワイドレンジで深みのある緻密な音色表現を可能にしていましたが、Session 77もまったく遜色のないクリアで癖のない音色です。安価なベース・アンプにありがちな音の軽さはなく、最低音域まで厚みのある音色です。ナチュラルな高音域も心地よく、高域から低域までスムーズに繋がっていて、どの音域でも破綻せず、深みのある音色を奏でてくれます。市販されている他ブランドのツイーター付きのキャビネットの中には、ベースの主体的な音色とは別にキンキンとした金属的な高域が出るだけの機種もありますが、Session 77にその心配はありません。個人的にはツイーターに2.5インチのユニットを選択していることは大正解だと思いますし、新開発の7インチドライバーの性能(サラリと書いていますが、スピーカー・ユニットを自社開発するなんて凄いことだし、そんなブランドはPJB以外に無いのでは!?)と、PJBによる絶妙なクロスオーバー・ネットワークの周波数設定も素晴らしいのだと思います。
コントロール・パネルに目を向けると、入力ジャック、ミュート・スイッチを兼ねたインプット・レベルの切替スイッチ、インプット・レベル、3バンドのトーン・コントロール、マスター・ボリューム、外部入力端子とそのレベル、ヘッドフォン・アウト、ラインアウトと、非常にシンプルな構成になっています。操作性はこれまでのPJB製品と同様に良好で、トーン・コントロールの効きも良く、音作りで迷うことはないでしょう。トップパネルに外部入力端子を備えているということで、例えば外部機器を接続して音源を聴きながら練習するといった自宅練習の環境では使い勝手も良さそうです。動画を見ていただいてもわかりますが、マイクで録音しても空気感のある良い雰囲気のベースの音色が収録できるので、レコーディング環境でも活躍できそうですね。
さて、これほどまでに高性能なSession 77が、この価格帯でリリースできるのならばPJBの他製品との違いは何だ?ということになりますが、その理由をPJBの企業努力以外にひとつ上げるとすれば、100Wの出力ということになるでしょうか。確かに爆音のロック・バンドで大規模のホール・ライブ、といった環境には向かないかもしれませんが、大きな出力が必要ない小規模のリハーサルやライブ、自宅練習、レコーディングでは大いに活用できそうです。これまでPJB製品に価格的に手が出なかった初級~中級のベーシストには特にオススメ。日々、高音質な環境で練習することは上達の早道ですからね。
価格:オープン