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- 2024/11/16
Gibson Memphis / Larry Carlton Signature ES-335(2015)
今週は、前回のディーラー・ツアー・レポートでも紹介しました、“Mr.335”ラリー・カールトンの愛器をギブソン・メンフィスがプロファイルし直した最新シグネチャー・モデルを紹介します。かつてリリースされた同335からさらに再現性を高めた渾身の1本です。
使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソンInstrument Cable
ES-335のファンなら、ラリー・カールトンのことはもちろんご存知でしょう。筆者も335大好き、ラリー・カールトンも大好きですから、本器を手にした時には“これが、本人の愛器と同じグリップか!”と感動しました。今回のラリー・カールトン・シグネチャーのリファインにあたってポイントはいくつかあるのですが、最大のポイントはこのグリップ感にあると感じた次第です。
ギブソンはこれまでにもラリー・カールトン・シグネチャーを発表していますが、今回の最新モデル発表にあたって改めて本人の愛器をプロファイルし、ネックの幅、厚みを見直しています。握った感じは、まさに60年代後半〜70年代初期のナロー・ネックそのままで、特にローポジション付近は驚くほど細いのですが、厚みがあるために握り心地は意外にもしっかりとした印象です。筆者が以前所有していた70年製ES-335にはここまでの厚みは感じませんでしたので、この点がカールトン本人の69年製の個体の特徴かと思います。数々の名演が、このグリップで弾かれたのかと思うと、ファンとしては胸が熱くなります(今回は個人的思い入れが強くスミマセン)。他には、ロールド・ネック・バインディング処理が施されていて最初から手に馴染む点、シャーラーM6チューナーを搭載している点、ヒストリック・トラスロッドを採用している点、トラスロッド・カバーに“Mr.335”の刻印がある点も、ネック周りの特徴です。
このサンバーストの色味にも、注目してください。濃い目のアイス・ティーというか、独特の色合いです(正式名称はFaded Sunburst)。これが経年変化していくと、さらに本人所有の個体に近づきそうです。また、ボディのホーン形状やfホール・サイズのリファインも行われ、全体のシルエットもこれまで以上にそっくりになっています。
サウンドに関しては、これぞES-335という王道ド真ん中のグッド・トーンがします。ピックアップは57クラシックを搭載しており(週刊ギブソン第84回でも書きましたが、57クラシックは改めて評価すべき良いピックアップだと思います!)、それが本器の仕様とマッチして、温かみのあるサウンドを生み出します。特に、動画ではオケが終わった1:05秒あたりからのごくわずかなクランチ・トーンで、335らしい(そして本器らしい)エア感とウォーム感のあるサウンドを確認できると思います。もうひとつ、本器の特筆すべきポイントは、タッチに対する反応が抜群に良い点。音の強弱や歪みの深さが指先とピッキングの仕方で変わり、フレーズに表情が付けやすいギターです。試奏ではマーシャル・アンプを使用しているのですが、ダンブル系、あるいはメサ・ブギーのMKシリーズ等をお持ちの方であれば、カールトンの音に肉薄することができそうです。
Mr.335のファン、ナロー・ネックの良い335を探している方、ジャズやブルース等からポップスまで幅広いジャンルで使えるギターを探している方、すべての人にオススメしたいギターです。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは1月29日(金)を予定。
価格:¥542,000 (税別)