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  • BOSSの決定版的ディレイ・マシンが堂々完成!

AKIHIDE meets BOSS DD-500

BOSS/DD-500&DM-2W

  • 撮影:星野俊 動画撮影・編集・録音:森田良紀 文:細川雄一郎 ヘアメイク:Yuu.(Alpha Knot)

これまで、アナログ/デジタル、コンパクト/ラックを問わず、名機と呼ばれるディレイを数々送り出してきたBOSS/Roland。エフェクター界のリーディング・カンパニーとして、常にプレイヤーのイマジネーションを刺激する製品を送り出してきた同社が、32bit/96kHz処理による高品位サウンド、12種類のディレイ・モードによるサウンド・バリエーションの幅広さ、ギタリスト視点に立った操作性の良さなどを併せ持つハイエンド機種「DD-500」をリリースした。ここでは、ギター・マガジン2016年1月号での特集と連動して、このDD-500と、幻の名機と謳われるアナログ・ディレイ“DM-2”が新モードを備えてよみがえった「DM-2W Delay」をフィーチャー。BOSSのディレイ・サウンドに特別強いこだわりを持つというBREAKERZのAKIHIDEを迎え、その実力を検証していきたい。

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DD-500試奏動画 by AKIHIDE


DD-500

楽器としてのおもしろみも詰め込んだディレイ・ペダルの新たな名機が誕生

 まずはBOSSが満を持してリリースしたハイエンド・ディレイ、DD-500の性能から見ていこう。

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 発売から12年間、多くのプレイヤーに愛され続けたBOSSのディレイ上位機種DD-20 GIGA DELAYが勇退し、まさしく満を持しての発売となった新たなフラッグシップ機DD-500 Digital Delay。その姿形から一新された、BOSSが見せる本気のディレイである。
 まず特筆すべきは演算処理能力である。コンパクト・ディレイ・ペダルとしては最高値となる32bit /96kHzの演算処理。まるでハイレゾ・オーディオのような解像度を誇る数字である。デジタル・ディレイの心臓部であるAD/DAコンバート部分に、BOSSがかつてないほど注力したということはこの数字を見てもまず間違いない。それ由来の高い解像度を誇る音色はぜひ、実際に弾いて体験してほしい。
 優れているのは音だけではない。
 まず、12種類のディレイ・モードと、各モードごとに細かな設定が可能なパラメーターから成るサウンド・バリエーションの広さは驚異的だ。スタンダードなディレイ・タイプに加え、最大16回のディレイのタイム、レベル、定位を個別に決めてオリジナルのディレイ・パターンを作れる“PATTERN”、80年代“初期”のデジタル・ディレイをモデリングした“VINTAGE DIGITAL”、ディレイ・サウンドのピッチを任意に変えることが可能な“SHIMMER”など、DD-500ならではのディレイ・サウンドが非常に豊富である。
 さらにそれらディレイ・モードごとに異なるパラメーター設定も奥が深い。例えば、“TAPE”や“VINTAGE DELAY”では音色を再現するモデルを複数から選択することが可能だが、そのモデルは、“TAPE”ではRE-201、ECHOPLEX、“VINTAGE DIGITAL”ではDD-2、SDE-2000、SDE-3000などの通をうならせるラインナップ。さらに“ANALOG”ではBBDの段数までも変更できるなど、それぞれのモデル固有のパラーメーターも有する。ただのサウンド・バリエーションには留まらない、全世界のエフェクター・ギークを喜ばせるBOSSの最高のこだわりだろう。
 また、文字表示が可能な液晶画面や、MIDIの送受信機能、瞬時にプリセットの切り替えを可能にし、さまざまな機能もアサインできるTAP/CTLフットスイッチ、DAWとの同期を可能にするUSB端子の装備など、ハードウェアの充実ぶりも過去最高である。
 ただ優れた機能、スペックだけでなく、楽器としてのおもしろみもたっぷり詰め込んだ、新たな名機の誕生と言っても過言ではないだろう。

Specifications
●コントロール:【つまみ】モード(スタンダード、アナログ、テープ、ビンテージ・デジタル、デュアル、パターン、リバース、SFX、シマー、フィルター、スロー・アタック、テラ・エコー)、タイム/バリュー、フィードバック、エフェクト・レベル、トーン、モッド・デプス【ボタン】▲/▼ボタン、エグジット、エディット【フットスイッチ】A、B、TAP/CTL●入出力端子:インプット×2(A/モノ、B)、アウトプット×2(A/モノ、B)、CTL1, 2/エクスプレッション・ペダル、USB、MIDIイン/アウト●電源:単三アルカリ乾電池×4もしくはACアダプター●外形寸法:170(W)×138(D)×62(H)mm●重量:1.0kg

●価格:オープン

DD-500で実現する多彩なサウンド

 DD-500の最大の魅力は、幅広いサウンドを実現する12種類のモードだ。クリアなサウンドが魅力の“STANDARD”、温かみのある音色を聴かせる“ANALOG”、ピッチの揺れやコンプレッション感が独特な“TAPE”といった、BOSSディレイではおなじみのモードはさらにブラッシュアップされ、さらに“VINTAGE DIGITAL”という80年代に一斉を風靡したRoland SDE-3000などのモデルをよみがえらせたモードを搭載している。そのほか、逆再生ディレイの“REVERSE”、フィルターによる回転感を生む“FILTER”、バイオリン奏法のように使える“SLOW ATTACK”といった個性派モードのほか、ふたつのディレイを直列もしくは並列に接続する“DUAL”、ディレイ音のパターンがリズミカルな“PATTERN”、ビットクラッシュなどで特殊効果を生む“SFX”、ディレイ音の音程を変えてハーモニーを生む“SHIMMER”、BOSS TE-2のような広がりと動きを兼ね備えた“TERA ECHO”といったBOSSならではのモードも、ギタリストのイマジネーションをかきたてるだろう。

ギタリストに優しいこだわりの機能が満載

□カスタム可能なフットスイッチ

 右端のフットスイッチは、通常では、楽曲のテンポに合わせて踏むことで簡単にテンポにあったディレイを設定することができる“タップ・スイッチ”として機能している。このスイッチにさまざまな役割を与えることができるのもDD-500の特徴のひとつだ。例えば、押している間にディレイ音がくり返される“HOLD”や、ディレイ音のフィードバック量と音量をコントロールする“WARP”、押している間だけディレイ・タイムが1/2や1/4、1/8などに変化するモードなど、より多彩なディレイ・サウンドを演出することができる。
 また、通常は“A”と“B”のスイッチでパッチを切り替えるが、設定により“C”のパッチ呼び出しも可能だ。

──フットスイッチの機能一覧

TAP/楽曲のテンポに合わせてディレイ・タイムを設定する
HOLD/スイッチを押している間、ディレイ音がくり返される
WARP/ディレイ音のフィードバック量と音量を同時に増加させて、幻想的なディレイを作り出す
TWIST/複数のパラメーターを変化させ、アグレッシブな回転感が得られる
MOMENT/スイッチを押している間だけディレイ音を出力
ROLL 1/2/スイッチを押している間だけ、ディレイ・タイムが設定値の1/2 になる
ROLL 1/4/スイッチを押している間だけ、ディレイ・タイムが設定値の1/4 になる
ROLL 1/8/スイッチを押している間だけ、ディレイ・タイムが設定値の1/8 になる
FADE IN/ディレイ音をフェード・インさせる
FADE OUT/ディレイ音をフェード・アウトさせる
ASSIGN/最大8種類の異なるパラメーターをアサインしてコントロールする

□ルーパー機能を装備

 ソロ・パフォーマンスなどでも重宝するループ機能を搭載。録音時間は、最高音質の96kHz/モノでは60秒、CD以上の音質である48kHz/モノでは120秒というロング・タイムを実現している。録音/再生/オーバーダブは、3つのフットスイッチで簡単に操作することができる。

□便利なUSB/MIDI端子

 エフェクター・ボードの各機種をスイッチャーで管理している人にうれしいのがMIDI端子の装備だろう。これにより、パッチの切り替えやパラメーターの値を外部のMIDI機器から操作することが可能となった。また、USB端子でパソコンと接続すると、DAW/シーケンス・ソフトとディレイ・タイムを同期させた演奏やパッチの切り替えも可能となる。

□操作しやすいフットスイッチ

 フットスイッチは、BOSSコンパクト・エフェクターと同じ電子式を採用。機械式よりも壊れにくく、オン/オフ時のノイズもない。角度をつけて設置されているので、かかとをつけた状態からでも踏みやすく、また、足先がつまみに当たってしまうことは少ないが、 “KNOB LOCK”パラメーターにより、つまみの操作を無効化できるのもライブでは便利だろう。

注目モードをAKIHIDEがチェック!


VINTAGE DIGITAL

 “普段からSDE-3000を愛用しているんですけど、それはディレイ音にすごく存在感があるけど邪魔にならず、それでいてちゃんと曲に溶け込むからなんです。デジタルだけどちょっとざらついているというか、その部分がすごく音楽的に感じる。ギタリストとしてより想像力が働く音色なんですよね。そして、モジュレーションがなめらかですごく美しい。そういったところが素晴らしく再現されていますね。ある意味ひとつの楽器として、ディレイに弾かされているような感覚。あと、SDE-3000ファンとしては、 「TIME×2」スイッチやフェイズ・リバースのパラメーターがあるのが、開発側のこだわりが感じられてうれしいですね”。


TAPE

 “僕は実機のRE-201を所有しているんですが、奥行きは出したいけどディレイの音でかき消されずにしっかりとフレーズ自体を聴かせたいという時に使います。リバーブとも違って、音像としてちゃんと存在感がある。その独特の感じがうまく再現されていると思います。それに実機はやっぱり年代物だからノイズの問題もあるし、それが味ではあるんですけど、使い勝手を考えるとDD-500のほうがいいですよね。それに、実機のように3つのヘッドの組み合わせが変えられるパラメーターも素敵です。ディレイ音がずれる感じっていうのもしっかり出せる。すごく状態のいいRE-201を買ったみたいな気分になるくらい気持ちいいモードですね”。


SFX

 “これは名前のとおり未知のもので、すごく新しいサウンドですね。シンプルなアルペジオを弾いても新しさが出せる。ビットクラッシュがかかっていて、フィードバック量によってはリング・モジュレーションとして使うこともできるかもしれない。例えば、ダイレクト音を切ると、スライサーのかかったシンセみたいな音にもできるし、トレモロ・ディレイとして使ってもすごく広がりがある。トレモロで優しい歌に合わせるのもいいし、少しピーキーなセッティングにしてえげつない音を出してロックに攻めても使えると思います。使い方次第でいろんな変化をつけられる、その人のキャラクター・センスが生かされるモードだと思いますね”。


PATTERN

 “ディレイ音にリズムをつけたり、パンを振ったりできるモードですね。これはすごいですよ。もう、ここからリフが生まれそうですもんね。ギタリストとして煽られる感じがあります。ディレイ音のリズム・パターンは3連や跳ねも選べるし、グリスやノイズだけでも音楽になってしまう。打楽器に近いアプローチもできるし、ピアノやシーケンス的なフレーズも行けますよね。U2のジ・エッジの付点8分ディレイは僕もけっこう使いますけど、ディレイ音をフレーズに生かすという意味では、その先にはなかなか行けなかった。これがもしかしたらひとつの突破口になるかも。弾けば弾くほど、いろんな可能性を発見できるモードです”。


SHIMMER

 “原音に対して、音程を変えたディレイを重ねることができるんですけど、シタールや12弦ギターのような響きを、ディレイらしく雰囲気を変えたアンビエント感で出せる。これも非常にイマジネーションが湧いてくる音ですね。ギターだけで思いや情景を伝えられそうなエフェクトです。雰囲気的に使うだけじゃなくて、ディレイ・タイムを短くすれば、ハーモナイザー的な使い方もできますし、逆に長めのディレイ・タイムで使っても、不思議な世界観をギターだけで作れる。「シマー・サウンド」は最近話題だったりしますけど、よりクリアな音だっていうのが、DD-500のシマー・モードのすごくいいところだと思いますね”。


TERA ECHO

 “単体機であるTE-2よりもより細かくパラメーターを設定できるのがいいですね。レガートでメロディを弾くと、そのうしろであたかもキーボーディストがいてパッドで追従してくれているような感じで、この雰囲気はオリジナリティに溢れています。もちろん、アルペジオに使っても、教会で弾いているような、すごく奥行きのある空間を演出してくれる。弾き続けている時はあまりディレイ音が前に出てこなくて、音を伸ばした時に、ふわ〜っとディレイ音がうしろからかぶさって出てくるのが新しいし気持ちいいです。ディレイともリバーブともまた違う質感で、「TERA ECHO」という新たなジャンルのエフェクターですよね”。

DD-500応用編

幅広いディレイ・サウンドを実現するDD-500だが、使い方によってはディレイを超えたサウンドを生むこともできる。その一端を紹介しよう。

ショート・ディレイを活用することでコーラス・サウンドを作ることができる。

モードを切り替えていくと、ディレイ・タイムはそのままに質感を変えることが可能だ。

 ディレイというエフェクターは、その原理を応用するとさまざまなサウンドを作ることができる。ここではDD-500を使ってコーラス・エフェクトを作ってみたいと思う。
 まずはディレイ・タイムを数十msecと非常に短く設定し、次にフィードバックをゼロにする。この時点でディチューンされた独特の広がりが出てくる。さらにモジュレートで周期を与えていくことで揺らぎを加えることが可能で、これでコーラス・サウンドのできあがりだ。この基本セッティングを元に、12種類のモードを切り替えていくことによって、微妙にニュアンスの違うコーラス・サウンドを得られるので、より簡単に好みのエフェクトを作っていくことができる。
 ちなみに、コーラスで設定していたディレイ・タイムをさらに短くし、フィードバックを増やしていくと高域が発振を始め、金属的な響きが出てくるのでフランジャーのような使い方も可能だ。このような設定のままSFXモードで“Bit Rate”を粗くしていくと、リング・モジュレーターのような効果を作ることもできる。原音とエフェクト音のバランスも自由に設定できるため、“探していた理想のモジュレーション・エフェクトは、DD-500で作ってしまう!”というのもおもしろい。
 DD-500は、そのパラメーターやメモリ数の多さから、より細かなセッティングをしたサウンドをスタンバイさせることができるのも強みだと言える。

AKIHIDE'S COMMENTS

 “確かに、原理的にはディレイでコーラスは作れるんでしょうけど、ここまできれいなコーラス・サウンドはなかなか出せないので驚きましたね。スティールパン的な音や、民族的な音も出せる。すごく斬新な使い方もしていけますよね。そのほか、僕は長い追っかけのディレイでハモったりするのも好きなんですけど、「DUAL」のモードとかを使って二重奏、三重奏とすることもできるだろうし、ひとりオーケストレーション的に使えるかもしれませんね”。

マニアックにも作り込める操作性の良さ

 多彩なサウンドを直感的に作っていける操作性の良さも、ギタリストにとっては重要なポイント。DD-500は暗いステージでの視認性も高い大型のディスプレイを備えており、さらにディスプレイの表示タイプを▲/▼ボタンで切り替えていくことができる。例えば、ディレイ・タイムを大きく表示したり、ライブではパッチ名をメインで表示したりと、使うシーンに合わせた表示が可能だ。サウンドメイクは、ボディ・トップにレイアウトされた5つのノブで行なっていくのが基本だが、各パッチにはより細かなパラメーターが準備されており、それらを表示した画面で“TIME/VALUE”つまみを使って調整することで、さらに思いどおりのサウンドに追い込んでいくことも可能だ。
 また、ディレイ・タイムは時間設定のほかBPM設定にも対応。楽曲のBPM値と音符で簡単にディレイ・タイムを設定できるのもうれしいポイントだ。

各パッチのパラメーターを表示した画面。本体上に設置された5つのつまみは、もちろんそれぞれの項目とリンクしている。

ディレイのスタンダードなパラメーターを直接コントロールできる5つのつまみにより、直感的なサウンドメイクが可能だ。

各パッチでは5つのつまみ以外のパラメーターも調整でき、さらに理想のサウンドを追求していくことが可能だ。

ディレイ・タイムはBPMと音符で設定することが可能。BPMの数値、音符のパターンを選択し、VALUEつまみを回すだけだ。

AKIHIDE'S COMMENTS

 “DD-500のすごいところは、使い方が簡単なところ。僕も最初は説明書も読まずに触り始めたんですけど、それでもある程度いろんな音が作れました。この扱いやすさは、スピーディさを要求される現場でも心強い”。


DM-2W Delay

 続いてはコンパクト・ペダル・タイプのディレイとしてすでに高い評価を得ているDM-2Wの実力を検証していきたい。

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現代によみがえった名アナログ・ディレイ

 1981年からわずか3年間しか生産されていないながら、数多くのファンを持つアナログ・ディレイの超名機DM-2を現在のテクノロジーの下に再現、そして昇華した本物のアナログ・ディレイ。アナログ・ディレイの核となるBBD素子は現在ではまったくと言っていいほど製造されていないが、新たな供給元の目処が立ったことからアナログ・ディレイの復活に踏み切ったという。BBD素子の特性から、ディレイ・タイムを長くしていけばしていくほど、ディレイ・サウンドが劣化してしまうが、それこそが愛されるアナログならではの音でもある。さらに、“技-WAZA CRAFT-”として昇華された本機は、最大800mSecのロング・ディレイを実用的な音色で実現するカスタム・モード、ディレイ・タイムを足で操作することを可能にする外部ペダル入力端子を搭載している。

Specifications
●コントロール:モード・スイッチ、エコー、インテンシティ、リピート・レイト●入出力端子:インプット、アウトプット、ダイレクト・アウト、レイト●電源:9V電池 もしくはACアダプター●外形寸法:73(W)×129(D)×59(H)mm●重量:460kg
●価格:オープン

AKIHIDE'S COMMENT

絶妙な立体感を出してくれるし、発振サウンドはこのモデルならでは。

 “やっぱりいいディレイですね。ディレイ音の返りが音楽的で気持ちいい。僕は昔、自分の好きなアーティストの音を聴いて、ステレオのリバーブなのかなって思っていたら、実はDM-2だったというのがよくあったんです。リバーブとも違うし、ディレイ音も甘いから、強く出るわけじゃないけど曲に深みを与えてくれて絶妙な立体感を出してくれる。つまみの設定で、ディレイ音の音色も滲むようになったりと微妙に変わっていくんです。あと、アナログ・ディレイの魅力は発振ですよね。僕もレコーディングでよくやるんですけど、やっぱりこのディレイじゃないと出せないものがありますよね。素敵です”。


総評

新しいギタリスト像やアレンジが、このエフェクターから生まれるかもしれない。

 “ディレイって、僕はいろんなエフェクターの基礎だと思っているんです。いろんな使い方ができるし、セオリーもあるようでないから、ディレイ・タイムの設定などを工夫することで、新しい楽器にもなりうるというか。だから、ディレイで僕はとにかくいろんな音を作ってきたんですけど、DD-500はその実践にもうってつけだと思います。これ一台でできることはすごく幅広いですから。もし、僕が10代の頃にこれを手に入れていたら、もう家から出ずにずっと弾いていたでしょうね(笑)。それぐらい可能性があるし、イマジネーションが刺激される。
 フットスイッチをカスタマイズできるのもおもしろくて、音程感が上がっていく「TWIST」なんかはすごいですよね。そのほか、スイッチを踏んでいる間だけディレイ・タイムを変化させたりもできるし、12種類のモードも含めて、「DD-500のこの機能を使いたいからこのフレーズにしよう」っていう逆転の発想というか、機材からインスパイアされるものがありますよね。音楽をクリエイトする機材というか。これからの新しいギタリスト像やアレンジが、このエフェクターから生まれるかもしれない。
 あとは、サウンドはもちろん、それをこの小ささにまとめているっていうのも素晴らしい。やっぱりエフェクト・ボードのスペースは限られているし、これだけでいろんな音が出せるから、即戦力になりますよね。MIDIが使えるようになったというのも実践的だし、踏みやすいフットスイッチを始め、モードを変えていってもディレイ・タイムが変わらないとか、トゥルー/バッファード・バイパスの切り替えが可能だとか、そういう細かな部分が、ちゃんと考えられて作られている気がする。で、そういった操作性と良いサウンドを両立させるのって、難しいことでもあると思うんですよ。そういうところがBOSSのすごさだし、多くのギタリストから信頼を集めている部分だと思いますね。初心者からプロユースまでみんなが使えるディレイですよね。
 僕がBOSSのペダルを使って思うのは、最後の出口が見えているということ。ギタリストの最後の目的って、やっぱりバンドやアレンジの中に入って、ひとつの楽曲の中でいかに味を出せるかだと思うんですけど、それがちゃんと考えられている。ギターだけで弾いて気持ちいいわけじゃなくて、みんなが混ざってもちゃんと聴こえてきたり邪魔な音じゃなかったり、より想像力を膨らませてくれる音色だったりする。特にBOSSのディレイ・ペダルは、そういう最後の形を見据えて作られていると思う。そういうところが僕がBOSSのペダルが好きなところですね”。


ギター・マガジン2016年1月号で詳細をチェック!

 本記事はリットーミュージック刊『ギター・マガジン2016年1月号』の中でより詳しく紹介されています。現行BOSSディレイ系ペダルの試奏記事など、ここではお見せできなかった製品/情報もありますので、興味のある人はぜひチェックしてみて下さい。

■ギター・マガジン2016年1月号の詳細はこちらから!

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製品情報

プロフィール

最新作『YAIBA』
ZAIN RECORDS/ZACL-6036

AKIHIDE
14歳でギターを始め、2001年にFAIRY FOREのギタリストとしてメジャー・デビュー。さまざまなアーティストのサポート活動を経て、2007年にBREAKERZを結成し、現在までに6枚のオリジナル・アルバムを発表している。最新作は、12月9日にリリースされたシングル『YAIBA』。また、2013年からはソロ活動も開始し、4枚のアルバムをリリースしている。

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