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- 2024/11/16
Gibson Custom Shop / Special Run Firebird Ⅰ VSB
先鋭性と渋さを併せ持ち、数多のロック/ブルース・ギタリストを虜にしてきたギブソン・ギター、ファイヤーバード。今回は、そんな“不死鳥”の中でも最もシンプルな仕様を持つ、誕生初年度に当たる1963年製の復刻器、Special Run Firebird Ⅰ VSBを紹介します。
使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
1963年に発表されたファイヤーバードは、その仕様によってⅠ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅶの4機種が存在しました。1ピックアップ、2コントロール、バー・ブリッジ(TPBR-8513/オプションでトレモロ付きもある)のシンプルなⅠ、2ピックアップ、4コントロール、ショート・バイブローラ・トレモロ付きのⅢ、Ⅲをもとにロング・バイブローラを搭載し、インレイなどをゴージャスにしたⅤ、そして3ピックアップ、ゴールド・パーツを搭載した最上位機種のⅦです。
今回紹介するⅠは最もシンプルな仕様で、ネックのバインディングすらありません。しかし、シンプルな仕様=程度の低いギターではないところがギブソンの奥深いところ。レス・ポール・ジュニアやES-125等の例を出すまでもなく、シンプルであっても最高のトーンと弾き心地を追求するのがギブソン流で、このファイヤーバードⅠも例外ではありません。サステインに優れるスルーネック構造は上位機種と変わらず、重量のあるピックアップなどのパーツが少ない分ボディがよく鳴り、シンプルなコントロールは信号をダイレクトにアウトプットします。
ファイヤーバードⅠがいかに魅力的かは、クリーム時代のエリック・クラプトンが愛用していたことからも伺うことができます。なぜって、当時すでに“GOD”だったクラプトンは、望めば大抵のギターは手にできたはずなのですから。こうしたことをよく知っている海外のサイトでは“One of Coolest Gibson”などと評されることもあるツウ好みなギター、それがファイヤーバードⅠです。
ギブソン・カスタムが限定で発表したスペシャル・ラン・ファイヤーバードⅠ VSB、俗かもしれませんが、まずは見た目が最高だと言わせていただきます。ケースを開けただけでワクワクするギターはそう多くはありません。ビンテージ・サンバーストの具合も圧倒的です。そしてそのサウンドは、動画で確認できる通りブライトでありながらウッディなニュアンスさえ感じるナイス・トーンと言えます。ミニハムでリア一発ということから誤解されがちですが、耳が痛いようなトーンでは決してありません。高域がしっかり出て、明確なバイト感もありつつ太い音という印象です。これは当然、スライドにもよく合います。このサウンドには弦振動をダイレクトにボディに伝えるTPBR-8513ブリッジ、バンジョー・スタイル・ペグ、そして太めのネック等が良い影響を与えているのでしょう。グリップは太めですが弾きにくさは感じません。むしろロールドエッジ処理が施されており、よく手に馴染む心地良いネックです。
また、ブリッジについてはオクターブ・ピッチが合うよう3弦部分の山の位置が改善されている点も見逃せません。ビンテージのオーラを纏いながらも、しっかりと現代のシーンで使えるギターに仕上げています。確実に目立つルックスとサウンドを持ち、なおかつ渋さを感じさせるこの1本。ぜひとも大人の漢に弾いてもらいたいギターの筆頭格です。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは4月15日(金)を予定。
価格:¥565,000 (税別)