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  • “高音質”で音楽を聴く楽しみを!ハイレゾ入門〜第25回

バンドマンのためのハイレゾ生活

ハイレゾ・リスニング・システム

  • 文:菊池真平

今回は普段デジマートをご覧の皆さんに、比較的手軽に始められるハイレゾ・リスニング・システムを組み合わせ/機器ごとに紹介したいと思います。なるべくデジマートに在庫のあるものを集めてみましたので、この春ハイレゾ生活を始めてみませんか?

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 先週末(2016年3月11日〜13日)にOTOTOY、サウンド&レコーディング・マガジン、スパイラルが共同企画した『HIGH RESOLUTION FESTIVAL at SPIRAL』が開催されるなど、ハイレゾ関連のイベントも増え、多くの人にその魅力が確実に広まりつつあると思っています。しかし意外にも、楽器を演奏するバンドマンには、それほど浸透していないのかなと感じることがあります。仕事柄、様々なミュージシャンにインタビューしますが、普段ハイレゾで音楽を聴いている方は少ないように思います。楽器などの音に対して強いこだわりを持っていると、なかなか聴く方まで気を配れない(&予算を割けない)ということはよくわかります。

 しかし、ミュージシャンだからこそハイレゾで音楽を聴くメリットもあるように感じます。例えば、デジタル・リマスタリングのCDを聴くと、それまでどのように弾いていたかわからなかったフレーズに、突然気がついたりすることがあります。ハイレゾ音源(音源にもよりますが)では、それ以上に細かなニュアンスを感じ取れることがあるからです。高繊細で良質な音で聴くことによって、弾き手の微妙なタッチや、ながら聴きでは感じられないような隠れた音にハッとさせられる瞬間があります。それこそ、手品の種明かしを見ているようでもあるのです。その細かな音の積み重ねこそが、もしかするとプロとアマチュアの違いとなっているのかもしれません。ここまでいくとやや話が飛躍し過ぎですが、自分の演奏の表現力などに悩んでいる時には、そういった細かな気づきが大きなヒントになったりするはずです。

 今回の連載では、ぜひ音楽を演奏するミュージシャンの方にも、ハイレゾの魅力を味わってもらうべく、手軽にハイレゾを聴けるシステムを紹介したいと思います。過去にも同じようなシステムは紹介しているので、そちらも(第6回『高音質を手軽に持ち歩こう! ハイレゾ対応ポータブル・プレーヤーの魅力』第10回『部屋でハイレゾ音源を聴こう!10万円以下で組む入門システム紹介』第12回『話題の“ポタアン”で、手軽にハイレゾ再生にチャレンジ!』)参考にしてみて下さい。ハイレゾを聴くためには初期投資が必要ですが、複雑なシステムを組まずとも簡単にハイレゾ音源を聴くことができます。ぜひ春からハイレゾ・ライフを始めてみてはいかがですか? 演奏や表現力の手助けになるかもしれません。

Pt.1 手軽にハイレゾを楽しみたい!
DAP+イヤフォン/ヘッドフォン

 最も手軽にハイレゾ音源を楽しめるのが、DAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)を使ってハイレゾを再生する方法です。中でもソニーの“WALKMAN”が有名ですが、各社から様々なモデルが続々と登場しています。DAPは音源を入れ、好きなイヤフォンやヘッドフォンを挿せばすぐにハイレゾを楽しめるので、難しいセッティングは無しに使うことができます。練習前の移動や、ライブ前などにも手軽に使うことができ、1台あると様々な場面で重宝すると思います。まずはDAPを1台購入して、ハイレゾ音源を聴いてみて、それから自宅環境でもハイレゾ再生の環境を整えるというのもお薦めです。組み合わせるイヤフォン/ヘッドフォンもぜひ、音質に配慮したモデルを使ってみて下さい。イヤフォン/ヘッドフォンに関しては、この連載の(第14回『通勤・通学のハイレゾ・リスニングにおすすめしたいイヤフォン/ヘッドフォン』第21回『魅せる新機種続々! 用途別ヘッドフォン選び』第22回『プレゼントにも最適! 2万円以下の“旬”なイヤフォン選び』)もぜひ参考にしてみて下さい。それでは、注目のDAPをご紹介したいと思います。

FiiO X3 2nd generation

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 ハイエンドなケーブル等を開発、販売するオヤイデ電気(小柳出電気)が輸入代理店を務めているのが、中国の広州に本社を置くブランドFiiOです。コストパフォーマンスに優れたヘッドフォン・アンプなどを手掛け、幅広いリスナーから支持されているブランドです。そんなFiiOの人気DAP“Xシリーズ”の初期モデル、“X3”がグレードアップして登場しました。求めやすい価格ながら、高価なモデルにも使われるシーラスロジック社のIC“CS4398”を使い、PCMは32bit(※32bitは96kHzまで対応)/192kHz、さらにDSDも〜5.6MHzまでの音源を聴くことができます。対応するフォーマットも多彩で、現在発売されている音源であれば幅広く再生できます。またUSB DACとしても機能するため(※DSDに関しては〜2.8MHzまで)、PCでのハイレゾ再生にも役立ちます。音源は、microSDカード(SDHC/SDXC、最大128GB)を使って保存できます。ハイレゾ入門用として必要かつ十分な機能が網羅されています。

■価格:オープン(市場実勢価格:税抜34,000円前後)
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Astell&Kern AK Jr

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 ハイレゾ対応のDAPという分野においてリードしているのが、株式会社アユートが取り扱うブランド、Astell&Kernです。2月には市場想定価格が50万円以上もする、ボディが銅でできているハイエンドDAP“Astell&Kern AK380 Copper”を発表して話題となりました。そんな同社がエントリー・モデルとして発売しているのが、“AK Jr”です。DAPを作り続けてきたノウハウを生かし、エントリー・クラスであっても工夫が凝らされた作りになっています。なんと言っても、8.9mm厚という薄く軽量なボディが魅力で、可搬性に優れているために、移動時も苦になりません。DACにはWolfson社製の“WM8740”を使い、クリアで切れのあるサウンドを生み出しています。PCMは、32bit/192kHzまで対応(※ネイティブ再生は192kHz/24bitまで)し、DSD64(2.8MHz)もサポート(※再生時は88.2kHz/24bitに変換)しています。また本体に64GBのNANDフラッシュを内蔵しているため、ハイレゾ音源を本体に保存することが可能です。また最大64GBまでのSDカードが使えるカード・スロットも付いているため、MAXで128GBまでの音源を持ち運べます。シンプルな筐体デザインも秀逸で、幅広いユーザーに訴求力がありそうです。

■価格:オープン(直販価格:税込69,800円)
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TEAC HA-P90SD

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 魅力的なハイレゾ対応製品を幅広く開発しているのがTEACです。扱いやすいUSB DACをはじめ、数多くの製品を生み出し続けています。このDAPはハイレゾ再生できるだけではなく、iPhone(iOS7以降では、Lightning®を使って直接デジタル・データを転送可能)など様々な機器と繋げてポータブル・ヘッドフォン・アンプ/DACとしても使用可能な製品です。またUSB DACとしても機能し、PCからの再生にも対応しています。これ1台で様々なシチュエーションで役立つ、まさにマルチなDAPと言えます。ICにはBurrBrown社の“PCM1795”が使われ、PCMで24bit/192kHz、DSDも〜5.6MHzまでD/A可能で、ネイティブ再生にも対応しています。DAPでの再生以外にも、同社が無償で提供している再生ソフト『TEAC HR Audio Player』を使うことで、PCM/DSDファイル共に簡単に高音質再生ができます。内蔵プレーヤーは、microSDXCカード(※最大128GB)に入れた音源を再生可能で、AIFF等の再生できませんが、WAV、FLAC、DSF等幅広いファイルを聴くことができます。アナログ回路にもこだわり、高音質なハイレゾ再生ができます。ネットワーク機能が必要なく、様々な状況でハイレゾ再生を行ないたいユーザーには特にお薦めです。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込69,000円前後)
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ONKYO DP-X1

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 ハイレゾ音源を発売するサイト『e-onkyo music』をはじめ、ハイレゾの普及に力を入れているのが老舗オーディオ・ブランドのオンキヨーです。同社のノウハウを投入し、こだわり抜いて開発された初のDAPがこのモデルです。ヘッドフォン端子も通常の3.5mmに加え、バランス出力ができる2.5mmの出力端子を備える点などに、その姿勢が反映されています。また現在発売されている音源ほぼすべてに対応できるように、ハイエンドなESS社のDAC“ES9018K2M”を2基搭載し、DSDは〜11.2MHzまでのネイティブ再生、PCMは32bit/384kHzまでD/A可能です(※DSD/PCM共にフォーン・ジャック使用時は24bit/192kHzに変換)。さらに今後ハイレゾのストリーミングが登場することを見据え、MQAフォーマットにも対応しています。これだけ幅広いビット/サンプリング・レートの音源が再生できるため、音源の容量も大きくなりがちなため、カード・スロットが2基搭載されています。ひとつで最大200GBまでのmicroSDXCカードに対応し、さらに32GBのメモリを内蔵しているため、最大でなんと432GBまでの音源をDAPで持ち運べます。CDフォーマットであれば、かなりの枚数が入りそうですね。内蔵アンプなどにもこだわりがあり、長く愛用できる1台になりそうです。

■価格:オープン(直販価格:税抜69,800円)
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Pioneer XDP-100R

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 DJ機器などでもお馴染みのパイオニアから登場したのが、Android(OS5.1.1)を搭載したDAP“XDP-100R”です。ハイレゾ音源を聴くだけではなく、Androidアプリを動かすことができ、WiFi環境ではインターネット等に接続することも可能です。つまり、これ1台でハイレゾ音源をダウンロード購入することもできてしまいます。さらにハイレゾのストリーミングが可能なMQAフォーマットへの対応もしています。PCを持っていなくても、ハイレゾ音源を楽しむことができる、まさに次世代のDAPと言えます。練習スタジオにWiFi環境があれば、ネットで様々な情報を得て、お目当てのハイレゾ音源をダウンロード。その後にメンバーで聴くこともできますね。なんと、そのためではないですが、本体にスピーカーも内蔵しているため、イヤフォン/ヘッドフォンが無くても音源を聴くことができます。これもミュージシャンには便利ですね。DACには上記のオンキヨー同様の物が使われています。音源は、内蔵の32GBメモリほか、SDXCカード(最大128GB)を2枚使うことができ、最大288GBまで対応しています。これだけの機能が詰め込まれながら、スマートな筐体に納められている点も好感が持てます。これ1台持っていれば、当面は不満に思うことが少ないのではないでしょうか。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込55,000円前後)
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Pt.2 パソコンやiOS/Android端末でハイレゾ再生!
USB DAC内蔵ヘッドフォン・アンプ+イヤフォン/ヘッドフォン

 現在持っているPCやiOS/Android端末等でハイレゾを再生したい方にお薦めなのが、USB DACを内蔵したポータブル・ヘッドフォン・アンプ(以後:ポタアン)を使ったシステムです。ポタアンをPCやiOS/Android端末に接続し、手持ちのイヤフォン/ヘッドフォンを使ってハイレゾ音源を聴くことが可能です。機種にもよりますが、DAPよりも求めやすい価格でハイレゾ再生環境を整えることもでき、さらに高価なモデルを購入すればアンプ部の性能が優れているため、より高音質な音楽再生を楽しめます。またハイエンドなイヤフォン/ヘッドフォンを日頃使っている方は、PCやiOS/Android端末に直挿しで使うよりも、それらの性能を引き出すことも可能です。手軽に音質にこだわった再生環境を整えたい方には、このポタアン+イヤフォン/ヘッドフォンが比較的お薦めしたいハイレゾ再生方法です。

FiiO E17K

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 ポタアンのエントリー・モデルとしてもお薦めなのが、FiiOの“E17K”です。コストパフォーマンスに優れたモデルで、PCとのUSB接続ではPCMで最大32bit/96kHz、DSDも2.8kHz(※Windowsのみ。Asioドライバが必要)まで対応しています。またライトニング・ケーブルとカメラ・コネクション・キッドを使うことで、iOSデバイスとの接続(iOS7以降)も可能で、iPhone/iPad等でのハイレゾ再生も可能です。本体の充電は、USBケーブルを使って行ない、連続15時間以上の駆動ができます。手軽にハイレゾ再生を始めたい方にもお薦めな1台です。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込24,000円前後)
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xDuoo XD-05

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 多彩なハイレゾ音源を再生可能なポタアンが、xDuooの“XD-05”です。DAC部には、注目度の高い旭化成エレクトロニクス(AKM)のAK4490を用い、PCMで最大32bit/384kHz、DSDも〜11.2MHzと、幅広いファイルを楽しむことができます。またライトニング&カメラ・コネクション・キッドで、iOS端末でのハイレゾ再生、USB OTGケーブルを使ってのAndroid端末との連携も可能です。ヘッドフォンのゲインも3段階、筐体正面のOLEDモニターも視認性が良く、入門モデルとしては十分な機能を備えています。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込29,800円前後)
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iBasso Audio D14

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 質の高いポタアンを作り続け、ポータブル・オーディオのマニアからも高い評価を受けているのがiBasso Audioです。このモデルは、ESS社のチップ“ES9018K2M”を使い、PCMが32bit/384kHz、DSD〜11.2MHzまで幅広く対応します。もちろん上記xDuoo同様に、PC、iOS(ライトニング・ケーブル+カメラ・コネクション・キッド)/Andoroid端末(USB OTGケーブル)で使用可能です。アナログ入出力端子も付き、外部のシステムに接続して使うこともできます。PCM、DSD両方楽しみたいリスナーには特にお薦めです。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込30,000円前後)
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APOGEE Groove

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 オーディオ・インターフェースをはじめ、プロ・クオリティのレコーディング機器で有名なAPOGEE。同社が、レコーディング・スタジオ・クオリティのサウンドを手軽に体験できるデバイスとして開発したポタアンが“Groove”です。USBメモリほどの大きさのため、非常に軽量で日々の持ち運びもスムーズに行なえます。DSDには対応していませんが、PCMは24bit/192kHzまでD/A可能です。本体のコントロールもシンプルで、煩わしいセッティングなしにハイレゾ再生環境が整います。

■価格:税込39,800円
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Shure SHA900

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 “ゴッパチ(SM58)”、“ゴーナナ(SM57)”のマイクでもお馴染みのシュアから登場したポタアンは、ハイエンドなヘッドフォン・アンプを備えたモデルです。USB DACとしては、PCMのみで24bit/96kHzまでと対応できるファイルが限られますが、高性能なEQや、シュアのフラグシップ・イヤフォン“SE846”に最適化されたアンプ部の性能は、ポタアンの中でもトップ・クラスのひとつと言えそうです。お値段も紹介したポタアンの中では桁がひとつ違うため、なかなか購入するには勇気が入りそうですが、ワンランク上のサウンドを体験することができます。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込130,000円前後)
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Pt.3 自宅レコーディング環境を整えながらハイレゾも聴きたいあなたへ!
オーディオ・インターフェース+パワード・スピーカー

 音楽活動をしていると、自宅にレコーディング環境を整えたくなる方も多いと思います。現在ではデジタル・レコーディングが主流となっているため、PCでのレコーディング環境を整えるためには、オーディオ・インターフェースが必須となっています。そのオーディオ・インターフェースは、例えエントリー・モデルであっても、CDクオリティ以上のビット/サンプリング・レートのAD/DAに対応していることが当たり前になってきています。そのオーディオ・インターフェースを使って、ハイレゾ音源を聴くことも可能です。

 そこで、オーディオ・インターフェースのアウト・プット端子から直接接続可能なパワード・タイプのモニター・スピーカーと組み合わせ、レコーディング(&マスタリング)環境を整えながら、ハイレゾ音源を聴けるシステムを提案したいと思います。オーディオ・インターフェースの音声出力端子は、フォーンもしくはバランス(XLR)出力が多いので、モニター用のパワード・スピーカーとの接続に向いています。パワード・スピーカーを使えば、別にアンプを用意することなく、自宅リスニング環境を整えることができます。パワード・スピーカーについては、『いっちーのデジタル・デジマート〜第11回/モニター・スピーカー選びで知っておきたいこと』も参考にして下さい。イヤフォン/ヘッドフォンで聴く楽しみもありますが、スピーカーを鳴らして伝わってくるハイレゾ音源の音も魅力です。ぜひ紹介する機種を組み合わせたシステムも、検討してみて下さい。


■オーディオ・インターフェース

Steinberg UR22mkII

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 エントリー価格ながら24bit/192kHzまでの対応などで、人気を集めたスタインバーグのオーディオ・インターフェース“UR22”がバージョン・アップして登場しました。全機種と基本性能はほぼ変わりませんが、入力ゲインのアップ/高域の周波数特性が伸びています。またライトニング・ケーブル+カメラ・コネクション・キットを使うことでiOS端末との連携も行なえます。iOSでのレコーディングやハイレゾ再生も試してみたいですね。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込16,000円前後)
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Audient iD14

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 音質の高さから注目を集めていたのが、Audientのオーディオ・インターフェース“iD22”。その基本性能を受け継ぎながら小型化され、USBバスパワー駆動ができるようになったのが“iD14”です。AD/DAは、24bit/96kHzまですが、レコーディングのクオリティとしては十分なスペックを誇ります。ハイレゾ再生用途だけで考えると192kHzまでほしいところでもありますが、解像度の高い音が録れるため、レコーディング・メインの方にはお薦めです。

■価格:オープン(市場実勢価格:税抜40,000円前後)
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MOTU Microbook IIc

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 プロのレコーディング現場でも定評のあるMOTUが、同社のノウハウを生かして制作したエントリー・クラスのオーディオ・インターフェースが“Microbook IIc”です。軽量かつ持ち運びにも便利なサイズで、ライブ・レコーディングなどにも向きそうです。AD/DAは24bit/96kHzまでとなります。iPad等のiOS機器との連携も取れるようになっています。またMAC OS Xで動作するDAW『Audio Desk 3』が付属しています。

■価格:オープン(直販価格:税込29,800円)
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Tascam UH-7000

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 数多くのレコーディング機器を開発するタスカムが手掛けたハーフラック型のオーディオ・インターフェースが“UH-7000”です。フロント・パネルに大型のアルミ・ボリューム・ノブと視認性に優れたインジケーターが付いていて、とても使いやすいレイアウトです。AD/DAは24bit/192kHzまで対応でき、高精度のクロックマスターを用いる等、高いクオリティを誇ります。また独自の高品位マイクプリ・アンプも魅力。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込43,000円前後)
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Universal Audio Apollo Twin USB

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 世界のレコーディング・スタジオでその実力を認められているのがユニバーサル・オーディオの機器です。“Apollo Twin USB”は、Windows専用に開発された可搬性に優れたデスクトップ型オーディオ・インターフェースです。USB3.0でのデータ転送が可能で、この辺りも音質の向上に役立っています。AD/DAは24bit/192kHzと十分です。最大の特徴はUAD-2プロセッシング機能で、ビンテージの名機が収録されたUADプラグインを使うことができ、質の高い録音が可能です。

■価格:税抜110,000円
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■パワード・スピーカー

Mackie CR3

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 高いコストパフォーマンスを誇り、デザイン性にも優れたパワード・スピーカーが、MackieのCR3です。電源をオンにするとグリーンのLEDが鮮やかに光ります。電源はフロントに備えられたボリューム兼用のノブでオン/オフができる点も便利です。出力は50Wで、求めやすい価格ながらプロフェッショナル・モニターのようなサウンドを生み出します。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込18,000円前後、ペア)
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FOSTEX FS-4AS

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 木目調のパネルが使われ、お洒落なルックスに仕上げられているのが、FOSTEXのパワード・スピーカー“FS-4AS”です。ハイレゾ対応を謳い、再生周波数帯は60Hz〜40kHzと幅広い音域をカバーします。入力はRCA端子のみなので、一般的なオーディオ・インターフェースのフォーンやXLR端子からの出力の場合は、変換プラグが必要になります。

■価格:税抜39,000円(ペア)
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Pioneer RM-05

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 ハイエンドなピュア・オーディオも手掛けてきたパイオニアの意気込みが感じられるニアフィールド・スタジオ・モニターです。50kHzの再生にも対応可能なHSDOMトゥイーターを搭載し、ハイレゾ音源も高解像度で描き出します。このクラスになるとプロのマスタリング・エンジニアが使っても満足度の高いモデルと言えそうです。入力もXLR、RCAの2系統あるのが便利です。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込73,000円前後、一台)
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Gibson Les Paul Reference Monitors 4インチ

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 レス・ポールのモデル・ネームが付けられたモニター・スピーカーがギブソンより登場しました。レス・ポールを連想させるような虎目の浮き出たメイプルのアーチ・トップが使われており、これまでのモニター・スピーカーにはない個性を際立たせています。モ二ター・スピーカーというイメージのないギブソン社ですが、そのサウンドはプロのマスタリングにも対応できるレベルです。入力もRCA/XLRの2系統を備えています。

■価格:税抜148,000円(ペア)
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ADAM A7X Special Edition

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 プロのマスタリング・エンジニアにも愛用者の多い、アダムのモニター・スピーカー“A7X”に国内50ペア限定で発売された限定カラーです。高級感あるチェリー・ウッド仕上げのエンクロージャーが、大人の仕事部屋には似合いそうです。モニター・スピーカーとしての解像度の高さはもちろん、アダムのスピーカーは音楽を楽しく鳴らしてくれる印象があります。やや値段は張りますが、満足度の高い再生音が得られるはずです。

■価格:オープン(市場実勢価格:税込199,900円前後、ペア)
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Pt.4 スピーカーのみでハイレゾ再生

YAMAHA NX-N500

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 最もシンプルな自宅ハイレゾ・システムを構築できるのが、ヤマハから発売されているスピーカー“NX-N500”を使ったシステムです。このモデルはなんと、USB DACとネットワークの機能を内蔵したスピーカーです。USBケーブルでPCと接続するだけで、PCMの24bit/384kHz、DSDは〜5.6MHzまでの音源を再生できます。またWiFiに対応した無線LANにも対応し、無線ルーターやNASがあれば、ネットワーク・オーディオの環境も構築できてしまいます。スピーカー・ユニットもハイレゾ音源の再生を念頭に開発されたもので、ピュア・オーディオ分野で培った技術が生かされています。スピーカーのパワーもトータルで75Wと申し分なく、一般的な部屋であれば十分に迫力のある音が鳴らせます。何よりも、スピーカーとPCのみというシンプルさが、これまで以上に斬新で、今後の音楽再生環境のひとつのカタチを生み出しているようにも思えます。余計な機器を揃えずに、究極的にシンプルなハイレゾ再生システムを組みたい方には特にお薦めしたいモデルです。

■価格:税抜100,000円(ペア)
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 今回はやや長くなりましたが、ぜひ春からハイレゾ環境を整えて頂き、良質な音楽再生を楽しんでもらいたいと思います。ハイレゾ再生方法の幅は広がっていますが、まずはエントリー・クラスのシンプルなシステムを揃えて、好きなハイレゾ音源を購入して聴いてみて下さい。エントリー・クラスであっても、CDとは違ったリスニング体験ができるはずです。これまでCDで何度も聴いていた音源であっても、ハイレゾで聴き直すと違った魅力が感じられたりもします。
 春は進学や就職、転職等で引っ越す方も多いと思います。それを機に新たなリスニング環境を整えるのもお薦めです。また部屋の模様替えをする際に、ハイレゾの再生できる機器を揃えてみても楽しいはずです。ハイレゾ音源のトビラを開くと、また改めて音楽と向き合いたくなると思います。ぜひトライしてみて下さい。では、また!

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プロフィール

菊池真平(きくち・しんぺい)
音楽雑誌「Player」、オーディオ誌を発行するステレオサウンド社で「Beat Sound」、「Digi Fi」の編集に携わった後に独立。現在はフリーランスで、ビンテージ・ギター関連書籍/ギターに関する雑誌等に、編集/ライターとして携わる。国内外のミュージシャンへのインタビュー等も多数行っている。

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