- 製品レビュー
- 2016/03/08 19:00
- 次世代のストラトの息吹を感じさせてくれる完成度の高い新シリーズ
Fender / American Elite Stratocaster
Fender / American Elite Stratocaster
高いプレイアビリティを約束するネック周りとセットアップ
フェンダー・ギターのフラッグシップである「American Deluxe」シリーズが、この度リニューアルされ、「American Elite」としてラインナップを一新した。
これまでもアメリカン・デラックス・シリーズは、ビンテージ・フェンダーの個性は残しつつ、弾き心地やトーン、コンストラクションをモダンに仕上げることで多くのユーザーに受け入れられてきた。そのテイストを継承し、さらにワンランク上の音色とプレイアビリティをユーザーに提供してくれるのがアメリカン・エリート・シリーズだ。Stratocaster、Stratocaster Left-Hand、ブリッジ側にオープンコイル・ハムバッキングを搭載したStratocaster HSS Shawbucker、Telecaster、Telecaster Thinlineの5モデルがラインナップされているが、ここではもっともベーシックなStratocasterをメインにレポートしたい。
プレイアビリティに関して、まずこれまで以上に完成度が高いネック周りを見ていこう。ネック・シェイプはロー・ポジションからハイ・ポジションにかけてシェイプが異なるコンパウンド・バック・ラディアスを採用。ヘッド寄りのロー・ポジション側がUシェイプ、ネック・エンド側に向かってDシェイプに変化している。さらに指板面もコンパウンド・ラディアスが採用されており、ハイ・ポジションに向かってアールが緩くなるよう設定されている。これによりポジション毎の弾き心地の良さが確立されている。また、フレット・サイズはビンテージ・モデルよりも大きめのミディアム・ジャンボ・サイズを採用している。
セットアップに関して見てみよう。トラスロッド調整はネック・エンド部分のホイール状の金属パーツを回すスタイル。ネックを外さずにトラスロッド調整が可能なので、気になった時点でタッチできるのが嬉しい。ネックのコンディションを維持しやすいので、ツアーの移動等で環境が変わってしまうことが多いミュージシャンにもありがたい。オリジナルの2点支持トレモロ・ユニット（ブリッジ）も、アーミングに対するレスポンスが素晴らしい。出荷セットアップはフローティング（トレモロ・エンドがボディから浮いた状態）なので、柔らかいビブラートからハードな奏法まで、セットアップに手を入れることなく対応してくれる。またブロック・タイプのサドル（駒）のおかげでパンチのある音の立ち上がりが得られる。
第4世代のノイズレスPUとS-1サーキットによる多彩なサウンド
肝心の音色だが、ポイントとなるのは第4世代となるフェンダー・ノイズレス・ピックアップだろう。ネオジウム・マグネットを採用したこのNew 4th Generation Noiselessピックアップの外見はシングルコイルだが、実際にはスタック構造によるハムバッキング・ピックアップになっている。構造は前世代と同じだが、ボトム側コイルの高さ等にもモディファイを加えている。ワイドレンジで特に低域に広がりを感じることからも、よりロック・サウンドにも対応した音色という印象だった。なお、このピックアップは今のところアメリカン・エリート・シリーズ専用となる。
サーキットは一見ノーマル・ストラト仕様だが、ボリューム・ノブのトップにプッシュ式のフェンダー・オリジナル「S-1」スイッチを装備。このスイッチをオンにすることで、ノーマル配線では得られない複雑なピックアップのコンビネーションを実現している（3ピックアップすべてONなど）。また、通常のストラトのトーンはネック・ピックップ用とセンター・ピックアップ用だが、このアメリカン・エリートではネック・ピックアップ・トーンとセンター＆ブリッジ・ピックアップ・トーンになっている。さらに、センター＆ブリッジ・トーンはフル（10）の状態でトーン回路を完全にパスするようにデザインされている。
レギュラー・ラインナップ・モデルでありながら、ギター・マニアが組上げたこだわりのカスタム・ギターのようなスペックを盛り込んでいる。プレイアビリティとトーン、フレキシブルなサウンドメイクと、すべてにおいて次世代のストラトの息吹を感じさせてくれる完成度の高いギターに仕上がっている。
※使用アンプ：CARR / Impala 112 Combo
※使用エフェクター：Crews Maniac Sound / QUADRIVE
Fender / American Elite Stratocaster（Back）
第4世代となるノイズレス・ピックアップ。見た目はオーソドックスだが、スタック構造のハムバッキングになっている。ネック・エンドにはトラスロッド調整用のホイールがセットされている。
マスター・ボリュームはピックアップのコンビネーションを変更できる「S-1」スイッチを兼用。トーンはフロント用とセンター＆リア用となり、リア・ピックアップにもトーンが効かせられるようになった。ブリッジは2点支持のシンクロナイズド・トレモロ。
トラ目が浮き出たメイプルのフィンガーボード。ハイ・ポジションに向かってRが緩やかになるコンパウンド・ラディアス（241mm-355.6mm）で、プレイアビリティの高さに貢献している。フレット・サイズはミディアム・ジャンボだ。
ペグはショート・タイプのポストで、適切なテンションが得られるようになっている。ナット幅は42.8mm。
ネックもコンパウンド・バック・シェイプを採用。ロー・ポジションのモダンCシェイプからハイ・ポジョンのモダンDシェイプへ、滑らかに変化している。
ハイ・ポジションの演奏性を考慮し、ヒールレス部分をより滑らかに変更したネック・ジョイント部。
American Eliteシリーズ・ラインナップ
1950〜2016年モデルまで収録したテレキャスター・ムックにも注目！
ストラトと並びフェンダーの偉大なるアイコンであるテレキャスター。動画の8:12〜ではアメリカン・エリート・テレキャスター・シンラインのサウンドも収録しているが、テレキャスター・プレイヤーなら必携と言えるムックも紹介しておきたい。『Fender Telecaster Player's Book〜テレキャスターを持ったら読む本』。1950年製ブロードキャスターを筆頭に50年代、60年代のビンテージ・ギャラリー、キース・リチャーズやジョン・フルシアンテなどのスーパー・ギタリストの愛用テレキャスターを大公開、正しいパーツ交換や調整法をまとめたオーナーズ・マニュアル、その誕生から80年代以降のバリエーションにも迫った歴史、2016年の最新モデルまで、テレキャスター好きにはたまらない、テレキャスターだらけの1冊だ。
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