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- 2024/11/16
Roland / Blues Cube Tour、Blues Cube Artist
極上のウォーム・トーンが好評のライブ用ギター・アンプBlues Cubeに、新たなモデルが加わった。12インチ・スピーカーを2基搭載した『Artist212』、そしてフラッグシップ・モデルとなるヘッド型の『Tour』と専用キャビネットの『Cabinet410』だ。2014年に発表された12インチ1発で80W出力を誇る『Artist』、最も扱いやすいサイズでありながら60Wを叩き出す『Stage』とあわせて、4モデルが揃ったBlues Cube。この注目のアンプを、日本の音楽シーンを支え続けるトップ・ギタリストの佐橋佳幸氏に試奏してもらった。
僕が初めてBlues Cubeを知ったのは、2015年の夏ですね。Charさんのフリー・コンサートの会場で、山岸潤史さんが使っていたのがBlues Cubeでした。その音が良かったのはもちろん、演奏後もずっとBlue Cubeの良さについて山岸さんから話を伺っていたので、自分の楽器で弾いてみたいなぁと思っていたんです。
今日、ようやく弾いてみたら、チューブ/ソリッドステートの概念が吹っ飛びました! 僕は元々、チューブ・アンプが大好きなんですよ。ミュージックマン、フェンダー、メサ・ブギー、ハイワットとアンプ遍歴を重ねてきて、ずっとメインとして使っているフェンダー・コンサートや最近よく使っているSHINOSまで、基本はチューブ・アンプです。でもアンプを持っていけない場合などにソリッドステートを使うこともあって、全国津々浦々にあるローランドのJazz Chorusの安定した良さ、丈夫さもよく知っています。
Blues Cubeは、チューブ・アンプの温かみのある音とソリッドステートの安心感の両方を持っていて、チューブだソリッドステートだという構造で良し悪しを考える概念が吹っ飛びました!
他にも、デュアル・トーン(※)が使いやすい、ギター側のボリュームに対する反応が良い、持ち運びしやすくトラブルが起きる危険性が少ないなどのメリットを列挙してくれた佐橋氏。結論として「音色については自分がメインで使っている機材と遜色なく、トラブルの心配もない。すぐにでも仕事で使いたい」と述べてくれた。今後、会場の規模などにもよるが、佐橋氏の後ろにBlues Cubeがセットされたステージを見ることができそうだ。
※デュアル・トーンとは?──独立したクリーン・チャンネル、クランチ・チャンネルのサウンドをブレンドする機能。これにより、輪郭のはっきりした歪みや、クリーンでありながらサステインの長いサウンドなどが可能となり、音作りの可能性が大きく広がる。
今回試奏した『Tour』+『Cabinet410』、『Artist』それぞれの機種についても感想をいただいたので紹介しよう。
Blues Cubeシリーズ唯一のヘッド・アンプで100Wの大出力を誇る。2チャンネル独立EQを持つのも本機だけ。専用の『BC CAB410』は、オリジナルの10インチ・スピーカーを4基搭載したオープンバック・タイプのキャビネット。筐体には音響特性に優れたポプラ材を使用し、抜けの良い高域、リッチな低域を持つクリアなサウンドを実現した。 TOURとBC CAB410の組み合わせは、コンボ・タイプでは出せないレンジの広さと、大パワーが魅力となっている。
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[Blues Cube Tour Specifications]
●出力:100W●コントロール:POWER、DUAL TONE、CH SELECT【CLEAN】BOOST、TONE、VOLUME【CLEAN EQ】BASS、MIDDLE、TREBLE【CRUNCH】BOOST、TONE、GAIN、VOLUME【CRUNCH EQ】BASS、MIDDLE、TREBLE【EFFECT】EFX LOOP A、EFX LOOP B、REVERB【MASTER】PRESENCE、MASTER、POWER CONTROL(0.5W、15W、45W、MAX)●ラインアウト:GND LIFT●スピーカーアウト:IMP.SELECT(4Ω/8Ω、16Ω)●接続端子:INPUT HIGH/LOW端子=標準タイプ、LINE OUT端子=標準タイプ、PHONES端子=ステレオ標準タイプ、FOOT SW(TIP:EFX LOOP A、RING:EFX LOOP B)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(TIP=CH SELECT、RING=DUAL TONE)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(GA-FC)端子=TRS標準タイプ、EFX LOOP A RETURN端子:標準タイプ、EFX LOOP B SEND端子:標準タイプ、EFX LOOP B RETURN端子:標準タイプ、REC OUT端子=USBタイプB、MIDI IN端子、SPEAKER OUT端子:標準タイプ、AC IN端子●外形寸法:545(W)×233(D)×234(H)mm●質量:8kg
[BC CAB410 Specifications]
●入力:100W●スピーカー:25cm×4●公称インピーダンス:4Ω●接続端子:INPUT端子=標準タイプ●外形寸法:677(W)×317(D)×698(H)mm●質量:25.6kg
これは10インチ4発でしょう? だから僕がメインで使っているビンテージのフェンダー・コンサートと一緒ですね。これはレンジが広くて、5〜6弦を使ったパワーコードの音圧が凄いです。使い勝手の良さや様々な機能はBlues Cubeならではだから、僕のメイン機に機能が加わってグレードアップしたような感覚でした。このTourは、両チャンネルに独立したEQが付いているから、細かい音作りをしたい人にお勧めですね。
■佐橋佳幸による試奏を見る!(YouTubeにリンクします)
→Blues Cube Tour CLEAN&CRUNCH(w/ 1961 Fender Stratocaster)
→Blues Cube Tour DUAL TONE(w/ 1961 Fender Stratocaster)
12インチ・スピーカーを1基搭載し、小型軽量ながら80Wの出力を誇るコンボ・アンプ。ローランド独自のTube Logicによりデザインされており、ツイード期のチューブ・アンプの回路特性や動作、音に影響する全てのパーツを徹底的に研究し、真空管の種類からその動作電圧の設定など細部に至るまで評価しなおして、ギタリストにとってのフィーリングを極限まで追求したチューブ・アンプ・サウンドを完成させた。クリーンとクランチ・チャンネルでの細かいコントロール、両チャンネルをブレンドしたデュアル・トーン、小さいボリュームでもチューブ・アンプ特有の粘りと艶のあるトーンを発揮できるパワーアンプ出力の切り替えパワー・コントロール・スイッチなど、Blues Cubeシリーズの核となる機能はすべて搭載されている。
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[Blues Cube Artist Specifications]
●出力:80W●スピーカー:30cm×1●コントロール:POWER、DUAL TONE、CH SELECT【CLEAN】BOOST、TONE、VOLUME【CRUNCH】BOOST、TONE、GAIN、VOLUME【EQUALIZER】BASS、MIDDLE、TREBLE【EFFECT】TAP、EFX LOOP、TREMOLO、REVERB、PRESENCE、MASTER、POWER CONTROL●接続端子:INPUT HIGH/LOW端子=標準タイプ、LINE OUT端子=標準タイプ、PHONES端子=ステレオ標準タイプ、FOOT SW(TIP=TREMOLO、RING=EFX LOOP)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(TIP=CH SELECT、RING=DUAL TONE)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(GA-FC)端子=TRS標準タイプ、EFX LOOP SEND端子=標準タイプ、EFX LOOP RETURN端子=標準タイプ、REC OUT端子=USBタイプB、AC IN端子●外形寸法:592(W)×260(D)×485(H)mm●質量:16kg
これは12インチ1発ですね。スピーカーが1発の良さは、単音の抜けが良いことなんですよ。ボリュームを上げていくと、ツイードのデラックスのような感じがしますね。それに現代的な仕様が加わった点が気に入っています。このArtistはシンプルなコントロールで「四の五の言わずに弾け」と言っているような気風の良さがあって、僕は特に好きですね! これから、ぜひ使っていきたいです。
■佐橋佳幸による試奏を見る!(YouTubeにリンクします)
→Blues Cube Artist CLEAN&CRUNCH(w/ 1961 Fender Stratocaster)
→Blues Cube Artist DUAL TONE(w/ 1961 Fender Stratocaster)
→Blues Cube Artist CLEAN&CRUNCH(w/ 1961 Gibson ES-335)
今回、試奏では使用されなかった他の2モデルについても紹介しておこう。
新たにラインナップに加わった、12インチ・スピーカー2基搭載/85W出力のコンボ・アンプ。スピーカーが2基になったことで、既存のスピーカー1基のモデルよりも音に余裕があり、レンジも広くなっている。大きなステージでも余裕で使え、ステージのサイズに合わせてパワー・コントロール機能を使えばどんな場所でも問題なく使えるだろう。もちろん全Blues Cubeに共通するビンテージ・チューブらしい音、デュアル・トーン、USBダイレクト・レコーディング機能、持ち運びしやすい軽量ボディなどは継承されている。[この商品をデジマートで探す]
[Blues Cube Artist212 Specifications]
●出力:85W●スピーカー:30cm×2●コントロール:POWER、DUAL TONE、CH SELECT【CLEAN】BOOST、TONE、VOLUME【CRUNCH】BOOST、TONE、GAIN、VOLUME【EQUALIZER】BASS、MIDDLE、TREBLE【EFFECT】TAP、EFX LOOP、TREMOLO、REVERB、PRESENCE、MASTER、POWER CONTROL●接続端子:INPUT HIGH/LOW端子=標準タイプ、LINE OUT端子=標準タイプ、PHONES端子=ステレオ標準タイプ、FOOT SW(TIP=TREMOLO、RING=EFX LOOP)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(TIP=CH SELECT、RING=DUAL TONE)端子=TRS標準タイプ、FOOT SW(GA-FC)端子=TRS標準タイプ、EFX LOOP SEND端子=標準タイプ、EFX LOOP RETURN端子=標準タイプ、REC OUT端子=USBタイプB、AC IN端子●外形寸法:677(W)×271(D)×545(H)mm●質量:21kg
シリーズ中、最も軽量、コンパクトなボディの『Blues Cube Stage』。それでも60Wの出力を誇る。新しいTube Logicによるピッキング時のバイト感、タッチやボリュームによる歪みのコントロール、クランチ時の独特の艶、電源の“サグ”など、ギタリストが愛してやまないチューンナップされたビンテージ・チューブ・アンプの個性が宿るアンプだ。デュアル・トーン、パワー・コントロール機能、USB端子などももちろん搭載している。最も手が届きやすいモデルでありながら一切の妥協がなく、Blues Cubeらしさを堪能できるモデルだ。[この商品をデジマートで探す]
[Blues Cube Stage Specifications]
●出力:60W●スピーカー:30cm×1●コントロール:POWER、DUAL TONE、CH SELECT【CLEAN】BOOST、TONE、VOLUME【CRUNCH】BOOST、TONE、GAIN、VOLUME【EQUALIZER】BASS、MIDDLE、TREBLE【EFFECT】REVERB、MASTER、POWER CONTROL●接続端子:INPUT HIGH/LOW端子=標準タイプ、LINE OUT端子=標準タイプ、PHONES端子=ステレオ標準タイプ、FOOT SW(TIP=CH SELECT、RING=DUAL TONE)端子=TRS標準タイプ、REC OUT端子=USBタイプB、AC IN端子●外形寸法:513(W)×244(D)×465(H)mm●質量:14kg
Blues Cubeは、ライブに最高です! レコーディングではアンプ自体はもちろん、マイクの種類や立て方などの選択肢が多いんですけど、ライブは限られた機材でトラブルなく良い音を出す必要があります。そんな時にBlues Cubeは、チューブ・アンプの良い音をトラブルの心配なく使うことができる──ここが僕にとっては最大の魅力ですね。音については、チューブ・アンプ派の皆さんにも自信を持ってお勧めできます。僕自身、これからぜひ使っていきたいと考えています。
《試奏環境について》
基本的には、佐橋佳幸氏が所有する1961製フェンダー・ストラトキャスターをメインに、状況に応じて同じく佐橋氏所有の1961製ギブソンES-335を使用。エフェクターはMXRのダイナコンプのみを使用した。
ステージの規模やバンド編成などの用途に合わせて選べるBlue Cubeのラインナップ
価格:オープン
価格:オープン
価格:オープン
価格:オープン
佐橋佳幸
さはしよしゆき:1961年9月7日生まれ、東京都目黒区出身。全米トップ40に夢中だった中学時代、シンガーソングライターに憧れ、初めてギターを手にする。1983年、当時先鋭的な存在であったバンド「UGUISS」のメンバーとしてエピック・ソニーからデビュー。解散後はセッション・ギタリストとして、数えきれない程のレコーディング・セッション及びコンサート・ツアーに参加。80年代後半からは作編曲家/プロデュース・ワークと活動の幅を広げ、1994年に手がけた藤井フミヤの「True Love」はミリオンセラーとなりそのクリエイティビティーが高く評価される。同年にはイーストウエスト・ジャパンからソロ・アルバムを発表、多種多様な音楽活動を展開している。山下達郎、竹内まりや、佐野元春、小田和正など、日本の音楽シーンを牽引しているアーティストからの信望が厚く、様々な創作活動の局面で数多く起用されている。また小倉博和とのギター・デュオ「山弦」として3枚のオリジナル・アルバムを発表、個性的な活動も注目されている。
最新作は、2015年11月にタワー・レコード&Sony Music Shopで限定発売が開始された『佐橋佳幸の仕事(1983-2015) 〜Time Passes On〜』。このアルバムの発売に際し、ギター・マガジン2016年1月号で佐橋佳幸を大特集! 要チェックだ。