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- 2024/11/16
Historic Select & Standard Historic Reissue
第90回「密着! ギブソン・ディーラー・ツアー〜ギブソン・カスタム/ハンドセレクト編」で紹介したハンドセレクト・モデルが、いよいよ日本ディーラーの店頭に並び始めました! 2016年2月、ギブソン・カスタムのエドウィン・ウィルソン氏とトム・ファール氏が日本ディーラー訪問ツアー時にG-CLUB TOKYOで行なったハンドセレクト・モデルのデモンストレーションの模様を、ここにお届けします。正規ディーラーが厳選してきたヒストリック・セレクト・レス・ポールと、新シリーズのスタンダード・ヒストリック・リイシューの実力/サウンドをご堪能ください。
使用アンプ(Thom):マーシャルJCM800
使用アンプ(室長):マーシャルJCM2000
ギブソン社&日本ディーラーの深い信頼関係の中で育まれた独自企画、ハンドセレクト材を用いたヒストリック・セレクト・レス・ポールについては、第90回でもレポートしたとおり。ショップの垣根を越えた目利きのディーラー達が協調して木材選定を行ない、カラーやエイジド加工の有無等の仕様を決め、スペシャルなレス・ポールをごく少量オーダー。それを日本のショップで分け合い、ユーザーのもとに届けるという特別企画です。ベースとなるのはトゥルー・ヒストリック(TH)であり、そのアップグレード版とも言えるヒストリック・セレクトは、2016年時点で新品として入手できるレス・ポールの頂点と言っても過言ではないでしょう。さらに、2016年モデルからはシリアル・ナンバーからHSの文字が消え、よりビンテージ・モデルに近くなりました。
一方、2015年のトゥルー・ヒストリックの登場以降、ディスコンになってしまったヒストリック・コレクション・レス・ポールを惜しむ声は現在も少なくありません。毎年ブラッシュアップを続け、2014年時点で非常に高い完成度に達していたこと、またトゥルー・ヒストリックに比べれば生産本数も多く、価格面でも入手しやすかったため、ヒストリック・コレクションのレス・ポールに対するニーズは根強くありました。ギブソンではこの声に応え、スタンダード・ヒストリック・リイシューを発表、その製品が日本のショップに入ってきています。ヒストリック・セレクトが“THベース”だとすれば、このスタンダード・ヒストリック・リイシューは“2014年製ヒスコレ・ベース”です。つまり、チューブレス・トラスロッドの採用、ネック及びフィンガーボードの接着にニカワを使用、ロング・スタッド&ロング・アンカーの採用等、2014年の“あの仕様”そのものです。もちろん、ネックはロングテノンのディープ・ジョイントでしっかりとボディと密着。美しいロング・サステインを奏でてくれます。こちらはシリアル・ナンバーの冒頭にRが付くので(1959モデルであれば、R9 ××××)、ヒストリック・セレクトとはこの点も異なります。
Pt.1動画ではトム・ファール氏が弾くモデル、ヒストリック・セレクト1959レス・ポール・マーフィー・エイジド。美しい杢を持つトップ材と、それにマッチするサザン・フェイドという少し赤みの強い独特のカラーは、日本ディーラーのオーダーです。3色限定で展開しているTHの59モデルにはないカラーリングが魅力的なこの1本。エイジド加工を、かのトム・マーフィー氏が担当しています。ごく軽めのエイジド加工という点が本器のポイントで、“大切に保管されてきたビンテージ”といった趣があります。また、この個体の特徴は、3.67kgと極めて軽量なこと。TH、ヒストリック・セレクトとも厳選された材を用いて重量についてもシビアにコントロールされていますが、その中でもかなり軽い方です。ひと口に“軽い”と言っても材の重心ポイントまで見極めて製作されていますので、バランスが崩れることがないのはさすがです。PUにはカスタムバッカーを搭載。動画では、伸びやかに歌うようなトーンを確認することができます。
Pt.1動画では井戸沼室長が弾くモデル、スタンダード・ヒストリック・リイシュー1958レス・ポール。2014年ヒストリック・コレクションの仕様を踏襲しながら、木材は日本ディーラーが選定したもので、58モデルでありながら真っ直ぐに伸びる美しい杢が印象的です。また、スタンダード・ヒストリックになってネックのシェイプはリファインされ、58モデルでありながら以前のような非常に太いグリップではなく、かつての58と59の中間のような握りやすいグリップとなっているのが特徴です。さらに本器はディーラーからのオーダーで、PUにEバッカーを搭載しているのもポイント。カスタムバッカーのコイル・ワウンド数を抑え、控えめな出力と明瞭な高域を特徴としたPUです。杢、フィニッシュ、グリップ、PU等、かつてのヒスコレ58を踏襲していると言いながら、進化しているのも大きなポイント。決して安価ではありませんが、価格以上の実力を持っているため“コストパフォーマンスが高い”と言わせていただきたいモデルです。
Pt.2動画ではトム・ファール氏が弾くモデル、ヒストリック・セレクト1959レス・ポール・モハベ・フェイド。ヒストリック・セレクトの59モデルですが、先ほどの1本とは大きく趣が異なります。ボディ・エッジに向かって“つり目”のようにエッジが上がっている杢(海外では“カモメの羽のようだ”ということでシーガル杢と言います)、そしてオープン・タイプ、ゼブラ・ボビンのハムバッカー(カスタムバッカー)がスラッシュの愛器を連想させる仕上がりです。コントロール・ノブは60年製タイプに変更され、ピックガードが取り外されています(通常のノブ、ピックガードは別途付属)。さらにこのフィニッシュは“モハベ・フェイド”と名付けられていますが、モハベとはスラッシュの生地近くの砂漠のことだとか。こうした遊び心溢れるオーダーができるのも、ヒストリック・セレクトの魅力のひとつです。
Pt.2動画では井戸沼室長が弾くモデル、スタンダード・ヒストリック・リイシュー1959レス・ポール。こちらも材選定、フィニッシュの指定を日本ディーラーが行なった“ハンドセレクト・モデル”になります。先ほどの58モデルと対になるような外観ですが、こちらには揺らめくような3D杢が強く出ています。グリップは典型的な59グリップで、多くの人が握りやすいと感じるでしょう。PUにはカスタムバッカーを搭載。アルニコ3マグネットを使用し、コイルのターン数をアンマッチ、ワイヤーのマテリアルにまでこだわったPUです。ピッキングに対するレスポンスが非常に良いため、高出力でないにも関わらずプレイヤーが弾きやすいと感じるマジカルなPUで、独特なバイト感も魅力的。本器はヒスコレ2014譲りのロング・サステインが心地良く、いつまでも弾いていたくなるギターです。
以上、最新仕様のヒストリック・モデルを4本紹介しました。気になるモデルがあれば、ぜひ日本ディーラーの店頭でご自身の手で確認してみることをオススメします。もちろん、デジマート上でポチッと買っていただくのも歓迎ですよ。“ハンドセレクトにハズレなし”ですので!
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは3月25日(金)を予定。