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- 2024/11/16
Maestro / Fuzz Tone FZ-1A
ギター・マガジンと連動して歴史的価値のあるビンテージ・エフェクターを紹介する新連載。初回は世界初のストンプ・ボックス型エフェクターであるマエストロのFuzz Toneを取り上げよう。キース・リチャーズが「サティスファクション」で使用したとされ、以降に誕生したファズ・ペダルの礎となった存在である。今回はCo/SS/gZのほか、椎名林檎やSuperfly、CHARA、堂本剛などのサポートで知られる名越由貴夫に、1965年に登場したFZ-1Aを弾いてもらった。
ファズという効果を世に知らしめた世界初のストンプ・ボックス
史上最も原始的な回路を“VOLUME(音量)”と“ATTACK(歪み量)”というわずかふたつのコントロールのみで操る、市販品としては世界初のストンプ・ボックス型エフェクターが、マエストロが1962年に発売したFuzz Tone FZ-1である。設計者はレコーディング・エンジニアであったグレン・スノッディーと、放送局に勤めていた友人のリーヴァイス・ホッブス。グレンは本機について、スタジオにあった粗悪な出力トランスを積んだコンソールのプリ・アンプ部の歪みを再現したかったと語っている。
ふたりが設計したファズの原案はギブソンを傘下に従えるCMI(Chicago Musical Instruments)社に持ち込まれ、FZ-1 Fuzz Toneとして製品化された。インプット・ジャックを備えておらず、本体から生えたケーブルでギターと接続するという異形の製品であった。
当初、FZ-1は市場に受け入れられなかったそうだが、1965年に発表されたザ・ローリング・ストーンズの「サティスファクション」にて、キース・リチャーズがメイン・リフに用いたという情報が広まり、人気に火がついた。同年にマイナーチェンジを施したFZ-1Aが発売されると、計4万台以上を売り上げる大ヒットとなったのだ。その後Fuzz Toneは、同回路を元にしたTone Benderなどの歴史的ファズ・ペダルの誕生をうながし、後継機種となるFZ-1Bが発売される1968年頃には姿を消していた。
改めてFZ-1と今回紹介するFZ-1Aの違いについて言及すると、まず外観はほとんど変わらない。しかしながら単3電池を2本使用していたFZ-1に対し、FZ-1Aでは使用する電池の数が1本となり、3石のトランジスタがすべて変更されている。
"曲を選ぶかもしれないけれど、ほかにはない個性があります。"
『ギター・マガジン2016年3月号』に掲載中の本連載「ビンテージ・エフェクター・カフェ」に、名越由貴夫のコメント全文、さらにFZ-1Aの内部写真とその分析が掲載されています。ファズを愛する手練はFZ-1Aをどう評したのか。当時のエフェクターはどのような回路やパーツで構成されているのか。是非ご覧ください。